時は緩やかに、しかし無慈悲に進んでいる。
このゲームはGMからのメールで6時間ごとに区切りが付く訳だが、もう少しで二つ目の区切りが付く時刻となっていた。
これでおおよそ半日。その間自分は二人のプレイヤーに手を掛けた。
「状況を確認しましょう」
雑多なデータがごちゃごちゃと溢れかえる仮想のスラム街。
その片隅、不格好なモデリングで構築されたビル群の影に忍ぶように――彼女は居た。
白衣に身を包んだ褐色の肌を持つ少女、ラニは破損したジャンクデータに腰かけ、先ほど得た協力者たち、ツインズへ目を向けている。
一対の白。彼らに対し、ラニは自身が置かれた立場について振り返る。
「VRバトルロワイアル開始から既に11時間以上が経過しています。
全体としては二回目のメンテナンスを目前に、ここまで遭遇したプレイヤーの傾向から見るに既にある程度プレイヤー間の勢力が固まってきた頃合いかと思います。
――バラバラだった参加者が貴方と私たちのように、徒党《パーティ》を組み、各々の目的に従ってゲームを攻略している、という状況です」
淡々と、抑揚のない口調でラニは述べる。
状況の整理。組むに当たってまず行うべきことはそれだった。
互いが互いの置かれた状況を知っているか。そのコンセンサスを取っておかねばならない。今後の連携に齟齬が出かねないからだ。
「そしてここはフィールドの片隅に位置するウラインターネット――中でもここはその中心に座するエリアです。
『ネットスラム』の名が示すように、ありとあらゆるジャンクデータがここでは集積されている、ようですね。
ここに私たちはおり、そして同盟を組んだ。
その目的はPK。他のプレイヤーの排斥。これでよろしいですね?」
確認の為の問い掛け。答えは沈黙。それが意味するところは肯定だ。
こういった処理において発言すること即ち修正を意味する。無駄な発言はしない。
「……さらにこのエリアでは探索クエストが進行していました……noitnetni.cylと呼ばれる謎のプログラムを探させるイベントです。
探索の手段はエリア内のNPCへの聞き込みによるワード集め。そして得たワードを設置されたゲートに打ちこむこと。
留意すべき点はこのイベントがGMから告知されていなかったこと。他のエリアにて行われていたイベントはメールに記載されていたにも関わらず、このイベントだけは違った。
明らかに異質なイベントです。推測されるに過去The Worldという仮想空間において起きた事件を基にしているらしい、ということです」
……そんな状況下のネットスラムには今複数の勢力が集っています。
それぞれが私たちと同じように徒党《パーティ》を組んでいることが確認されている」
だからラニも無駄な言葉を挟まずに言葉を続けた。
「Mr.モーフィアス率いる勢力。彼は貴方方が知るプレイヤーなのでしたね?
そして私も既に接敵している。一度交戦した際には彼の他に二人のプレイヤーが確認できました。
青い人と赤い少女……共に高い敏捷値を持つプレイヤーでした。またMr.モーフィアス自身も卓越した技術を持つ。
高い戦闘力を保有しており、また抜け目ない情報収集能力も持っている。
できれば戦うことを避けたいパーティですが、しかし我々は共に敵として交戦してしまっている。
関係の修復はもはや不可能でしょう。彼らをどうにかして打破することが私たちの当面の目的になります」
彼らは明確に敵である。
これもまたラニとツインズの共通認識だ。
「対する私たちの戦力はまずマスターである私とそのサーヴァントであるバーサーカー。
火力、正面からの制圧力に秀でていますが、代わりに小回りが利かない。
またバーサーカー自体に思考力がないため、攻撃の指示は全てマスターである私が出さなくてはならない、というユニットです。
対する貴方たちはに火力こそないものの攻防一体の回復能力を備えたユニット。遊撃向きの性能を持っています。
連携において相性は悪くあります。先のMr.モーフィアスの勢力とも十分に戦えるでしょう」
しかし、とラニは淡々と告げる。
