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炉=アウレオルス・計都<Hinoto=Aureolus・Kate>


「今夜はウチで食べていくかね、みーちゃん。いい地鶏が手に入ったんだが、鍋とかどうだろう?」/放課後、帰り道
「僕とみーちゃんが同時に存在する場合、みーちゃんの生存確率は実に115%にも到達する!」/戦場、高らかに
「……庄子君、君にはまず魔法の術式構築のABCから教えなければならないのだろうか?」/秘密基地、教壇にて
「総ての人の為の安寧と幸い。それこそを、研鑽の果てに得る――“金”とする」/心、刻んだ

秘してこそ、と怯えた言。それを我らは認めない。
使えずして、何が業か。広めずして、何が技か。
錬金術とは魔術に非ず、科学に非ず、しかしてその全てでもあり。
表も裏も我らは問わず、遍く人の幸いを目指すもの。
夢幻とした秘蹟の数々は、今こそ汝の傍らへと墜とされん。

――第十四代アウレオルス家当主、“振り子の”ケルシウス・炉=アウレオルス

≪プロフィール≫

【種族】人間
【性別】男性
【年齢】十七歳
【国籍】日本/スイス
【属性】地/天
【スタイルクラス】キャスター:Lv0
【ウィザードクラス】錬金術師:Lv13
【総合Lv】13
【成長クラス修正】
  • 錬金術師:行動値+12
【経験点】
  • 総経験点:95exp
    • 未使用:7exp
    • 使用:88exp
      • 10exp:≪伝家の宝刀≫2Lv
      • 5exp:≪インテリジェントアイテム≫
      • 5exp:≪魔装カスタマイズ≫1Lv
      • 5exp:≪魔装弾幕≫
      • 5exp:≪愛用の箒≫
      • 15exp:≪闘気の才≫3Lv
      • 43exp:換金=v8,600,000
【ワークス】高校生、或いは明るいインテリ
【ライフパス】
  • [出自]:魔法儀式 > 肉体に刻まれた魔力伝導型の術式回路。祖父に施されたものだが、魔法構築以外にも何らかの仕掛けがあるらしい。
  • [生活]:永遠のライバル > 香椎・珠美。みーちゃんのスクープを狙おうとする女。許せん……ッ!
  • [邂逅]:赤羽・くれは〔関係・主人〕 > 世界魔術師協会の代表代行。錬金術師たるアウレオルスの者として、一応頭は下げておかねば。

【基本能力値】

筋力 10 知力 6+3
器用 6 信仰 8
敏捷 6 知覚 7
精神 11 幸運 9
CF 修正 3
【プラーナ】
内包値:10 解放力:3

【戦闘値】

戦闘値 ベース クラス修正 未装備 装備 BK
命中 6 2 8 0 1
回避 5 5 6 6
攻撃 8 2 10 32 32
防御 9 9 14 20
魔導 11 6 19 23 27
抵抗 7 3 10 11 12
魔攻 10 7 20 40 56
魔防 8 3 11 11 14
耐久力 28 4 32 32 32
魔法力 44 10 54 35 35
行動値 13 7 26 16 13
移動力 3 3 3 3

