6◆◆◆◆◆◆
「見事だフォルテ。驚いたよ、まさかあの状況から逆転するとはね。
それで、私の余興は楽しんでくれたかな? 良ければ、感想を聞かせてほしいのだが」
乾いた拍手とともに、ジ・インフィニティを回収し闘技場から観客席へと移ったフォルテへと、榊はそう問いかける。
それに対するフォルテの答えは、
「――――――――」
無言での、負の心意による不意打ちだった。
移動する前から予めエネルギーを溜めていたのだろう。
即座に放たれた《ダークネス・オーバーロード》は、その背後の観客席もろともに榊を一瞬で消し飛ばした。
―――しかし。
「ふむ。その様子では、どうやら不評だったようだな。本当に残念だ」
いつの間に移動したのか。
フォルテの背後で、榊は白々しくもそう口にした。
「チッ。やはり幻か」
「ほう、驚いたな。まさかすでに気付いていたとはな。
あの
ロックマンを倒したことといい、それも碑文に覚醒した影響かな?」
感心したようにそう口にする榊の体が、ほんの一瞬、ノイズとともにブレる。
それは榊に与えられ、AIDAの力によって引き出された碑文の力。
すなわち、“第二相『惑乱の蜃気楼』イニス”による幻影だ。
そう。かつてアトリからイニスを奪い、天狼にとりついていたAIDAが、三蒼騎士のうちの二人を幻影として作り出したように。
榊は自分自身の幻影を作り出し、あたかもそこに自分がいるように操作していたのだ。
「さあな。キサマに理由を教えてやる義理はない」
フォルテはそう言ってはぐらかすが、榊が幻影であることに気づけた理由は、まさしく榊が口にした通りの理由だ。
第七相『復讐するもの』タルヴォスに覚醒した碑文使いは、人間の五感の一つである「嗅覚」を“高次の感覚”で認識することが出来る。
ロックマンを倒した際に隠れ潜んでいたAIDAに気づけたのも、前述した理由のほかに、この「嗅覚」によってその“臭い”を嗅ぎ取っていたからだ。
だが対して、目の前にいる榊からは何の“臭い”もしなかった。何かあると考えるのは当然だろう。
そしておそらく、本物の榊もこのアリーナのどこかにいるのだろう。
さすがに物理的に視認できない距離から、ここまで違和感のない動きをさせられるとは思えない。
でなければ視線や声など、その挙動から何かしらの違和感が生じるはずだ。
それがないということは、違和感を生じさせない距離で幻影を操っていると考えるのが自然だ。
幻影を作り出す能力を応用すれば、その姿を見えなくすることもそう難しくないだろうことも、榊が近くに隠れていると推測する理由の一つだ。
まあ幻影の“臭い”を誤魔化せていなかった以上、本気で“臭い”を探れば見つけ出すことはそう難しくないとは思うが………。
「………オーヴァンはどこへ行った」
榊の催した余興は不快ではあれど、その結果としてこの“力”に目覚めることができた。
その点やキリトたちを探すという約束を鑑みれば、榊に対する報復の優先順位はそう高くはない。
フォルテは榊から視線を外すと、周囲を見渡してそう問いかけた。
ロックマンに追い詰められた時にはまだ居たはずだが、今は観客席のどこにも見当たらない。
先ほどの榊への不意打ちで消滅した、などということは、あの男に限ってはあり得ないだろう。
となると、オーヴァンは自らの意思でここを去った、ということになるのだが……
「オーヴァンなら君の勝利を見届けた後、早々にここから立ち去ったよ。
どこへ行ったかまでは知らないが、連絡は可能だし、ここはGM権限がなくては入れない施設も多い。
勝手にエリア内を探索されたとしても何の問題もないし、君たちとの約束を果たすのにも一切の不都合はない」
「……そうか」
ならばもう用はない、と、フォルテはアリーナの外へと通じるゲートへと向かう。
―――その途中で。
「次に下らんマネをしてみろ。その時は真っ先にキサマを破壊してやる」
ゴスペルを背後に従えるように顕現させ、榊へとそう警告を残してアリーナを後にした。
如何に新たな“力”への覚醒や約束によって優先順位が下がっているとはいえ、榊の余興が不快であった事実に変わりはない。
もしまた同じようなことを繰り返すようであれば、キリトたちよりも先に潰してしまっても構わないのだ。
当然そんなことをすればキリトたちの捜索は困難になるが、戦いに水を差されるよりはずっといい。
§
そうしてフォルテがアリーナから移動した先は、上級@HOMEとオーヴァンが呼んでいた無駄に豪華な部屋だ。
この部屋には三つの通路があり、一つが出口、一つが『知識の蛇』へと通じている。
