「ストーリー」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ストーリー - (2009/04/26 (日) 04:34:40) のソース

<p align="center"><font size="5"><strong>ストーリー</strong></font></p>
<p align="center"><font size="5">29年前――</font></p>
<p align="center">日本近海の離島、夜見島。<br />
ある日の深夜0:00、原因不明の海底ケーブル切断による大停電が発生。<br />
それと連動するかのように、全島民失踪事件が発生、島は一夜にして無人島と化してしまう。</p>
<p align="center"><font size="5">現在――</font><br /><br />
何かに導かれるように島を訪れる人々。<br />
そして0:00、サイレンが島を覆い、惨劇の夜は蘇る。<br />
消えたはずの島民たちは異形となって戻り、人間を襲い始める。<br />
人々は己を保つため、命の限り抗い続ける。<br /><br /><br /><font size="5">そして、侵食がはじまる・・・・。</font></p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
<p><strong>※以下ストーリーのネタバレ(冒頭からエンディングまで)誤字脱字等多く、また見難いので修正よろ</strong></p>
<p><font size="5">29年前</font></p>
<p align="left"><font size="2"> 網元である太田常雄の家に漁師たちが集まっていた。彼らにとって余所者で、民俗学者の三上は聖域を荒らす邪魔者であり、また彼が海岸で保護した少女、加奈江は、村の言い伝えにある「海から来た穢れ」そのものであった。太田常雄の娘、ともえが加奈江が黒い影のようものを海へ帰しているのを見たとう証言もあり、加奈江討伐の決起ために集まったのだった。<br />
太田以下、全ての漁師が緊張した面持ちだったが、反対するものは1人もいなかった。<br /><br />
父と、姉と慕う少女の3人で夜見島の蒼之久の集落に住む幼い少年、三上脩は夜、階下からのもの音に気づき、目を覚ました。<br />
「お父さん・・・?」<br />
そういいながら階段を降りた先で見たものは、惨殺された父の死体だった。必死に事切れた父を起こそうとするが、突如玄関に現れた、「犬を連れた男」に驚き、2Fのもと来た部屋へと逃げ込むのだった。<br />
窓から家の外へと逃げた脩は、姉と慕う少女「加奈江」を見つける。両手が血にそまった加奈江。なぜか自分と加奈江を狙い、襲い掛かってくる漁師たち。何が起こっているかわからない修であったが、加奈江に先導されるまま、漁師達に見つからないように集落から逃走を試みる。<br /><br />
脩を小さな貨物用ロープウェイで先に脱出させた加奈江は夜見島港へと急ぐ、途中ともえが彼女の行く手を阻んだが、ともえを振り切り脩の元へ急ぐ加奈江。<br />
「あんたは逃げられない!」背後からともえの叫びが彼女に投げつけられるのだった。<br />
網元の太田常雄以下、多数の漁師が港湾施設跡地で二人を探していたが、加奈江は彼らの視界を盗み見する特殊な力を駆使し、無事脩と再会する。しかし、灯台へと向かう二人を漁師たちが取り囲み、窮地に立たされる2人。そのとき唐突に足場が崩れ、二人は崖下の海へ落ちていく。<br />
「終わった・・・」そうつぶやく太田たち。<br />
だが、ほっとしたのも束の間、サイレンに似た不気味な音が高らかと鳴り響き、島全体が鳴動し始める。そして、ともえは赤く染まった海から、巨大な赤い津波が押し寄せてくるのを目撃する。漁師たちは逃げることも出来ず、その津波に飲み込まれていくのだった・・・<br /><br /><br /><br /><font size="5">夜見島へ</font></font></p>
<p align="left"><font size="2"><font size="5"><font size="2"> オカルト雑誌「アトランティス」の若手編集者の一樹守は29年前に島民が謎の消失を遂げ、その後も近海で謎の消失事件の相次ぐ島、夜見島の取材を行おうとした。<br />
夜見島へ行く手段が見当たらず、一時は途方にくれたが、その場に居合わせた盲目の作家「三上脩」の計らいにより、運良く彼がチャーターした漁船「翔星丸」に同乗することができた。<br />
その後、出港直前に駆け込んできたチンピラ風の男と、麦藁帽子を目深にかぶった女を乗せ、船は夜見島へと出港した。<br />
夜見島も近くなった時、突然船が大きく揺れだした。一樹が外に出てみると、海は赤く染まり、大きくうねり出していた。船に必死にしがみつく船員の女性を助けようとするが、女性は流されてしまう。さらに、大きな赤い津波によって船は転覆。一同は海に投げ出されたのだった。<br />
ちなみに、船に乗船した人間のなかで、船長の行方だけわかっていない。<br /><br />
海に投げ出された一樹は、運良く廃墟の港へ流れ着いていた。状況をつかもうと周囲の探索を始めていると、朽ち果てた港湾施設で彼の視界の端で何かが光る。一樹がその場所へ向かうと、人の死体と思しきものが動き出すのを目撃する。見つからないように動く死体をやり過ごしつつ探索を続ける中で、彼は小屋の中で気を失っていた美しい少女「岸田百合」と出会う。<br />
「助けて・・!あいつらが私のこと探してる!」<br />
一樹はその訳が理解できなかったが、その場に先ほどの動く死体「屍人」が現れ、百合に襲い掛かる。屍人を撃退した一樹は、百合を伴って廃墟の港を脱出する<br /><br />
山道を行く一樹と百合。座るのに具合のよさそうな岩を見つけ二人は休憩を取った。<br />
百合が島へ来た目的を話し出す。それはこの島に閉じ込められた母を助けるためだと言う。驚きを隠せない一樹だったが、百合は続ける「母さんは鳩を飛ばし続けた、でも戻ってこなかった」<br />
「ずっと待ってた、あなたが来るのを・・・。あなたは私を助けてくれる・・・?」<br />
意味が理解出来ない一樹だったが、懇願する百合に一樹は困惑しながらも、女の美しい容姿から同行を決意するのだった。<br /><br /><br />
一樹達の乗った船が転覆したころ、上空を一機のヘリが爆音を上げながら、急激に高度を落としていった。夜見島近海を飛行していた陸上自衛隊の輸送ヘリが自機の場所を見失った上、操縦不能に陥ったのだった。<br />
夜見島に不時着したヘリは、奇跡的に助かった3名、三沢 岳・三等陸佐、永井 頼人・陸士長、瀕死の重傷を負った沖田 宏・二等陸曹を残し、全員死亡する。<br />
瀕死の沖田を前に泣きじゃくる永井と対照的に、淡々と指揮を宣言する三沢。不時着の衝撃で無線機は壊れてしまっていたが、遠くに観覧車を発見した三沢は、永井とともに瀕死の沖田を担ぎ上げ、救助を要請すべく、行動を開始する。<br />
廃墟の遊園地にたどり着き、管理小屋の電話から外部への連絡を試みる三沢。だが電話が繋がる様子はない。受話器を置き、銃を手に小屋の外へ出ると、永井が沖田の死体を前にして未だに泣きじゃくっていた。<br />
