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藤和 衿の固有結界についてのエピソードとなります
完全に趣味の文章で本編とはほとんど関係ないので、興味のない方はブラウザバック推奨します!!
これは結界魔術を使う少女の今はもう忘れ去られた根底に眠る記憶
かつて少女は今のように自分の周り以外に無関心というわけではなかった
少女がフリーの魔術師として活動を始めたのは13歳のことだ
名も売れてなく、結界魔術以外の魔術は少ししか使うことができない
当の結界魔術も少し秀でているという程度で一般的な魔術師よりも劣ってるといっていいだろう
しかし、彼女地道にやることで実績を積み重ねていった
彼女の人生が変わったのはそれから1年たった14歳の秋だった
ある場所にて魔術協会主催での聖杯戦争が行われた
魔術の秘匿のためのサーヴァント同士の戦闘が行われた際、結界をはるための魔術師として雇われる
この聖杯戦争において彼女は悲劇と共に二つのものを手にすることになる
途中までは何事もなく、順調だった
だが、ある一人の勝つために手段を選ばない
マスター(これより先ではマスターAとする)によって魂喰いが行われる
そこは地獄絵図だった
周りの建物は崩壊し、ところどころにある瓦礫にはどろりとした赤黒い液体がこびりついている
無人に近いその場所は火炎が燃え盛っている
少女自身は自分の周りに結界を張ることでなんとか生き残っていた
しかし、その光景を目にした彼女は胃の内容物を吐き出していた
14歳の彼女にとってそれは衝撃的なことであり、耐え切れるものではなかったのだ
魔術協会は当然討伐令を下す
マスターAを討伐するため、すぐさま動いた正義感の強いマスター(これより先ではマスターBとする)がいた
魂喰いをしたマスターA相手に一人で戦いを挑み互角に戦っていたマスターBは優秀なマスターだったのだろう
少女の心は折れかけていたが、仕事ということで勇気を振り絞って結界を張っていた
魂喰いが行われて以降即座に行われた戦闘だったため、少女は着替えることはできたがシャワーを浴びて匂いを落とすというところまでする時間の余裕はなかった
─────それが均衡を破る原因となる
マスターAのサーヴァントは鼻がきくサーヴァントだった
匂いによって少女の場所を察知するとそのサーヴァントは少女を狙う
少女の顔に赤い鮮血が飛び散る
「───あ、何で・・・」
その攻撃を受けたのは少女を身を呈して庇ったマスターBだった
致命傷を与えたことを確信したマスターAは他のマスター達が来る前にサーヴァント共に撤退していく
逃がすまいとマスターBのサーヴァントはそれを追撃しにいき、その場には少女とマスターBだけが残される
「どうして、私なんかを庇ったの…?その隙があれば、あのサーヴァントを倒せたんじゃ…」
少女は涙をポロポロと零しながら尋ねる
「どうして…だろうな……。見も知らずの少女でも…危ないと思ったら……体がうごいちまったんだ」
マスターBは答える
「ぐすっ……そんな、理由で……あなた馬鹿なんじゃないの…。」
泣きじゃくりながら少女は言葉をつむぐ
「俺は馬鹿……なんだろうな…。でも、無事でよかった…。ああ、一つだけ……君に頼みたいことがあるんだ…」
「何?私にできることなら何でも言って」
「俺みたいな……馬鹿野郎を見かけたら……助けてやってほしいんだ…。無理しない範囲でいいからさ…」
ケホッと男は吐血する
「わかった。分かったからもう喋らないで…」
彼女はこの時起源に目覚める
そう、契約の起源へと────
目覚めた起源は少女を塗りつぶしていく
同時に新たにできるようになったことも自覚した
自分が消えていく感覚は怖い、一つ一つが抜け落ちて行き、契約以外のことがどうでもよくなってしまう
そう感じた彼女は男の手を握りながらとっさに自らに制約を設けていた
魔術協会と契約のために予備に持っていた『自己強制証明』(セルフギアス・スクロール)を使って
男のことを忘れないようにと、この悲しみを忘れないようにと─────
その男の手にはまだ令呪が残っていた
それによって、少女は令呪と二つの制約を結ぶ
それは
- 契約(約束)を果たす
- 他者が契約で困っている場合、その契約実行の手助けをする
という二つのものだった
これと同時に肉体の時間は止まる
自らが起源によって人格が上塗りされてしまうことを恐れて、自分自身に鎖をつけたのだ
もし、上塗りされそうになった時に引き止めてくれる鎖を
こうして少女は力を手に入れた
起源は6年かけて人格を少しずつ侵食していて、今では自分の周り以外のことに興味がなくなってしまっているが鎖のお陰で未だに友達や親しくなったものに見せる表情には幼い少女のものを残している
契約を他者と結ぶというのは、自分を縛る鎖を増やすと共にその他者を忘れないために彼女は契約を結ぶ
契約を結ばなければ、半年もすれば他者を忘れてしまうのを知っているから──
そして、契約を果たしていくということは自ら起源に侵食されていることを自覚している
だが、男といたことを忘れようとも、その約束だけは果たそうと破滅への道を歩み続ける
最終更新:2018年04月02日 17:27