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過去に到着し年月日を確認したヨネアは焦っていた。

ヨネア(あの怪物達が現れるまであまり時間が無い…)
ヨネアはやるべきことを整理した。

①古代遺跡の破壊
②世界各地に隠れている怪物の眷属と思われる強力な魔物の撃破
③謎の怪物の復活(召喚?)の阻止

自分がいた未来ではあの怪物達が現れる少し前に
アルティマイト等の古代兵器が突然破壊活動を始めた。
何者かが裏で手を引いている可能性があるが、
そいつを探すよりは使われる前に壊してしまったほうがてっとりばやい。

③に関しては全くといっていいほど情報が無い。
当面は①、②を目標として行動するべきだろう。

そうと決めたヨネアは早速行動を開始した。
ちょうど近くに大きな遺跡がある。
最初のターゲットはそれにしよう。

グリンシャス遺跡近くの森で男が体を動かしていた。
素人目にはよくわからないが、恐らく武術の型だろう。
男は次々に構えを変え、様々な技を繰り出した。

ひと段落したのか、構えを解いた男は傍で隠れ見ていたエルフに声をかけた。

男「何か用かな?」

エルフ「あ……、えと、そろそろ夕食の時間なので…」

男「もうそんな時間だったのか。わざわざすまない。」

男は修行の旅と称して世界を放浪していた。
ここパーサの森に来たのはつい最近である。

男(最近大きな事件があったと聞いたが、この地の平穏さはそんなことを微塵も感じさせないな。)

この森は居心地がいい、暫く滞在しようか、
そんなことを男は考えていた。

その夜、
エルフ達はグリンシャス遺跡の前で集まっていた。

グリンシャス遺跡の封印は何者かに解かれており、
ときおり中から地鳴りのような音が聞こえてくる。

暫くして音がやみ、一人の女が遺跡から出てきた。

ヨネア「………」

遺跡を取り囲んでいるエルフ達を見てヨネアは心底うんざりした。
ヨネアはエルフ達を無視してその場を離れようとした。

ヒュンター「待て。中で何をしていたのか話を聞かせてもらおうか」

ヒュンターの制止も無視してその場から離れようとしたとき、
ヨネアはエルフ達の中に一人たたずむ場違いな男を見つけた。

ヨネア「!!」
男「?」

ヨネアはその男の前に駆け寄った。間違いないあの男だ。
未来でオルジンと共に戦っていたあの男だ。
人間離れしたすさまじい強さを持つ男。
ヨネアはこの数奇なめぐり合わせに感謝し、自然と涙があふれた。

男「???」

目の前で見知らぬ女に突然泣かれた男は困惑していた。
周りのエルフ達の視線が疑惑の目に変わってきている気がする。

男「あー……、とりあえず宿をとっているからそこで話そうか」

男はヨネアを自分の宿に案内し、事情を聞くことにした。

男「落ち着いたか?」
ヨネア「ええ」
男「そうか……ならまず最初に聞きたいんだが…、
  失礼だがどこかで会ったことがあったかな?」

この質問を受けてヨネアは困った。なんて説明すればいいのだろうか。

ヨネアの今の気持ちを正直かつ簡潔に言葉にするとこうなる。
「未来を変えるために一緒に戦ってほしい」
……ダメだ。絶対頭がおかしい人だと思われる。
でも今後のことを考えると、この男の力はなんとしても借りたい。

ニースルーならこういうときなんて言うんだろう。
いくら考えても何も浮かばない。しょうがない、ここは直球勝負でいこう。

ヨネアはこれまでの経緯を説明した。

………

男(この女は頭がおかしいのだろうか)
ヨネア(この女は頭がおかしいのだろうかって思ってる顔だ)

ヨネア「やっぱり信じられない?」
男「当たり前だろう」

やっぱりそうよね、そう思ってヨネアはため息をついた。
実際に自分の目で見ないととても信じられる話じゃ―――

そうだ!実際に見せればいいんだ!

