Heitz Cellar(2011年12月訪問)
第1回ナパ旅行の5日目、11時過ぎに
Caymusを離れ、昼食にはまだ時間が早い折、立ち寄ったのがここ、Heitz Cellar。
パリ・テイスティングにも出品され、漫画「神の雫」にも掲載されたカベルネソーヴィニヨン"Martha's Vineyard"を造っている古参のワイナリーだ。
1度ここの
廉価版のカベルネ(1本40ドル)を飲んだことがあり、そのときは正直特にどうということもない印象だったのだが、テイスティングルームがハイウェイ沿いの実に立ち寄りやすい場所に位置していたので、寄ってみた。
テイスティングルームには大きなカウンターがあり、テイスティング用のものと思われる開けられたボトルが4本並んでいた。カウンターの向こうで、もの静かなおじさんが一人でこの部屋を切り盛りしている様子。
↑ちなみにこの写真は後日2回目に訪問したときのもの。
カウンターの反対側では暖炉に火が燃えている。アットホームで素敵な部屋だった。
↑これも2回目に訪問したときの写真。
テイスティングをお願いすると、おじさんがグラスにワインを注いでくれた。スピットバケツはあるかと聞いたところ、紙コップをくれた。確かにこの方式なら衛生的だし、使いやすくて便利かも。
カウンターの上にはワインの説明が書かれた紙が何枚か置いてあって、1枚につき1つのワインが紹介されている。 まず飲ませてもらったのが以下の3種。
Sauvignon Blanc Napa Valley 2010
Zinfandel Napa Valley 2007
Cabernet Sauvignon
Bella Oaks Vineyard 2005
3番目のカベルネが印象的だった。スモーキーというか、土のような風味が感じられた。これがいわゆる「ラザフォードダスト」というやつなのか、などと思うと実に興味深かった。
そうこうしていると、大人数のお客さんがどやどやと入って来た。どうやら観光ツアーの一団らしい。おじさんはそちらの客もあしらいつつ、黙って新しいボトルをあけて私に注いでくれた。添えてくれた説明紙を見ると、2000年のものだった。
Cabernet Sauvignon Trailside Vineyard 2000
どうやらオマケで出してくれたらしいこのワイン、開けたてなのに香りは甘く開いていた。さすがに10年寝ているだけあって、充分飲み頃になっているということだろう。スモーキーさもあって美味しかった。
その後、最後に出されたのがポートワイン。
Ink Grade Vineyard Port (N.V.)
これは、いかにもポート、という柑橘系の香りがあって、あまり好きな感じではなかった。
それにつけても、おじさんの対応は実に素晴らしかった。自分からは決して多くを語らないけれど、にこやかな素振りには人を寄せ付けないような厳しさが全く無い。この距離感が好きだ。
それでいて、こちらから話しかけると、快く色々な話を聞かせてくれた。例えば、有名なMartha's Vineyardについて。自分はてっきりこの畑がHeitz Cellarの自社畑なのだと思っていたのだが、そうではなくてHeitzは毎年この畑で採れた葡萄を購入しているのだと説明してくれた。
残念ながら"Martha's Vineyard"は試飲できなかったが、個性的なワイン、美味しいワインが飲めて実に良かった。
さてこのHeitz、
第1回ナパ旅行で訪れたワイナリーの中で唯一、テイスティングが無料だった。何か買わなくてもタダ。こんな1等地にあって、これだけの体験をさせてくれながら・・・。いつまで続けてくれるかわからないが、是非今後とも同様のサービスを続けてくれるよう期待したいものだ。
ちなみにここではライブラリーワイン(古いヴィンテージのワインのこと)が色々と買える。
ワイナリー訪問その61
Heitz Cellar(2012年3月訪問)
Beringerの次に訪問したのは、2回目の訪問となるHeitz。商業化されたナパのワイナリー群の中にあって、未だに無料でテイスティングをさせてくれるありがたいワイナリーだ。立地はセントヘレナハイウェイ沿いの極めて立ち寄りやすい場所だし、ネームバリューのあるブランドでもあるので、実に嬉しい。
前回訪問したときには、通常のテイスティング・メニューにはないワインもオマケで飲ませてもらえたが、フラッグシップワインたるMartha's Vineyardのカベルネ・ソーヴィニヨンは飲むことができなかった。もう1回行ったら、もしや…という思いがあった。
今回も、前回と同じもの静かなおじさんが切り盛りしていた。そして、やはりテイスティングは無料だった。多くの観光客で賑わっていた、というのも前回と同じ。飲ませてもらえたのは以下。
2009 Chardonnay Napa Valley ($21)
2007 Zinfandel Napa Valley ($22)
2006 Cabernet Sauvignon Napa Valley ($42)
2006 Cabernet Sauvignon Trailside Vineyard ($70)
2001 Cabernet Sauvignon Martha's Vineyard ($150)
Port Ink Grade Vineyard ($20 half bottle)
念願のMartha's!しかも2001年というちょっと古いヴィンテージのものを出してくれた。
テイスティングルームに入った時点でカウンターの上に並べられていたワインは4種類だけで、カベルネのTrailside VineyardとMartha's Vineyardはカウンターの奥から引っ張り出されてきたものだった。ということは、もしかしたら訪れた客全員にはMartha'sは出していないのかも知れない。淡々とノートを取りつつテイスティングしていたおかげで、オマケしてもらえたのかも。
さて肝心のお味のほうだが、まず印象的だったのがNapa Valleyのカベルネ。同じものを家で飲んだときには特に何も感じなかったのだが、このときには青々とした葉っぱのような香りを感じた気がした。これが噂のユーカリ香?…と思いきや、どうやらユーカリの香りがすると言われているのはMartha's Vineyardだけで、このNapa ValleyにはMartha's Vineyardの葡萄は使われていないはずなので、完全に先入観による思い込みだった模様。なんともはや。
Trailside Vineyardのカベルネは、香りが実に甘く、それでいてたくましいエレガンスも楽しめた。口当たりはまず甘いが、すぐに酸が取って代わり、フィニッシュには辛味も感じられて、アフターは意外とサッパリしていた。
そしてMartha's。香りからは甘酸っぱくエレガントな印象は受けたが、ミントとかユーカリとか言われている成分についてはよくわからなかった。口中ではおだやかな甘さと爽やかな酸味が感じられ、主張し過ぎない苦味と渋味もあってスモーキー。実にバランスが良く美味しかった。
テイスティングルームでは過去の様々なヴィンテージのワインが購入可能なのだが、Martha's Vineyardも複数のヴィンテージが揃っている。Martha'sはどれも$100以上するのでちょっと手が出なかったが、こういった品に興味のある人にはたまらないだろう。
↑一番上に並んでいるボトルは、いずれもヴィンテージか畑が違うワイン。
ボトルに貼ってある丸いシールに値段が書いてある。
後日談になるが、その後カリフォルニアへの赴任期間を終え日本に帰るとき、
ワインショップで最新ヴィンテージのMartha'sを購入した。エチケットのデザインが新しくなっていてちょっと残念な気もしたが、数年後に飲むのが今から楽しみだ。
最終更新:2018年09月20日 21:58