▽トレーラー
学園の廊下に張り紙がされている。
◇下記の者は卒業要件を満たした、あるいは卒業が見込まれる。進路相談室まで来るように。
式宮 廻
三枝 辰
遮那
日乃出 蘭
荒上 レイ
水雛 流留子
皇 異相
アイ
山王堂 雄貴
以上9名。
『Find the blue』
▽ハンドアウト
【式宮 廻】
気付けば、学園に来てから随分と時間が経っているように思う。
羽斗と出会ったのは最初の春。
詩織の演劇に巻き込まれたのは夏。
ゲームショウに行ったのは秋。
ぐんまちゃんとの出会いは冬。
仙台で将棋を指したときは二度目の春。
学パロ学園は夏。
今はもう秋になっている。
時間が経過しているという体感に反して、体の方はあまり成長していない。他の面々に関しても同じだ。
さて。
進路相談室は学園の地下、その奥深くにあった。無機質な校内とは打って変わって石積みの古風な城のような薄暗い空間に、5mはありそうな巨大な鉄扉だけがあった。
扉の向こう側が進路相談室。
るる子が言う「これはアカンやつですね」
亜子が言う「恐らく最後の課題が課されるのでしょう」
扉の向こうにあったのは『式宮廻の冒険』の世界であった。
【花園 凛香】
君は進路相談室に呼ばれはしなかった。だが入室は許可された。
扉の向こうにあった場所は……山茶花女学院。今回は詠子(エーテル)もいないようである。
女学生たちはいる。君も彼女らに見覚えがある。また彼女らも君を知っている。
しかし式宮や他の幽世学園の生徒はいない。ともすれば、幽世学園など全部幻だったかのようにも思えてくる……
【山王堂 雄貴】
太平洋戦争終結から間もない頃。荒れ果て混乱の中にある日本各地を、旅して回る少年がいた。名は式宮廻。戦争で天涯孤独となるも、仲間を増やして旅を続ける。
西に困っている人あらば行って助け、東に悪党がのさばれば懲らしめ、北でモンスターが暴れれば討伐し、南にトレジャーの香りあれば大活劇を繰り広げる。
……君が進路相談室に入った際に広がっていた世界は、そんな感じだった。隣には式宮がいる。他の幽世学園の生徒は誰もいない。
さて。どうしたものか。
【稀崎 野乃】
君は進路相談室に呼ばれはしなかった。だが入室は許可された。
扉の向こうにあったのは、京都五条大橋。時刻は夜間。時代は不明だが……
999本の太刀を装備した巨大な僧兵は立ち塞がっている。
周囲には式宮や山王堂の姿はなく、遮那と何故かるる子だけがいた。
「これはアカンパターンのやつでは?」とるる子が言っていた。
【三枝 辰】
やたら白いだけの空間に椅子が4つだけあった。
うち2つにはすでにちーばくんとエーテルが座っていた。空いている2つは君と横にいるアイの分だろうか……
「進路相談という名の身の振り方OBOG訪問だね」
ちーばくんがそんな事を言う。
「就職か進学か……みたいなもので、現実か空想か。学園を出た後どちらに進みたいか決めなきゃいけないのさ」
決めなきゃいけないらしい。がんばろう。
※今回と次回は校外学習ではないので銀貨ペルソナの貸し出しがありません。
最終更新:2020年06月13日 18:47