「オイ、そいつもう死んでるぞ」冷淡に声をかける三沢。<br />
永井を引き起こし、立たせようとしたが、永井は再び座り込んでしまう。<br />
その時死んでいたはずの沖田が突然動き出し、永井に向けて発砲。何がおきているのか理解できない永井に対して淡々と応戦を命じる三沢。永井は三沢から銃を受け取り、変わり果てた上官に銃を発砲するのだった<br />
遊園地跡から脱出を試みる二人だったが、屍人として蘇ったかつての自衛隊の仲間が、自分達を殺そうと行く手を塞ぐ。その途中、永井は精神薬を見つける。三沢は自分のだと言って永井から取り上げてしまったが、それは三沢には縁の遠いもののはずだった。もうひとつは紛失した装備を回収したとき、信管を含む発火装置は回収できたのだが、C4爆弾がなくなっていた。遊園正門は厳重に封鎖されていたため、二人は遊園裏門から崖を乗り越え、遊園地を後にする。<br /><br />
再び移動を開始した一樹たちは、遊園地から脱出してきた三沢と永井に出会う。救助に来たのかと思い、駆け寄る一樹だったが、三沢は警戒を解かない。ライトの光を怖れる百合を不審に思った三沢だったが、激昂した一樹が間に割ってはいる。<br />
そのとき永井は信じられないものを見た。<br />
「三佐、あれ・・!」<br />
一同はこちらに押し寄せる巨大な赤い津波を目撃する。<br /><br /><br />
赤い津波に巻き込まれ、船から海へと投げ出されて赤い海の中を漂う三上に、過去、子供だった頃の記憶が断片的によみがえる。<br />
足場が崩れ、海に落ちた後、彼は加奈江によってボートに乗せられた。<br />
しかし加奈江は全ての力を使い切ってしまい、もう動くことすら出来なかった。  力なく海に浮かぶ加奈江。そしてそれを見つめる脩。<br />
「脩・・・見ないで・・・・お願い。見ちゃダメ・・・・」<br />
昇りゆく朝日とともに、加奈江は海の底へ、まるで溶けていくように消えていった。<br /><br />
盲目の作家、三上脩は、彼の失われた記憶の断片に残るある少女を追って、夜見島を目指していた。<br />
船から投げ出された三上は舗装路に漂着し、そこで彼の愛犬ツカサに起こされる。だが彼は自分の目に驚いた。失ったはずの彼の視野には、ツカサのものと思しき視界が広がっていたのだ。<br />
「ツカサ・・・これはお前なのか?」<br />
そういいながらフラフラと目の前の石段を登り、目の前の家の引き戸を開ける三上。そこには29年前、あの日あの時の自分が事切れた父を抱き起こそうとしていた。三上に驚き逃げる脩。背後から太田常雄が現れ、三上を不審に思うが、突然、死んだはずの三上隆平が跳ねるように飛び起き、驚き逃げる太田を追いかけるのだった。<br />
三上は状況が信じられず、事実を確かめるために彼が埋めた「お姉ちゃんとの思い出」を掘り出しに行く。<br />
彼の記憶の通り、彼が描いたお姉ちゃんの絵はそこに埋まっていた。自分は29年前のあの島にいる。そう確信した三上をツカサが突き飛ばす。その直後、近くのプレハブが倒壊し、ツカサは生き埋めになってしまう。<br />
更に三上の背後から屍人と化した漁師が襲い掛かる。弱い視界を頼りに逃げる三上。だが彼は足を踏み外し、崖下へと転落するのだった。<br /><br /><br />
チンピラ風の男、阿部倉司とともに漁船に乗り込んだ女、喜代田章子は生まれつき場所や物に付いた過去の記憶を見ることができ、その力を生かし占いで生計を立てていた。<br />
少し前、彼女は不思議なものを見ていた。彼女は夜見島の漁港で、とても古い記憶の中に殺害された彼女の友人「多川柳子」の顔を見たのだった。<br />
(参照 </font><a target="_blank" href="http://ime.nu/www.yumemi-salon.com/j/index.html"><font color="#000000" size="2">http://www.yumemi-salon.com/j/index.html</font></a><font size="2">)<br />
「なぁなぁそれ霊感てヤツ?実はさ、俺も昔みたことがあってよ~」<br />
くだらない話で章子の思考をジャマする阿部は、柳子の同居人であり、恋人であり、殺害の容疑者である。柳子が殺害されたことを章子が自宅のテレビで知ってすぐ、突然ナイフを持った阿部が押しかけてきたのだ。<br />
「俺は柳子を殺しちゃいねぇ!あの前にあいつにあっているんだ!」そう喚く阿部。<br />
彼は自宅で顔が判別不可能なほどに殴打されていた柳子らしき死体の発見前に、階段で彼女とすれ違い、挨拶までしたという。<br />
だが普段から粗暴で、柳子との諍いが絶えなかった阿部は真っ先に容疑者として指名手配されてしまう。パニックに陥った彼は、柳子の友人で、彼が胡散臭がっていた章子のもとに駆け込んだのだった。そこで彼の過去を「視た」章子は阿部を信じ、彼が目撃した「もう1人の柳子」を探す決意をする。<br />
そうして夜見島へきた二人だったが、船は転覆。二人は無人の島に置いきけぼりである。にもかかわらず阿部は足元に落ちていた胡散臭い金のアクセサリーを拾い<br />
「これ純金じゃね?」などと軽薄でくだらない言動を続けるのだった。<br />
そうして休んでいるなか、阿部と章子は、二人に向かって押し寄せる巨大な赤い津波を目にする<br /><br /><br />
夜見島出身の駐在警官、藤田茂は夜見島の金鉱跡を巡回していた。地元の漁師たちから無人のはずの島に女がいるのを見た、との通報があったためだった。<br />
藤田は生来、余計な事によく首を突っ込む性質で、その事で、家族からは疎まれていた。決定的だったのは数年前、情に絆されて窃盗犯を取り逃がし、警部補から現在の地位に降格されたときのこと。妻は過労で倒れ、大学進学を諦めざるを得なくなった娘、朝子からは事実上の絶縁を手紙で通告される事になったのだった。<br />
無線で連絡を取ろうとした藤田だったが、どうした事か無線が通じない。その時、彼の視界を黒い塊が横切る。黒い塊は屍霊と呼ばれる凝り固まった闇に人面が浮かび上がったものだった。屍霊の襲撃を懐中電灯と警棒で振り払い、高台の小屋から藤田は妙なものを見つける。深い森の中に大きな客船が座礁しているのだった。<br />
「はぁ~やんなっちまうなぁ。すまんなぁ、朝子。」そうつぶやくと彼は客船へと急行するのだった。<br /><br /><br />
県立亀石野中学2年、矢倉市子は突然目を覚ました。テニス部の試合、団体戦準優勝、その帰りのフェリーの中・・・のはずだったが、市子はたった一人、薄暗い船倉で倒れていたのだ。<br />
「ノリコー!中島くーん!?みんなどこー!?」<br />
だが返事はない。その時唐突に頭に流れ込む誰かの視界。<br />
「なに・・?これ?・・・ヤダ・・わかんない!!」<br />
パニックに陥りそうになる市子だったが船内を徘徊する屍人をやり過ごし、何とか艦橋へとたどり着く。突然船内電話が鳴り響く。<br />
受話器を取ると中年男性の声が受話器のから聞こえてくる。矢継ぎ早に市子に質問する男。<br />
しかし市子が答えようとしたとたん、ノイズが混じり、電話は切れてしまう。またしてもパニックになりそうな市子だったが、勇気を振り絞り、船底の電源室へと向かう。<br />