「ここで不確定の要素があります。それはこのネットスラムに集う三番目のパーティ――黒いロボットや褐色の騎士、そしてサーヴァントの一団です。
彼らはあらゆる点で未知数です。戦力は勿論、スタンスもグレー。
とはいえこちらを問答無用で攻撃してこなかった以上、非戦的な集団の可能性が高いです。
彼らがMr.モーフィアスのパーティと結託すれば一転して私たちが不利になります。
それだけは避けたい。どうにかして味方に引き込むか、あるいは結託される前に撃破するか。その二択を狙いたいところですね。
まだ他の勢力がこのエリアに潜んでいる可能性もありますが、全体の人数を鑑みるにその可能性は低いと思われます」
まとめてみると難しい局面だ。場合によっては『詰み』に近い状況へと追い込まれる。
しかしラニはこのイベントを逃すつもりはなかった。
このゲームには裏があるのではないか。
プレイヤー同士のゼロサムゲームという意味合い以外にも、何か、別のモノが裏側に潜んでいるのではないかとラニは感じていた。
先の聖杯戦争においてトワイスという存在が秘匿されていたように、だ。
その推測はこのエリアでの隠しクエストの存在により、より現実味を帯びてきた。
それを確かめる為にも、このクエストを無視するわけにはいかない。
だからこそ、この局面を打開する。
「難しい局面ですが、しかしアドバンテージもあります。
まずnoitnetni.cylの一つを私が持っていること。これは他の勢力と比して明確に一歩先んじている点です。
情報戦においても決して遅れている訳ではない」
差引状況は五分、というところか。
ちら、と時間を確認する。二回目のメンテナンスも近かった。
そこが一つの分岐点になるだろう。具体的にどう動くべきか、考えた上で行動したい。
「ただその為にはワード集めも怠る訳にはいきません。
次なるワードの収集ですが、できれば貴方たちに任せても宜しいでしょうか? 私は回復にも専念したいので」
その旨を伝えると、ツインズは短く了解の意を示した。
そして音もなく、すぅ、とその姿を消していく。彼ら特有のスキルだ。
遊撃や暗殺に加え、その力は諜報にも向いている。
……彼女は知らないことだが、このツインズと呼ばれたエグザイルは、元々アップデート前の旧バージョンにおいてはエージェントの立ち位置だった。
システムの尖兵として人間を監視する立場にあった彼らにとって、その奇抜な外見に反して諜報活動もまた組み込まれた機能の一つだった。
その様を見てラニは連携に問題はないことを確信する。問題はない。能力的にも相性がいい。
どこまでの付き合いになるのかは分からないが、少なくともこのネットスラムでの戦いにおいては彼らと肩を並べることになるだろう。
しかし、とラニは彼らを、ツインズを見て思う。
こうして面と向かって相対してみると、彼らは実に奇妙な姿をしていた。
異様なまでに色素の薄い肌を白いロングコートに包み、ご丁寧に長く伸びた髪まで脱色してある。
人の印象を強く作用する目元はサングラスで遮れ人間味を感じさせなかった。
双子《ツインズ》の名が示すように、そんな人間が『二人』いた。
彼らは幽鬼のように佇みラニを見下ろしている。表情はピクリとも動いてはいない。
まるで機械――あるいはホムンクルスのようだった。
(いや、もしかしたら)
本当にそうなのかもしれない。ラニもまた表情一つ変えずに思った。
彼らの立ち振る舞いといい、名は体を表すストレートなネーミングといい、プレイヤーというよりはNPC――プログラムの一種のように見えた。
だから何だという訳ではない。
別に彼らの出自が何であれ――たとえ心無いプログラムであったとしても、別に構わないのだ。
この連携において肝要なのは目標が一致しているかいなか――PKに積極的であるか否かだ。
そしてそれは一致している。
ラニと同じく、彼らもまた優勝の為に他プレイヤーの排除に動いている。
(とはいえ……それもあくまで差し当たってのこと……小目標に過ぎません)
