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MISSION:3
ある男の話をしましょう。純粋で実直な男の話です。
男は幼い頃にアーマード・コアの姿を見て衝撃を受けました。
ああ、なんてかっこいいんだろう。
彼はアーマード・コアに憧れました。焦がれました。
ACに乗って颯爽と戦場を駆け抜ける自分の姿を夢見ました。
多くの少年が胸に抱き、成長と共にやがて忘れてしまう夢想。
男の子なら誰でも一度は同じ様な経験があるのではないでしょうか?
よくあることです。何も珍しいことではありません。
しかし彼は少年から青年に成長しても尚、ACへの憧れを忘れませんでした。
それどころかACとその操縦者であるレイヴンへの思いは募るばかり。
-レイヴン-
最強の人型兵器“アーマード・コア”を繰り
多額の報酬と引き換えに依頼を遂行する傭兵。
支配という名の権力が横行する世界において
何にも与することのない例外的な存在である。
この有名な一節は男の心を捉えて離しませんでした。
魅入られてしまったのです。
レイヴン――漆黒の翼で戦場を自由に飛び回るワタリガラス。
レイヴン――獲物を狩る孤高のハンター。
レイヴン――災厄を運ぶ凶兆のシンボル。
レイヴン。
その言葉を口にするだけで彼の胸は高鳴りました。
レイヴン。ああ、なんという甘美な響きなんだろう。
もう誰も男を止めることなど出来はしませんでした。
彼は周囲の反対を押し切って、当時レイヴンの派遣を一手に引き受けていた
グローバル・コーテックスの門を叩いたのです。
幾多の障害を乗り越え、最終試験という名の実戦を生き抜いて
男は無事レイヴンとなりました。
当初はレイヴンとしての資質を危ぶまれていましたが
実力をつけ、サポート役として傭兵仲間の間で信頼される存在にまでなりました。
大願成就。彼が幼い頃に思い描いた夢は叶った!
でも、そう思ったのは本人以外の人たちだけでした。
彼は満足していなかったのです。夢を叶えたとも思っていませんでした。
決して表には出しませんでしたが、理想と現実のギャップに苦しんでいたのです。
企業の駒でしかないレイヴン。
もっと自由な存在じゃなかったのか?
いつも主役にはなれない自分。
こんな脇役になりたかったんじゃない!
彼がこんな感情を持ってしまうのは仕方のないことなのです。
だって知っているのだから。
企業と真正面から戦える力を持ったレイヴンを。
常に事件の中心にいて主役であり続けるレイヴンを。
そんな眩し過ぎる存在を知っているのだから。
レイヴンとしての出発点は同じだった。
同じ輸送機に乗っていた。
一緒に投下された筈なのに……。
イレギュラーとの出会いが男にとって幸運だったのか
不幸だったのかは分かりません。
しかし、彼の人生を変える出会いだった事だけは間違いないでしょう。
彼は管理者崩壊の混乱に乗じて姿を消しました。
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