【特殊能力】

名称 クラス SL タイミング 対象 効果
≪月衣≫ - - Pass 自身 アイテムの隠匿。
≪月匣≫ - - Pass 自身 月匣を展開する。
≪魔法攻撃力UP≫ Cas - Pass 自身 【魔攻】上昇。
≪マジックマスタリー≫ Cas 1 Pass 自身 【魔導】上昇。
≪オプションデバイス≫ Alc - Iv 自身 【攻撃】【魔攻】上昇。シーン持続。
≪サポートガジェット≫ Alc - Pass 自身 【知力】上昇。
≪ミラクルガジェット≫ Alc 3 Auto 単体 判定を[C]に変更。Lv回/1Sin。
≪ワンダーガジェット≫ Alc 2 Pass 自身 Lv個の【錬金兵装】を獲得。
≪ロックオンデバイス≫ Alc - Mn 自身 攻撃の対象を範囲に変更。1回/1R。
≪ブレイクトラップ≫ Alc 1 Mj 単体 [罠]を解除。Lv+1回/1Sin。
≪ドレスチェンジ≫ Alc - Auto 自身 装備を任意に変更できる。1回/1R。
≪バリアデバイス≫ Alc 3 Auto 単体 Dm軽減。1回/1R。
≪オービットアーム≫ Alc - Auto 単体 Dm+。1回/1R。
≪アンプガジェット≫ Alc - Mj 単体 大威力魔法攻撃。
≪アクティブユニゾン≫ Alc - Mj 自身 Mjを2回行う。1回/1Sin。
≪マッハクリエイション≫ Alc 5 Mj 自身 任意のアイテム、【錬金兵装】の獲得。
≪大いなる業≫ Alc 3 Auto 単体 回数制限のある特技の回復。SL回/1Sin。
≪伝家の宝刀≫ 汎 2 Pass 自身 ≪“黄金の”アゾット≫を常備化。
≪魔装カスタマイズ≫ 汎 1 Pass 自身 ≪ソードレイン≫を強化。
≪魔装弾幕≫ 汎 - Mn 自身 直後の攻撃を強化する的な何か。
≪インテリジェントアイテム≫ 汎 - Auto 自身 判定振り直し。1回/1Sce。
≪闘気の才≫ 汎 3 Pass 自身 プラーナ内包値上昇。
≪愛用の箒≫ 汎 - Pass 自身 “衝騎姫”を指定、搭乗中ジャッジ強化。
≪相殺障壁≫ Item - Auto 自身 【魔防】を【魔攻】で代用。3回/1Sin。
≪防護障壁≫ Item - Auto 自身 防御、魔防に修正。1回/1R。
≪アイテム改造ルーム≫ Item - Mj 自身 戦闘修正強化。3回/1Sin。
≪万能解析ルーム≫ Item - Auto 自身 【知力】【器用】ジャッジ強化。
≪マルチロックスペル≫ Item - Mn 自身 攻撃対象を【知覚】÷3体に変更。1回/1R。
≪マナスコープ≫ Item - Auto 自身 【魔攻】+。1回/1Sce。
※錬金術師より特技4Lv分未取得

概算攻撃力 BK装備時
OD後 68
魔装弾幕 74
AG使用 96(アイテム改造未計算)


【武装】[所持可能重量上限:23]

名称 種別 重量 価格 備考
アルナフス断章 武器(その本) 1 v4,000,000 意志を持ち、人としての姿を持つ魔導書。
ストライクハンマー 武器(箒) 5 Alc-WG 白兵/魔法型、スロット:5(5)。銘は“衝騎姫-plena luna-”
ウェポンマウントラッチ 箒OP 1 v200,000 “衝騎姫”の追加装備拡張搭載枠。使用スロット:1。
“黄金の”アゾット 武器(剣) 3 伝家の宝刀 “衝騎姫”のWMLに搭載されたパラケルススの魔剣。
変形システム 箒OP 1 v100,000 “衝騎姫”の現界機構の一。使用スロット:0。
土竜 箒OP 2 v100,000 “衝騎姫”の強化武装、回転式儀式長杖。使用スロット:2。
スタビライザー 箒OP 2 v300,000 “衝騎姫”の加速補助安定翼。使用スロット:2。
かっこいいパーツセット 箒OP 0 v100,000 “衝騎姫”用に特注した、真鍮色に輝く魔導皮膜。使用スロット:0。
そうじユニット 箒OP 0 v1,200 “衝騎姫”用に特注した竹箒。変形後の少女形態時に装備する。使用スロット:0。
B-Kシルヴァーバレット 武器(箒) 4 Alc-MC “衝騎姫”の呪法制御用強化外装“銀声妃”。スロット:5(4)。 ※マッハクリエイションにて獲得予定。
マジカルビット×4 箒OP 0 v240,000 “銀声妃”に搭載された陣形展開型術式補助機構。スロット:4。
かっこいいパーツセット 箒OP 0 v200,000 “銀声妃”に注がれた呪刻印。ヘブライ語で“恵みは嵐の中にこそ”と書いてある。使用スロット:0。
普通の服 防具 1 v25,000 という名の学生服やツナギ、ジャージなど。簡易呪的防御あり。

【魔法】[魔法記憶容量:16]

名称 属性 Lv 価格 効果
ヒール - 1 v15,000 補助回復くらいの勢いで。
リフレクトブースタ - 3 v50,000 行動値上昇。鈍重な機体に推進力を与える。

【魔装】[魔法装備可能Lv合計:15]

