HP100%。
そう表示されるステータスを、フォルテは無感動に見つめていた。
マク・アヌのショップにて回復アイテムを購入し、使用する。
それだけの操作で彼の身体は修復され、あれだけ深かった傷はなかったことになった。
アメリカエリアでの行程と全く同じだ。ポイントを多少消費するだけで、すぐに元通りになる。
電脳世界において、この身など所詮は数値の塊である。
どれだけ深く破損していようが、相応の手順さえあれば修復は容易だ。
しかし、それで全て元通りになるわけではない。
脳裏に刻まれた先のエリアで刻まれた敗北の光景。
フォルテは、ぐっ、とその手を握りしめる。
屈辱の味は色濃く、“絆”への憎悪はとどまるところを知らない。
フォルテはぼろぼろのローブをはためかせながらアリーナを後にする。
馬鹿みたいな装飾がうっとおしい場所であったが、電脳世界ではこのようなエリアはさして珍しくない
現実の都市を再現したエリアの方がよほどおかしなものだ。
回復アイテムや蘇生アイテムは十分すぎるほど手に入っている。
加えて戦力もかつてないほど充実している。道中手に入れたアイテムやチップはもちろん、ゲットアビリティプログラムによって手に入れた“力”の最適化も終わっている。
だが――フォルテはいま、渇望していた。
さながら飢えた獣のように、新たな“力”を求めていた。
――彼のあり方を語るにあたって、無視できないものはやはり“力”であろう。
20XX年、コサックという一人の優秀なエンジニアによって、とある画期的な発明がなされた。
当時の技術水準ではネットナビはAIといえど、まだ人間の手による補助が必要だった。
そうした意味でヒトから完全に自立していなかった訳であるが、コサックが作り上げた“彼”は違った。
自らの足で立ち、自らの目で世界を見つめ、自らを律する芯を持つ。
創造主たる人間に判断をゆだねる必要はなかった。
何が善きもので、何が悪しきものであるのか、彼には判別がついたのだから。
言うなればフォルテは、電脳世界に生まれた最初の心だった。
電脳世界とは本来カタチなき世界。
肉は情報であり、情報であるがゆえに改ざん――事象の上書き/オーバーライドもまた可能になる。
そんな世界において、上書きの源泉たる心とは、即ち“力”なのであった。
フォルテとは“力”を持つ者。
一人で生き、一人で戦い、一人で選ぶことのできるもの。
そうであったがゆえに、彼は疎まれ、迫害されることとなった。
彼は優秀過ぎたから、“力”を持っていたから、それゆえに疎まれた。
……というだけではないだろう。
その時点で、人は理解していなかったのだ。
彼の本質を、心あるということの意味を、たかがプログラムと侮っていた。
人は気づいていなかったのだ――心あるものの、危険性を。
心があるということは、プログラムに刻まれた“役割”からの逸脱を可能にする。
故に人はもっと彼を警戒するべきだった。
物として無下に扱うことはもちろん、安易に親愛の意を示すべきでもなかった。
彼はヒトの被造物であり、ヒトではない。だからこそ真の意味でヒトと敵対することができる。
結果、彼は創造主から与えられた“役割”から逸脱できた。
全ては“力”あるが故、心あるが故の顛末である。
キリトたちとの戦いのあと、アリーナに向かった彼であるが、しかしそこで得られた能力も彼を満足はさせなかった。
イベントで開催されていたマッチも、所詮はただのモンスター、ウイルスと変わらない。
“迷いの森”で手に入れた力と、多く変わることはなかった。
戦いのバリエーションは広がるかもしれないが、根本的な“力”の総量に変わりはない。