「誰かいませんかー!?」<br />
そう叫ぶ市子に扉の向こうから男が答える。<br />
「そこにいるのか!?待ってろ!お巡りさんすぐにここを開けるから!」
 針金を使い、鍵をこじ開ける藤田。かくして二人は無事合流し、船の外へ脱出するのだった。<br /><br />
藤田の乗ってきた船を目指す藤田と市子。旧軍の砲台跡地に差し掛かったとき、1人の男が二人の前に現れる。<br />
「藤田んとこの、馬鹿息子か・・・・」<br />
息も絶え絶えに語るのは、網元、太田常雄である。<br />
「親父さん!あんた10年間なにしてたんだ!?」<br />
10年前に全島民とともに消えたはずの太田を前にして動揺する藤田。<br />
だが二人は再会を喜ぶこともなく、太田は絶命してしまう。絶命した太田を取り囲む屍霊。ほどなくして太田は屍人として復活し、二人に襲い掛かるのだった。<br />
太田を退け、砲台跡の地下に入る二人、だがそこで太田に追い詰められてしまう。太田が市子に襲い掛かろうとしたまさにその時、市子は太田に向かって哂ったのだった。その笑みをみて恐れおののき、逃走する太田。<br />
不思議に感じた市子だったが、藤田は気に留めず、二人はもうひとつの砲台跡を経由し船を目指すのだった。<br /><br /><br />
まるで誰かの意識が自分の中に流れ込んでくるような不快感に苛まれながら、一樹は目を覚ました。 傍に立つ百合に着物姿の女がつかみかかる。<br />
「なんで!なんであんたが生きてんのよ!」女を振りほどき、逃げる一樹と百合。<br />
金鉱跡にたどり着いたとき、一樹は再び不快感に襲われる。<br />
「じっとして。意識を集中して・・・。」
 一樹に声をかける百合。すると一樹の視界に、百合の視界と思しき視界が入り込む。一樹は信じられなかったが、百合は特に気にした様子はない。この不可解な力を駆使し、屍人の蠢く金鉱跡を突破する二人であった。<br /><br />
金鉱跡を抜け、再び山道へと入った一樹と百合。一樹は自らの体験した数々の不可解な出来事に困惑していた。<br />
「おかしい。いくらなんでも非科学的すぎる。」そうつぶやく一樹。<br />
百合に意見を求めても、返ってくるのは母を助けるという自分のことばかり。混乱と疲労が一樹を苛立たせ、きつい言葉を発してしまう。<br />
「その君の母さんとかいう人、本当にいるの?」その言葉に過剰な拒否反応を示す百合。<br />
「私のこと信じてないのね!」そう言い放ち、駆け出す百合。<br />
一樹は取り繕うこともできず、その場に立ち尽くすのだった。<br /><br />
山道を独り歩く百合。足元にまとわり着く屍霊を踏み潰し、一瞥をくれたその時、森の中に座礁した船から何かを感じ取る。<br />
「-誰?」そうつぶやくと百合は客船へと向かうのだった。<br /><br /><br />
夜見島、瀬礼洲に打ち上げられた客船ブライトウィン号。三沢と永井は船内を探索するなか、永井が不安な心境を告白する。<br />
「これは夢じゃないのか、自分の頭はおかしくなっているんじゃなのいのか」<br />
「なら、頭に弾丸ぶち込んでみるか?」三沢は永井に聞く。<br />
「もし夢なら暖かい布団で目が覚める。もし夢じゃなかったらー、それで、終わり-」<br />
突然永井の頭に銃口を向け、ふざける三沢、その顔には子供のような狂気じみた笑い顔が浮かんでいる。<br />
驚く永井。ふと、背後の物音に気づきライトを向ける。そこのは先ほどの若い女がいた。光を嫌がり、逃げる百合。<br />
追いかけようとする永井だったが、三沢は気にも留めず、そのまま別の船室へと向かう。<br />
「三佐?三沢さん!・・・・・なんなんだよあいつ調子乗ってんじゃねーよ」<br />
永井は1人で百合を追い、無事百合を保護した永井だったが、百合を執拗に狙う、着物を着た女屍人によってタラップを落とされ、船から脱出できなくなってしまう。<br />
永井は船倉にできた亀裂から百合を逃がし、自らも、救難艇で客船から脱出するのだった。<br /><br />
先に脱出した百合に追いついた永井。百合は長いに抱きつき、問いかけるのだった。<br />
「あなたは私を信じてくれる?助けてくれる?」百合の神秘的な美しさに惹かれる永井。<br />
その時、突然背後から三沢の銃口が百合に向けられる。銃口を跳ね除け、百合を逃す永井。<br />
「何なんだよあんた!あんた前からおかしいと思ってたよ!!なんであんたなんだ・・・。<br />
なんであんたじゃなくて沖田さんが・・・!ちくしょう!!もうやってられっかよ!!」<br />
募らせた思いを吐き出す永井。吐露された怒りは上官と部下の関係を破綻させるのだった。<br /><br /><br />
最後の一粒になった錠剤を飲み込む三沢。<br />
「なーがいくーん、いっしょにあそびましょー!」<br />
またしても彼らしからぬ、ふざけた調子を取る三沢。彼の精神は極限まで蝕まれつつあった。<br />
2年前、大地震に襲われ、壊滅した羽生蛇村。彼は災害救助の任務を遂行していた。ただ1人、無傷で助かった少女を抱きかかえ、ヘリに吊り上げられる三沢。<br />
その時彼は見たのだ。眼下に広がる泥土の中から彼と少女に掴みかかろうとする無数の手を。この地にかけられた呪いの断片、安らかに眠ることすら禁じられたものたちの呪詛と怨嗟-。<br />
「やめろ・・・やめろーーーーッッ!!」ただ叫ぶことしかできない三沢。<br />
「三沢一尉?三沢一尉!?」彼を呼ぶヘリからの声で我に返る。<br />
彼の眼下にはただただ先ほどと同じ、泥土に埋もれた村が映っていた。<br />
この出来事以来、彼の精神は病み、鬱の状態になることが多くなった。それは、三佐昇進、冬季東アジア大会での輝かしい功績をもってしても打ち消せず、薬の使用により何とか押さえ込んでいる状態だった。<br />
だがこの島に来て以来、立て続けに起きている怪異は彼の神経を高ぶらせ、鋭敏にし、加速度的に精神状態を悪化させていた。<br />
「どうしてそんなに嫌うかな・・・・・どこだ、永井。」そうつぶやき歩き出す三沢。<br />
だが彼は廃墟の金鉱社宅の一室に妖しい光がともるのを目撃する。その部屋へと向かおうとする三沢。だが彼の行く手を沖田以下、彼のかつての部下が阻む。<br />
彼の持てる戦闘技術を結集し、屍人たちを退け、三沢はついに部屋へたどり着く。<br />
だが、そこには、あの日助けたはずの少女が、座って泣いていた。少女の肩に手をかけようとする三沢。<br />
その時少女が突然振り向き飛び掛ってきた。その顔は屍人そのものだった。反射的に飛びのき、銃を乱射する三沢。だがそこには少女の気配すらなかったのだった。<br /><br /><br />
金鉱社宅前で意識を取り戻した章子は奇妙な感覚に違和感を抱く。いつもの過去の視界ではなく、今現在の誰かの視界を見ているのだ。<br />
「何、これ?いつもと違う・・。」そうつぶやく章子。<br />
彼女が見たのはフェンスに生っていたアケビをもぎ取って食べる阿部を見ている誰かの視界だった。<br />
放置されていた軽トラに乗り、社宅跡を突破する章子。<br />
一方阿部は犬の鳴き声に導かれるように、社宅跡を後にする。<br /><br /><br />
崖から転落したあと、阿部によって助けられた三上。今は砲台跡のトンネルにいた。<br />
