上級ソフトウェアルール
この章では、様々な種類のソフトウェアとプログラムのための追加の定義と新しいルールを紹介します。
環境ARソフトウェア
知覚に手を加えることで“現実を改変する”機能によって、
強化現実環境(ARE)ソフトウェア市場は、多くのソフトウェア開発業者のドル箱事業となりました。
2070年代の流行の移り変わりの早さたるや、
産業界全てが顧客のARE需要を満たすために発展してきたと言えるほどです。
クールを求めるハンターは、最新の流行を追いかけてネットをさまよい歩いており、
AREソフトウェアによる現実性、順応性、交換可能性に対する熱烈な需要を求めるプログラマーやデジタルアーティストに、
そのアイデアを吹き込みます。
マスメディアのマーケティング・マネージャーと広告主は、あらゆる人々の自分だけのネバーランドや、
ユニークな社交スタイルのために不可欠であると銘打って、製品の販促に余念がありません。
多くのユーザーがAREが修正した自分だけの現実にのめりこむあまり、
認識上の錯誤と社会的な解離症に苦しんでいます(p.38「不利な資質」の《現実不適応》参照)。
それでもなお、現実改変ソフトウェアの日常生活における途方もない可能性は、
多くのユーザーがいまやARE無しの生活など考えられないほどの圧倒的な人気を博しています。
以下のプログラムはSR4のp.352に掲載されているAREのサンプルに対する補足です。
ボディ・ショップ
ボディ・ショップには衣類やアクセサリーから肌、髪、瞳の色にまで至る広範なAREファッションが含まれています。
大半のソフトウェアはあなたの現実の衣類とスタイルを引き立て、補完することを意図しています。
最新のイーヴォ・ワールドウェア・ナノフィクスド・オートクチュールもしくはスピンショップ・ボディ・モッドをお求めになられませんか?
ボディ・ショップによる仮想ファッションは最新のスタイルやモッドを身につける安価な手段であり、
ARを使っている誰に対してであれ、注目の的になることうけおいです。
当然のことながら、ボディ・ショップは物理法則に縛られないので、実際には不可能な化粧、衣類、髪型を披露することも可能となっています。
ボディ・ショップの価格はその特徴次第で、
出来合いの一揃いからデザイナーブランド、または特注のユニークな大変身に至るまで多岐にわたっています。
また多くのボディ・ショップのソフトウェアハウスも、
定期的にあなたのAREソフトウェアを最新のデザインの詰まったライブラリにアップデートしてくれる会員制サービスを提供しているため、
あなたが業界人に後れをとることはありません。
グリフ
グリフは特定のソフトウェアによる“出し物”もしくはアートワークです。
通常のグリフはあなたが他のAE(訳注:AREの間違いか?)パッケージだったらとうてい役に立つとは思いそうにないオブジェクトを含んでいます。
たとえば仮想の兵器類の保管庫、群れをなしてあなたの周りを飛び回る仮想のはさみ、
あるいは軌道を描く惑星と衛星からなるあなただけの仮想の太陽系等々。
グリフはしばしば他のAREプログラムのアドオンとしても売られています。
たとえば、あなたのバーチャル・ペットのためのオサレなひも。
またはウォール・スペースのためのピカソ。
成長中の企業はしばしばユーザーの希望に合わせて特注した、
あるいは収集品足りうる限定品の形で、スペシャルデザインのグリフによる芸術作品を提供します。
典型的な所では、デザインを担当したアーティストによる電子透かしの形でのサインといったところでしょうか。
ネガター
ネガターは、ユーザーのプログラムに従って“いけすかない”ものを何でもかんでも“削除”しようとします。
奇人変人、特定の恐怖症を患っている人々、または有象無象に煩わされることをお気に召さないとびっきりの俗物様等にネガターはうってつけです。
ネガターはユーザーが消したがるものならなんであれ、他のAR感覚の入力で隠し、覆い、消去してしまいます。
ラクティブ
ラクティブは、“インタラクティブ”のありふれた省略形です。
概して言えば、これらはバーチャル・パーソンないしペットのプログラム済みのシェルですが、
実はシムセンスによって増速された、登録制の形で役を演じる役者(いわゆる“ラクター”)による遠隔操作が可能となっています。
このソフトウェアは実際にシェルに“飛び乗った”場合ほど洗練されているわけではありませんが、
“ホスト”とラクティブの間で、周囲の状況と社交上の情報を瞬時にやり取りすることによって、
限られた反応のレパートリーと行動のパターンしか持たない通常のバーチャル・パーソンやバーチャル・ペットのプログラミングを超える、
新しい段階のリアリズムが実現します。
センセーション
訪れた先がどこであれ、常に薔薇のごとく芳しい香りに包まれていたい。そう願ったことはありませんか?