名称 種別 Lv 価格 効果
ソードレイン 攻撃 6 v130,000 冥魔相手にDm追加アリ。カスタマイズ適用。
パワーブースタ 付与 2 v100,000 所持可能重量に修正。


【所持品】[月衣内所持可能重量上限:24]

名称 重量 効果 価格
0-phone 0 Wiz専用携帯電話。工房の警備通報システムと連動。 v0
スマート0-phone 0 発展型Wiz専用携帯電話。工房の警備通報システムと連動。 v39,800
Mugen-kun 0 Wiz専用クレジットカード。利息が重いので使用は控える。 v0
MPヒールポーション 1 いざという時の為の覚醒アンプル。 v100,000
幸運の宝石 0 [F]をキャンセル。 v100,000
死活の石 0 生死判定の達成値上昇。 v200,000
錬金秘密基地 0 固定化した月匣に展開した工房。居住区画有り。 Alc

【コネクション】

対象 関係 価格 備考
真上・刹那 幼馴染 x+v3,000 みーちゃん。何よりも、誰よりも。
赤羽・くれは 主人 ライフパス 世界魔術師協会代表代行。まさか同年だったとは知らなんだ……。
香椎・珠美 ライバル ライフパス みーちゃんに群がるパパラッチ。要警戒対象の一。あと僕は別に変態じゃあない。
ベール=ゼファー 協力者 v200,000+v25,000 鍋。秘めた目的の為、相互支援を行う。皆には内緒ダヨ。
私立輝明学園 所属 v1,000 正に混沌たる釜。嫌いではないが、別に好ましいわけでもない。
シオネ・ホーエンハイム 姉 v600,000+v1,000 パラケルススの正統な後継。シオ姉。頼る業は違えども、至る“金”は同じと信じた。
古屋・千代 幼馴染 v3,750+v3,000 穴八幡の巫女。幼少からの馴染みではあるが、“古屋君”と呼ぶ。千代とも呼び捨てにはしない。
間宮・アリス 幼馴染 v100,000+v3,000 猫好きでドクターペッパー好きのいい女。昔はもっと和やかに、彼女とも話せていたのにな。


≪容姿≫

日本人とスイス人のクォーター、祖父譲りの赤味がかった金髪と碧緑の瞳が特徴的。
右側のもみ上げとサイドだけ長く伸ばしているが、他は邪魔にならない程度に無造作にカット。
不規則な睡眠のせいでやや寝癖が目立つことが多いが、髪質自体は悪くないので直しやすくはある。
また、同上の理由により、常に眠たげな目をしており、その下には隈がくっきり不健康チック。
眼鏡はフィンチ式(ばね止め)、左耳には銀と紫水晶のイヤリング、襟元にはヘキサグラムのピンバッジ。
服装は特に頓着もなく、学校指定(かどうかは定かではないが)の暗緑色の詰襟で大抵を過ごす。

※とりあえず色を置いてみた。ハイライトとか陰とかむずい。

≪設定≫

※あまり推敲してないけど許してね。
「もう鶏もも食べられるわよ、アウレオルスの坊や」

 アウレオルス。
 かの“パラケルスス”から分かれた其の一族は、異端。
 秘すべき技を堂々と世に広く知らしめんとする、正しく道を外れた一族。
 その名で呼ばれた赤金の髪持つ少年は、ぽん酢を使うか唐辛子を使うかで迷いながら、答えを返す。

「もう少しだよ。まだ裏の方が赤いじゃないか。……悪食説は正しかったようだね、女王」
「ふん、たかだか二千年の歴史しかない十字教の後付がナマ言うんじゃないの。元最高神ナメんな」

 少女――鮮やかな銀髪、爛と輝く金瞳――は、少年の忠告を聞かずがぶりと肉を齧り切った。
 輝明学園の制服の上にポンチョを羽織った彼女、ベル=フライ。はふほふ、と肉を冷まそうとする様が愛らしい。
 呆れ顔の少年は空いていたグラスに冷えた辛口の芋焼酎を注いでやり、自身の分の白菜を確保する。

「それから、その呼び方は止めてくれと言っただろう。僕の名前は、計都だ。坊やではない」
「女の名前みたい、と言ったら怒ったくせに。ねえ、Kate? キティ、と言うには可愛げが足りないようだけど」
「…………」
「あ、こら、無言で人の小皿にしめじばかり載せるんじゃないわよ! やめなさいってば!」