「アレッ?あんた三上脩じゃねぇ?」相変わらず軽薄な阿部を無視して、話を進める三上。<br />
「この島のどこかに、記憶を引き出す鍵があるはず・・・阿部さん、あなたの目をかしてくれないか?」<br />
阿部の視界を借り、砲台跡を探索する安部と三上。地下の封じられた弾薬庫をの入り口を破壊し、中に入る二人。だが特に妖しいものはない。<br />
「なんだよなにもねーじゃねーか」ぼやく阿部。<br />
しかし三上がレンガ造りの壁に触れたとたん、壁が崩れ、土の中に埋もれた人魚のような生き物の化石を発見する。<br />
おおきなかみさま しんだ おねえちゃんのおかあさん うまれた いっぱいうまれた<br />
子供のころ、加奈江が話してくれたことを思い出す三上。<br />
三上は記憶の断片を取り戻し、二人は急ぎ、砲台跡を脱出するのだった。<br /><br />
遊園地跡へとたどり着いた二人。三上は闇の中から自分を呼ぶような声を聞いた気がした。<br />
幼いころの記憶がよみがえる、七つの門、七つの鍵。加奈江の残した言葉と歌、そして父、隆平が捜し求めた夜見島の謎。それさえ解けば記憶が完全に戻るという確信が彼にはあった。<br />
電動パンダにまたがる阿部に三上は再び協力を求める。物事に頓着しない阿部は、彼の真意を知ることもなく、彼に協力するのだった。<br /><br /><br />
百合をさがして夜見島遊園へ独りたどり着いた一樹。百合は座っていた。声をかける一樹に百合はガラス製の鳩を見せた。<br />
「見て」百合の手から滑り落ち、粉々に砕けるガラスの鳩。<br />
「早くしないと戻ってしまう、混沌の闇の中に・・・」つぶやく百合。<br />
一樹は百合の言葉を理解できなかったが驚くべきものを見た。それは先ほど砕けたはずのガラスの鳩だった。まるで何事もなかったかのようにそれはそこにあった。<br />
百合の歌う失われたはずの「巫秘抄歌」と幻視によって次々と現れる碑の封印を解く一樹。そうして最後の巫女の碑の封印を解いた時、とたんに強い眩暈に襲われる。<br />
「見て・・・」頭を押さえ、苦しむ一樹の背後を指差す百合。<br />
錆付いた観覧車があったはずのそこには巨大な穴が現れていた。<br /><br />
遊園地の地下に広がる空間。異様な雰囲気が漂うなか、一樹は百合の後を追って鉄製の階段を下りていく。<br />
その先にあったのは、地底に広がる赤い海。百合はゆっくりと振り返り、上着を脱ぎ捨てていく。<br />
「本当の私を見て・・・」<br />
そう呟き、はだけた胸元には、もうひとつの顔が浮かび上がっていた。<br />
百合もまた、人ならざる者だったのだ。立ち尽くす一樹に、今度は胸元の顔が話しかける。<br />
「見て・・・私を見て・・・本当の私を・・・」<br />
そして百合の背後の赤い海の底から、サイレンに似た咆哮とともに、怪物と呼ぶにふさわしい姿をしたものが現れたのだった。<br /><br />
百合を名乗っていたモノ・・・。それは「母胎」の化身だった。<br />
母胎・・・かつて地上を光の洪水によって追われ、異界の地の底に潜みしものの集合体。永遠に近いときを経て、彼らの悲願を達成する機会がついに訪れた。人間の手により封印を解き、人の肉体を自らと融合させること。悲願達成の第一歩はついに歩みだされた。<br />
成す術もなく、母胎に取り込まれそうになる一樹。だが取り込まれようとした瞬間、翔星丸の無線員、木船郁子が突如現れ、不可思議な力で母胎の動きを封じ、一樹を助ける。<br />
「早く逃げてっ!これ以上は私が持たない!」 正気に返り、母胎から逃げる一樹。<br /><br />
その時。<br />
「うわぁっ!何なんだよこれ!」絶叫する阿部。<br />
三上と阿部の二人がこの封印の地へと、母胎の前へと現れた。<br />
三上の見えなくなったはずの目には、母胎ではなく、かつて己の目の前で海の底へ溶けるように消えていった加奈江の顔が映っていた。<br />
「おねえちゃん・・・?おねえちゃんだよね・・・?」過去の記憶を取り戻した三上。<br />
彼の目に映るのは人面魚体の怪物ではなく、やさしかった姉の姿。<br />
「ぼくさびしかったよ・・・くらやみのなかでひとりぼっちだったよ・・・」<br />
ふらふらと赤い海に佇む加奈江へと歩いていく三上。三上が加奈江に抱きつこうとしたその時、章子が現れ、三上に叫ぶ。<br />
「脩ゥッ!見ちゃダメェーーッ!!」<br />
「おねえちゃん・・・?」章子の発した言葉に驚きの表情見せた三上だったが・・・<br />
すでに遅かった。<br />
母胎の腹部から伸びた何本もの触手によって、三上は母胎に完全に取り込まれてしまった。<br />
「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」<br />
歓喜の笑い声とともに何十、何百もの闇霊を産み落とす母胎。<br />
その姿に驚き、阿部は章子を、木船は一樹を連れ、その場から逃げるのだった。<br />
しかし彼らの後を闇霊、大きな口を持った、たとえるなら真っ白な人魚の胎児のようなモノが追いかける。<br /><br />
その時、地上では、<br />
三沢は無数の屍霊と戦い、<br />
永井は鳴り響くサイレンの音に耳をふさぎ、<br />
冥府の門が開き、母胎が復活したその時、市子に急激な変化が訪れた。<br />
薄笑いを浮かべる市子。藤田の胸に突き立つナイフ。うわごとのように娘への懺悔を呟き動かなくなる藤田。<br />
我に返った市子の嗚咽と叫びが闇に木霊する。・・・市子は鮮血に染まり、もう動くことのない藤田に抱きついて、泣いていた。<br /><br /><br /><br /><br /><font size="5">母体復活後<br /><font size="2"> 穴の壁面に沿うように設けられた鉄組みの足場を全力で駆け上がる木船と一樹。だが一樹は母胎に操られたこともあってか、疲労が頂点に達していた。膝をつき、その場から動けなくなる一樹。<br />
そこへ、階段の上から無数の屍霊が、下からは無数の闇霊たちが迫る。<br />
「僕を置いて・・・逃げるんだ・・」弱音を吐く一樹。<br />
「何かっこつけてんのよ!こんなとこでかっこつけたって誰も見てないよ!バッカじゃないの!?」そんな一樹を叱咤する木船。<br />
人外のものが迫り、最早これまでと思われたが、果たして化物たちは二人に襲い掛かることはなかった。<br />
彼らを飛び越え、互いに喰らい始めたのだ。顔を見合わせ、頷く一樹と木船。二人は全ての力を振り絞り、地上へと向かって走り出したのだった。<br />
なんとか地上へと出た二人だったが、そこにはすでに屍人たちによって包囲されていた。<br />
木船は他者の肉体を乗っ取る自らの力を駆使し、武器を手に入れ、七つの碑を叩き壊し、「冥府の門」を閉じようとする。しかし門は閉じられることなく、門の中から黒衣をまとった闇霊たちがあふれ出てくるのだった。<br />
逃げようとする二人を、変わり果てた藤田と屍人自衛官が包囲する。<br />
しかしまたしても闇霊たちによって屍人は喰われ、二人は窮地を脱する。<br />
遊園地の出口へと向かった二人は闇霊に襲われ、すでに出せる力もなく、絶体絶命の危機に陥る。<br />
