響きライブラリー
モンゴル帝国
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世界史におけるモンゴルの位置づけを根本的に見直す作業が始まっています。
逆説のユーラシア史
―モンゴルからのまなざし
杉山 正明
「残虐な略奪者がやってくる」は世界初の情報戦だったかも
2007.1
内容(「MARC」データベースより)
モンゴルは「戦わない軍隊」だったし、マルコ・ポーロはその実在自体が疑しい-。膨大な多言語史料を検証すると歴史の姿が違って見える。モンゴル研究の第一人者が、欧州史観と中華主義に偏った世界史像を問い直す。
- 日本経済新聞社 (2002/09)
パックス・モンゴリカ
―チンギス・ハンがつくった新世界
ジャック ウェザーフォード
「世界」をつくろうとしたチンギス=ハン。モンゴル軍はやっぱり戦う軍隊だった?
2007.1
内容(「BOOK」データベースより)
定住を望まぬ草原の民が、太平洋から地中海にいたる巨大な版図を持ったのはなぜか。モンゴル人の習慣・思想から見てみると、チンギス・ハンが求めたもの、彼の一族が世界を根本からつくりかえた理由のすべてがあきらかになる。アメリカの文化人類学者である著者は、モンゴル人学者と共同研究チームをつくり、5年にわたってモンゴルをフールド調査した。小説を読むようにおもしろい、新しい視点のモンゴル史。
- 日本放送出版協会 (2006/09)

クビライの挑戦
―モンゴル海上帝国への道
杉山 正明
内容(「MARC」データベースより)
第5代カアン・クビライは、チンギスが結集させた草原の軍事力を支配の根源として保持しつつ、中華の経済力を管理し、ムスリムの商業力を再編成して遊牧と農耕の世界を融合し、モンゴル世界連邦を創設。
2007.5.16
世界が始めて「世界」を感じた時代、世界史上唯一「世界人」が生きた時代
かの有名なジンギスカン(チンギス・ハン)の跡を受け継いだクビライ・ハンはモンゴルの版図を最大に広げました。それまでモンゴルは版図を草原に沿って西へ広げましたが、クビライは自ら兵を率いて南下し、当時世界で最も豐かな穀倉地帯であった長江以南、即ち南宋を吸収しました。その過程でチベットやベトナムも通商圈に入りました。騎馬民族とムスリムが手を携えて、水軍を編成し、海のような大河を越え、亜熱帯の森林を越えて、とうとう南洋に達したのです。
さすがにヒマラヤを越えてインドを手に入れようとはしなかった(チンギス時代に手ひどい目にあっている。ちなみに、我が国も印パール作戦で手ひどい目に遭っております)ものの、西はハンガリー、ペルシャ湾からインドネシア、中国までがひとつの通商圈となりました。モンゴルは「国」や「連邦」を超えて「世界」となったのであります。
これだけの国が、3.3%の消費税だけで成り立っていたのですから驚きます。そして世界初の「国」による経済政策。著者によれば、モンゴルは「早すぎた」が故に縮小・フェードアウトしてしまうのですが、学ぶべきものは今もって大きいと言わざるを得ません。
ある時代の権力者が前時代のことを悪く言うのは世の常で、モンゴル人やその時代もご他聞に漏れずペルシャ人や漢民族には「殺戮者」「虐げられた時代」等々と散々に蔑まれております(我が国でも明治の人は江戸を恥ずかしいものと思い、戦後の人は戦前戦中を惡しきものと見ます)。しかしこれは所謂プロパガンダである疑いが濃厚でありまして、例えば中国から見れば「元」の時代は明朝や清朝の巨大版図の基となった時代であり、かの国には珍しく権力者による粛清もなく、大都市が世界とつながる事で益々発展し、華僑が東南アジアに進出した時代だったのであります。
なお、本書はクビライ・ハンに視点を絞っているため、他の書籍等でチンギス・ハン時代の事やモンゴルの全体像をまず知ってから読まれる事をお勧めします。
- 朝日選書