当面の手段が一致しているだけで、それから先どうなるかは分からない。
彼らがどんな思惑を持っているのかは知らないが、他者の排斥と言う手段を取っている以上のちのち敵対する可能性は非常に高い。
それを念頭に置いた上での、一時的な連携だ。
行動を共にする、という点ではかつての聖杯戦争での『あの人』との関係と一緒だ。
彼女はおもむろにその手を胸に当てる。骨が浮き出るほど細身。しかしそんなアバターにも薄手の生地越しに熱を感じる。
仮初の、がらんどうの肉体。そこに刻まれた不思議な鼓動は不思議な感覚だった。
この連携は、確かに表面上は『あの人』とのそれと同じこと。しかしその内実は、どうやら違うようだった。
ラニは自然にそう思っていた。
その後、ツインズが一つワードを持ってきた。
彼らが持ってきたワードは『虚無』
◇
スラムから見上げる空は不変だった。
ハリボテの空に天候の変化などある訳もないし、風に吹かれるままその姿を変容させる雲にもよく見ればパターンがある。
片隅に灯るチャチなオレンジ光に到ってはここに踏み入れて以来全く位置を変えていない。
時間が流れようとも変らない悠久の黄昏――昼と夜のどっちつかずが続く。このエリアはそんな場所だった。
「動けるか」
モーフィアスがそう問いかけると、赤髪の少女、揺光は「問題ないよ」と返してくれた。
言いつつも彼女は立ち上がらなかった。ジャンクデータまみれの地面に腰かけ、ふうと大きく息を吐いている。
問題ないと言いはしたが、どうやら疲れているらしかった。
無理もない。
いくらビデオゲームのアバターを通していようと、元より彼女はティーンエイジャーの少女なのだ。
それも平和な現実――機械との戦争が勃発しなかった現実に身を置いていたのだ。
そんな彼女が突然このようなデスゲームに放り込まれ、戦ったのだ。
彼女らのアバターは数値により状態を管理されているようだったが、たとえヒットポイントに余裕があろうとも、精神は疲弊する。
戦っている最中は慣れたゲームのように動けたかもしれないが、それを乗りこえたあとで来たらしい。
震え、緊張、死の恐怖が。
「……
ロックマンが戻ってくるまでに態勢を整えておけ」
そう理解はしていたが、しかしモーフィアスは敢えてフォローしなかった。
優しげな言葉を掛けるのは簡単だ。しかし、それが最善である訳ではない。
彼女もまた貴重な戦力だ。この状況下でそんな不安定な精神状態でいられる訳にはいかないのだ。
戦う際には前線を張って貰うことになる以上、彼女には成長して貰わなくてはならない。
ゲームプレイヤーでなく、本当の戦士として。
そう考えながら、同時にモーフィアスはひどく自嘲的な気分に陥った。
我ながら、余裕がないものだ。
少女を矢面に立たせても、自分にはやらなくてはならないことがある。
ネオを。
救世主を。
人類に残された最後の希望を、ここで失う訳にはいかないのだ。
(次のメンテナンスも近い、か)
ウィンドウを開いたモーフィアスは時刻を確認しながら、今後の方策について考えを巡らせる。
クエストを降りるつもりは言うまでもなかった。
告知されていなかったイベント。場合によってはGMの付け入る隙になり得る。
その為にはラニ――あの少女との対決が不可避だ。
加えてあの未知のパーティ、そしてゲーム開始直後から何度か交戦したツインズの存在も無視できない。
障害は多いが、ここで引く訳にはいかないのだ。
場合によってはこのゲームを貫く裏の法則に近付くことができるかもしれない。
このクエスト、遅れを取る訳には訳にはいかなかった。
しかし焦っては駄目だ。
先の戦闘で最も被害が大きかったのは自分たちのパーティだ。
何とか退避したとはいえ横殴りに一撃を貰った。ここで下手に動いては崩壊する可能性がある。
戦士はその場その場で戦うことのみに集中すれば良い訳ではない。己の状態を知り、管理することもまた大切だ。
モーフィアスは何も言わず、息を吐いた。
彼もまた休息を取っている。勿論辺りへの警戒を怠ることはしないが、休める時に最大限休んでおきたい。
