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悪夢のサイクル
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悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環
内橋 克人

えーっと、「世界標準」の国って、発展途上国ですよね。
2007.9
内容(「MARC」データベースより)
ネオリベラリズムはただの景気循環ではない。バブルと破綻を繰り返すなかで共同体を破壊し、人々の心を狂わせる「悪夢のサイクル」なのだ-。50年のスパン、世界史的な広がりの洞察から発見された経済のダイナミズムを紹介。
悪魔のサイクル
- 「構造改革」による規制緩和
- 海外から投機資金流入
- 好景気により通貨・株価が上昇
- 投機により実力以上に上昇
- 空売りによる売り浴びせ・資金引き上げ
- 経済崩壊・資産価値毀損(値下がりしたら買いたたく)
- 「構造改革」による更なる規制緩和
- 再び投機資金流入
- 好景気により通貨・株価が上昇─今の日本(出版は2006年)
- 投機により実力以上に上昇
- 空売りによる売り浴びせ・資金引き上げ
- 経済崩壊・資産価値毀損・社会が荒廃
- 以下繰り返し
- 全プロセスを通じて資産家は稼ぎ、「構造改革」で守られなくなった中間層は沒落していく
これは何も日本だけに限ったことではないようです。最初にやったのはレーガンとサッチャー。数字だけの好景気に調子づいて更なる規制緩和を求めている経団連などには筆者は眉をひそめています
近代経済学(ケインズ政策)によって経済の振幅を小さく抑え安定させると同時に保護によって中間層を厚くして行き、それによって社会も安定する、という社会から、新古典派経済学に基づく振幅の大きい経済へと「ルールは変更された」のだと著者は言います。
何のことはない、日本も世界標準=発展途上国(或いはブラックマンデー以前の世界)になるってことですな。権力者と政商は大金持ちで、殆どの人は豊かではないか貧窮してて、スラムがあってギャングがいて...
そういえばつい先日アメリカの住宅バブルがとうとう弾けてまたやや苦しい中間層がさらに貧窮層に沒落することになりましたね。「今の好景気はアメリカの住宅バブルによるものだ」ってのはネットでは常識でしたがマスコミはほぼスルー。債権が不良化してようやく「景気に影響」って、人間のこと忘れないでね。それでも日本も大したもんで、100万ドル以上の金融資産を持ってる人は100万人以上いるそうで、赤ちゃんから年寄りまで含めて100人に一人ぐらいは億万長者なんですな。ほんと?
非常にクリアな見通しを与えてくれる本
海外取引による決済に必要なお金は年間で8兆円。それに対して実際に為替市場で動くお金は300兆円!毎日1兆円のお金が付け入る隙を探して世界中を驅け巡っているのです。これは大体の識者で意見が一致するところ。
更に著者は昨今のテロ戦争を「イスラム圏にも「資本家が儲ける美味しい商売」を教えてあげるべく既存の経済とインフラを壊しに行っているのだ」と位置づけています。終章あたりでは勢い余って「第三の経済」とか「トービン税」「ATTAC」なんて話で前半に比べて地に足ついてないんですがまあいいでしょう。非常に見通しの良くなる本。
各論の一つ一つも説得力あり
夕張市を始めとして、自治体の経済破綻が話題になります。原因は膨大な負債(地方債)。今となっては新規に起債しても利払いで精一杯の所が多いそうです。なんでそうなったのか?
「増税なき財政再建」の時期に「内需拡大」の一環として50兆円の公共投資を米国に約束しちゃったんだそうです。でも増税はできない。財政投融資も評判が悪い。どうしたか?地方自治体に借金で投資させたのです。「ふるさと創生1億円」の頃に地方債の借入残高は急上昇しているのです。現在では200兆円!トホホホ。
詳細
単行本: 235ページ
出版社: 文藝春秋 (2006/10)
ISBN-10: 4163684808
ISBN-13: 978-4163684802
発売日: 2006/10
商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.4 cm
出版社: 文藝春秋 (2006/10)
ISBN-10: 4163684808
ISBN-13: 978-4163684802
発売日: 2006/10
商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.4 cm