そうしてマク・アヌに転移すると、陽が落ちようとしていた。
18:00とウィンドウに表示された途端、三度目のメールが届き、メンテナンスが始まっていた。
メールには脱落者の名が並ぶが、フォルテにはそのどれも興味がない。
ロックマンの名さえも、脱落した以上はもはやどうでもいいものなのだ。
だから――フォルテが気にするとすれば、いまだ生き残っている敵の方だ。
“絆”には何度も辛酸を舐めさせられた。
奴を超える“力”を今のフォルテは何よりも求めていた。
そして、一つ、思い当たるものがあった。
このゲーム中で目にした者の中において、もっとも強き“力”を持つ者。
“絆”ではなく、一つの個として、自分と比肩しうるのは、あの男だけだった。
「……ネオ、と呼ばれていたな。あの男は」
アメリカエリアにて遭遇した一人の人間。
機械――ネットナビとの融和を自分に求めた愚か者は、しかし強かった。
あの“力”を手に入れることができれば――あるいは。
◇
船は既に森を越えていた。
エリア中央に存在する山を避けるような航路を取って、彼らは日本エリアへと向かっている。
「――気づかれたか」
そう口にしたのは、アーチャーだった。
千里眼スキルを保有する彼は、遠近エフェクトが強く設定されていてなお高い索敵能力を持っている。
ネオもまたその鋭敏な感覚から敵を察知していた。
「来るな、これは」
「ああ、元々リスクを覚悟しての最短距離での航海だったが――裏目に出たか」
言いながらアーチャーはその手に船の前方へと繰り出す。
それを見て揺光やガッツマンもまた戦闘態勢に入る。
「第一射、来るぞ!」
ネオが叫ぶと同時にアーチャーが盾を展開する。
――熾天覆う七つの円環/ロー・アイアス
七枚の花弁が船の前方守るように展開された。
瞬間――極太の閃光が夜空を走り抜けた。
全てを破壊し尽そうとするその光に、ネオは見覚えがあった。
「――フォルテ」
アイアスが砕け散ったその先で、かの死神は悠然と佇んでいた。
ぼろぼろのローブに、彼は黒き翼を広げている。そして昼間の時と違い、鎌でなく直刀を腰に装備していた。
「あの、刀」
甲板で慎二が声を漏らしていた。
「おいアーチャー、あれって」
「……ああ、間違いない。あれはピンクが持っていたものだろうな」
ピンク。
本来森にて合流するはずだった慎二たちの仲間だ。
しかし彼らは脱落者のメールに名を連ねていた。そこから想像されることは――
「ピンクとブルースを手にかけたのは、奴か。
どうやらアレは討つしかないようだな」
「……アーチャー」
ネオは一瞬躊躇したのち、そう言い放つ彼の隣に立った。
「待ってほしい。彼と――俺はもう一度話をする必要がある」
「――言っただろう? 私はもう選んでいる、と。
だから待つことはできない」
だが、と彼は言った。
「それが君の“選択”なのだろう?」
「ああ、システムに命じられたことでも、“救世主”という“役割”でもない」
そう言って、彼らは戦おうとした――
「――アタシたちを忘れてもらっちゃあ困るよ」
その瞬間だった。
背後からその声が響いたのは。
はっ、としてネオは振り向くが、しかしもう遅い。
そこにはカルバリン砲を展開したライダーの姿があった。
ネオは舌打ちをする。
ライダーは狙っていたのだ。
こちらの監視が途切れる瞬間――例えば突然の敵襲のような。
「砲撃用意!」
「なっ、ライダー!? ここでそんなもの撃てば僕も巻き込みかねないんですよ!」
「は? 何ビビってるんだい? マスター。どのみち、アタシらはかなり苦しい状況だったんだ。
ここらで一発賭けないと――意味ないよってねぇ」
そして、ライダーは砲撃をぶっ放した。