現在パーティ内で最も負ったダメージの少なかったロックマンが斥候としてエリアを探索している。
本格的な戦闘は避け、ワード集めに主眼を置いた形だ。
負荷を掛ける形になってしまったが、ロックマンは特に気にした様子もないようだった。
この状況下においてぶれることのない彼の存在は非常にありがたかった。
(しかし次はどうする)
とりあえずロックマンが戻ってくるまでは休息だ。
そしてできればメンテナンス前後で動き出したい。
ワード集めとゲート周辺の警戒。もう一つの勢力との接触。
この場で打つ手を間違える訳にはいかない。
ここを切り抜け、ネオを、引いては人類を救う活路を見出す。
モーフィアスは確かな決意を持ってこの緊迫した局面を乗り切ろうとしていた。
そうして、しばらく。
青いマフラーをたなびかせ、ロックマンは帰ってきた。
こんな場でも彼は快活な表情を崩さない。
「NPCの話を巡ってみたけど、一つワードを見つけたよ」
『選ばれし』
彼が告げたのは、そんな言葉だった。
◇
砂っぽい匂いがした。
右へ左へ乱雑に伸びた通りはまるで迷宮のようで、割れたアーケードの隙間からは夕暮の光が仄かに差し込んでいる。
店のモデリングを使いまわしたと思しきものもあったが、その錆びたシャッターで固く閉じられ看板には「@w@」のように言葉として体をなしてない記号があった。
そんな、埃っぽく薄暗く意味も分からない通りだった。
「ご老体――それはつまり」
そんな通りの奥、ネットスラムの中心に近い場所で、黒雪姫は口を開いた。
相対しているのは、老人を思わせるデフォルメキャラクターだ。
転がっていたブラウン管に腰かける彼の姿は、低い等身に旧時代のグラフィックが相まって、奇妙な愛嬌があった。
「彼が、銀色の翼を持つデュエルアバターが先程までこのエリアにいた、ということでいいか?」
語気は強くも弱くもなく、最低限の緊張を滲ませて、彼女はそう尋ねていた。
すると老人――タルタルガは無言で頷いた。
それを見て、黒雪姫は一瞬声を失った。すれ違った。その言葉の意味が胸にじん、と伝わってきた。
隣ではブラックローズが心配そうに彼女を眺めている。それに気付いた黒雪姫はぎこちなくも笑みで返した。
「……で、そいつらはどこに行ったんだよ?」
沈黙を破る様にアーチャーが質問を投げかけていた。
彼は黒雪姫とブラックローズから一歩離れた位置に佇んでいる。辺りを警戒しているのだろう。
アーチャーの問い掛けに、タルタルガは首を振った。
「彼らがネットスラムで戦っていたのも数時間前のことだ。
遠くからあれからどこへ向かったのかは分からん。ここに留まっていないのは確かだろうがのう」
その言葉に黒雪姫は顔を俯かせる。
ネットスラムの住人、タルタルガが語るにはこのエリアには少し前に大きな戦闘があったのだという。
ローブをまとう死神のようなロボットと、銀と黒のアバターによる空中戦。
その片割れは――黒雪姫のよく知る者だった。共に戦い、共に加速した銀の鴉。
彼がここにいたのだという。
「そうかいそうかい。ま、ここに来たってのが分かっただけ収穫ってもんかね。
だが問題は爺さん、そこじゃない。何でお前さんは俺たちのことを知っているんだ、ことだ」
「そ、そうよ。それに何で貴方がここにいるのよ」
アーチャーの問いにブラックローズが追随する。
白いPKとの戦いの最中、ネットスラムに駆け込み、混戦を経てここに到った訳だがここはブラックローズの知るエリアらしく、タルタルガともまた知った仲であるらしい。
それ故に、この場に彼がいて、色々なことを知っていることに困惑しているのだろう。
「……そうじゃな」
問い掛けに対し、タルタルガは顎を撫でながら、
「何故このゲームにおいてこのエリアが再現されたかは分からんのう。
どんな思惑があったのか……それともなかったのか。どちらにせよただここの住人はみな、よく分かっていないのだ。
ただ与えられた情報を基に役割を果たすだけ……という訳じゃな」
「要するに、アンタもよく分かっていないってことか?