最後の一つは、本来は『バイク工房』に通じていたらしいが、現在は塞がれ代わりにカオスゲートが設置されている。
フォルテには使用権限がないためか現在は灰色となっているが、榊の用意したアリーナへもこのカオスゲートによって移動したのだ。
『知識の蛇』への通路も本来は『錬成工房』とやらに通じていたらしいが、それははっきり言ってどうでもいいことだ。
フォルテは『知識の蛇』ではなく出口へと向かいながら、自身の新たな“力”について思考を巡らせる。
己が怒りの根源を自覚したことで碑文を覚醒させ、フォルテはさらなるスタイルチェンジとともに新たな“力”を獲得した。
その“力”の多くはこれまでの戦いで獲得してきたものが統合・最適化されたものだが、その中でも特に強力なものは二つ。
一つはAIDA<Gospel>。これはオーヴァンの予想通り、覚醒した碑文をマクスウェルのAIDAに喰わせた結果発生したAIDAだ。
無論、覚醒した碑文をAIDAに喰わせず、憑神タルヴォスとして顕現させることも可能ではあった。
だがフォルテは与えられた力をそのまま行使するのではなく、自身が喰らい己が一部としたAIDAに喰らわせることで、本当の意味で己が“力”とすることを選んだのだ。
その結果ゴスペルは、AIDAでありながら憑神の力を備えた存在となった。顕現する際の紋様やデータドレインはその証といえるだろう。
もっとも、その姿がフォルテの知る“あの”ゴスペルと酷似したものになったのは、フォルテ自身にも意外ではあったが。
またその姿が酷似した影響か、AIDAのゴスペルはその性質もゴスペルと似たものとなっている。
その性質とは、咥内にある核たる碑文を攻撃する以外に、ゴスペルにダメージを与えることはできないという点だ。
<Grunwald>の攻撃がダメージを与えられなかったのもそれが理由だ。
あるいはブレイク性能を持つほどの威力を持つ攻撃であれば、閉じた咥内の上からでもダメージを与えられるかもしれない点も、本物のゴスペルと似ていると言えるだろう。
更には主体となっているものがAIDAであるためか、フォルテを通常空間に残したまま、ゴスペルのみが顕現することも可能となっている。
その場合、使い手たるフォルテの存在が欠落するため、さすがにゴスペルの性能は落ちてしまう。
しかし二手に分かれられる点や認知外空間形成能力を鑑みれば、十分何かの役に立つだろう。
そしてフォルテが得たもう一つの強力な“力”―――それは心意だ。
これはネオから奪った『救世主の力』をベースとしたものだが、実はそれだけではない。
そもそも、たとえマトリックス(システム)を無視できる『救世主の力』を獲得しようと、それだけでは心意の習得には至れない。
……いやむしろ、『救世主の力』を用いるからこそ、心意の習得は不可能だと言えるだろう。
なぜなら『救世主の力』の正体は、進化の閉塞に至ったマトリックスを再構築(リロード)する役目を負った者に与えられる力(プログラム)だからだ。
つまり『救世主の力』とは、システムを超越することで上書き(オーバーライド)する力ではなく、上書き(オーバーライド)することをシステム側から許された力なのだ。
故にフォルテがこの力を獲得し最適化したところで、それだけでは真なる上書き(オーバーライド)には至れず、単なるプログラムとしてしかこの力を行使できないのだ。
『救世主の力』がロックマンの心意に対抗できなかったのは、そのシステムに対する強制力の差が故だった。
―――だがフォルテは、それを覆しうるモノをこのデスゲームで獲得していた。
それは、彼がこの戦いの中で破壊したある少女……いや、AIから奪ったデータだ。
そのAI――レンはフォルテのライバルであるロックマンと同様、人間の遺伝子情報をもとにオカルトテクノロジーによって生み出された存在だ。
しかし世界最高峰の技師に生み出されたロックマンと違い、彼女には制作者の技術の不足により単純なプログラムしか施されていなかった。
すなわち、製作者の想い人であるジローに対する恋愛感情だ。
フォルテは彼女を構成していたオカルトテクノロジーとともにそのプログラムもまた吸収していた。
無論、それ単体では何かしらの意味を持つことはない。
フォルテはジローなどという人間は知らないし、そもそもフォルテにとって全ての人間は憎悪の対象だ。
如何に人間の遺伝子情報をもとに構築されたプログラムとはいえ、フォルテに影響を与えるはずがなかった。
だが己が怒りの根源をフォルテが自覚し、碑文を覚醒させた時、それは反転した。
