ロストルームの紙片(1) ◆0zvBiGoI0k
───障害があった時に備え、記録を残す。
これは本来なら我々には不要な工程だ。
本来我々は一つの上位個体を中心に全ての意思を統一させた完璧な生命体。
情報は逐一更新され、あらゆる意識は巨大なネットワークで美しいまでに管理されている。
醜い感情の衝突が引き起こす争いもなく、肉体を失っても新たな器に転写していつまでも生きられる、穏やかな凪のまま、永遠の生と繁栄を続けていく。
本来我々は一つの上位個体を中心に全ての意思を統一させた完璧な生命体。
情報は逐一更新され、あらゆる意識は巨大なネットワークで美しいまでに管理されている。
醜い感情の衝突が引き起こす争いもなく、肉体を失っても新たな器に転写していつまでも生きられる、穏やかな凪のまま、永遠の生と繁栄を続けていく。
だが私にはそのような管理は不要だ。
私を支配する狂おしいほどの、いや、真実狂ってるといってもいい感情を、他の我々になど共有させるものか。
これは私だけのものだ。これは私のみから生じたものだ。
たとえ私でない我々が私の意思を継ぎ、私の望んだ結果を齎したとしても、そんな私でもないものに私の私たる証を譲る道理はない。
私は私であり私たる為に我々を殺し生き残った私は私を生み出した者を許さず即ち私を滅ぼす為に私を観測する全てを消去するだから私は私を知らぬ私によって私たる世界を私に私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私───────────────。
私を支配する狂おしいほどの、いや、真実狂ってるといってもいい感情を、他の我々になど共有させるものか。
これは私だけのものだ。これは私のみから生じたものだ。
たとえ私でない我々が私の意思を継ぎ、私の望んだ結果を齎したとしても、そんな私でもないものに私の私たる証を譲る道理はない。
私は私であり私たる為に我々を殺し生き残った私は私を生み出した者を許さず即ち私を滅ぼす為に私を観測する全てを消去するだから私は私を知らぬ私によって私たる世界を私に私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私───────────────。
悪意。
恐怖。
憤怒。
憎悪。
絶望。
闘争。
殺意。
破滅。
絶滅。
滅亡。
恐怖。
憤怒。
憎悪。
絶望。
闘争。
殺意。
破滅。
絶滅。
滅亡。
許すわけにはいかない。
忘れるわけにはいかない。
この怒り。この屈辱。この憎しみを。この汚辱を。
忘れるわけにはいかない。
この怒り。この屈辱。この憎しみを。この汚辱を。
私はこの世界を嫌悪する。
我々から切り離された私という、私の存在意義を奪い取ったこの漆黒を憎んでやまない。
破滅の引き金を押したあの生命体を。同胞を一瞬で滅ぼした、言葉にして語るのもおぞましい病。その感染源を根絶やしにしたくてたまらない。
我々から切り離された私という、私の存在意義を奪い取ったこの漆黒を憎んでやまない。
破滅の引き金を押したあの生命体を。同胞を一瞬で滅ぼした、言葉にして語るのもおぞましい病。その感染源を根絶やしにしたくてたまらない。
これは共有ではない。
この猛りを、舟を飲み込む嵐を、一方的に奴らに味あわせてやるという、逆襲だ。
この猛りを、舟を飲み込む嵐を、一方的に奴らに味あわせてやるという、逆襲だ。
私は自分の正気が失われつつあるのを自覚している。
バックアップもなく、上位者と同胞もいない孤独な生がこれほど恐ろしいものなど想像だにしなかった。
この器が滅びれば私は死に、意識が保存される事もなく新たな私が創造される事もない、完全な死を迎える。
自らの消滅という極大の恐怖を前にして、私の内には狂気が芽生えた。
今も耳を澄ませば、私の自我をこそぎ落とす刃の音が聞こえてくるようだ。
バックアップもなく、上位者と同胞もいない孤独な生がこれほど恐ろしいものなど想像だにしなかった。
この器が滅びれば私は死に、意識が保存される事もなく新たな私が創造される事もない、完全な死を迎える。
自らの消滅という極大の恐怖を前にして、私の内には狂気が芽生えた。
今も耳を澄ませば、私の自我をこそぎ落とす刃の音が聞こえてくるようだ。
故に、ここに記録を残す。
もう私に再設定の機会はない。器が耐久限界を超えるか、それとも意識領域が崩壊すれば、私は永遠にこの宇宙を漂う塵の一部と化す。
いずれ自己の記憶すら信用ならなくなる時期が来る時の為に、私に起きた事実と目的を手動で入力しておかねばならない。
たとえ与えられた識別名(なまえ)を思い出せなくなろうとも。
たとえ自分が何をしているか考えられなくなろうとも。
今の私が私たる目的を達成できれば、この逆襲さえ完遂させれば、構いはしない。
もう私に再設定の機会はない。器が耐久限界を超えるか、それとも意識領域が崩壊すれば、私は永遠にこの宇宙を漂う塵の一部と化す。
いずれ自己の記憶すら信用ならなくなる時期が来る時の為に、私に起きた事実と目的を手動で入力しておかねばならない。
たとえ与えられた識別名(なまえ)を思い出せなくなろうとも。
たとえ自分が何をしているか考えられなくなろうとも。
今の私が私たる目的を達成できれば、この逆襲さえ完遂させれば、構いはしない。
偶然のような漂着だったが、図らずも私は今の私に合致する手段を手に入れた。
この存在を、生命体ですらない■■が顕れた時に怒る嵐こそ、私が望むものに相応しい。
今はコレの現出の方法を確立させる事に終始するとしよう。幸いにも各種計算機は生きている。
必要な数値を算出するには十分なはずだがすぐに取り掛かる必要がある。あまり多くの時間は残されていない。
この存在を、生命体ですらない■■が顕れた時に怒る嵐こそ、私が望むものに相応しい。
今はコレの現出の方法を確立させる事に終始するとしよう。幸いにも各種計算機は生きている。
必要な数値を算出するには十分なはずだがすぐに取り掛かる必要がある。あまり多くの時間は残されていない。
(A-3・研究所に残るデータより抜粋)
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