ドドドド、と音と共に火薬と硝煙の臭いが渦巻く。
その衝撃は、乗船していたプレイヤーたちに等しく降り注いだ。
◇
ネオはその時、咄嗟に空へと逃げていた。
“救世主”の力を手に入れて以来、マトリックス内での彼はジャンプはもちろん、自在に飛び上がることも可能だった。
それゆえ、彼は最も冷静にことに対処できたと言えよう。
「――アーチャー! ミーナ!」
叫びを上げるが、しかし船の上は煙に包まれて伺えない。
ネオは必死に辺りを見渡した。もしかすると誰かが船から振り落とされているかもしれない。
そう冷静に考えた彼は、その鋭敏な感覚で落ちていく一人の少女を確認した。
「――揺光!」
赤い髪の少女、揺光は砲撃に吹き飛ばされ、堕ちていっているのが見えた。
ネオは身を翻す。ダークスーツが夜空に舞い、空中で加速した。
そして揺光の身体を抱きとめ、彼女の落下を防いだ。
「大丈夫か?」
「う……ああ、大丈夫」
揺光は頭を押さえながら、ネオの言葉に反応した。
見たところ、命に別状はなさそうであった。そのことに胸を撫でおろしつつも、ネオは必死に船の上をうかがった。
――アーチャーと慎二、それにミーナか。
船の上には彼らの姿が確認できた。
彼は黄金の鹿号の上で、ライダーとダスク・テイカーと相対している。
状況はつかめないが、しかしあの場は彼らに任せるしかないだろう。
何故ならば、敵はライダーたちだけではない。
フォルテ。彼がこの船に迫っているのだ――
その時、ネオは気づいた。
ガッツマンが、いない。
船の上にも彼の姿はなく、しかし吹き飛ばされた様子も―
「許さない――でガス!」
その時、その慟哭は響いた。
硝煙のカーテンを抜けるようにして、ぼっ、と彼の巨体が姿を現す。
ガッツマンは飛んでいた。
その背中には巨大なロケットブースターが据えられおり、その圧倒的な推進力のままフォルテへと向かっていた。
「ガッツマン!」
◇
「よくもアッシュを……! ブルースを……!」
強化外装“ゲイル・スラスター”
カオルがドロップしたそのアイテムを、ガッツマンが持っていた。
その外装は“飛行”ではないものの、圧倒的な推進力を手に入れ“跳躍”を可能にするもの。
空へと吹き飛ばされたガッツマンは、それを利用することで落下を防ぎ――そのまま攻勢に転じることができた。
「許さない――でガス!」
ガッツマンは咆哮する。
その先にはフォルテがいる。
噂くらいは聞いていた。ウラインターネットで数多くのナビを屠ってきたという――死神。
このゲームにおいても、奴は多くの命を奪ってきた。
――アッシュ
髑髏とバイク。
一見してゴロツキのような外見をしたアバターだった彼は、
しかしその実誰よりも優しく、男らしかった。
それをあの死神は呆気なくデリートしてみせた。
――ブルース
オフィシャルネットバトラー、炎山のナビ。
出会った当初は、その冷徹なやり方からロックマンと揉めたとも聞くが、
今となっては炎山共々デカオたちの仲間となっていた。
そんな彼もまた、奴にやられたのだという。
――ロックマン
デカオの永遠のライバル、光熱斗のナビ。
それはつまり、ガッツマンのライバルであるということ。
確かに以前は実力差があったと思う。デカオと熱斗も、ガッツマンとロックマンも。
だけど、今は今はもう違う。
デカオと共に修行した自分たちは、もう裏ランカーでさえ対等以上に戦える実力を身に着けた。
名実ともにライバルになれたと――そう自負をしていた。
だけど――彼もまたデリートされてしまったのだという。
揺光から話は聞いていた。しかし、実はまだ生きているのではないか?
そんな希望でさえ打ち砕かれた。
――ロールちゃんも、みんなみんな!