愛情の対義語は憎しみだ。
フォルテはコサック博士を信頼(あい)していたからこそ、裏切られたことに絶望し人間を憎悪した。
フォルテがそのことを自覚した時、少女のプログラムはフォルテの憎しみと結びつき、そして裏返った。
その結果フォルテはプログラムを超えた、より人間らしい感情(憎しみ)を懐き、さらにその憎しみは「心の闇を増幅する」性質を持つ碑文によって増幅されることとなったのだ。
そうしてフォルテは心意を習得するに至った。
システムを上書き(オーバーライド)する権利を持った『救世主の力』を、システムを超越する程の心(憎しみ)を以て行使することで、真なる上書き(オーバーライド)を可能とさせたのだ。
……愛によって生み出された少女のデータが齎した『進化の可能性』が、憎しみを力とするフォルテにプログラムの限界を超えさせたのは、いったいどんな皮肉なのだろう……。
(……だが、所詮は些末なことだ)
どのような理由や経緯で手に入れた、どれほど強力な“力”であろうと、力は結局力でしかない。
重要なのは、手に入れた力で何を成すかということ。
そしてフォルテにとって、力の使い道など一つしかない。
――――全てを破壊し、人間に復讐する。
憎しみを力とする限り、それ以外にこの渇きを癒す術などないのだから。
………だがその前に、付けなければならない決着があった。
心意の力は習得した。
碑文の覚醒に伴い、データドレインも使用可能となった。
だが、ロックマンとの戦いは、フォルテの望んだものでは決してなかった。
ロックマンとの戦いで求めていたものは、オペレーターとの絆を否定することだった。
榊の人形となったロックマンを倒したところで、何の意味もない。
ならばフォルテにとって戦う意味を持つ相手は、このデスゲームにおいてはもはや一人しか存在しない。
仲間との絆を力とするヤツを真正面から倒してこそ、絆の負の側面から生まれた己が力の証明となるのだ。
「キリト……キサマだけは必ず、このオレが破壊する」
二刀使いの黒衣の剣士を脳裏に浮かべ、フォルテは静かに己が闘争本能を高めていった――――。
【?-?/知識の蛇/一日目・夜中】
【フォルテGX・レボリューション@ロックマンエグゼ3(?)】
[ステータス]:HP???%、MP???%(HP及びMP閲覧不可)、PP100%、激しい憤怒、心意覚醒、憑神覚醒
[AIDA]<Gospel>(第七相の碑文を完全に取り込んでいます)
[装備]:ジ・インフィニティ@アクセル・ワールド、{ゆらめきの虹鱗鎧、ゆらめきの虹鱗}@.hack//G.U.、空気撃ち/二の太刀@Fate/EXTRA
[アイテム]:{ダッシュコンドル、フルカスタム}@ロックマンエグゼ3、完治の水×2@.hack//、黄泉返りの薬×2@.hack//G.U、SG550(残弾24/30)@ソードアート・オンライン、{マガジン×4、ロープ}@現実、不明支給品0~4個(内0~2個が武器以外)、
参加者名簿、基本支給品一式×2
[ポイント]:1120ポイント/7kill(+2)
[思考・状況]
基本:全てを破壊する。生身の人間がいるならそちらを優先して破壊する。
1:仲間との絆を力とするキリトを倒し、今度こそ己が力を証明する。
2:すべてをデリートする。
3:このデスゲームで新たな“力”を手に入れる。
4:ゲームに勝ち残り、最後にはオーヴァンや榊たちを破壊する。
[備考]
※参戦時期はプロトに取り込まれる前。
※『第七相の碑文』の覚醒及び『進化の可能性』の影響により、フォルテGXへと変革しました。
またそれに伴い獲得アビリティが統合・最適化され、以下の変化が発生しました。
〇『進化の可能性』の影響を受け、『救世主の力』をベースに心意技を習得しました。
心意技として使用可能な攻撃はエグゼ4以降のフォルテを参考にしています。
〇AIDA<????>がAIDA<Gospel>へと進化しました。ただし、元となったAIDAの自我及び意識は残っていません。
また第七相の碑文はAIDA<Gospel>に完全に吸収されています。
〇碑文の覚醒に伴いデータドレインを習得し、さらにゲットアビリティプログラムと統合されました。
これによりフォルテのデータドレインは、通常のデータドレインと比べ強力なものとなっています。
〇オーラや未来予測など、その他のアビリティがどう変化したかは、後の書き手にお任せします。
7◆◆◆◆◆◆◆
そうしてオーヴァンは、その場所へと辿り着いた。
