「黒雪姫……何で、ここに……」
やってきた彼女をブラックローズは呆然と見上げている。
それもそうだろう。彼女にとって自分はか弱い少女に過ぎないのだから。
だがそれは嘘偽りだ。距離感に対する臆病さが作り上げた、虚像。
そのヴェールの中から、今こそ歩み出る時だ。
「おい姫様、ダンナはどうなった?」
満身創痍のアーチャーが尋ねてきた。
黒雪姫は間髪入れずに答える。その胸に沈みゆく空白を抱えたまま。
死んだ、と。
「……そうか」
アーチャーはそう短く答えるのみだった。ある程度覚悟はしていたのだろう。
彼と殺し合うという形で触れ合った今だからこそ分かる。彼の、ダン・ブラックモアへ抱えていた思いを。
「ったく……本当に、本当に馬鹿ばっかだな。俺も、ダンナも、アンタらもだ。
皆が皆、
守りたいもの一つ守れてない。大事な時にすれ違って、挙句の果てに全滅しそうと来てる」
「ああ、そうだな。私も貴様も、何も見えていなかった」
「ははっ、笑っちまうぜ。俺の頑張り、何の意味もなかったってことかよ。
結局無駄か。無駄だったのか……真っ当な英霊なら、こんなことにはなってなかった、てか」
力なく笑うアーチャーに黒雪姫は何も言わなかった。
言わずとも、思いは通じている。今の彼と自分は、きっと同じ思いを共有している。
「ブラックローズ」
だから、黒雪姫が声を掛けたのは、後ろで自分を見上げる友に対してだった。、
ダンの死に衝撃を受けていたであろう彼女に、自分はこれから一つ裏切りを行う。
二人の間には今微妙な距離がある。二歩では近過ぎるが、一歩では遠い。そんな距離が。
ここから今一度自分を晒し出す。それが――
(歩み寄るということだ)
黒雪姫は仮初の姿を脱ぎ捨て、本来あるべきアバターへと切り替えた。
それは黒くメタリックな装甲に包まれた異形であり、触る者を即座に切り刻む刃の塊だ。
デュエルアバター――心の傷より生まれた、戦うための現身/アバター。
「これが私の真の姿だ。
誰かと繋ぐ手すらない姿……これが私だよ」
ブラックローズが息を呑むのが分かった。
「ずっと……君を謀っていて済まなかった。怖かったのだ……君にこの姿を晒すことが」
「黒雪姫……」
「だが、今一度君に問おう。私と共に……戦ってくれるか? 守ってくれるか?」
ブラックローズは、意を決して問いかけた彼女を見上げ一瞬視線を絡ませた後、
「当たり前だっちゅーの」
立ち上がりニッと笑ってそう答えた。
晴れやかな顔を浮かべたまま彼女は大剣を振り上げ、黒雪姫の刃と重ね合わせた。
ちん、と小さな金属音がした。その音は染みわたる様に黒雪姫の中へと吸い込まれていった。
「あの時守ってくれてたロボット、黒雪姫だったんだね」
「何だ……気付いていたのか。なら、何か言うことはないのか? 私の偽りに対して」
「ないっての。ようやくアタシが信じるに足るようになったことでしょ。
ならこれからはもうそういう心配なくてもいいってことよ、だからアタシも気兼ねなく貴方に接するはそれで解決、終わり」
笑みを浮かべ得意気に語るブラックローズを見て黒雪姫もまた笑った。
空元気かもしれない。しかし、この場に来て以来ずっと気になっていた心のつかえが取れた。
今はそれだけで十分だ。
「ではブラックローズ……共に戦って欲しい。私たちがこれからも関係を続けていく為にも……生き続ける為にも」
「了解。やってやるわ」
勇ましく剣を握りしめブラックローズは前を行く。
自分もそれに倣おうとするが、その前に一つ言葉を告げる相手が居た。
「弓兵」
黒雪姫は自分たちと同じく死神を前にして佇むアーチャーに対し言葉を投げかけた。
最後になるかもしれない会話の機会。だからこそ言っておかなければならない。
「何だよ、一体」
「ダン卿からの言伝だ」
そうして彼女は告げた。
ダンがアーチャーへ残した最後の言葉。謝罪と感謝の意を。
それを聞いたアーチャーは、
「はっ……」
疲れたように頭を抱え、短く笑った。
「本当、本当に馬鹿な爺さんだな。後悔だ? 俺に謝るだ?