しかし空から降り注いできた赤い光によって彼らを取り囲んでいた闇霊は消滅し、二人は三度の危機をまたしても運命に救われたのだった。<br /><br />
集落まで逃げた二人。しばしの休息の後、人との接触を怖れる木船はその場から立ち去ろうとするが、木船の手をつかみ、二人で行動することを提案する一樹。<br />
しかし木船の、自分は人の心を読むことが出来る、という言葉に驚き、一樹は手を離してしまう。<br />
「そんな・・・化物を見るような目で見ないでよ」木船はそういい、力なく微笑み立ち去っていった。<br />
やはり自分は化物なのか。そのような思いに捕らわれる木船であった。<br />
取り残された一樹は、何故手を離してしまったのか、と後悔していた。<br />
彼の脳裏につらい過去の記憶がよみがえる・・・<br /><br />
怪異発生より8時間後の夜見島、潮降浜。その近くを矢倉市子は彷徨っていた。服には藤田の血がついている。<br />
「お母さん・・・家に・・・帰りたい・・・」そう呟く市子の脳裏に一瞬奇妙な記憶が甦る。<br />
誰かの手にぶら下がる自分。しかし、ブレスレットが千切れて海へ落ちていく。記憶のなかの市子が海に落ちたと同時に、市子自身も足を踏み外し、崖下の道路へと転落した。<br />
逃げなきゃ。そう思い、潮降浜の前を走りにける市子。その前にアイロンで武装した女屍人が立ち塞がる。<br />
武器を持たない市子では対抗することができない。逃げようとしたその時、背後から軽トラックのエンジン音が鳴り響いた。<br />
驚いて道脇の草むらに飛び込む市子。そのすぐ横を軽トラックが猛スピードで通過した。<br />
市子が草むらから這い出してみてみると、女屍人が少し離れたところに転がっていた。撥ねられたらしい。<br />
市子はアイロンを手にすると廃墟になった小中学校跡へと向かったのだった。<br />
大道具倉庫で釘箱を入手した市子はそれを校舎裏の道に撒いた。しつこく追跡してくるトラックをそれでパンクさせようというのだ。<br />
市子の目論み道理、タイヤが破裂し、制御を失い、封鎖された校舎裏門を突き抜けるトラック。<br />
その時校舎裏門から大量の闇霊が侵入してきた。屍人たちは市子に目もくれず、闇霊を攻撃し始める。<br />
そのまま校舎裏門を抜ける市子だったが軽トラックから屍人が降りてきた。かつての沖田宏である。<br />
沖田は市子に気づくまもなく闇霊に囲まれ、そして喰われた。<br />
市子は泣き叫びながらその脇を通り抜けるが、闇霊に囲まれてしまう。<br />
その時、市子の頭上に赤い光が降り注ぎ、包囲していた闇霊は蒸発するのだった。<br /><br />
四鳴山の林道を歩く阿部と喜代田。阿部が多川柳子との思い出を語りだす。<br />
「あいつ時々わけわかんねーくらい暴れだしたりしてさ・・・」そこまで語ると言葉につまり、俯く阿部。<br />
阿部に寄り添う章子。二人が顔を上げたとき、信じられないものを見る。<br />
目の前にそびえたつ廃鉄塔。その上空にはもう一本の鉄塔が宙吊りに浮いている。いや、そうではない。夜見島上空にはまるで鏡に映りこんだかのように、もうひとつ夜見島が存在していた。<br /><br />
「何かに呼ばれている気がするの。そこまで連れってくれないかな。」<br />
そう阿部にいい、廃墟の港湾施設を探索。立ち止まっては過去の映像を見る章子。<br />
「アレ?これは・・?」「どういうことなの?」「・・・そうか」「・・・もう少し・・・もう少しで・・・」<br />
「・・・灯台へ行きましょう」そう阿部に告げる章子。<br />
「・・ほら、がんばって・・」「もう少し、あともう少しよ・・」<br />
灯台前の橋にたどり着いた二人。だが橋は崩落している。しかし章子は穴に向かってフラフラと歩いていく。<br />
「ホラ・・・もう少しよ・・・がんばって・・・・・しゅう」<br />
「おい!あぶねぇ!」<br />
穴に落ちそうになる章子の腕をつかむ阿部。章子はそのまま倒れこむのだった。<br /><br />
疲れ果て、道沿いの石の上に腰を落とす二人。<br />
「はっぴばーすでぃとぅゆー♪」<br />
突然歌いだし、ポケットから拾った金のアクセサリーを章子に手渡す阿部。<br />
「今日誕生日だったろ?免許書で見たんだよ。」<br />
戸惑いながらも表情を緩める章子。俯いて寝息を立てだした阿部に寄り添い、しばしの平穏を味わうのだった。<br /><br /><br />
砲台跡で大の字になって寝転び、三沢は空を見上げていた。空にはもうひとつの夜見島があった。<br />
「・・・あっち側は遠いなぁ・・・」そう呟く三沢。<br />
その時、突然少女の叫び声が聞こえてきた。<br />
すぐ近くで市子が闇人に襲われていたのだ。その叫び声を聞き、薄ら笑いを浮かべて武器を構える三沢。<br />
市子は三沢に助けられ、無事に砲台跡から脱出する。そして三沢も市子の後を追うのだった・・・。<br /><br />
蒼ノ久集落に来た永井は少女の嗚咽と男の声を聞いた。<br />
「あの女より生臭い。お前は何なんだ」そういい市子に銃を向ける三沢。<br />
「わかんない・・わかんない・・・!!」そういい泣き叫ぶ市子。<br />
「やめろーッ!!」そう叫び咄嗟に銃を構える永井。  しかしその弾みで銃が暴発し、三沢を打ち抜いてしまう。<br />
よろよろと永井の方に向き直る三沢。<br />
「・・・・やるじゃない」そして永井に抱きかかり、最期の言葉を残すのだった。<br />
「俺は先に目覚めちゃうけど・・・・・悪いな」<br />
最後まで三沢の真意を理解できず、目の前の事実に呆然とする永井。<br />
永井は市子を連れ、その場から逃げるのだった。<br /><br />
三沢を射殺し、市子をつれてその場から逃げ出した永井は夜見島金鉱社宅へとたどり着いた。<br />
虚ろな市子を励ます永井。その背後の暗闇に、巨大な顔がぼんやりと浮かび上がる。<br />
銃を構える間もなくはじき飛ばされる永井。起き上がると既に市子の姿も無い。<br />
さらわれた市子を奪還すべく走り出す永井。<br />
社宅の一室に市子はいた。しかし永井が声をかけるが虚ろな笑い声だけを返す市子。市子はフラフラと立ち上がり、突如、機関拳銃を永井に向けて発砲した。<br />
「あの時死んだのは・・・・私。・・・・早く還りたい・・・・おかあさん。」<br />
意味不明な言葉を呟き、闇人を殲滅しながら社宅をさまよう市子。<br />
永井は市子が落としたと思われる壊れたブレスレットを市子の前に示し、正気に戻そうとするが、市子は永井の手を振り解き、逃げてしまうのだった。<br /><br />
市子は思い出す。ー眼下に広がる、荒れ狂う漆黒の海。親友ノリコの腕にぶら下がり、今にも落ちそうな市子。<br />
おそろいで買ったノリコのブレスレットに指がかかり、ブレスレットが大きくゆがむ。<br />
死にたくない。そう思い指に力をこめた刹那、市子は荒れ狂う異界の海へと落ちた。<br />
赤く染まった海中に漂う市子。手にはブレスレットが握りしめられている。<br />
水中に響くくぐもったサイレンのような音が、徐々に市子に近付いていく。<br /><br /><br />