センセーションがその夢を現実のものとします。
心地よく、いたわりに満ち、奥ゆかしい香りのライブラリが、嗅覚データを処理可能なARインターフェースを持つ誰であっても、
その心を至福で満たすことでしょう。
評判のよろしくないソフトウェアハウスには、
それこそ特定の食物香から動物の体臭、果ては下着の匂いまで、
あまり一般的でない趣味嗜好や、フェティシュの要求を満たすセンセーションを販売する所があることが知られています。
| AREソフトウェア |
入手値 |
価格 |
| ボディ・ショップ |
- |
50~500¥+10~1ヶ月あたり100¥ |
| グリフ |
- |
20~5,000¥ |
| ネガター |
4 |
100¥ |
| ラクティブ |
4 |
1,000¥+1ヶ月あたり200¥ |
| センセーション |
- |
50¥ |
正規品対海賊版
通常の商業媒体を通じてソフトウェア業者やオンライン市場から購入するソフトウェアは、合法的なソフトウェアと考えられます。
ソフトウェアの購入は、通常買い手による認証を求められませんが、
プログラムを実際にインストールする際にはライセンス契約の承認、登録、
そしてメーカーのマトリックスサイトでのSINの確認と信頼性の相互参照を含むソフトウェアのコンポーネントの起動が必要となります。
海賊版と違法なファイル共有の危険性から、SINに基づくソフトウェア・レジストリは普遍的に使われるセキュリティ機能となっています。
ゲーム面では、法的に登録されたソフトウェアには〔コピー防止〕と〔登録〕のプログラム・オプションが付属する扱いになります。
全ての一般用プログラム(〔分析〕、〔検索〕、〔命令〕、〔編集〕、〔暗号化〕、〔殺菌〕、〔仮想現実フィルター〕、〔走査〕)、
エージェント、オートソフト、スキルソフト、それに基本的なソフトウェアのルールと価格で手に入る市販のOS(SR4、p.245~248および350~352)は、
デフォルトで、これらのオプションの含まれる合法的なソフトウェアと見なされることに注意してください。
ゲーム中に偽造IDとリンクしたコムリンクを購入したならば、
ゲームマスターはレーティング2~4の検証システムによるIDチェックを要求してもかまいません。
ハッカーはもちろん、スパイダーやマトリックス・セキュリティの専門家などが使う規制されたソフトウェア
(主な所では〔装甲〕、〔生体信号フィルター〕、〔攻撃〕、〔データ爆弾〕、〔暗号解読〕、〔解除〕、〔ECCM〕、〔修復〕、
〔核〕、〔傍受〕、〔偽装〕、〔隠密〕、〔追跡〕)は、通常は専門のオンライン業者を通じて販売されます。
準軍事的なオートソフトと、銃や重火器の使用を含むスキルソフトにも同じことが言えます。
通常のIDチェックに加えて、ユーザーは合法的な免許を提示する必要があります。
キャラクターが偽造免許を使って合法的にソフトウェアを手に入れたいのであれば、
ゲームマスターはその免許に対してさらなる検証テストを要求することもできます。
合法的なソフトウェアの利点は、定期的にアップデートされ、パッチが当てられることです。
これらのパッチは、現在のプログラミングとセキュリティの状態を最新のものにするセキュリティ機能(定期的な脆弱性の修正とパッチ当て)、
アンチウィルス、アドウェア対策(ウィルス並びにスパムウェアライブラリのアップデート)、
その他のあらゆる機能向上(アップデート、新バージョン、ARインターフェースと表示画像の改善)を含んでいます。
ゲーム的には、合法的なソフトウェアは、海賊版のソフトウェア(p.109)のように品質が落ちたりはしませんが、
不正なハッキングに使われる際にデータ痕跡を残します(p.115、「登録」参照)。
海賊版ソフトウェア
海賊版ソフトウェア―例えばクラッキングによって、
コピー防止機能とライセンス登録/認証による海賊版対策機能を迂回した―はたいてい割れサイトで配布されます。
