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シリーズ国際関係論
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シリーズ国際関係論[全5巻]
2007.12
いうまでもなく、社会科学自体は宗教による影響から大きく乖離するところから始まった。キリスト教が学問、芸術、政治、からは緩慢に、しかし着実に乖離していくところに西欧の近代における隆盛の秘密がある。学問、芸術、政治が世俗世界のなかで宗教からほぼ独立した位置を確立してくところに、西欧近代があるというのが多くの論者の一致するところである。宗教と政治はにもかかわらず非常に繊細で微妙な関係を保ちつつもお互いに影響しあってきたが、それも紙一枚のところで相互介入を極小にできたに過ぎないし、キリスト教以外の宗教で同じようなことが可能になるかどうかわからないし、キリスト教においても将来そのような未来を確約できているかというとわかりにくいというのが、マーク・ライフ教授(コロンビア大学)の最近著が我々に丁寧でしかも洗練された筆致で教えてくれる所である(1)。国際関係論もその例外ではない。
(1)Mark Lilla, The Stillborn God:Religion,Politics and Modern West, New York: Knopf,2007.
...戦争というと主権国家間の戦争がすぐに想起されたし...主要国家間のせんそうは稀になったことが判明したのである。...ソ連邦崩壊自体が戦争敗北でないのに生起していったことに注目しなければならない。何か大きな勢いが戦争の性格を変えているのではないか。
グローバリゼーションのメルクマールはプラザ合意(1985年)ではないかと思う。1985年まで財とサービスの貿易は通貨の貿易を人類史が始まってからずっと凌駕していたのが1986年になると後者の額が前者の額を凌駕した。後者が前者の50-100倍になったのである。
概念的にも経験的にもしっかりとして体系化を不断に試みることにこそ、学問の体系化が進展する。そしてこれが「シリーズ国際関係論」全5巻が達成しようとする意気込み、今年刊行にこぎつけたものである。
概念的にも経験的にもしっかりとして体系化を不断に試みることにこそ、学問の体系化が進展する。そしてこれが「シリーズ国際関係論」全5巻が達成しようとする意気込み、今年刊行にこぎつけたものである。
国際関係論の教科書は多様性尊重という一点で一致団結しているといっても過言ではない。
- 第1巻 国際社会の秩序 篠田英朗(広島大学准教授)
国際社会とは何か.その秩序はどのように成り立っているのか.国際社会の秩序は人間の価値規範によって成立しているとの立場から,そうした主要な価値規範に着目し,国際社会の秩序の歴史的展開と現状を分析する.思想と歴史から照らし出される国際社会の姿.- 第2巻 平和と安全保障 鈴木基史(京都大学教授)
いかに戦争を防止し,平和や安全保障を達成することができるのか.国際関係の諸理論を駆使して伝統的な安全保障問題およびブッシュ・ドクトリン,テロ,内戦といった新たな問題に切り込み,理論が提示する処方箋を検証する.現代における平和の条件の模索.- 第3巻 国際政治経済 飯田敬輔(東京大学教授)
グローバル化する世界で,政治と経済はいかに関連しているのか.通商・金融をはじめ,開発や環境,人の移動といったテーマを題材に,日本の事例を多くとりあげながら,国際政治経済論の主要理論を解説する.理論と実証により解明される国際政治経済の実相.- 第4巻 国家の対外行動 須藤季夫(南山大学教授)
国家というものは,対外的にいかなる原理に基づいて行動するのか.国際関係論の主要パラダイムをおさえながら,伝統的な外交研究や対外政策決定分析を超え,国家の行動を体系的に分析するための包括的視座の提示を試みる.新たな一般理論=対外行動論の探究.- 第5巻 国際関係論の系譜 猪口 孝(中央大学教授)
学問として,また日々展開する国際関係を議論する仕事として,国際関係論はどのような軌跡を辿ってきたのか.古今東西の議論を広く視野に収めながら,二〇世紀および日本を軸に,国際関係論をトータルに問い直し,政策的指針を提示する.未来への道しるべ.