ドアを開け船室に足を踏み入れる一樹。薄暗い船内に外光が差し込み、闇霊が奇怪な叫び声を上げ消滅する。殲滅すべき敵を認識した一樹の目に憎悪が宿る。<br />
「光が・・苦手なんだな・・・。化物め、化物め、化物め!」<br />
憎むべき敵と、その弱点を知った一樹は船内の電源を復活させ、闇霊を一掃する。<br />
人の姿をした化物も、更に醜悪な姿になった闇人、ともえをも倒した一樹。<br /><br />
疲れ果て、忍び寄る闇霊に気が付かない一樹を永井が助ける。悲観的言動の一樹に対して、ある種の居直りを見せる永井は、絶望的状況での悪あがきを促す。<br /><br />
再び夜が訪れる。待っていても助からない。二人は怪異とその元凶に挑む。<br /><br /><br />
夜見島、瓜生ヶ森。<br />
背後から郁子の肩を掴もうとする阿部。反射的に振り払う郁子。<br />
「なぁアンタ、派手なカッコした女見なかった?・・・・あれ?アンタどこかで・・。」<br />
阿部は章子の行方を尋ねるうちに、何故か奇妙な懐かしさを覚える、郁子は何も答えず走り去る。<br /><br />
章子は蒼ノ久集落にいた。<br />
章子の意識に自分のものではない過去の映像が断片的に甦る。目を開く章子。<br />
「脩……あの子はどこ?」覚束ない足取りでさまよい始める章子。<br />
自分のものでない記憶に導かれた章子は三上家へたどり着く。<br />
しかしその三上家から異形の存在となった三上脩の父、隆平が現れる。<br />
「まだ起きていたのか。早く寝なさい。」子供をあやすような口調で襲い掛かってくる修平。<br />
章子は霊体となった脩に導かれ、夜見島に伝わる、異形の存在を浄化するという滅爻樹を手に入れる。<br />
隆平の隙を突き、その体に滅爻樹を突き立てる章子。異形の断末魔の叫びとともに、隆平は浄化された。<br />
そして章子は真実を知る。<br />
血にまみれさび付いた包丁。本当の自分。あの日の記憶。隆平の腹部に刃物を突き刺している自分。隆平は何が起きているのかわからない、という顔だ。<br />
玄関の戸が乱暴に開けられる。雨合羽をきた漁師の男たち。<br />
奥の逃げこんだ部屋。そこの鏡に映るのは・・・自分の顔!<br /><br />
振り上げた包丁を鏡に叩きつける。章子の顔はひび割れ、砕け散る。<br />
「ーそう、私はー」<br />
錆びた包丁を手に立ち上がる章子。だがその顔は加奈江のものになっていた<br /><br /><br />
四鳴山、離島線4号基鉄塔。かつて島民から聖域として畏れられた地に聳え立つこの鉄の塔も、島の他のものと同じく朽ち果て、自然の中に埋没していた。<br />
そしてそれは島が異界と化した際に、さらにおぞましい姿になった。朽ちたコンクリートの基部とその上に立つ鉄骨製の塔、そしてそれらにまとわりつき、飲み込むように伸びる一本の巨木。<br />
それは異形に対し、抗うことを決心した者たちを竦みあがらせた。<br /><br />
社宅、ブライト・ウィン号、それぞれで異形に対面した二人だったが、一樹と永井は奇怪な鉄塔がそびえ立つ異様な光景に気圧された。<br />
その鉄塔の先に、もうひとつの夜見島があるのを見た一樹がひとつの結論に達した。<br />
「ここは27年前の夜見島のコピーだったんだよ!!」<br />
「うわぁ・・・語り始めちゃったよこの人・・・。」<br />
「やつらはこの鉄塔を利用して現実の世界に浸出するつもりなんだ!」<br />
一樹は思いつめた表情で、塔へと独り歩き出し、諦めと居直りの態度の永井がその後を追う。<br /><br />
二手に分かれた一樹と永井だったが、鉄塔上部にて無事に落ち合うことができた。階下の永井を一樹が引き上げようとしたその瞬間、背後から再び異形が現れた。<br />
「他所者どもめ・・・・わしの目の黒いうちは好きにはさせんぞ!!」それは変わり果てた網元、太田常雄だった。<br />
太田に突き落とされ、鉄塔から落下する永井。一樹は鉄塔内部へ逃げ込み、隙を突いて太田を押さえ込む。そして途中で偶然手に入れた太田常雄銘の滅爻樹を突き立てた。<br />
「あああぁぁぁぁぁッ!・・・穢れが・・・消える・・・」<br />
断末魔の叫びを残して、太田常雄は滅せられた。<br />
その様子を見ていた太田ともえは、驚き、怯え上階層へと逃げていくのだった<br /><br /><br />
感応視により闇人達が鉄塔を通じて現実世界に侵攻しようとしていることを知った郁子は、鉄塔のふもとにて頂上を見上げ、闇人たちの思惑を打破しようと決意する。<br />
そのとき不意に背後に気配を感じ振り向くと、視界の端に人影を捉え消えた。その人物のいたところには滅爻樹(藤田茂銘)が転がっていた。<br />
鉄塔を上る道中、クレーンの鍵、鉄塔に絡まるように生えていた大樹に突き刺さっていた闇那其(あんなき)なる巨大な石、乙式ともえがいじくっていた一樹のカメラを入手。<br />
感応視を駆使して闇霊や闇人がたむろする鉄塔をさらに上り、鉄塔中腹で徘徊していた闇人藤田を滅爻樹で浄化した。<br />
「そうか…あんたも…あの…」と藤田は謎の言葉を郁子に投げかけ浄化されていった。<br />
闇霊闇人との幾多の戦闘や闘争のはてに疲労困憊となった郁子はよろけ、さらにその足場は崩れてしまった。が、あわやの所でその手を一樹がしっかりとつなぎ止めた。数時間前には異能に躊躇し手放してしまった郁子の手だったが今度は離さないと、これまでの顛末を詫びる一樹。それに悪態で返す郁子。そうして笑みを浮かべる二人であった。<br />
そして二人で鉄塔の頂上を目指す。<br /><br />
夜見島金鉱採掘所<br />
昨日団地内に自生していた夜見アケビに当たり腹痛に苛まれながらトイレを探していた阿部。<br />
激しい絶望感に「くそすぎだろっ!このままじゃよう…」とへたれこんだその頭上に銃弾が打ち込まれた。<br />
徘徊の最中、闇人化した三沢をかわし物置に入ると霊体化した三上と遭遇。持ち前の明るさで気さくに挨拶する阿部の目の前で三上は壁の中へ消えていった。<br />
三上が消えたそこには犬笛があった。その犬笛を何の気無しに吹いてみるとツカサが現れる。彼女も霊体化した三上に導かれて金鉱へと来たのだった。<br />
ツカサは阿部が砲台跡で落としたライターを返すと、瓦礫の向こうへと再び走り去っていった。<br />
鉄塔から落とされ再び一人となった永井は闇人への徹底抗戦を決意。フェイスペイントを施し自己を鼓舞し『逆切れモード(永井談)』となり闇霊を殲滅していく。永井は軽トラックで小学校を根城に跋扈する闇人闇霊を轢き殺し、団地で手に入れたタイムカプセルの地図をもとにヒューズを手に入れた。さらに校舎に立てこもった闇霊を信号弾の閃光でいぶりだし殲滅、残った闇人化した沖田をトラックに積んであったTNTで爆殺、体を完全に破壊されたことで沖田の復活は不可能になり、遂に引導を渡すことに成功する。<br />
そのころ学校に程近い浜、そのさらにさらに底の方から何か異形の生物が陸地に向かって急激な浮上を行っていた。<br /><br />
夜見島離島線4号基鉄塔<br />
鉄塔頂上を目指す一樹と郁子の前に完全に自我を失った模倣体(外見は完全なコピーで中身はさっきの異形の生物の意思というようなもの)として覚醒した市子が現れた。<br />