海賊版プログラムにはSINの登録が必要ないという利点はあるものの、
これらは合法品のソフトウェアのように自動的にアップデートやパッチが当てられることもありません。
登録と、そのコピーが合法的で許可されたものであるという認証がない限り、
ソフトウェアがメーカーのアップデートサイトに接続することは許可されません。
ゲーム的には、非合法および海賊版のソフトウェア、それにキャラクターが自作したプログラム(p.118)は、
プログラムが徐々に陳腐化していくことを反映して、時間の経過とともに品質が劣化していきます。
ハッキング用並びにマルウェア・プログラムは1ヶ月あたり1レーティングの割合で劣化します。
他の全てのプログラムは2ヶ月に1レーティング劣化します。
これらの性能の劣化を回避あるいは防止する上で、ハッカーには三つの選択肢が与えられます。
一つ、プログラミング技術を持つ熟練したハッカーは、自力でプログラムにパッチを当てることができます(p.118、「パッチ当て」参照)。
二つ、割れサイトと繋がりを持っているハッカーは、更新された海賊版を探すことができます。
三つ、言うまでもありませんが、
恐れ知らずのハッカーにはいつだって企業のパッチ用ノードをハッキングして直載に自分とコンタクトのためのパッチを頂戴する自由があります。
サーバー・プログラム
サーバー・プログラムはノード、ネットワーク、ネクサスからロードされて動くプログラムです。
それらは使用できるアカウント権限を持つ、極めて多数の人々が同時に使用することができます。
オフィス環境のほとんどのアカウントが〔検索〕、〔編集〕、それにおそらく〔命令〕などの一般プログラムでアクセスしているのに対し、
たとえば、公立図書館のネクサスからアクセスしている全てのユーザーは、
データ検索を行うためにサーバーの検索ルーチンを使うことができます。
広く使われている、ノードないしネクサスのセキュリティに不可欠プログラム(〔分析〕または〔殺菌〕のような)の使用は、
ハッカーがあっさりハックした基本アカウントで干渉してくるのを防ぐため、
しばしばセキュリティないし管理アカウントに限られます。
ハッキングまたはセキュリティ・ソフトウェアも同様に制限されます。
ゲーム的には、適切なアカウント権限を持つユーザーは、自分自身のものを起動することなくこれらのプログラムを使うことができます。
この場合、ソフトウェアはユーザーのプロセッサー制限(p.48)にカウントせず、
ノードの方のプロセッサー制限にカウントされます。
これらのプログラムが違法行為に使用されたならば、ハッカーが合法的に登録されたソフトウェアを使用したのと同様のデータ痕跡を残します。
サーバー・プログラムの個々のアプリケーションが個別にクラッシュされ得るのに対し、
ハッカーはまた、〈ハッキング〉+〔攻撃〕(【ファイアウォール】+【システム】、1分)の継続テストによって、
ネクサスにインストールされたスイート全てをクラッシュさせることもできますが、
たいていの場合、全体を麻痺させるべくプログラムを起動したところで警戒を呼び起こすことになります。
ソフトウェアの検証
慎重さに欠けるキャラクターは、彼が取引した以上のものを掴まされるかもしれません。
とりわけコードのいくらかを信頼できない闇ブローカー、または企業の手先から手に入れたのであれば。
非合法に(そして時には合法的に)購入したソフトウェアは、明示されていない不必要なプログラム・オプションが含まれていたり、
ウィルスに感染していたり、彼の求めたユーティリティのロートル版、もしくはぽんこつ版だったりすることもありえます。
プログラムがキャラクターの思った通りのものであるか確かめるため、
もしくは彼の買ったものがどのような種類のプログラムだったのか調べるためには、