なにやってんだよ……俺なんて別にいいだろ。そりゃ俺だって叶えたい願いくらいあったけどさ、でもいいんだよ、所詮俺は過去の人間だ。
勝っても負けても消える身なんだ。なのに最後の最後にやることが俺に謝るとかよ……本当馬鹿だな。馬鹿ばっかりだ」
そう力なく項垂れた後、アーチャーは黒雪姫の方を向き、
「おい姫様よ。あの死神をやるんだろ、手伝うぜ」
「いいのか? しかしお前は――」
「いいんだよ。マスターを失ったとあっちゃ俺も持ってあと数十分の身だ。
なら……最後くらいマスターの遺した命令くらい守ってやるのもいい」
「そうか……」
彼女はそれ以上何も言わなかった。
アーチャーが今何を思い、何を為さんとしているのか。
言われずとも分かる。ならば、見るべきは一つ。
「今度はナビが加わるか。まぁ……幾ら増えようが同じことだ。
皆――破壊する」
死神が宙を浮かんでいる。
強大な力。自分たちを全員を相手にして尚落ちることのないこの敵を、討つ。
「行くぞ、ブラックローズ、アーチャー」
「うん、一発決めてやろうじゃないの!」
「やれやれ、さっきまで殺し合ってたやつと共闘とはまた俺には似合わない展開だ。
けどまぁいいさ。やってやるぜ」
アーチャーはそこで言葉を切り、軽薄な色を消した口調で再度口を開いた。
「おい姫様騎士様、俺に策がある。さっきまではやろうにもできなかったが、今この布陣なら行けるかもしれねえ」
◇
そうしてダン・ブラックモアのサーヴァントとして、最後の戦いが戦いが幕を上げた。
勝っても負けても、自分は消えるだろう。
目の前ではブラックローズとブラック・ロータス、二人の《黒》が死神相手に戦いを繰り広げている。
が、戦況は相変わらず芳しくない。元よりの火力差に加え、向こうは空を飛ぶことができる。
基本的に接近戦しかできない前衛二人にとって苦しい相手である筈だ。
あるいは黒雪姫/ブラック・ロータスが先の戦いで見せた長距離攻撃技なら死神を捉えうるかもしれないが、
しかし彼女が例の過剰光をその手に灯した瞬間、死神の動きが明らかに変った。
アウトレンジからの射撃だけでなく、鎌を中心にした接近戦の動きをし始め、更に今まで結界頼りで全く避けなかった敵が回避という動きを見せ始めたのだ。
明らかにあの過剰光を警戒している。どういう訳か知らないが、既に死神はあの技を見たことがあるらしい。
ならばやはり自分の策を決めるしかないだろう。
アーチャーはエリアの闇に潜みながら、一人矢を構えた。
(ったくこれが俺の最後の戦いとはね……つくづく似合わなねえよなぁ)
己の状況を鑑みて、アーチャーは口元を釣り上げた。
それは何時もの彼が見せていた、諦観と自虐の混じった、皮肉気で軽薄な笑みだった。
しかし、どういう訳か今の彼は何時も着いた回っていた筈の不満だけは感じてはいなかった。
(騎士と姫と共闘とする弓兵……こんな正統派な役割は俺には無理だっての。
全く……どれもこれもアンタのせいですぜ、ダンナ。
本当、アンタとの戦いはつまんなかったよ。最後の最後までロクなことがなかった)
その視線の先に死神を捉え、精神を集中させていく。
(確かにアンタの言う通り俺は別に後悔なんてしてなかった。
誇りなんて要らない。正々堂々とか、騎士道だとか、そんなものは犬に食わせておけって感じだ。そんな生き方をしたことを……別に恥じてなんかいねえ。
楽しければ……守るモンを守れればそれでいい。結果として友も名声も富も大体得たしな。それで良かったんだ。
でもまぁ逆にいえば――)
僅かに残った己の魔力を全て注ぎ込み、一撃を完成させんとする。
これが正真正銘最後の一撃となるだろう。
(――それだけは持ってなかったんだ、俺は。戦いというものを、誇りの持てる生き方というものを、それだけは。
だから、まぁ悪くはなかったぜ。結果はどうあれ自分の持っていないものに挑戦するってのは。
たまにならこんなことをやってみるのも悪くはねえ。だから、最後の命令くらいやり遂げて見せるぜ。
何たって俺は――ダン・ブラックモアのサーヴァントだからな)
「我が墓地はこの矢の先に……森の恵みよ……圧政者への毒となれ」