死んでいった者たちを想うと、胸の奥から悲しみがあふれてくる。
そしてその災禍の中心に、フォルテのようなPKがいることを思うと――絶対に許せない、そんな感情がこみ上げてくる。
分かっている。
ネオは、フォルテと話そうとしていることを。
しかし、それでもガッツマンには、どうしても許せないのだ。
機械とか、人間とか、そうである以前に、フォルテの存在がもはや彼には許せない域になっていた。
それ故に、ガッツマンは単騎飛び出した。
ゲイル・スラスターの推進力が続いているうちが勝負だ。
この圧倒的な加速に、ガッツマンの拳の威力を乗せて、一撃でフォルテを討つ。
「――ほう」
ガッツマンが近づくと、フォルテは一言そう漏らした。
そして、言葉を続けた。
「貴様、いい顔をするようになったな。
そうだ。俺を憎むがいい。仲間を、お前たちの“絆”を破壊した俺を」
言われなくても――
煽るようなその言葉に、ガッツマンは叫びを上げていた。
「ガッツ・パンチ!」
「……バトルチップ・ダッシュコンドル」
◇
「……よくあるよね。
馬鹿が読むような漫画とかでさ、敵同士なのになんかいろいろあって共闘して、
ぐたぐだのまま和解しちゃうようなの」
黄金の鹿号は、いまだ硝煙に包まれていた。
甲板の中心で放たれたカルバリン砲を受け、船には穴が開き、あちこち火の手が上がっている。
それでも――船はまだ止まらない。
当然だ。
何せ船の象徴たる船長はぴんぴんしていた、馬鹿みたいに笑ってるんだから。
慎二はその笑みを知っている。
下品で、酒臭くて、本当に不快な笑みなのだ、あれは。
隣で何度も見ていたそれを、今度は真正面から彼は受け止める。
「ああいうのを見ると虫唾が走るんだよねぇ……如何にも馬鹿が馬鹿のために書いた馬鹿なシナリオって感じがしてさ」
煙が風に吹かれ、一瞬だけ走る。
すると船長の隣に、一人の宵闇色のアバターが現れた。
「同意します。僕もああいう幼稚な展開は反吐が出るほど嫌いです」
「へぇ、初めてじゃない? 僕とお前の意見が合ったのって」
言いながら、やれやれ、と慎二は首を振る。
いろいろあったけど、正直この展開になって良かったと思っている自分もいる。
このまま月海原学園について、なぁなぁのままライダーを取り戻してしまう、なんて展開もちょっと見えていた。
しかし――それでは駄目なのだ。
何故ならば、これは意地とプライドの問題だからだ。
ゲームチャンプとして、ゲーマーとして、コイツとの対決は避けることはできない。
やはり楽な方向に逃げてはダメなのだ。
ゲーマーとはストイックに自分を追い込まなくてはならない。
そんな風に、慎二は考えることにした。
「結局、僕とお前って何回戦ったんだっけ」
「さぁ、正直よく覚えていませんね。貴方がやたら付きまとってきたせいで、変に長い因縁になってしまいましたが」
「たださ、分かるのは僕の連戦連敗ってことだけだよね。
――ユウキはお前なんてコテンパンにしちゃったのにさ」
そう語る慎二の隣には、赤い外套の青年が立っていた。
「慎二、恐らく次のチャンスはない。
ここを越えなければ、私たちは月海原学園には辿り着けないな」
「分かってるって。これ以上、コンテニューなんて馬鹿らしくてやってられない。
あんな三下のC級ゲーマー、ぎったんぎったんにしてやるよ」
そう言って、彼らは再び相対した。
燃え盛る船の上にて、アーチャーとライダー、慎二と能美はそれぞれ視線を交わす。
「さ――始めようかね、シンジ! ノウミ!
出し惜しむのは幸運だけだ。命も弾も、ありったけ使うから愉しいのさ! ましてやこいつは大詰め、正念場って奴だ。
さあ破産する覚悟はいいかい? 一切合財、派手に散らそうじゃないか!」
【D-3/黄金の鹿号の甲板/1日目・夜】
【間桐慎二@Fate/EXTRA】
[ステータス]:HP40%、MP30%(+40)、ユウキに対するゲーマーとしての憧れは未だ強い、ユウキとヒースクリフの死に対する動揺、令呪一画
[装備]:開運の鍵@Fate/EXTRA
[アイテム]:強化スパイク@Fate/EXTRA、リカバリー30@ロックマンエグゼ3、不明支給品2~4、あの日の思い出@.hack//、エリアワード『選ばれし』、ユカシタモグラ3@ロックマンエグゼ3(一定時間使用不能)
[ポイント]:0ポイント/0kill
[思考]
基本:ライダーを取り戻し、ゲームチャンプの意地を見せつける。それから先はその後考える。
1:決着を、つけてやるさ。
2:ユウキは、もういないのか。
3:ライダーを取り戻した後は、
岸波白野にアーチャーを返す。
4:いつかキリトも倒してみせる。だから探さないとね。
[サーヴァント]:アーチャー(無銘)
[ステータス]:HP70%、MP10%
[備考]
※参戦時期は、白野とのトレジャーハンティング開始前です。
※アーチャーは単独行動[C]スキルの効果で、マスターの魔力供給がなくても(またはマスターを失っても)一時間の間、顕界可能です。
※アーチャーの能力は原作(Fate/stay night)基準です。
※ユウキの死を受け止められていません。
【ダスク・テイカー@アクセル・ワールド】
[ステータス]:HP40%(回復中)、MP60%程度、Sゲージ25%、胴体に貫通した穴、令呪三画、例えようもない敗北感
[装備]:パイル・ドライバー@アクセル・ワールド、福音のオルゴール@Fate/EXTRA
[アイテム]:デスマッチ3@ロックマンエグゼ3、不明支給品0~1、基本支給品一式
[思考]
基本:他の参加者を殺す。
1:……負ける訳には、いきませんよね?