 まったく、だから坊やだってのよ。ベルは碧緑の瞳を真正面から睨みつけるが少年、計都は素知らぬ顔。
 暖色の蛍光灯の下、計都とベルは炬燵で温まりながら鍋をつついていた。
 鶏、白菜、みずな、長葱、しめじ、しらたき。シンプルながらも、しっかりと出汁の効いた水炊き。

「そういえば、最近パールのやつが五月蝿いのよ――」
「秋葉原校の柊某が卒業したというのは――」
「世界樹の迷宮Ⅲが出るらしいわね――」
「そんなことより『KING OF BANDIT JING』の連載再開を――」

 軽妙に言葉を交し合う二人は、友人のように、恋人のように、家族のように――、どのようにも見える。
 かたや世界の常識を護る夜闇の魔法使い、魔導科学の粋を極める錬金術師の裔であり。
 かたや世界の非常識そのもの、裏界第二位の大魔王“蝿の女王”の代行分体であり。
 友人だなど、恋人だなど、家族だなど、決してありえないのだが。

「まあ、それはそれとして。ダキニウムの件だけど、あの量で足りたかしら?」
「充分。あと半年は無補給で“獅子姫”の稼動試験が可能だよ。今晩の水炊きはその礼も兼ねているのだ」
「あらそう? それは重畳、しっかり励んでちょうだいな。――全然足りないわ」
「素で返さないでくれたまえ、気高き主。代わりはいくらでもある、僕の財政が許す範囲で存分に食べてくれ」

 しかし、この少年、炉=アウレオルス・計都にとってはそのような事実など、瑣末なものだった。
 アウレオルスが標とするは、魔導科学の汎技術化。神秘の平易化による怪異への適応免疫機構の向上。
“世界結界”何するものぞ、と彼らは呵々と大きく笑う。
 外道なれど道は道、道あらば理があり、理の果てにこそ解は導かれん。
 そう謳うアウレオルスの中でも、計都は殊更に外れているのだ。

「“東方王国の王女”から理論を借りた八卦炉の小型化も直に完成する。これが成れば、当面の戦力確保は充分なはずだ」
「成れば、ね。貴方がお気に入りの人狼の傍にいる限り、楽になれることは無いと思うけれど」

 彼が望むは、ただひとつ。
 真上・刹那。彼女が、笑顔で暮らせる世界。
 人と魔が、手を取り合って過ごせる世界。
 束になったしらたきを噛み切りながら、計都は応えた。

「楽になろう、などと思ったことはない」
「探究心を満足させる為の理由ではなくて?」
「目的と手段が互換されることもない」
「そこまで尽くして、貴方は何が欲しいのかしら?」

 詐欺、教唆、煽動などの所業は人畜問わず、生きる為の手管に過ぎず。
 であれば、眼前の魔王を畏れども、恐れる故は欠片もなし。
 ベルの視線に悠と返し、計都は鍋に鶏団子を追加する。
 自身の小皿に葱を取り、軽く柚子胡椒を一振り。風味と刺激が堪らない。

「褒賞であれば、既に受け取っているのだ。行為そのものが、利息の返済であるとも言える」
「……何、それ?」
「愛」
「気持ち悪い」

 ベルは大仰に舌を出し、計都の冗談交じりの戯言を切り捨てた。
 かしゅ、とどこからか取り出したエビスの缶を空け、一気に呷る。
 喉を走る苦味、脳髄をどろりと蕩かすアルコールに気を良くして、ベルはからからと笑んだ。

「んふ。まあ、そんなことはどうでもいいんらけど」
「呂律くらい回してくれ」
「うるさい。どうでもいいんだけど、坊やの大風呂敷の方はどうなのよ。まさか今更『無理ですよ』なんて、」
「言うものか。――手掛りは得た。“狭界”、“忘却世界”。この無色にして多色の小世界群が鍵になりそうだ」
「“狭界”……、確かルーも気にかけていたわね。なるほど、すぐに実になるとは思ってないから、気長にやりなさいな」
「甘やかすなよ。少なくとも、五年、いや三年以内に何らかの結果は出すさ。そうでなければ、間に合わん」