アーチャーは言葉を紡ぐ。彼が彼であることを象徴する力を開放すべく。
「毒だと? またか小賢しい」
死神が困惑の声を上げた。先ほどから仕込んでいた毒へ、誘導が成功したのだ。
そして彼はケルトの神聖なる樹木より作り上げた猛毒の弓を引いた。
「毒血、深緑より沸き出ずる! 隠なばりの賢人、ドルイドの秘蹟を知れ!」
――【祈りの弓/イー・バウ】
それはアーチャー/ロビンフッドが生前使っていたという、冥界に通じるとされるイチイの樹で作り上げた弓。
「森と一体化する」その意味を込めた弓から放たれる矢はあらゆる不浄を瞬間的に増幅させる。
それが不浄――イチイの毒に曝された死神の下へ吸い込まれていく。
そして、炸裂。
◇
死神――フォルテの纏う結界/オーラには一つ性質があった。
オーラは破られない限りあらゆる攻撃を防ぎ切るが、例外的にオーラの上からでもダメージが通るものがあるのだ。
それこそ毒――毒沼パネルなどに代表される地形効果だ。
無論アーチャーがこのこと知っている訳ではないが、しかし予想できたことでもあった。
先程の戦いでフォルテは彼が植えたイチイの樹を即座に破壊した。
矢からの防御はオーラに任せ無視していたに等しいのに、それが毒だと気付いた瞬間、破壊に走ったのだ。
もし毒もあの結界で遮ることができるのなら、矢と同様無視しても構わなかった筈なのに。
故に彼は考えた。もしやあの結界の上からでも毒は通じるのではないかと。
が、分かったところで意味はない。
毒を撒いたところで即座に源を破壊されてしまうのでは戦術に組み込むことなどできない。
とはいえそれは一人で戦っていた場合のことだ。
前衛の二人がいる今ではその限りではなく――
「オーラの、上からだと……?」
不浄――毒に侵されたフォルテは【祈りの弓】のダメージを受け胸を抑える。
今まで無視した矢から受ける突然の痛み。その事実に一瞬動きが止まった。
その隙を逃すことなく、二対の《黒》が彼へと襲いかかる。
「行くわよ!」
「これで決めるぞ」
一閃。
刃が空を走り、重なる連撃となってフォルテを捉えた。
フォルテはその結界を弾けさせエリアの闇の中へと堕ちていく。
最後に憎悪と屈辱に満ちた叫びを上げつつも、エリアの底に広がる闇へと消えていった。
◇
「やったか、何て野暮なことを聞くもんじゃないよな。
んなことはどうでもいい。俺は……いや、俺たちは勝ったんだ。
そういうことにしといてくれ、最後くらい、気持ちよく終わりたい」
エリアの端から広がる虚空を見下ろし、アーチャーは言った。
後ろではブラックローズと黒雪姫が腰を落ち着けている。
黒雪姫の方は既に蝶のアバターに姿を切り替えていた。彼女らの視線に先にあるのは、殺し合う仲でありながら何故か共闘してしまった相手だ。
何とも奇妙な構図にアーチャーは息を吐いた。まぁ上手く行くとは思っていなかったが、少なくとも最悪という訳ではないだろう。
敵に一撃喰らわせることには成功したが、その行方までは分かっていない。
死んだのか、はたまたしぶとく生きているのか、それを確認する気力は流石に残っては居なかった。
勝ちはしたものの、皆が皆深い傷を負っている。アーチャーも、ブラックローズも、黒雪姫も。
「ま、もうすぐ消える俺には関係ないことなんだけどな。やっこさんが生きていようといまいと。
あの敵がどうなるにせよ、俺はもう二度と顔を突き合わせることはない。それだけは万々歳だ。」
アーチャーはそう言って口元を釣り上げた。何度も見せた、皮肉気な笑み。
彼が未だに現界していられるのはひとえにクラス特性故だ。
単独行動……マスターからの魔力供給なしでもある程度は独立して動くことのできる。そのスキルがあるからこそ、ダンが息絶えた後も彼は現界し続けられた。
だがその猶予も尽きた頃だろう。宝具まで使ってしまったのだ。今こうして立っていられることの方が驚きだ。
己に残された時間を自覚して、最後は何と言ってやろうかと考えたが、結局彼は何時ものように笑うことにした。
何か粋な時世の句を残していくなど、自分には似合わない。
今まで散々似合わない役割を演じてきたのだ。これ以上そんな役目を負いたくはない。