[サーヴァント]:ライダー(フランシス・ドレイク)
[ステータス]:HP30%、MP30%
[備考]
※参戦時期はポイント全損する直前です。
※サーヴァントを奪いました。現界の為の魔力はデュエルアバターの必殺技ゲージで代用できます。
ただし礼装のMPがある間はそちらが優先して消費されます
※OSS《マザーズ・ロザリオ》を奪いました。使用には刺突が可能な武器を装備している必要があります。
注)《虚無の波動》による剣では、システム的には装備されていないものであるため使用できません。
【ミーナ@パワプロクンポケット12】
[ステータス]:???
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~1(本人確認済み)、快速のタリスマン×2@.hack、拡声器
[思考]
基本:ジャーナリストのやり方で殺し合いを打破する 。
1:生きて帰り、全ての人々に人類の罪を伝える。
2:ある程度集まったら拡声器で情報を発信する。
3:榊と会話していた拘束具の男(オーヴァン)、白衣の男(トワイス)、ローブを纏った男(フォルテ)を警戒。
4:ダークマンは一体?
5:(状況不明)
[備考]
※エンディング後からの参加です。
※この仮想空間には、オカルトテクノロジーで生身の人間が入れられたと考えています。
※現実世界の姿になりました。
※ダークマンに何らかのプログラムを埋め込まれたかもしれないと考えています。
ガッツマンの力はなるほど脅威に値した。
元々の威力に、あのチップの推進力を乗せて相乗効果を狙う。
そのタイミング、度胸、どれも強者としての資格を満たしている。
だが――それだけだ。
“単なる強者”程度、ウラインターネットには吐いて捨てるほどいる。
そんな彼らをフォルテは一方的に蹴散らしてきたのだ。
何もかも、喰らう形で。
「ゲットアビリティプログラム」
そうして――フォルテはガッツマンをデリートした。
ガッツマンの狙いは悪くなかったが、しかし今のフォルテにはピンクから奪った超感覚がある。
それ故に、そうしたタイミングの勝負では、どうしても届かない。
無論、そんなこと、ガッツマンは知る由もなかっただろうし、
よしんば知っていたとしても、彼はやはり飛び出していただろう。
それほどまでに彼の怒りと憎悪は強かった。
ちら、とフォルテは船を見やる。
何やら煙が上がっており、戦闘の様子がうかがえるが、フォルテは興味なさげに視線を逸らした。
「雑魚に用はない――俺が用があるのは貴様だ」
そう言ってフォルテはその男を呼びつけた。
ダークスーツにサングラスをかけた、一人の人間。
あの人間は、抱えていた女を下に置いてきたのち、ここまで上がってきた。
律儀なことだ。どうせ全てデリートされるというのに。
「人間。貴様の従えていたナビは二人ともデリートしたぞ?」
ネオ。
彼を喰らうことで、今度こそフォルテはキリトを、“絆”を超越することができる。
そう思ったが故、フォルテはマク・アヌにてあるモノを手に入れた。
第三メンテナンスを経て追加されていた、【参加者位置】という情報をフォルテは入手し、
それ故にこの場で待ち伏せすることができた。
「カオルは言っていた。科学を、そして機械を否定しないでくれ、と」
やってきたネオはフォルテと向き合い、そんなことを言い始めた。
「貴様はまだそれが言えるのか?