母体への恨みと思慕を郁子へ語りかける市子。右手に日本刀左手に機関銃を携えた市子も鉄塔の頂上を目指す。先に市子を頂上へ行かせてはいけないと悟った郁子と一樹は、さらに急いで鉄塔頂上を目指す事になった。<br /><br /><font size="5">※補足 何故みな鉄塔頂上を目指しているのか<font size="2"><br />
一樹&郁子組<br />
一樹:キバヤシ理論。根拠無し。<br />
郁子:ブライトウィン号沈没の際に唯一生還した木船倫子の(市子の親友で市子の片思いの相手の中島君の子供を宿している)体内にいた双子に百合や章子、加奈江と同じ性質をもつ母胎地上侵攻作戦に向けて放たれた内偵者が同化した。<br />
その結果、郁子は生まれながらに異能を手に入れていたのだが、異能を手に入れるとともに母胎の精神とのリンクも手に入れていた。<br />
そのため鉄塔の頂上に母胎がたどり着いてしまうと現実世界も侵食されてしまうと気がついている。<br />
母胎:地上侵攻作戦。三上脩の肉体を手に入れたことで、現実世界に侵攻する力を手に入れたため<br />
侵攻作戦が遂に実行されることとなった。鉄塔の頂上で現実世界とリンクしているため、そこにたどり着けば、現実世界への侵攻が現実のものとなる。<br />
市子:そもそも母胎と屍霊は同一種であり、光の届かなかった頃の地上で繁栄していたが、地上に光が降り注いだ際に、光に耐性のなかった母胎と屍霊は、それぞれ別の場所に避難した。<br />
母胎は異世界へ、屍霊は光の届かない深海へ。<br />
屍霊は自身を捨てて異世界へ逃げた母胎が憎くてたまらない反面、母胎と再び一つになりたいという願望を抱いている。<br />
そのため母胎の元へたどり着くべくブライトウィン号沈没の際に手に入れた市子の水死体をもとに自己の意思を反映するためのコピー、模倣体を異世界へ送り込んだ。最初は人間のときの記憶が再生されていた市子ではあったが、現在は完全に模倣体として覚醒しており母胎と合流するために鉄塔の頂上を目指している。<br />
また市子は母胎との合流が至上目標であるため、それを妨げるものは人間であろうと闇霊であろうと駆逐していく。<br />
一方母胎側としては長く現実世界にいることで形質が劣化してしまった屍霊にはさしたる興味もなく地上侵攻作戦を遂行することが至上目標であるため、邪魔する屍霊は敵として認識されている。<br /><br /><br />
鉄塔頂上に向かう道中乙式ともえを滅爻樹で浄化し、郁子が入手したクレーンの鍵でクレーンを動かし、市子をかわして鉄塔頂上へたどり着く二人。そこへ母胎も同じく頂上へたどりつく。<br />
母胎と一樹、郁子が対峙するその最中突如鉄塔が崩壊を始め、市子は地面へ、一樹と郁子母胎は空へと落ちていった。<br />
そのとき念願の母胎に辿りついた市子は、母胎にかえりみられる事もなく落ちて行くことになった。<br /><br />
夜見島金鉱採掘所<br />
丁度同じ頃、念願のトイレを遂に発見した阿部は用を足す。満足げにトイレを出、ツカサに返してもらったライターでタバコに火をつけ一服の後、バスケットのシュート宜しく便器に吸殻を放り込む阿部。<br />
見事にシュートが決まりガッツポーズを決め、トイレに背を向けた時、背後のトイレが爆発を起こした。汲み取り式のトイレであったそのトイレの底に溜まっていたメタンガスにタバコの火が引火、爆発することになったのだ。<br />
その爆発に連鎖されるように地下道に充満していたメタンガスが連鎖的に爆発。その爆発は鉄塔の足元にまで広がっていった。遂に爆発は鉄塔の足元を完全に破壊しつくし、鉄塔は崩壊を開始する。目の前の現実に眼を疑う阿部なのだった。<br />
その爆発鉄塔崩壊のため、現実世界とのリンクは崩壊、母胎の地上侵攻作戦は完全に潰えることとなり、阿部は何気に世界を救ったヒーローなのであったが、そのことは誰も、本人さえ知らないことである。<br /><br />
夜見島潮降浜渚<br />
鉄塔が崩壊していく姿を呆然と眺める永井の周囲から光がなくなっていく。闇人甲式として進化を遂げた三沢が不敵に笑っていた。永井は三沢との最後の決着をつけることを決意する。<br />
闇人甲式として進化した三沢は無限弾薬を誇る最強の機関銃MINIMIを装備、永井は迂闊にその前に立つことはできず、背後からその身を隠し狙撃することに成功する。<br />
機関銃を乱射し遂に地に果てた三沢。やっと全て終わったことに安堵する永井の背後から市子の声がした。その市子の顔には巨大な目玉が浮き上がっていた。市子はもはや模倣体としてその存在を維持できなくなっていたのだ。<br />
「家に帰りたい…一緒になりたい…」
つぶやき倒れる市子と、倒れ動けなくなった三沢を吸収するように浜から巨大な顔面(市子のを模倣したもの)の生き物が浮上してきた。<br />
まだ戦いは終わっていないことを知った永井は三沢の残した機関銃MINIMIを携え巨大な顔面の生き物(堕彗児/おとしご)との戦いに臨む。<br />
堕彗児は屍霊の凝結したものであり、光に弱い。ここで永井は潮降浜渚にある灯台に向かい、タイムカプセルから入手したヒューズを組み込み灯台の光を起動した。<br />
さらに堕彗児は移動手段が回転による突進しかないことに気づいた永井は廃棄されたタンクに激突させ、そこに残されていた重油を浴びせかけることに成功する。<br />
光を浴び重油を浴び、怯んだ堕彗児に対し、潮降浜渚に打ち揚げられていた、漁船の発電機を起動させ水銀灯をともした。<br />
そのランプを堕彗児にぶつけることで、重油を浴びたその体を燃やし尽くすことに成功。<br />
今度こそ本当に全て終わったことに歓喜の雄たけびを上げる永井。その叫びが夜の浜辺にこだました<br /><br /><br />
鉄塔の崩壊により一樹、郁子、母胎は特異点へ飛ばされていた。特異点、それは全ての事象が起こりうる世界だった。無限の可能性の中で現世と虚無の区別のない世界だった。<br />
その世界の空には赤い海があり、そこから母胎が顔を出していた。計画の破綻に激怒した母胎は一樹たちに襲い掛かる。そして、一樹たちも母胎との最後の決着をつける。<br />
一樹と郁子の協力の下でも母胎の力は強力で、一樹は弾き飛ばされてしまう。その際にポケットからかつて拾った三上が昔埋めたメダルが零れ落ちる。そのメダルを辿って幼少の三上もこの特異点へ導かれたのだった。<br />
さらにその三上を探して章子/加奈江も特異点へやってきた。三上を探す最中、加奈江は自身と母胎がリンクしていることに気づく。三上の肉体は母胎によって抑えられている。よってその肉体を解放するために加奈江は自傷する事によって、母胎に強烈な痛手を与えることに成功した。<br />
そのとき、一樹と郁子がここに来るまでに手に入れていた闇那其(あんなき)が輝きだし、石の刃物の様な形態になった。その闇那其を母胎に振り下ろす郁子。すると今まで一度もさしたる痛手を受けたと見られなかった母胎がうめき声を上げ逃げ出した。<br />
この闇那其には全てを無にしてしまう力(そして闇那其のみが残る世界を作る力)があった。
 そして一樹も母胎にその闇那其を叩き込む。強烈な断末魔を上げ息絶える母胎。決着に安堵する二人。しかし母胎は最後の力を振り絞り、再び赤い津波を呼び起こす。<br /><br /><br /><font size="5">ENDING<font size="2"><br />
