響きライブラリー

中井久夫

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中井久夫

→wikipedia中井久夫
木村敏さんが病理を明らかにしていく人であるとすると、中井さんは患者を治療する(あるいは楽にする)人、という風にイメージすると分りやすいと思います。
amazon.co.jpより
1934年奈良県生まれ。精神科医。京都大学法学部入学後、医学部へ転部。京都大学ウイルス研究所、東京大学医学部附属病院分院、青木病院、名古屋市立大学、神戸大学などを経て、現在、神戸大学名誉教授。1989年に読売文学賞、1996年に毎日出版文化賞などを受賞。



看護のための精神医学 第2版

中井 久夫 ,山口 直彦

看護できない患者はいない。

2007.12

この一言に本書の思想は集約されています。治療できないことはある、しかし、看護できない患者はいない。全編にその思想が満ち溢れています。看護学の教科書ではありますが、必ずしも患者の看護をする人限定の本ではありません。人を受け止めるとはどういうことか、発見があるかもしれませんよ。


(なお、BARWORLDにあるのは第一版です。)
  • 医学書院; 第2版(2004/03)
  • ISBN-10: 4260333259
  • ISBN-13: 978-4260333252



治療文化論
―精神医学的再構築の試み

中井 久夫
出版社/著者からの内容紹介
何を病気とし,誰を治療者とし,何をもって治療とするのか.普遍症候群・文化依存症候群・個人症候群の軸を立て,精神病理と文化をさまざまな角度から考察する.治療の仕方,患者・治療者関係をはじめ無数のことがないまぜになっている「治療文化」から精神医療を根源的に問い直し,人間理解への新たな視点を開く画期的論考.

そもそも病気とは何か、治療とは何か

2007.12
言い換えると、「我々医療従事者が今までやってきたこと、今やっていることを何と捉えるべきだろうか。正しい意味で医療となっているのだろうか」というあたりでしょうか。誠実な問い。自分への問い。古今東西の論考を縦横無尽に援用しつつ、哲学ごっこな処は全く無く、想いがあって調べて考えて書いてまた想いが生まれて...というような誠実な営為が思い浮かびます。
  • 岩波現代文庫 (2001/05)
  • ISBN-10: 4006000529
  • ISBN-13: 978-4006000523


ウイッシュリスト

最終講義―分裂病私見

中井 久夫
『ことし読む本いち押しガイド1999』 Copyrightc メタローグ. All rights reserved.
神戸大学医学部を勇退した分裂病の泰斗、中井久夫氏の最終講義。《私の目的は分裂病に目鼻を付けること》と語る著者は、長年の経験から分裂病に対する数々の卓見を説いていく。分裂病でない人は、のほほんとしていても分裂病にならないのではなく、日々何らかの入力によって、苦しく宙づりになっている分裂病状態の実現を妨げられているとか、どのような患者も学者の記す分裂病ほどには分裂病的でない--そんな机上の空論では出てこない、日々患者と格闘する<臨床>の持つ説得力が全編を覆う。特に、後半に載せられた臨床データ例は、人が壊れ、臨界に達して回復するさまを生々しく示して圧巻。(守屋淳)
  • みすず書房 (1998/05)
  • ISBN-10: 4622039613
  • ISBN-13: 978-4622039617



徴候・記憶・外傷

中井 久夫

中井ファンの方限定、かな。

内容(「MARC」データベースより)
人間の根源的な能力ともいえる「記憶」とは、一体どのような意味を持つのか。この巨大で困難な問題に、臨床の現場から、さらには哲学、文学、心理学、認識学、犯罪学など、様々な学問分野を横断しながら迫る。
  • みすず書房 (2004/4/2)
  • ISBN-10: 462207074X
  • ISBN-13: 978-4622070740



こんなとき私はどうしてきたか

中井久夫
カバーの折り返し
[本文より]
驚くべき病的体験、たとえば世界が粒々に分解するというような、まだ誰も報告していない現象を話してくれる患者がいたとします。その彼が友達と映画を観に行ったり、ベースボールをしたり、喫茶店に行ったりしたことを、私は驚くべき病的体験の話よりも膝を乗り出して興味をもって聴けるか。
(中略)
じつはそれは、医学部に入ってから何十年経った人間、医者の世界で生きてきた人間にはとってもむずかしいことです。この点は、ナースの世界はそれほどではないかもしれない。あるいは、たいていの患者はナースが健康な面に光を当てているからこそ治るのかもしれません。

「医師は患者に希望を処方しなければならない」

2008.1
という著者が、どうやって希望を処方してきたか、体験を元にした講演集。

著者は精神病理の探求をする人ではなく、むしろ何のことだか掴みきれなくても治ってしまえば結果オーライ、病理学的に何だったのかはそれから考える、というところがあります。本書の中でも、「医師に多く(の知見)をもたらしてくれる患者は一般的に予後は悪い」とまで言っています。

あるいは「まだ誰も報告していない現象を話してくれる患者」が「映画に行ったり」「喫茶店に行ったり」したことを膝を乗り出して興味を持って聞けるかと問いかけて、「医者の世界で生きてきた人間には難しい」と告白。「たいていの患者は看護師が健康な面に光を当てているからこそ治るのかもしれません。」と。

そんな著者が、患者と始めて会った時、病状の重い時、治りかけたとき、あんな時こんな時…患者にどんな言葉をかけて来たか、というのが本書のテーマです。「医師は患者に希望を処方しなければならない」との言葉通り、希望が見えてくる言葉がたくさん。読むだけでも力が出てきます。

かならずしも病気ではなくても、人生の真実が垣間見える話が沢山。人間は時と場合によっては病気になってでも希望を持とうとするのだということがよく分かります。

中井さんの本の発売は久しぶり。気の利いた索引。例えば「あいつは握手で治している」なんてのが一項目。中井ファンにはたまらんハズ。

  • 医学書院 (2007/05)
  • ISBN-10: 4260004573
  • ISBN-13: 978-4260004572
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