単純な〈ソフトウェア〉+〔分析〕の成功テストによって分析する必要があります。
p.109の「プログラムの検証表」にあるように、ヒット数によって問題のプログラムについてどのくらいの情報を得られるかが決まります。
プログラムからウィルスを検出するには、ウィルスのレーティングの半分に等しいヒット数を出さなくてはなりません(p.120「ウィルス」参照)。
| プログラムの検証表 |
|
| ヒット |
得られる情報 |
| 1 |
プログラムの性質と種類 |
| 2 |
プログラムのレーティング |
| 3 |
プログラム・オプションの存在(追加のヒットごとに+1) |
|
含んでいるオプションのレーティング |
| 4 |
コードエラーとバグの検知 |
| 5以上 |
メーカーまたはプログラマー(署名されているなら) |
|
加えてプログラムが提供しうるどのような情報でも |
選択ルール:フリーウェアとオープンソース・プログラム
オープンソース・プログラム
メガコーポはそれを周辺的な現象にまで貶めるべく、精力的にオープンソース運動に対するマトリックス戦争を遂行していますが、
オープンソース・プログラムは依然存在しています。
オープンソース・ソフトウェアは、基本的にはユーザーがソフトウェアを使用、変更、改善し、
修正後ないし無修正で再配布することが認められる一定の許可のもとで、ソースコードを簡単に利用できるコンピューター・ソフトウェアです。
オープンソースから始まったプログラムは、しばしば公然と共同で開発されていますが、
大々的に売り出され綿密に公告される企業製のそれほど一般には知られていません。
企業は企業法廷マトリックス局の、双方にとって刺激となりえる(何十年もメガコーポの特許の陰に隠されてきた)
マトリックス・インフラの特定のコード・エレメントの共有に対する拒絶をもって、
オープンソース・プログラムの発生頻度を効果的に抑え込んできました。
ゲーム的には、オープンソース・プログラムは50%の割安価格で購入することのできる、
〔コピー防止〕や〔登録〕のプログラム・オプションのない合法ソフトウェアと見なされます。
オープンソース・ソフトウェアは更新が不安定な傾向があるため、
海賊版ソフトウェアと同様に劣化します。
あるいは割れグループによって作られたオープンソフト・プログラムは無料で得られるか、
またはより定期的にパッチが当てられるかもしれません。
ただしハッカーのキャラクターが割れグループとのコンタクトを維持し、グループに貢献している限りにおいては。
彼が一部を寄稿するごとに、コンタクトの忠実値に等しい数のプログラムをダウンロードすることができます。
ゲームマスターは、特定のプログラム・オプションがこれらのプログラムに使用できないと裁定したり、
これらのプログラムのレーティングを最大でも4までに制限したり、
レーティングを割れグループのコンタクトのコネ値に依存するようにすることで、
オープンソース・プログラムをさらに制限することもできます。
フリーウェア
フリーウェアは、しばしば将来的な発展のために製作者がプログラムのソースコードを握ってはいるものの、
いくらでも無料で使えるように作られた、著作権で保護されたソフトウェアです。
ゲーム的には、フリーウェア・プログラムには〔コピー防止〕のオプションが付いているものの、
〔登録〕のオプションは付いておらず、プレイヤーキャラクターが無料で入手することができます。
フリーウェアは非営利の原則に基づいており、さらに個人または限られた小規模なプログラミング集団のリソース頼みのため、
フリーウェア・プログラムのレーティングは最大でも4までに限られます。
フリーウェアもまた海賊版ソフトウェアと同じように劣化します。
オープンソース・プログラムと同じように、
ゲームマスターは特定のプログラム・オプションを許可しないことによってさらに制限することができます。
独立型プログラム