『知識の蛇』の外、全てが朽ち果て、石と化したタウンの中心部へと。
「……まるで死者の街だな」
その道中で感じた街の雰囲気から、オーヴァンはそう感想を零す。
何もかもが動きを止めたこの街は、世界の終焉を連想させた。
結晶化し街に降り積もるかのような静寂。
天候はおろか昼夜すら判らない、酷く曖昧な空模様。
街外れには何もなく、灰色の液体のような虚無の空間が際限なく広がっている。
『世界』から切り離された、生ける者の存在しない最果ての流刑地。
『忘刻の都 マク・アヌ』―――それが、死に満ちたこの街のコードネームだった
このマク・アヌは、表舞台の水の都とは別のエリアだ。
いや、より正確に言うのなら、水の都はタウンではなく、この忘刻の都こそがこの世界におけるタウンなのだろう。
考えてみれば、そうおかしな話でもない。
この世界が『The World』を基にしているというのなら、タウンとフィールドが別のエリアに設定されているのは当然のこと。
表のフィールドに組み込まれた時点で、水の都はタウンとしての役割を喪失していたのだ。
―――問題は。
「このマク・アヌが、“いつ”のマク・アヌなのか、だ」
オーヴァンの知るマク・アヌは、R:2の時代のものまで。
だがその中に、ここまで陰鬱としたマク・アヌの記録はない。
となると考え得る可能性は、GMがマク・アヌを基に改造したものであるか、あるいは。
「俺よりも先の時代のものを模して造られたか、だな」
それはほぼあり得ないと思いながらも、考えていた可能性の一つだ。
なぜならその場合、GMは時間さえも超え得る力を持つということになるからだ。
だがこのデスゲームにおいてモルガナが存在する理由も、その可能性の中に含まれる。決して荒唐無稽と否定しきることはできないのだ。
そして最悪なことに、時間を操るほどの力に対抗する術は、さすがのオーヴァンと手持ち得ていない。
ゆえに今考えるべきは、このマク・アヌの正体ではなく、その役割だ。
さしあたっては、
「やはりあの塔が怪しいが……」
タウンの中心部に聳え立つ巨大な塔。
オーヴァンの知る他のマク・アヌにはない如何にもなその構造物は、その頂上付近が空から伸びる黒い根に絡め捕られている。
……だがその塔を調べることは、オーヴァンにはできなかった。
なぜなら、その塔へと入るための扉は、GM権限によってロックされていたからだ。
無論、碑文やAIDAの力を使えば侵入することも不可能ではないだろうが、
「その場合は、GMと敵対することになるだろうな」
故に、現段階では侵入することはできない。
塔を調査して得られるだろうメリットよりも、GMと敵対することによるデメリットの方が大きすぎる。
もし塔を調査するのであれば、GMの情報を揃え、その目的を完全に把握してからの方がいいだろう。
「…………GMの目的、か」
榊から聞いたモルガナの目的。
女神アウラを殺すために作り出されたデスゲーム。
なるほど。確かにその方法なら、女神アウラは消滅するだろう。
むしろその方法以外では、モルガナに手の打ちようはないかもしれない。
…………だが。
「まだ完全ではない」
GMの首魁たるモルガナの目的は知った。
だが、配下たる榊や、他のGMの目的は判明していない。
彼らはいったい何を代価として、モルガナに協力しているのか。
加えて、モルガナの目的自体にも疑問が残る。
確かにこのデスゲームが完遂されれば、女神アウラは消滅するだろう。
しかしその方法では、モルガナの消滅もまた避けることはできない。
そんな方法が、本当にモルガナの目的と言えるのだろうか……。
「『真実』の奥の、さらなる『真実』、か……」
真実とは決して一つのものではない。
一つの事実に対し、観る者によって如何様にも姿を変えるのが真実だ。
故に、榊が語った『真実』とオーヴァンが求めた『真実』は決して同じものではない。
オーヴァンが求める『真実』の追求は、未だ終わってはいないのだ。
「む、これは……」
ふと、周囲に僅かなノイズが走る。
同時にただでさえ滞っていた街の空気が、完全に静止したような違和感を覚える。
そうして背後から近づいてくる足音。GMからの警告か、あるいは別の何かか。
オーヴァンは最大限に警戒しつつ振り返り、
「! 君は―――」
そこに現れた意外な人物に、思わず目を見開いた。
【?-?/忘刻の都/一日目・夜中】
【オーヴァン@.hack//G.U.】
[ステータス]:HP100%、SP60%、PP60%
[装備]:魔剣・マクスウェル@.hack//G.U.