この俺を、すべての“絆”を奪った俺を前にして」
「――カオルは言ったんだ。“赦す”のではなく“否定するな”と」
そうして彼は一振りの剣を抜いた。
漆黒の剣。その刀身はまっすぐにフォルテへと向いている。
どういう訳か、フォルテはその剣がひどく不快だった。
「――機械を悪ではないと、許容するのでは傲慢だった。。
人間が諸悪の根源だと、頭を垂れるのは無意味だった」
黒衣の剣士は、そうしてフォルテへと相対した。
「機械を機械として――本当の意味で接すること。
それを通じて、初めて人は終わらせるべき闘いを知ることができる」
【D-3/空/1日目・夜】
【フォルテ@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:HP100%、MP25/70、オーラ消失、激しい憤怒
[装備]:ジ・インフィニティ@アクセル・ワールド、{ゆらめきの虹鱗鎧、ゆらめきの虹鱗}@.hack//G.U.、空気撃ち/二の太刀@Fate/EXTRA
[アイテム]:{ダッシュコンドル、フルカスタム}@ロックマンエグゼ3、完治の水×3、黄泉返りの薬@.hack//G.U×2、SG550(残弾24/30)@ソードアート・オンライン、{マガジン×4、ロープ}@現実、不明支給品0~4個(内0~2個が武器以外)、
参加者名簿、基本支給品一式×2
[ポイント]:1120ポイント/7kill(+0)
[思考・状
基本:全てを破壊する。生身の人間がいるならそちらを優先して破壊する。
1:ネオの力を手に入れる。
2:このデスゲームで新たな“力”を手に入れる。
3:シルバー・クロウの使ったアビリティ(心意技)に強い興味。
4:キリトに対する強い怒り。
5:ロックマンを見つけたらこの手で仕留める。
[備考]
※参戦時期はプロトに取り込まれる前。
※参加者名簿を手に入れたのでロックマンがこの世界にいることを知りました。
※フォルテのオーラは、何らかの方法で解除された場合、30分後に再発生します。
※ゲットアビリティプログラムにより、以下のアビリティを獲得しました。
剣士(ブレイドユーザー)のジョブ設定及び『翼』による飛行能力(バルムンク)、
『成長』または『進化の可能性』(レン)、デュエルアバターの能力(アッシュ・ローラー)、
“ソード”と“シールド”(ブルース)、超感覚及び未来予測(ピンク)、
各種モンスターの経験値、バトルチップ【ダークネスオーラ】、アリーナでのモンスターのアビリティ
ガッツパンチ(ガッツマン)
※バトルチップ【ダークネスオーラ】を吸収したことで、フォルテのオーラがダークネスオーラに強化されました。
※未来予測は使用し過ぎると、その情報処理によりラグが発生し、頭痛(ノイズ)などの負荷が発生します。
【ネオ(トーマス・A・アンダーソン)@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:健康、決意
[装備]:エリュシデータ@ソードアートオンライン
[アイテム]:基本支給品一式、ナイト・ロッカー@アクセル・ワールド、不明支給品0~2個(武器ではない)
[思考・状況]
基本:本当の救世主として、闘う
1:モーフィアスとカオルの遺志を継いで、未来を切り開く。
[備考]
※参戦時期はリローデッド終了後
※エグゼ世界及びアクセルワールド世界についての情報を得ました。
※機械が倒すべき悪だという認識を捨て、共に歩む道もあるのではないかと考えています。
※このバトルロワイアルには、異なる世界の者達が呼ばれているのではないかと推測しています。
※この会場は、加速世界の一種に設置されているのではないかと考えています。
【D-3/草原/1日目・夜】
※ゲイル・スラスター@アクセル・ワールドほかガッツマンの装備品がドロップしています。
【揺光@.hack//G.U.】
[ステータス]:HP20%以下
[装備]:最後の裏切り@.hack//
[アイテム]:不明支給品0~2、平癒の水@.hack//G.U.×3、ホールメテオ@ロックマンエグゼ3、基本支給品一式 エリアワード『選ばれし』
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する
1:ネオ、お前――
[備考]
※Vol.3にて、未帰還者状態から覚醒し、ハセヲのメールを確認した直後からの参戦です
※クラインと互いの情報を交換しました。時代、世界観の決定的なズレを認識しました。
※ハセヲが参加していることに気付いていません
※ロックマンエグゼの世界観を知りました。
※マトリックスの世界観を知りました。
※バーサーカーの真名を看破しました。
【ガッツマン@ロックマンエグゼ3 Delete】
最終更新:2016年12月16日 22:22