何でか知らないがこんな場所に呼ばれて、配置され、俺たちのことを知らされた上でゲームを進行している、と」
タルタルガは鷹揚に頷いた。
その言葉は――恐らく正しい。
まず彼はプレイヤーではない。理由として、彼には攻撃判定が存在しなかった。彼はこの場において他のものを傷つける権利がないようだった。
そのような存在がゲームの参加者であるようには思えなかった。
となれば彼はいわばNPC――GM側から配置されたものだ。そんな存在がプレイヤーを謀るとは思えない。
それにブラックローズから聞くに信頼できるAIであるらしい。
無論、外見だけ模しただけの存在の可能性もあるのだが。
そんな彼の役割とは――即ちプレイヤーへの情報の提供だ。
ある種のヘルプキャラとして、このゲームに配置されたということか。
「あと、タルタルガ。
このネットスラム、私の知ってる奴と少し違うような……」
「それについては、教えることができんのう。
教えたくとも、ここの住民には権限がないようだ」
「むぅ……」
ブラックローズが悔しげにうなる。
知る筈場所で分からないことに囲まれているからだろう。その歯がゆさが伝わってきた。
「……知っての通り、このエリアは元来、失敗作と呼ばれるNPCの集うデータの吹き溜まりだった。
それをおもしろがり、キャラデータをいじくりまわして失敗作をロールするPCまで集まるようになった。
今となっては、その境界も曖昧で自分がPCなのかNPCなのか分からなくなっとる奴もおる。
そんな場所だから、自身のデータが改ざんされていても気づかんのじゃ。
ここに配置されとるネットスラムがどこまでが本物なのか、どの住人も分かっていないんじゃろう」
どこまでも異質なエリア。そんな印象を受けざるをえなかった。
そしてそれはこのエリアで始まっているというイベントからも読み取れた。
タルタルガが続けて語ったのは、裏イベントとでもいうべきクエストの存在だった。
「……アイテム探しねえ」
タルタルガの言葉を聞き、アーチャーが面倒そうに告げる。
「どうもキナ臭いな。
このエリアといい、そのイベントといい。
何で隠してた? それとも告げることができなかったのか?
って聞いても答えてはくれないんだろうな」
「……そう、じゃの」
「ただまぁ無視する訳にはいかないんだろうが……」
アーチャーは言葉尻を濁しながらブラックローズと黒雪姫を一瞥してきた。
そして「どうするんですぜ、騎士様姫様」とこちらを促してくる。
「私は……ちょっとここを調べたい」
それに対しブラックローズは答えた。
探索クエスト。
気になる話ではあった。
そうでなくともこのエリアには謎が多い。元々のこのエリアを知るブラックローズが調べたいと言うのも分かる。
それでもどこか歯切れの悪さを感じるのは、黒雪姫を慮ってのことだろう。
彼の――ハルユキの足取りを掴んだ自分のことを。
「私もこのクエストをクリアすべきだと思う」
一瞬の間を置いて黒雪姫は答えた。
彼らの厚意は感じる。だからこそ、自分がここで決断しなければならない。そう思ってのことだった。
「いいの? 黒雪姫」
「ああ、すれ違ったとはいえ、大分時間が経ってしまっている。
あてもなくこの場を探したところで成果は薄いだろう。
それよりも、このエリアの謎を解くべきだ」
焦ったところで何を得ることもできない。
それに――ハルユキならば大丈夫だ。そんな思いもあった。
彼は強い。様々な困難を自分と共に乗りこえてきた彼ならば、きっと大丈夫だと、思うことができたのだ。
「そうかい、ま、俺は何にせよ従いますがね。
言葉探しねえ……ま、正々堂々の果し合いよか性には合ってるかな」
アーチャーが軽薄な口調に苦笑しながら、黒雪姫は一歩前に出た。
すっとタルタルガを見据え、黒雪姫は語りかける。
「そう言う訳だからご老体、さっそくワード教えてもらおうか。
見たところ貴方はこのエリアの中でも珍しくまともな会話ができるNPCのようだ。
貴方ならば知っているのではないかね? 鍵となる言葉を」
「ふむ……そうじゃの」
問われたタルタルガは答えた。
彼岸花の少女が残した銀の鴉へと託した、命題《クエスト》。
それに挑む彼女らへと告げられたワードは……
「――『絶望の』」
◇
そして役者は集い、ゲームは始まる。
選ばれし絶望の虚無を求め、プレイヤーたちは奔走する。
それが活路と信じて。
[B-10/ネットスラム/昼]
【ラニ=Ⅷ@Fate/EXTRA】
[ステータス]:魔力消費(中)/令呪三画 600ポイント
[装備]: DG-0@.hack//G.U.(一丁のみ)
[アイテム]:疾風刀・斬子姫@.hack//G.U.、セグメント1@.hack//、不明支給品0~5、
ラニの弁当@Fate/EXTRA、基本支給品一式、図書室で借りた本 、noitnetni.cyl_1
エリアワード『虚無』
[思考]
1:師の命令通り、聖杯を手に入れる。
そして同様に、自己の中で新たに誕生れる鳥を探す。
2:
岸波白野については……
3:ネットスラムの探索クエストを進める。モーフィアス陣営を警戒。
4:ツインズと同盟。
[サーヴァント]:バーサーカー(呂布奉先)
[ステータス]:HP70%
[備考]
※参戦時期はラニルート終了後。
※他作品の世界観を大まかに把握しました。
※DG-0@.hack//G.U.は二つ揃わないと【拾う】ことができません。
【ツインズ@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:健康
[装備A]:大鎌・棘裂@.hack//G.U.