[アイテム]:{銃剣・白浪、DG-Y(8/8発)}@.hack//G.U.、{スパークブレイド、妖精のオーブ×2、ウイルスコア(T)}@.hack//、基本支給品一式
[ポイント]:1500ポイント/5kill(+0)
[思考]
基本:“真実”を知る。
0:現れた人物に対する驚き。
1:利用できるものは全て利用する。
2:トワイスと<Glunwald>の反旗、そしてフォルテを警戒。
3:リコリスの調査はGM側からの信用を得てから。
4:ゲームを進めるが、必要以上にリスクを背負うつもりはない。
5;いずれコサック博士とフォルテの"真実"も知る。
[備考]
※Vol.3にて、ハセヲとの決戦(2回目)直前からの参戦です。
※サチからSAOに関する情報を得ました。
※ウイルスの存在そのものを疑っています。
※榊の語る“真実”――ゲーム崩壊の可能性について知りました。
※このデスゲームにクビアが関わっているのではないかと考えていますが、確信はありません。
※GM達は一枚岩でなく、それぞれの目的を持って行動していると考えています。
※
スケィス以外の『八相』及びAIDAがモンスターエリアにも潜んでいるかもしれないと推測しています。
※榊からコサック博士とフォルテの過去、及びロックマンの現状について聞きました。ただしコサック博士の話に関しては虚偽が混じっていると考えています。
※榊からこのデスゲームの黒幕がモルガナであることと、その目的を聞きました。
しかし、それが本当に“真実”の全てであるか疑問を抱いています。
【????@??????】
[備考]
※オーヴァンが驚くほどには意外な人物です。
8◆◆◆◆◆◆◆◆
「真っ先に破壊してやる、ねぇ。
怖い怖い。私の余興は、よほど気に食わなかったらしいな」
フォルテが去った後のアリーナ。
そこに一人残された榊は、その口元に嘲笑うかのような笑みを浮かべていた。
榊が仕組んだフォルテとロックマンとの戦い。
その顛末は、榊の思惑から外れたものではあったが、概ね満足できる結果ではあったからだ。
「だが驚いたな。まさかAIDAを自らと分離させて顕現させるとは」
フォルテが警告を放った時、その背後にはゴスペルが顕現していた。
それはつまり、あの瞬間、フォルテとは別の個体としてゴスペルが存在していたということだ。
榊の知る限りにおいてそんなことが出来た者は、碑文使いにもAIDA=PCにも存在しない。
それを可能とさせたのは、フォルテがネットナビであるためか、それともエクステンドしたことの影響か。
AIDAそのものの単独顕現自体は、実のところそれほどおかしなことではない。
PCに感染する前のAIDAや、アトリから碑文を奪ったAIDAなど、その例はいくつか存在する。
だが碑文を奪われたアトリのPCが破損したように、碑文使いに何の影響も及ぼさないまま、碑文が分離した例はない。
だというのにあのAIDAは、<Grunwald>と戦った際の姿、つまり碑文を宿した状態のまま単独で顕現して見せた。
おそらく一見分離したように見えて、その実フォルテと碑文の繋がりは保たれたままなのだろう。
「だとすれば、その状態でフォルテとAIDAの繋がりを断つことが出来れば、碑文もろともあのAIDAを奪うことが出来るかもしれんな」
AIDAを分離顕現させる能力は脅威だが、それが正常な状態でないことは確実だ。
フォルテと碑文の繋がりもそう強いものではないだろう。
碑文使いPCから直接碑文を抜き取るよりは、そう難しい作業ではないはずだ。
「そういえば、フォルテにくれてやった碑文は第七相だったな。
………なるほど、「嗅覚」か。私の幻影が見破られたのもそれが理由か。
所詮は幻影、ということだな。如何に精巧に作られていようと、臭いまではごまかせんか」
第二相の碑文を覚醒させた者が得る“高次の感覚”は「聴覚」。
音で惑わすことはできても、臭いまではどうにもならない。
ましてや本来の適格者ではない榊では“高次の感覚”はえ得られないし、幻影の精度にも限界がある。
“高次の感覚”とまではいかずとも、それに近い能力を持つ者がその気になれば、騙しきることはできないだろう。