 会話の片手間、ベルの小皿にぽん酢を足しつつ、計都は嘯いた。

「表界と裏界の融合。第八世界の統合。みーちゃんが真っ当に生きることが出来る世界を、僕は造り出す」
「うそぶく、とか言っちゃってまあ。大言壮語だと思ってもなひくせに、どうしてほう冗長な言葉を選ぶのかひら」
「地の分を読むな酔っ払い。また滑舌が怪しいぞ」
「うるはいわね。いいからとっとろ肉足ひなさいよ、にくー」

 もうダメだ。さっき追加したはずの鶏団子が既に影も形も見当たらない。
 王道にして直系、医道を往くホーエンハイムであれば、即席で酔い覚ましでも精製できるのだろうか。
 科学技術に秀でるフルカネルラ派に師事したアウレオルスには、この類のろくでなしを相手取る業は伝えられていない。
 溜息ひとつ、計都は炬燵から立ち上がった。

「少し待っていたまえ。すぐに新しい鶏を用意しよう」

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「んぅ、ん。あったま痛ぁー。……もう朝? 飲み過ぎたわー」

 炬燵で寝転がったまま、げふう。はしたなく息を吐く銀髪の美少女ベル=フライ。
 その様に何を言うこともなく、計都は冷水を差し出してやる。
 壁に掛けられた時計の針は、>の字の形。七時五十分を指していた。

「僕はそろそろ学園に行くが、台所におにぎりと浅漬けがある。味噌汁は温めて、適当に食べて帰れ」
「ん、悪いわね。――坊や、また眠れてないの?」
「いつものことだよ。明後日の朝ぐらいには眠れる頃だろう」

 そういう計都の目元には、濃く深い隈があった。
 元来ぱっちりとした大きな碧緑の瞳は、眠たげに細められ、歪な半円を描く。
 不眠症にして、過眠症。望んだ眠りを得られない。夢を見ることが叶わない。
 いつの日からか、計都に刻まれた呪いじみた病。

「祖父様から接いだ“林檎”のおかげで、意識の方に鈍りはない。授業程度は難なくこなすさ」
「別に心配しているわけじゃなくて。体調不良で実験状況の進捗に影響が出るのが嫌なのよ」
「そうだろうとも」

 傍らに置いてあった学生鞄を、きゅい、と微かな異音のする左手で持ち上げる。
 学生服の袖で隠された左腕は、幼い頃に義腕に差し替えられているのだ。
“林檎”と呼ばれたそれは、魔術回路を介して計都の思考領域と直接接続され、多面的な支援を行う擬脳を搭載している。
 強制的な意識覚醒や、運動補助はお手の物。計都が人並みの生活を送れているのは“林檎”のおかげと言っても過言ではない。
 軽く掌を幾度か握り、調子を確かめた計都はそのまま姿見の前に移動、髪型、服装、アクセサリを検める。
 執拗に、一度確認したところももう一度。

「……随分神経質ね。ちょっとこだわりすぎじゃないの? 見れない顔というわけでなし」
「別に身嗜みに気をつけているというわけではない。万一を考えて、防御は完璧にしておきたいだけだ」
「ふうん、“神の如き者”の力を受ける赤い右髪、左耳には破邪銀と紫水晶、そして喉元には、」
「完全数の星。他にも見えないところに仕込んではあるが、少なくともこの三つは外せない」

 結局四度確認をして満足したのか、計都は玄関に向かう。
 物質の象徴性を利用した、霊的属性の連結による神殿の擬似構築。
“溶解して、化合せよ”という錬金術の心得を応用し、小さな意味を幾重にも織ることで静的加護を向上させる技法だ。
 維持に魔力を必要としない為、他者に気付かれにくいという利点もある。
 また、日常にも溶け込ませ易いこの技術は、アウレオルスの理念にも合致するのだ。

「そこまでしないと、あの人狼の娘と相対できないわけ?」
「……今日は、君のせいだよ、女王。特に彼女は鼻が効く、君の魔力残滓を打ち払う為にも必要なんだ」
「あら、それはいいことを聞いたわ。もっと匂いを残したくなってきたかも」

 じろりと睨む計都に、ベルは軽く笑いながら寝返りを打つ。
 まだ気分が悪いのか、起き上がろうという意志は見られない。
 やめてくれ、とひとつ溢して、計都はビットローファーを履いた。
 これ以上ベルにかかずらっていると、本格的に時間を無くしてしまうのだ。