「んじゃな、黒い姫様に黒い騎士様。俺はここで一抜けるぜ。
もう二度と会うことはないだろうが、精々幸運を願っているぜ。
――出来る範囲で、納得の行く仕事をしてくれよ」
彼は少女たちに振り返り、そう言って手を振った。
彼なりの、別れの挨拶だった。
そして魔力の枯渇と同時に彼の身体はうっすらと消え――
「ふふふ……笑わせてくれるな」
「あははは、何それアンタ恰好よく決めてるつもり?」
――はしなかった。
「は?」
アーチャーは呆けたように言い、何故か目の前で声を上げて笑っている二人を尻目に己の身体を見た。
そろそろ来ると思っていた消失が来ない。この緑衣の痩躯は霧散することなく世界に留まっている。
どういうことだ。
そう問いかける前に、黒雪姫が己の手の甲を晒した。
そこには、純白の肌の上にくっきりと浮かび上がる赤い紋章が――
「て、ちょっと待て令呪だと?」
「ああ、そうだよ。これがあれば君は消えないのだろう? 弓兵」
悠々と語る黒雪姫に対しアーチャーは呆然と立ち尽くした。
これはつまり、そういうことか? 問いかけるのが恐ろしく彼は黙るしかなかった。
「ダン卿が今際の際に私に託してくれた。彼は信じていたのだよ、君があの敵を退けると」
「待て待て、じゃあつまりこれはアレか。今の俺のマスターは……」
「私だ」
「……マジか?」
「マジだっての。あ、ちなみにアタシはちょっと前に教えて貰ったわよ、アンタには内緒でね」
今の自分がどんな顔をしているのか、鏡がないので分からないがきっと余程呆けた顔をしていたのだろう。
目の前で笑い合う二人の少女を見れば、それは明らかだった。
「じゃあつまり俺はこれから延長戦突入って訳か。
冗談キツいぜ全く……」
「そういうことだ。まぁこうして私がマスターになったからにはこれからコキ使わせて貰うぞ。
今までの恨みもあることだし、な。まぁ期待しておいてくれたまえ」
「……はぁ、どうして俺のマスターってのはこうなんだ。もうちょいマシな巡り合わせもあっただろ。あーマジか、まだ信じらんねえ」
「あははは、まぁとにかくこれでアタシたちの間には何も隠し事はなくなったって訳ね」
笑みを噛み殺しながらブラックローズが言った。
「ああ、そういう訳だな。何というか……清々しいものだな。
同時に馬鹿らしく思う。先ほどまでの、色々無駄に考えてしまっていた自分がな」
黒雪姫が悠然とそう口にした。
「そうかいそうかい。俺は今の状況が馬鹿らしくてしょうがないぜ」
アーチャーが肩を下ろし疲れたように言った。
そうして三人は顔を突き合わせた。
皆それぞれ思うことはあれ、一つ皆で共有していることがあった。
こうしてあの強大な敵を退けることができたのは、皆が皆自分の心中を明かしたからだということを。
信じる信じられない、その距離を埋めるべく、一歩踏み出すことができたから、こうして笑い合うことができている。
「はぁ、じゃあまぁとりあえず休ませてもらうざ。ちょっと休暇を貰えねえと、とてもじゃないが働けそうにねえ」
「アタシもー正直疲れたわ全く」
「そうだな。一先ずは休憩と行こう。あまり安全な場所とはいえないが止むを得ん。
先程届いていたメールの確認なんかもしなくてはならないしな――だがその前に」
黒雪姫はふっと笑みを浮かべ、
「こうして正式にパーティを組むことになったのだ。
ここは一つ、名前を決めようではないか。結束の証として。
例えばそうだ、こんなのはどうだ――」
そうして彼女は告げた。
こうしてできた結束の名を、これから共に歩む筈の者たちに向かって。
[B-10/ウラインターネット/1日目・朝]
『黒薔薇騎士団』
【ブラック・ロータス@アクセル・ワールド】
[ステータス]:HP40%/デュエルアバター
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本:バトルロワイアルには乗らない。
1:ブラックローズ、アーチャーと共に行動する。
[サーヴァント]:アーチャー(ロビンフッド)
[ステータス]:ダメージ(大)、魔力消費(大)
[思考]
1:……マジ?