他のソフトウェアと違って、エージェントにはマトリックスにおいて、制御しているペルソナから独立して行動する特有の能力があります。
この種の独立行動はここで紹介される幾つかの問題を生じさせます。
我々は主にエージェントについて言及しますが、特に明記されない限り、
これらのルールはスプライト、AI(p.165)、それにe-ゴースト(p.170)のような他の独立存在にも当てはまります。
ノードの移動とアカウント
エージェントが、その制御しているペルソナから独立して動くには、
そのペルソナがアクセスしているノードにロードされなければなりません。
エージェントはあらゆるマトリックスユーザーと同じように(パスコードかエクスプロイトを使って)アカウントにログインし、
そのアカウントの与えるどのような権限も保持します。
エージェントのソフトウェアは実際には(もはやペルソナのノードではなく)このノードで動いており、
そのためノードのプロセッサー制限(p.48)にカウントされます。
同様に、エージェントがペイロードに搭載している他のいかなるプログラムも動作していなければならず、
これもまたプロセッサー制限にカウントされます。
あらゆるマトリックス・ユーザーと同じように、エージェントも同時に複数のノードにアクセスすることができます。
通常のルールに従って、他のノードにはパスコードかハッキングでもってアクセスしなければなりません。
エージェントは依然一つのノードにロードされた状態です。
他のノードと交信してはいても、それらにコピーやロードされる必要はありません
(実際問題として、合法的な未改造のエージェントは、このように自身をコピーすることができません)。
エージェントは新しいノードに自身をロードし、古いノードからアンロードしてログオフすることで、
他のノードに引っ越すことができます。
〈複製〉のオートソフトを搭載し、コピー防止機能の外されたエージェントは、アクセスしているノードに自分をコピーすることができ、
引っ越すよりもむしろ自身の新しいバージョンを作り出します
(スプライト、AI、それにe-ゴーストのような“生きている”デジタル存在はこの手で自身をコピーすることはできないことに注意してください)。
合法的で未改造のエージェントは、コピー防止機能のために自身をコピーすることはできなくなっています
(引越しの処理手順の一環として、移動前のノードからエージェントは消去されるため、他のノードへの引っ越しはコピーには含まれません)
アクセスID
マトリックスユーザーと違い、エージェントその他の独立プログラムは機器を通してマトリックスにアクセスしているわけではないので、
彼らにアクセスIDは割り当てられません。
代わりに、これらの独立プログラムはいわばソフトウェアの製造番号に当たるビルトイン・アクセスIDを持っています。
このIDはノードにログインする時と、他のプログラムと交信する時に使用され、
そのため丁度ハッカーのデータ痕跡を追うように、マトリックスを通してエージェントの活動を追跡することに使うことができます。
エージェントのアクセスIDを偽装することは可能ですが(SR4、p.244「データ痕跡を偽装する」参照)、
それができるのはノードにロードされている時だけです。
一旦起動したならば、たとえエージェントが他のノードに引っ越し、ロードしたとしても、もはやアクセスIDを変更することはできません
(エージェントは、使用中のアクセスIDを使って新しいノードに常にアクセスしていなくてならないので)。
コピーしたエージェントとIDS
エージェント・プログラムがコピーされる時、コピーされたエージェントにもそのアクセスIDが同様に組み込まれることに注意してください。
これは、エージェントの全てのコピーが同じアクセスIDを持つことを意味します。
ハッカーが自分のペルソナからそのようなコピーを同時に起動させているのであれば、
