――BABABB
――BABABB
剣と剣が真っ向から打ち合う。
大剣の巨躯に任せ対象を叩きのめす――Break
技術を持ってして軽やかに剣を薙ぐ――Attack
敢えて敵の一撃を受け、間髪入れずに反撃を狙う――Guard
その決闘者たちは互いの技を読み合い、その上を行こうと瞬間の判断を下す。
――BAGBGB
――BAGBGB
その音は澄んだ金属音。まるで示し合ったような絶妙な均衡。
剣筋も、緩急も、刃越しに伝わってくる力も、全てが同じ。
――AG
――AG
牽制として剣を薙ぎ、そのままさっと身を引く。
――SG
――SG
サーヴァントとして備える神秘――Skill。
【精霊の加護】彼は自分自身にST-UP効果を付与(バフ)する。
対する人形もまた全く同じタイミングで神秘を解放していた。
――AA
――AA
そして次の行程(ラウンド)では互いに斬りかかる。ずん、と手に伝わる振動。それはあまりにもぴったりとしているが故に、奇妙だった。
白いドールののっぺりとした頭部が彼と対峙する。全く同じ高さ、同じ目線。だが簡素なポリゴンで造られたそれに魂は感じられない。
彼はそんな敵を見据えながら無言で後退する。地を蹴り、そのマスターの下へ。
「変わりませんか」
「変わりませんね」
そして彼ら――レオとガウェインは言葉を交わし合った。
彼らは互いを見ていない。ガウェインは一度も敵から視線を逸らしていないし、レオもまた空に走る情報画面を見据えている。
必要最低限なコミュニケーション。しかしそれで一切の淀みはない。
それは忠義であり、信頼の形であった。互いに信を置いているからこそ、見ないでも通じ合うことができる。
ダンジョン【月想海】第一層。
かつてのムーンセルに存在した筈のダンジョンが、どういう訳かこのバトルロワイアルにもあった。
しかもこれは恐らく没データ。この【VRバトルロワイアル】というゲームの中の仕様外。
探らない訳にはいかなかった。
レオからして最初の階層である七の月想海。その最奥で待ち構えていたのは――自分をコピーしたと思しきアバター。
その力を試す意味も込めて何度か打ち合ってみたのだが……
「中々精度の高いコピーです。単純なステータスは勿論、僕の指揮の癖のようなものまで見抜いている。
まるでドッペルゲンガ―のようだ」
その結果は完璧なるドロー。
これまでの打ち合い(ターン)と全く同じ結果であった。
「逆にいえば運営側はこれを製作することができるだけのデータを持っていた、ということもいえますね。
聖杯戦争においての、僕の戦闘記録を」
レオは口元に手をやり、考える素振りを見せる。
その声色に揺れはない。湖の水面のような、強固な訳でもないのに絶対的な。卓越した冷静さを彼は湛えている。
「しかしそれだけのものでもあります――ガウェイン」
呼びかけられた従者は「はっ」と鋭い声で応える。
「そろそろいいでしょう。本気を出します」
変わらない口調でレオは言った。
そしてガウェインに指揮を伝える。途端、均衡を保っていた戦況は一変した。
――ABAGAA
――GAGBGG
当たり前のような六手完勝。
これまでの戦闘はあくまで調査。コピーがどれほどの力を持っているかを試すためであった。
「確かに精巧な僕のコピーではありました。ですが倒すのは簡単なことです。
だってその戦法は――他でもない僕が最も知っているのですから」
この敵は自分だ。
なら筋を読むのもこれ以上ないほど簡単なのだ。
自分自身を振り返り、その弱点を探り出した上でそこを突く。
それだけのことだ。
レオに一切の苦戦はなかった。
だが、六工程の戦闘、更にトドメの一撃(EXTRAターン)を決め敵を下すガウェインを見据え、こうも思った。
自分の弱点を見つめ、突く――こんな考えは、かつての自分では決して思いもしなかっただろう、と。
それは、王でなく人としての勝ち方だった。
◇
ドールを撃破し、レオは学園へと凱旋する。
その際、彼らには拾ったものがあった。
第一層のボス、ドッペルドール。それには一つのドロップアイテムがあった。
それは……
【B-3/日本エリア・月海原学園/一日目・朝】
【レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ@Fate/EXTRA】
[ステータス]:HP100%、MP25%、令呪:三画
[装備]:ダークリパルサー@ソードアート・オンライン、
[アイテム]:桜の特製弁当@Fate/EXTRA、トリガーコード(アルファ)@Fate/EXTRA、基本支給品一式
[ポイント]:853ポイント/0kill
[思考・状況]
基本行動方針:会長としてバトルロワイアルを潰す。
1:本格的に休息を取り、同時に理想の生徒会室を作り上げる。
2:モラトリアムの開始によって集まってくるであろうプレイヤーへの対策をする。
3:他の生徒会役員となり得る人材を探す。
4:状況に余裕ができ次第、ダンジョン攻略を再開する。
5:ダークリパルサーの持ち主さんには会計あたりが似合うかもしれない。
6:もう一度
岸波白野に会ってみたい。会えたら庶務にしたい。
7:当面は学園から離れるつもりはない。
[サーヴァント]:セイバー(ガウェイン)
[ステータス]:HP130%(+50%)、MP85%、健康、じいや
[装備] 神龍帝の覇紋鎧@.hack//G.U.
[備考]
※参戦時期は決勝戦で敗北し、消滅した後からです。
※レオのサーヴァント持続可能時間は不明です。
※レオの改竄により、【神龍帝の覇紋鎧】をガウェインが装備しています。
最終更新:2014年05月09日 01:38