[装備B]:なし
[アイテム]:不明支給品0~2、基本支給品一式 エリアワード『虚無』
[思考]
1:生き延びる為、他者を殺す
2:揺光に苛立ち(片割れのみ)
3:ラニと同盟。
[備考]
※二人一組の存在であるが故に、遠く離れて別行動などはできません。
【ロックマン@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:HP80%
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3(本人確認済み) エリアワード『選ばれし』
[思考]
基本:殺し合いを止め、熱斗の所に帰る
1:モーフィアス、揺光と行動する。
2:ネットスラムの探索。
[備考]
※プロトに取り込まれた後からの参加です。
※アクアシャドースタイルです。
※ナビカスタマイザーの状態は後の書き手さんにお任せします。
※.hack//世界観の概要を知りました。
※マトリックスの世界観を知りました。
【揺光@.hack//G.U.】
[ステータス]:HP60%
[装備]:最後の裏切り@.hack//
[アイテム]:不明支給品0~3、平癒の水@.hack//G.U.×3、ホールメテオ@ロックマンエグゼ3、基本支給品一式 エリアワード『選ばれし』
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する
1:ロックマン、モーフィアスと行動する。
2:ネットスラムの探索。
[備考]
※Vol.3にて、未帰還者状態から覚醒し、ハセヲのメールを確認した直後からの参戦です
※クラインと互いの情報を交換しました。時代、世界観の決定的なズレを認識しました。
※ハセヲが参加していることに気付いていません
※ロックマンエグゼの世界観を知りました。
※マトリックスの世界観を知りました。
※バーサーカーの真名を看破しました。
【モーフィアス@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:軽い打撲、疲労(中)
[装備]:あの日の思い出@.hack//
[アイテム]:不明支給品0~2、基本支給品一式 エリアワード『選ばれし』
[思考]
基本:この空間が何であるかを突き止める
1:(いるならば)ネオを探す
2:トリニティ、セラフを探す
3:ネオがいるのなら絶対に脱出させる
4:揺光、ロックマンと共にネットスラムを探索する。
5:探索クエストを進める。ラニを警戒。
[備考]
※参戦時期はレヴォリューションズ、メロビンジアンのアジトに殴り込みを掛けた直後
※.hack//世界の概要を知りました。
※ロックマンエグゼの世界観を知りました。
『黒薔薇騎士団』
【ブラック・ロータス@アクセル・ワールド】
[ステータス]:HP50%/デュエルアバター 、令呪一画
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3 エリアワード『絶望の』
[思考]
基本:バトルロワイアルには乗らない。
1:ブラックローズ、アーチャーと共に行動する。
2:ネットスラムを探索する。
3:褐色の少女(ラニ)及び黒人(モーフィアス)らを警戒。
4:クエストをクリアする。
[サーヴァント]:アーチャー(ロビンフッド)
[ステータス]:ダメージ(中)、魔力消費(大)
[備考]
時期は少なくとも9巻より後。
【ブラックローズ@.hack//】
[ステータス]:HP30%
[装備]:紅蓮剣・赤鉄@.hack//G.U.
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~2 エリアワード『絶望の』
[思考]
基本:バトルロワイアルを止める。
1:黒雪姫、アーチャーと共に行動する。
2:ネットスラムを探索する。
3:褐色の少女(ラニ)及び黒人(モーフィアス)らを警戒。
4:このネットスラムって……
※時期は原作終了後、ミア復活イベントを終了しているかは不明。
最終更新:2015年07月26日 22:48