あるいはコピーたちが独立したノードで個別に動いているのであれば、特に問題はありません。
コピーが同じアクセスIDを持つエージェントがすでに動いているノードにアクセスを試みた場合、
ノードは自動的にアクセスを拒否します
(たとえエージェントが行く手をハックしようとしても、その試みは自動的に失敗します)。
このセキュリティ機能はいずれも海賊行為を思いとどまらせ、
エージェント・ムック(いわゆる“エージェント・スミス”作戦)による大規模な侵入行動を防止します。
コピーしたエージェントには、適切な特有のアクセスIDを与えるために、
【論理力】+〈ソフトウェア〉(レーティング×3、1週間)の継続テストによってパッチを当てることが可能です。
エージェントの能力
エージェントは独立して行動することが可能かもしれませんが、
それでただちにハッカーのキャラクターのように動けるわけではありません。
実際のところ、様々な点において非常に賢明ではあるものの、
エージェントにはメタヒューマンに後れを取らざるを得ない幾つかの欠点があります。
独立したエージェントを差配するパイロット・プログラムは、
いかなるメタヒューマンにも引けを取らない論理分析能力を備えた、信じられないほど高度なソフトウェアです。
しかしながら、これはエージェントの意思決定能力がメタヒューマン並みであるということを意味しません。
そればかりか判断を下す際の下地となる、経験の有効期間が不足しており、
しばしば状況を正しく理解する上で必要となる前後関係の理解に欠けています。
たとえば、エージェントは他の者が敵とみなしている、サイバー戦闘中の特定のアイコンを把握できますし、
より重要な戦術的ポイントのいくらかを理解しさえするかもしれませんが、
必ずしも個人の関係や社交上の仄めかしを理解できるというわけではなく、
そういったものや格言、またはあるアイコンに対する攻撃が、第三者の怒りを買いかねないことなどを理解できるわけでも、
アイコンが降伏ないし寝返りを試みていることを見分けられるわけでも、
あるいはそのアイコンは単に相手側をおちょくっているだけで、奥の手がまだ控えているといったことを把握できるわけでもないのです。
エージェントのパイロットは、現実空間ではなくマトリックスで活動するためにプログラムされており、
エージェントが何らかの形で(例えばセンサー、セキュリティ・システム、またはドローンを通して)物理界に関わる際、
前後関係からみた情報の不備はより顕著なものとなります
(これはドローンのパイロットについてはそこまで正鵠を得ていません。それらは現実世界での活動に合わせてプログラミングされているか、
さもなくば搭載されているドローンのモデルに合わせて仕立てられています。『アーセナル』のp.103、「パイロットの許容性」を参照してください)
またパイロットは、創造的な思考能力も限られています。
彼らは受けた命令に固執する傾向があり、
プログラムされた決定樹(p.100「エージェントのスクリプト」参照)に従って、厳密な論理的決定を行いますが、
それが常に最高の行動指針であるとは限りません。
予期せぬ障害またはプログラムにそぐわない選択肢に直面した時、
彼らはより安全な選択として、即座に後退して再編成することを選ぶ傾向があります。
もちろんエージェントは不正確な計画と状況にあっても判断し、行動することを可能とする“ファジィ論理”ルーチンを持っていますが、
大局的な公算に立って行動することは、依然苦手としています。
判断に困った時には、受けた命令に基づいてどれくらいエージェントが困難な状況に対応できるか決めるため、
ゲームマスターはひそかに〔パイロット〕+【レスポンス】で適切な難易度に対するテストを行うことができます
(SR4、p.233「命令を与える」参照)。
最終更新:2010年11月29日 01:00