ん?ライターがないな・・・・・・。
寝ながら手が届く範囲、半径1m以内に火をつけられるものはない。
――いや、あるか・・・・・・。
めんどくさいが 人差し指の上に火を乗せ。タバコに火をつけた。
なんか最近の世の中はずいぶんとファンタジックな世界になった。
なんでも多くの人が魔法というか超能力を操れるようになって、それと同時に
守護霊みたいに人にまとわり憑くめんどくさい連中も出てきやがった。
それをシンボルとか言うらしい。
そのシンボルを体の中に取り込むと超能力が使えるようになるんだが
これが疲れる。そしてこのシンボルがまたよくしゃべる。
「吸いすぎじゃないか?」
俺の体から離れた人魂の形をしたシンボルが話しかけてくる。
「まぁ、いいじゃないか。好きでやってる事だ。」
「いやいや、私も長生きしたいのでね。ほどほどにしてくれないとな」
シンボルは深層心理と同じような考えだって聞くがこう自分の感覚と正反対だと自分の
深層心理を疑いたくなるものだ。
「こちとら元軍人だ。死ぬ機会ならいくらでもあったさ。
長生きを望むとは、こいつはお笑いだ。」
紫煙を揺らしシンボルと会話する。
テレパシーというかなんというか頭の中で相手のことを理解することも出来るが
その感覚が何か嫌で緊急じゃない時は、口でしゃべるようにしている。
「この私がお前のシンボルなんだ。お前が死ぬわけがないだろう。」
「ほほぅ、随分と余裕ですな。」
自分の深層心理が抱いている、疑念、恐怖、慢心、そういった諸々ものを確認するには
こいつと会話することで確認する。
どうも俺も慢心を持つようになったか。
そろそろやばいかもな・・・・・・。
――ガタッ
ドアの開く音がする。
軍を辞めて昔からやってみたかった探偵業を始めた。
しかし探偵業ってのはツマラン。実際やってみると依頼内容は、離婚調査とか
身辺調査やら男と女絡みのことがほとんどで、子供のころに見た帽子を被ったイケメンが
活躍する探偵ドラマのようにコミカルにはいかない。
ということで男と女がらみの依頼は全部お断りにしたが、依頼は激減
開店休業状態になってしまった。まぁ、軍の退職金で暮らせてはいるけど、これからなぁ
先ほど入ってきた男が口を開く。
「どうしたんすか、二佐。そんな思いつめた顔して。」
「いやいや、この仕事やめようかなぁと思ってな。それと辞めた人間に二佐はないだろ。」
吉田恵三、俺の軍時代の部下だ
今は、公安に所属しているらしい。
こいつはよく事務所にきて顔を出すからこいつを使って色々と探偵業の手伝いをしてもらっている。
「まぁいつも言ってるように、二佐は二佐ですよ。あ、それと仕事の話を持ってきたんで
すけど・・・・・・。辞めるならどうしようかな・・・。」
おどけた表情になり俺をからかってくる。こいつのこういう所は好きだ。
「はいはい、もう弱気なことは言いませんよ。恵三様。
で、仕事の話ってのは?」
そう言うと、吉田は真剣な仕事の顔になり、話し始めた
「公安総務部部長の娘さんが誘拐されました。」
さっきまでとは全く別人の顔。公安調査第一部第一課の調査員の顔だ。
「結構ヤバイ仕事・・・じゃないか?それに報酬はどれぐらいだ?」
公安の仕事を回してくるには何か理由があるのだろう・・・。
「300万。悪い話では、ないですよ。」
確かに今の生活状況じゃ、おいしい金額だ。
しかし吉田は大丈夫なのかどうかが不安になった。
「で、お前はいくら貰った?」
「500万。流石に私だけでは、やばいかと思いまして・・・・・・。」
なるほど、ボディガード代わりということか。
というか、俺には最初から拒否権なんて用意されてなかったか。
「3:2か、なるほど・・・・・・。だいたいの事は分かった。 受けよう。」
「察しが良くて何よりです。」
この仕事のときの吉田は、どうも好きになれない。
吉田は少し顔をほころばせる。
「ああ、後。協力者がいるんです。ミミ!」
ミミとは、フクロウの形をしたこいつのシンボルだ。
シンボルに名前を付けるのはこいつらしいというかなんと言うか。
そして、フクロウが器用に扉を開け入ってくる。
するとちょっと憎たらしい顔をした10歳ぐらいの少女が後ろから並んで入ってきた。
少女はこっちを向き、吉田に視線を移して
「このおっさんがホントに強いの?」
といった。
初対面の俺に向かっておっさんとは第一印象は間違っていなかったようだ。
その少女に吉田ではなくシンボルのミミが
「ええ、以前のこの人はまさに鬼人でしたよ。」
と答えた
「ふん。ただのタバコ臭いおっさんにしか見えないけどね。
とりあえず、早く行きましょう。 吉田!」
少女はそう言うともう事務所から出て行ってしまった。
「では、二佐。行きましょう。」
呆れ顔というような顔をした吉田が俺にそう言う。
「何処に行くんだ?」
「いえ・・・・・・。あの子しか知りません。」
最終更新:2006年09月03日 02:26