三上脩&加奈江<br />
赤い海の中パジャマを着た幼い三上を抱く加奈江。<br />
「おやすみ、脩。」三上はそのまま瞳を閉じた。<br />
こうして加奈江と三上はともに赤い海(時空ののりしろ)の中、静かに二人のときを過ごしていく。<br /><br />
永井<br />
堕彗児を倒したのもつかの間、赤い津波に飲み込まれる永井。その永井が飛ばされた世界は太陽に暗黒の影がかかり、さも日食になったかの世界だった。浜辺には大量の闇人。この世界では闇人地上侵攻作戦が成功してしまっていた。<br />
人間は永井ただ一人、人間は伝説の怪物として恐れられていた。恐慌状態になる永井。永井の姿に恐れおののく闇人を機関銃MINIMIで次々と銃殺していく。永井が現実世界に戻る術はあるのだろうか…<br /><br />
阿部&ツカサ<br />
やはり赤い津波に飲み込まれてしまった阿部とツカサであったが、辿りついた先は朝日の昇る穏やかな海岸道路だった。<br />
その朝日を見つめながら、不意に全てが終わってしまったことに気づく阿部。この世界は闇霊屍霊がはじめから存在しない世界だった。そして、闇霊が存在しないため、母胎は存在せず、そして彼の愛した多河柳子もはじめから存在しなかった世界なのだった。<br />
果てしない絶望感に苛まれただ滂沱と涙を流す阿部にツカサが寄り添った。彼女も自身が尽くしてきた飼い主の三上がいなくなってしまったのだ。そうして一匹と一人は互いに寄り添い朝日を見続けるのだった。<br /><br />
一樹&郁子<br />
海岸で眼を覚ます一樹。朝日が昇っている。夜の世界が終わり現実に戻ってきたことを実感する一樹。<br />
一樹と郁子が戻ってきた世界は唯一今までと同じ現実の世界だった。郁子が眼を覚ました。二人で朝日を見つめる。<br />
穏やかな朝焼けの元満足げな一樹。その横で郁子は太陽の光を煩わしそうに睨み付けるのだった。<br /><br /><br /><br /><font size="5">外伝<font size="2"><br /><br />
闇霊蒸発1時間ほど前。<br />
崩谷、夜見島金鉱(株)社宅跡。<br />
そこに女の悲鳴が響き渡った。だが生きているもののそれではない。海より来る穢れに操られしもの、屍人の叫び声である。<br />
異界、夜見島において人の上に君臨し、蹂躙する存在。そのはずの彼らが恐怖し、逃げ惑い、仲間に助けを求めていた。かつての彼らの同胞、闇人が復活したのだった。<br />
同胞とはいえ、彼らの間には仔細あって愛憎遺恨が渦巻いている。<br />
初めはいきり立って闇人に襲い掛かった屍人たちだったが、その力の差たるや歴然。屍人は頂点の座をあっさり奪われた。しかし己の存在意義を賭け、全力で抵抗していた。<br /><br />
助けを求めた女屍人、鍋島揉子(金鉱跡で一樹たちの脳天をハンマーでカチ割ろうとした)は背後に迫る気配を感じ、ベランダへと逃げた。機関拳銃を手にした闇人が彼女を追いかけていたのだ。<br />
彼女を見つけ、歓喜の叫びを上げる闇人。<br />
その時。<br />
響きわたる叫び声に答えるかのように、不規則な足音が社宅跡に響く。その数2人分。<br />
三沢、永井らの隊を指揮していた陸上自衛隊の佐官、一藤二孝が部下の屍人自衛官を連れ、揉子救出に駆けつけたのだ。<br />
銃に弾倉を装着し、部下に指示を出す一藤。動き回る死体程度の屍人と完全に肉体を支配する闇人では身体能力の差は歴然。・・・ならば戦術でカバーするのみ!<br />
光に弱いという闇人の致命的な弱点をつきながら、立ち塞がる敵を倒し、社宅に突入した両名。その一室で揉子を無事発見する。<br />
「うぉぅ!?(訳:大丈夫か!?)」<br />
「ヒィィィィィィィ・・・(訳:アイロンが・・・形見のアイロンがないの・・・)」<br />
「うぉぅ!(訳:俺にまかせな!)」銃に新しい弾倉を取り付ける一藤。<br />
女を泣かすやつァ許さねぇとばかりにいきり立つ一藤。その心の裏には彼女への想いがあった。屍人だてらに一目ぼれである。<br />
その想いの前には凄腕狙撃闇人も変わり果てたかつての部下も意味を成さなかった。<br />
ついにアイロンを手にする揉子。あとはここより脱出するのみである。<br />
脱出まであと一息、その時背後から一藤を大量の銃弾が襲った。振り返ると銃を構えた闇人が立っていた。<br />
「イヒヒヒィィィイィィ!!」一藤に狙いを定め笑い声をもらす闇人。<br />
「!?ギィィィィィィッ・・・!」<br />
銃声とともにその場に倒れる闇人。その背後には部下屍人が立っていた。<br />
その姿を見て、安堵し、その場に座り込む一藤と揉子であった。<br /><br /><br />
33:33:33<br />
不死の肉体を持ち、異界の生物を殺しつくすうりえんを手にし、異界ジェノサイダーとなった須田恭也は、虚無の世界の夜見島に現れ、未だに生き残っていた闇霊闇人を殲滅する。その戦いに終わりはない。<br /><br /><br /><br /><font size="5">終了条件の意味</font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></p>
<p align="left"><font size="2"><font size="5"><font size="2"><font size="2"><font size="5"><font size="2"><font size="5"><font size="2"><font size="5"><font size="2"><font size="5"><font size="2"><font size="2">終了条件はSIREN中のステージを攻略するための条件で、それが達成されるとステージがクリアとなる。終了条件には2種類あって、まずそのステージがプレイ可能になると出現するのが終了条件1。他のステージで何らかの行動を起こすことでプレイできるようになるのが終了条件2。<br />
登場人物達は閉じた世界である異界に取り込まれているので、ループして同じ時間を繰り返してしまう。(終了条件1)<br />
しかし、それを打破するために各人が少しずつ違う行動をとり、それらが積み重なることで新たな道が開ける。(終了条件2)<br />
例えば、A地点からC地点へ到達が条件1とする。<br />
1では世界は何も変わらないが、途中のB地点で鍵を拾ったりすることで新たな展開がある。はっきりいうと新シナリオを開くためのフラグ立て。つまり、<br />
終了条件1でゲームを進める→主人公たちは無限ループに陥り、その隙に世界が征服される<br />
終了条件2でゲームを進める→ループ崩壊。ラスボスの元にたどり着ける<br />
無限ループは初代SIRENで、SIREN2はパラレルワールドの世界だった気がする。無限にある可能性の世界の中で、ある条件を達成した世界だけ、エンディングにたどり着けたみたいな感じの。だから「な~が~いくん。一緒に、遊びましょう~」などの三沢のセリフから創造するに、実は三沢は永井に恋していたとかいう世界もあるかもしれない。</font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></font></p>
記事メニュー
目安箱バナー