「では、“蝿の女王”。次に会う時は、また何か旨いものを用意しておこう」
「ばいばい、計都、可愛い坊や。楽しく遊びましょう」

 扉を開けた計都は、ベルの糖蜜のような声には何も返さない。
 もはや外に出た彼の頭の中には魔王のことなど欠片も無く、全てを占めるのはただひとつ。
 さあ、早く。

「今日は巫女クラブの定例禊だったな。またみーちゃんはサボろうとしているのだろうが、そうはさせんとも!」

 みーちゃんに、会いたい。

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「庄子君、庄子君! 聞いてくれたまえ!」

 ばたばたと大きな足音を立てて共同居住区画に入ってくる計都を、うっへりとした態度で庄子・司は迎えた。
 カラーコンタクトで本来の相を隠した瞳をやや平らに歪めて、溜息ひとつ。
 またここ数日眠れていないのだろう、計都は庄子のその様子にも気付かない。

「どうしたんです、先輩。最近、ずっと工房の方に籠もっていたみたいですけど」
「うむ、内部搭乗型戦術級機動箒の第三世代試験機の基礎フレームがようやっと完成したのだ! 主動力は従来のものと同じ方式、階差螺旋位相転換による擬似無限軌道の循環炉だが、魔化水銀合金ではなく成聖した光子鉄を回路に使用することで伝導効率が飛躍的に向上した! 以前から目をつけていた素材ではあるが、まさか相互コンダクタンスの有効値が305pGmとは思わなかったね。ちなみにこの数値は実に驚くべきもので、現在市場に出回っているアンブラ社の標準箒、ガンナーズブルームに使われているハイロニウムで平均286pGmなのだよ? くく、この技術を応用すれば、いずれはみーちゃんに贈る強化外装にも転用できるかもしれんが――、いや、今はさておこう! そして骨子には記憶蓄積型緋金を使用し、柔剛性ともに充分! 常識の埒外のような可動域にも対応しているから、みーちゃんがどんな無茶な機動を行おうが追従が可能となっているのだ。また、左腕部には術式増幅基として小型化した八卦炉を搭載した! 華型展開と呼ばれる特殊な魔法陣構築補助機能により、攻撃術式の強化が可能となったのだよ! 華型展開とは、己を中心として小型の環状・帯状魔法陣を多重展開、術式を分割詠唱させることにより極めて少ない魔力消費にて魔法攻撃力の増加を行う特殊技術だ。魔法陣の展開、術式処理にやや時間がかかってしまうのが欠点ではあるが、何、局面さえ見誤らなければ大した問題にはなるまい。それでだね、右腕部に装備した回転式儀式長杖の刀身部には、宿神木の枝を芯に据え古今東西の祝詞、聖句、呪言を刻み、みーちゃんに相対する輩が何の眷属であろうと――」
「あ、そうなんですか。すごいですねー」
「そうだろうとも!」

 ああ、悪気は無いのだろうが。専門用語が多すぎて庄子には計都の台詞の半分も理解を得ることができない。
 しかし計都の語気、瞳の輝き、そして所々に入るみーちゃんみーちゃんの連呼から雰囲気だけは咀嚼することができた。
 とりあえず、なんかこう、すごいんだな。

「で、結局それってどんなのなんです?」
「ふむ。実物を見せた方が早かろう。“O.T.C.R.W”!」

 圧縮言語で計都が空間に呼びかければ、反応して右正面の壁が展開、奥の工房を曝け出す。
 現実空間から隔離された月匣に存在する、錬金秘密基地。その全ては、計都の管理下にあるのだ。
 工房からぐ、とせり出してきたハンガーに、四メートル級の機械人形がその体躯を讃えられていた。
 例えるならば、西洋甲冑。
 極めて薄く織られた妖精銀布による一二〇四枚の積層装甲は平面、曲面にて構成されていながらも、有機的。
 右腕にはその巨躯よりも長大な儀式杖を構え、左腕は盾と一体化しているのか右腕よりやや肥大化している。
 やや光沢のある白色に染められた佇まいは、見るものにはある種の畏怖、神々しささえ覚えさせるかもしれない。
 白の中で一点の闇、面甲の奥には赤い単眼がほの明るく輝いた。
 が、庄子の口をついて出た感想は、そんな雰囲気などとは全く掛け離れたものだった。