「まあもっとも、己が戦ったロックマンの正体までは気付かなかったようだがな」
榊がそう口にした直後、空から飛来した黒い閃光がその傍に着弾した。
現れたのはロックマンだ。
だがロックマンは、フォルテに倒され消滅したはずだ。
だというのになぜ、ロックマンが未だに存在しているのか。
その答えを示すかのように、空から再び黒い閃光が飛来する。
だがそれは一つではない。十でも足りない。無数と言っていい数の黒光だ。
それらの黒光は地面に着弾し、ロックマンと同じように人型をとる。
現れたのは、またもロックマンだ。それも一人や二人ではなく、アリーナを埋め尽くすほどの数の。
違いがあるとすれば、現れた無数のロックマンの内、最初の一体だけがバグスタイルの特徴を持っているという点だ。
他は全てノーマルスタイルに近い姿――つまりフォルテと戦った時と同じものだった。
「……確かにロックマンは倒された。だが同時に、彼らはこう判断することだろう。
私が改造したロックマンは倒され、AIDAもろとも今度こそ完全に消滅した、とね。
フォルテに倒されたロックマンなど、無数のコピーの一つに過ぎず、そのAIDAももはや別物だというのにな」
それが、この夥しい数のロックマンの正体だった。
それを可能としたのは、第三相の碑文だ。
アリスから碑文を受け取った榊は、それをロックマンへと埋め込んだのだ。
第三相の持つ『増殖』の力は、PC等のデータを完璧に復元、増殖するというもの。
スミスの自己増殖能力に着想を得た榊は、同じく自己増殖を可能とするISSキットを核にロックマンのデータを複製させることで、ロックマンを文字通りに増殖させたのだ。
もっとも、AIDAによって『碑文』を制御しているためか、その増殖も完璧なものとはならなかったが。
ノーマルスタイルに近いその姿――ダークスタイルがその証だ。
複製されたロックマンはスタイルチェンジ能力を持たず、またエクサメモリも有していない。
加えてその制御は取り憑いているAIDAが単独で行っているためか、フォルテと戦った時ほどの戦闘能力を発揮できるのは、本体を含めて一体だけだ。
更にはスミスと同様、オリジナルや核となったISSキットを破壊されれば、残りHPに関係なく消滅してしまうという欠陥も存在した。
………だが、それでも何の問題もなかった。
コピー・ロックマンの恐ろしさはその数と、ISSキット由来の感染能力の高さなのだから。
フォルテが最初に戦ったダークマンもまた、その性能テストのための戦いで感染し、あの状態になったのだ。
その気になれば、今のフォルテであっても力尽くで支配することはできた。
それをしなかったのは、オーヴァンに手札を見せることを警戒したからにすぎない。
「まったくもって残念だ。
碑文を得たことで、ロックマンはさらなる進化を果たした。
そこへ更にフォルテの“力”を加えれば、最強の駒を作り出せたというのに。
―――そう。フォルテ自身にすら制御できぬ究極の“力”を持ったネットナビ、フォルテクロスロックマンをな!」
それが、榊が『知識の蛇』へとフォルテを招き入れ、この戦いを企画した理由だった。
フォルテの持つゲットアビリティプログラムは、ナビやウイルスのみならず、あらゆるプログラムの能力を吸収し自らのものとする能力だ。
これによりフォルテは際限なく戦闘能力を高めることを可能とし、最強と呼ばれるほどの力を得た。
だがこの能力にも欠点はある。
それは至極当然のもので、データを吸収すればそれだけデータ容量は重くなっていくというものだ。
それ故にフォルテは、ある程度以上データを吸収した場合、吸収したデータを最適化し不要なデータを切り捨てる必要があった。
おそらくゴスペルが分離顕現可能なのも、AIDAの特性とこのデータの切り離しを応用することで、ある種の外部メモリのような状態となっているからなのだろう。
そんなゲットアビリティプログラム唯一の欠点ともいうべきデータ容量の問題だが、しかし、その欠点を補うことを可能とするあるプログラムが存在した。
それこそがロックマンに組み込まれた究極の圧縮プログラム――エクサメモリだ。
