虚数の海【非空間


虚数の海(きょすう-の-うみ,the Dirac Sea)とは終焉的収斂を繰り返す
閉鎖的非空間複合構造の通称。の途絶える危険地域であると考えられ
てきたが、現在では天然知財としての活用が注目されている。


息詰まる水底

非空間の概観は朽ちて苔生した近代廃墟群である。常に束が揺らぎ、それに呼応
して非空間全体も陽炎の様に揺らめいている。足元はぬかるむ様にしなり、意図
せぬ梯子歩行収斂酔いも頻発する。そして時として廃墟は「みだすあな」と呼ば
れる差分生命で満たされ、海底に積もった澱束を含めた全ての束を攫っていく。

弥勒腕-時を渉る機仙
可能性の揺らぎ、知覚の外側を内に含む虚数の海は差分生命の影響を著しく
受ける場所である。その干渉力は「みだすあな」の満ちる虚朔の時に最も強ま
り、時として機仙にすら及ぶ。【編集中】

虚朔

「みだすあな」が虚数の海に満ちる範囲、つまり潮位は澱束の堆積のサイクルに
対応しているとされる。堆積量が少ない時は攫われる範囲は狭く、逆に多ければ
広域に渡って水底に没する。


シニフィエの汀【論及】

虚数の海を構成するはその三次元射影像を持たず、純粋な「可能性の力」として澱
んだ力場を形成している。そこで紡がれる想念は言語・精神構造に拠らず、非空間
おいてその実存を保障された『語られぬ言葉』であり『失われた言葉』である。
最終更新:2012年03月27日 01:08