ヨネア「ちょっとついて来て!」
男「? おい!?」

ヨネアは男の手をとり強引に屋根の上に連れて行った。

ヨネア「証拠を見せるわ」
男「この屋根の上になにがあるというんだ?」
ヨネア「証拠はここには無いわ。飛んで行くからついて来て。あなたも飛べるでしょ」
男「冗談じゃない!」

男は手を振りほどこうとしたが離れなかった。
良く見ると繋がっているお互いの手が石化している。

男「!?」

男の言葉を無視してヨネアは飛び立った。
二人の下をエルフ達が弓を持って追いかけて来ている。

男「しばらくの間ここには来れないな……」

男はヨネアに引っ張られながらそんなことを考え、自分の不幸を呪った。

男とヨネアはある島に降り立った。
島の中央には大きな火山があり、豊富に温泉が沸くため火山の周囲には大きな温泉街が出来ている。

ヨネア「ここよ。正確にはあの火山だけど。」

男「とりあえずどこかの宿で休まないか?
  一晩中飛びっぱなしだったせいで疲れてるんだが」

ヨネア「逃げない?」

男「逃げないとも。さあこの石化を解いてくれ」

心なしか手元の石化が強くなった気がする。

ヨネア「信じられないわ。さあさっさと行くわよ」

男は既に抵抗をあきらめていた。

二人は火口の目の前まで来た。

男「ここに何があるんだ?」

ヨネアは何も言わず火口に魔法を叩きこんだ。

男「!?一体なにを―――」

ヨネアが放った魔法の影響で火山が活動を始めた。
溶岩が目の前まで吹き上がってきている。

男「なんて事を」ヨネア「あれを見て」

そういってヨネアは溶岩が吹き出ているところを指差した。
特におかしなところは――

? 溶岩の動きに違和感を感じる…

違和感を感じたのとほぼ同時に巨大な岩が飛んできた。

男「!!」

岩を回避した男の違和感は確信に変わった。

男(今のは「意思を持った攻撃」に見えたが…)

考えている間に、男の前で溶岩と岩が集まりひとつの形を成した。

男「これは……ゴーレムか!?」
集まった溶岩と岩は一体の巨人と化した。

次々と飛んでくる岩や炎を避けながらヨネアが説明した。

ヨネア「こいつが昨日話した眷属のうちの一体よ」

反撃しなくては殺される、そう思った男は戦闘態勢をとった。

男は構えたと同時に巨人に突撃した。
巨人の周りを高速旋回しつつ攻撃を加えていく。

ヨネアはその戦いぶりに懐かしさを覚えていた。

男は武器を持たず徒手空拳で戦っていたが、
飛行魔法を使った高速移動から繰り出される連撃の速度と威力は、
いずれも人間の規格から外れたものだった。
あれだけの力があれば武器など必要ないのだろう。

よく見ると男の体は薄い光の膜のようなものに包まれていた。

ヨネア(ゼオンとかいう悪魔が使っていた技と似ているわね)

男はこの世界でも珍しい「闘気」の使い手であり、
この闘気を使って攻防一体の戦闘を行っていた。

ヨネアと男の力は巨人を圧倒し、男が止めの一撃を叩きこんだ。
巨人は断末魔を上げながら火口の奥に消えていった。

ヨネア「これで信じてくれるわよね」

男「未来うんぬんの話は正直まだ信じられないが、
  溶岩を殴るというのは初めての経験で新鮮だったな」

ヨネアは黙って男の言葉を待った。

男「いいだろう。全て信じた訳ではないが、お前に協力しよう」

奇妙なコンビが今日ここに誕生した。

エピローグ


巨人との戦いの後、二人は近くの温泉街で宿をとった。

そして次の日の朝、男の気持ちは沈んでいた。

街は昨日の小規模噴火の話で持ちきりになっていた。
それはいいのだが、問題はその話に
「火口に向かう謎の二人組みを見た」という内容が含まれていることだ。

できるだけ早くここを立ち去ったほうがいいだろう。
そう思った男はヨネアに次の目的地を聞きに行った。

ヨネア「次の目的地はこの近くの遺跡よ」
男「遺跡で何をするんだ?そういえば初めて会ったのも遺跡だったな」

ヨネア「この遺跡にある古代兵器と遺産を破壊するのよ」

それを聞いた男は少し頭痛がした。
なんということだ。聞き間違いでなければ、この女は俺に遺跡荒らしをやれと言っている。

未来から来たとかいう変な女と素性の知れない男。
この奇妙なコンビの活躍はきっと世界を救ってくれる…のかもしれない。

つづく


  • いきなりメアリー・スーかい・・・ -- 名無しさん (2011-11-19 04:02:48)
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最終更新:2011年11月19日 04:02