このエクサメモリは人間のDNAデータはおろか、ネットワークのエリア一つをまるごとダウンロードできるほどの途方もない容量を保有している。
その容量はともすれば、この『世界』全てのデータをインストールできるかもしれない程。
つまりフォルテが無制限に強くなれるとすれば、ロックマンは無尽蔵に強くなれるというわけだ。
であれば、ゲットアビリティプログラムとエクサメモリ、この二つをかけ合わせればどうなるか。
その答えがフォルテクロスロックマンだ。
際限のない強化を可能としながら、その実データ容量という限界のあったフォルテの、その限界を取り払った存在。
ともすれば自らが放つパワーに耐えきれず自壊してしまうほど強大な戦闘能力。
それを榊は、自らの手駒としようとしていたのだ。
……だがその目論見は破られた。
フォルテが碑文に覚醒し、ロックマンを倒すことによって。
「しかしその結果、ロックマンの存在は彼らの意識から隠された。
つまりまた一つ、私の目的へと近づいたというわけだ。
故に、問題はない。何一つとして………
ククク……、ハハハハハハハハハ――――!」
運命の時は、もうすぐそこまで迫っている。
その実感とともに、榊は一人、黒き傀儡の佇むアリーナに哄笑を響かせた――――。
【ダークマン@ロックマンエグゼ3 Delete】
【?-?/裏アリーナ/一日目・夜中】
【榊@.hack//G.U.】
[ステータス]:健康。AIDA侵食汚染
[装備]:閲覧不可
[アイテム]:閲覧不可
[ポイント]:-/-
[思考]
基本:ゲームを正常に運営する。
1:バトルロワイアルを完遂させ、己が目的を達成する。
2:再構築したロックマンを“有効活用”する。
3:アリスの動向に期待する。
[備考]
※ゲームを“運営”することが彼の役割です。それ以上の権限はありません。
※彼はあくまで真実の一端しか知りません。
※第二相の碑文@.hack//を所有していますが、彼自身に適正はなく、AIDAによって支配している状態です。
【ダークロックマン.hack@ロックマンエグゼ3(?)】
[AIDA]<*h**wa*ld>
[ステータス]:HP???%、SP???%、PP100%、AIDA感染(悪性変異)/AIDAバグスタイル・ISSモード
[装備]:静カナル緑ノ園@.hack//G.U.、サイトバッチ@ロックマンエグゼ3、ISSキット@アクセル・ワールド
[アイテム]:{バリアブルソード[B]、ムラマサブレード[M] 、マグナム2[B] }@ロックマンエグゼ3
[ポイント]:-/-
[思考]
基本:????????
1:????????
[備考]
※ロックマンのPCデータを基にボルドーのPCを改造し、ロックマンのPCを再構成ました。
ロックマンのPCデータの影響や、本来のPCであるボルドーのプレイヤーがどうなったかは不明です。
※このPCのコントロール権は、<*h**wa*ld>が完全に掌握しています。
※ISSキットを装備したことで、負の心意が使用可能になりました。
※『救世主の力の欠片』を取り込んだことで、複数のPCに同時感染し、その感染率が相手の精神力を上回った時、そのPCのコントロール権を奪う能力を獲得しました。
※第三相の碑文を榊によって与えられましたが、基本的にAIDAによって支配している状態です。
※第三相の碑文とISSキットによって、コピー・ロックマンを生み出す能力を獲得しました。
ただし、精密な操作ができるのは、本体であるダークロックマンを含め一体だけです。
【コピー・ロックマンADS・ISSモード@ロックマンエグゼ3(?)】×??
[ステータス]:HP???%
[装備]:静カナル緑ノ園(コピー)@.hack//G.U.、ISSキット
[備考]
※コピー・ロックマンは増殖したISSキットを核に、ダークロックマンによって作られた存在です。
オリジナルであるダークロックマン、胸部のISSキットを破壊されると、HPがゼロにならずとも消滅します。
※自身または増殖させたISSキットのコアを他のPCに寄生させることで、そのPCにAIDAを感染させ、<*h**wa*ld>の影響下に置くことが出来ます。
最終更新:2019年06月16日 06:25