「な、騎士ガンダム……?」
「何を言っているのかね、君は」
「いえ、何でもないです! ……でも、前の箒と大分形状変わりましたね」
「今回の改修は基礎フレーム自体だからな、外殻もそれに合わせて精製し直したのだ」

 精製し直した、とは言うが、実際それは新規に製作したもので、以前の機体とは別ものである。
 第二世代型の際には頭部の排熱機構のシルエットで鬣を模していたのだろうが――、

「……ぶっちゃけどの辺りが“獅子”姫なんです?」
「ううむ、痛いところを突かれてしまった」
「痛いんですか」
「結構な。――実を言えば、これは既に“獅子姫”とは別の機体なのだ」

 つまり、とこれまでのアッパー入った口上ではなく、真面目な口振りで計都は言う。

「今後、やもすると戦場が第八世界に限定されない可能性もある。状況対応性を考慮して、追加装備による拡張性を――」
「あ、いや、長くなるならいいです」
「……そうかね? まあ、とにかくだ。あらゆる戦場をみーちゃんと共に駈けるシモベ。望む未来を斬り拓く僕のシルベ。
 この第三世代試験機を“騎士姫-Equesia-”と名付けることにした」
「あー、なるほど。本当に別物だったんですか」
「とは言え、“獅子姫”は“獅子姫”でまだ取らなければならないデータがある。しばらくは併用だな」

 計都は腕を組み、“衝騎姫”を見上げる。考えることは山より多く、碧緑の眼差しは柔らかくはない。
 つられ庄子も顔を向けるが、やはり思うのは性能面とは別のこと。
 でかい、なあ。
 先日見た“獅子姫”でも三メートルは悠に超える体躯で、“衝騎姫”はそれを上回る。
 内部搭乗型、というのであればこれでも小型なサイズなのだろうが、どうにも気になることがある。

「先輩、先輩。水を差すようで悪いんですけども」
「何だね、庄子君」
「これ、――≪月衣≫に入るんですか?」
「…………」
「……先輩?」
「……“獅子姫”より質量、密度共に増加したが、理論上はまだ許容量内のはずだ」
「先輩、科学者キャラが理論上とか言い始めたら、それ負けフラグですよ?!」

 ええい、一回やってみればわかる!
 げえっ、その台詞こそダメだ! やめてくださいよ!
“衝騎姫”、猫型筺体内に格納!
 うっそああもうやっちゃったよこの人!

 どかーん。
 大爆発。
 どんとはれ。

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まだもうちょっとだけ続くのじゃ。

※要点だけ述べよ。
  • やや理屈先行かと思いきや、フィーリングのが大事な変則型インテリ。
  • 日本人とスイス人のクォーター。国籍は日本にあり。
  • かのパラケルススの傍系ではあるが、系統はフルカネッリ寄りの異端派。
  • 伸ばした右髪、左耳のイヤリング、ヘキサグラムのピンバッジなど、魔術的象徴をごっそり仕込む。
  • インソムニアかつナルコレプシー。不眠症で過眠症、不規則すぎる睡眠時間。眠たげな目とひどい隈。
  • 実験中の事故で左腕は義腕(※≪サポートガジェット:知力≫)に差し替えられている。
  • この義腕を祖父は“林檎”と呼んだ。
  • 目指すは魔導科学の一般化(裏目的は、第八世界の統合)。ぶっちゃけ世界魔術師教会やロンギヌスから怒られそうだ。
  • 真上・刹那、みーちゃんと小中高、ずっと一緒の幼馴染。曰く、呪いのアイテム。言い得て妙過ぎる。
  • 大事な相手は過保護る。みーちゃんは超☆過保護る。
  • みーちゃんと呼ぶと怒られるが、せっちゃんとか名前でとか、恥かしすぎて呼べないシャイボーイ。

PLより

 なんというか、Campariキャラの集大成的な何か。
 これまでに蓄えた無駄なオカルト薀蓄をありったけ吐き出せたら勝ちかもしれん。

「第八世界の統合」とか言ってるのは、PLがみーちゃんと喧嘩したいから。
 幼馴染だったら一回こっぴどく喧嘩しないと! な!
 ……ちゃんと仲直りする気はあるのよ? ラスボスじゃないのよ?


最終更新:2011年07月30日 00:47
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