[備考]
時期は少なくとも9巻より後。
【ブラックローズ@.hack//】
[ステータス]:HP20%
[装備]:紅蓮剣・赤鉄@.hack//G.U.
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:バトルロワイアルを止める。
1:黒雪姫、アーチャーと共に行動する。
※時期は原作終了後、ミア復活イベントを終了しているかは不明。
暗い暗いウラインターネットの闇を抜け、彼はアメリカエリアへと足を進めた。
急に視界が開け、久しく感じることなかった類の眩しさに彼は思わず目を覆った。
「……何だここは。まるで現実世界だな」
不満そうにそう言いつつも、彼は足を止めない。
三度に渡る戦いの果てに彼はひどく傷を負っている。
傷を癒さねばならない。幸い、その伝手はある。
「ポイント……まぁこれだけあれば足りるだろう」
何時の間にか届いていたメールの情報と、ステータス画面に表示された数値を見て、彼はぼそりと呟いた。
表示されていたポイント数は[750ポイント]。1kill300ポイントではありえない数値であるが、彼は一つのアイテムの存在を思い出した。
ゆらめきの虹鱗――あの装備にバフされていた「獲得GPとアイテムドロップ率がそれぞれ25%アップする」というスキルが発動したのだろう。
あの時は使い道の分からないと思ったスキルであったが、成程こういう形で効果があるのか。
その増加分を鑑みて今の自分のkill数は2。
今しがたの戦いで人間の老人を倒した感触があったが、そちらはカウントされていないらしい。
取り逃がしたか、はたまた時間の都合によるものか、分からないが。
そうして再び無言で歩いていると、目当ての施設らしきものが見えてきた。
ゲートから真直ぐ西へ行ったアメリカエリアの端、ショップ。
そこにいけばまた装備を整えることもできるだろう。
(……何故だ)
そうして進み続ける彼はただ自問していた。
何故自分はまた敗けたのか、と。
(『絆』……そんなものに何故敗れたのだ、一度ならず二度も……)
彼、フォルテは問い続ける。
自分が抱える、この焼けつくような苛立ちの意味を。
[E-9/アメリカエリア・ショップ付近/1日目・朝]
【フォルテ@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:HP15%、MP40/70、オーラ消失
[装備]:{死ヲ刻ム影、ゆらめきの虹鱗鎧、ゆらめきの虹鱗}@.hack//G.U.、空気撃ち/二の太刀@Fate/EXTRA
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~1個
[思考・状況]
基本:全てを破壊する。生身の人間がいるならそちらを優先して破壊する。
1:アメリカエリア経由でアリーナへ向かう。
2:ショップをチェックし、HPを回復する手段を探す。
3:このデスゲームで新たな“力”を手に入れる。
4:シルバー・クロウの使ったアビリティ(心意技)に強い興味。
5:キリトに対する強い苛立ち。
[備考]
※参戦時期はプロトに取り込まれる前。
※バルムンクのデータを吸収したことにより、以下のアビリティを獲得しました。
- 剣士(ブレイドユーザー)のジョブ設定 ・『翼』による飛行能力
※レンのデータを吸収したことにより、『成長』または『進化の可能性』を獲得しました。
最終更新:2016年01月07日 05:50