#46 - (2009/10/23 (金) 13:19:52) の1つ前との変更点
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*#46 湯煙に考え事を…
成り行きで、信ちゃん達と温泉ブードラをすることになってしまったあたし達。
電車を乗り継ぎ、徒歩でその温泉に向かうんだって。
「悪いね、詩織達までつき合わせて~♪」
「いいよいいよ。私も一回友達とこういうところ来てみたかったし」
あたしは隣を歩く詩織に言った。「悪いね」と言う割には鼻歌交じりだけど。
「友達と…?”松岡と”の間違いじゃないん?」
「そっ…そんなんじゃないって~!」
あたしはニッと笑って言う。
詩織は頬を赤らめて、あたしを小突く。
あたしたちの前には武志と松岡、公旗が歩き、後ろに煉さんと信ちゃん、菊池さんが歩いていた。これが今回のメンバー。
「でもすごいね、京ちゃん。うちのお父さん黙らせるなんて」
「そう?なんか無理やりだったけどね」
詩織のお父さんは松岡との交際に反対らしく、「今回の温泉の件も松岡と二人で行くのを偽装してるんじゃないか」って言われて、危なくいけなくなるとこだったわけ。
まー松岡も行くのは事実だけど…とりあえず、あたしが詩織の家に行って「女子だけの集まりです!」って断言した。
「バレたら、きっと詩織外出禁止だねー」
「え~。本当にそうなったらどうしよ」
そんなことを言ってる間に、前を歩く武志が「見えた!」といったのが聞こえた。
あたしたちは前を見た。
*あたしのガンダムウォー
~激闘!?温泉ブードラ篇~
「じゃ、17:30に飯でその後にブードラ、それまでは各自自由でいいかな?」
チェックインしてあたしと詩織、煉さんがいる女子部屋に信ちゃんが顔を出す。
あたしは荷物を置きながら「大丈夫です」と言った。信ちゃんはそれを聞いて顔を引っ込める。
「煉さんは、前にここに来たことあるんですか?」
あたしは浴衣に袖を通しながら、何気ない質問を口に出す。
どのくらい前からこの企画があるかわからないから、もしかしたら煉さんも来たことあるかもしれないしね。
「いや、初めてだ。小娘たちは?」
「あたしたちも初めてです。てか、小娘ってやめてくださいよ。あたしにはちゃんと本田京子って名前が」
「あら失礼。信一郎たちが”お嬢さん”って言うもんだから名前知らなかったわ」
煉さんはそう言うと、部屋の襖を開けて出て行った。
外にタバコでも吸いに行くのかな?
「さ、あたしたちも行くよ?」
「え?」
あたしは気を取り直し、帯を締めている詩織に言った。
何処に行くの?と言う詩織の表情。決まってるでしょ?
「温泉!」
×××
あたしは湯船の縁に寄りかかる。
そういや、こういう温泉に来るのなんて何年ぶりかしらね。
「そういえば”ブースタードラフト”って何?」
隣に座った詩織が、思い出したように言った。
そういえば急に誘ったから、ブードラの説明なんてしてなかったっけ…。
「あー。後で説明するね。ちょっとしたコツがあってね」
「うん」
あたしは詩織の横顔を見ながら続けた。
女のあたしがいうのもおかしな話だけど、詩織は美人さんだ。松岡なんかにはもったいないよホント。
あーだめだ。こんなことばっかり考えると自己嫌悪はいるから止め。
「露天風呂いかない?」
「いいよ~」
あたしは頭を振りながら、立ち上がって言った。
時間が時間だからか、温泉の中には数えるくらいしかお客さんはいなかった。露天風呂はどうだろ?
あたしは扉を開け、秋の少し寒い空気を肌に感じながら、タオルを投げ捨てて風呂に足から入る。
「京ちゃん…」
「どうしたん?」
あたしはズカズカと風呂に入る。
「ずいぶん開放的だね」
「そう?人いないから大丈夫しょ?」
あたしは、露天風呂を見渡しながらそう言って固まった。
「まあ正論ではあるな、本田」
誰もいないと思った露天風呂の端に、見たことある怖い顔の人。
煉さんだ。
「あ」
「なんだ?私が温泉を楽しむのは想定外か?」
煉さんは、おかしそうにあたしを指差した。右腕で。
前は驚いてあんまり直視できなかった火傷が、そこにあった。詩織もそれに気付いたのか、黙る。
二人を別れさせた”それ”は自分の傷のように痛々しく、でもどこか悲しい。
あたしがああなったら…もしああなっても、武志はあたしのことを好きでいてくれるかな…。
「ん?いつまでそうしてる気だ?私はお前の裸になんぞ興味ないぞ?」
冗談めいた口調で言った煉さんの台詞で、我に帰る。
あたしなんで武志のこととか考えてるわけ?バッカみたい!
「そですよねーあはは」
あたしは肩までお湯につかる。
少し長めに外の空気に当たったせいか、お湯が暑感じる。
「ほらー詩織もタオルなんて巻いてないで、自慢の胸見せなさよー」
あたしは照れ隠しで詩織が巻いてるタオルを引っ張る。
「えー京ちゃん。自慢なんかじゃないてばー」
抵抗する詩織にあたしは立ち上がり、引っ張ろうとしたときに、足が滑った。
あたしはお湯しぶきを挙げて盛大にこけた。
「付き合ってられん…私は先に上がるぞ」
そう言って腰をさすりながら起き上がったあたしに、煉さんはそう言って露天風呂を出た。
つづく
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*#46 湯煙に考え事を…
成り行きで、信ちゃん達と温泉ブードラをすることになってしまったあたし達。
電車を乗り継ぎ、徒歩でその温泉に向かうんだって。
「悪いね、詩織達までつき合わせて~♪」
「いいよいいよ。私も一回友達とこういうところ来てみたかったし」
あたしは隣を歩く詩織に言った。「悪いね」と言う割には鼻歌交じりだけど。
「友達と…?”松岡と”の間違いじゃないん?」
「そっ…そんなんじゃないって~!」
あたしはニッと笑って言う。
詩織は頬を赤らめて、あたしを小突く。
あたしたちの前には武志と松岡、公旗が歩き、後ろに煉さんと信ちゃん、菊池さんが歩いていた。これが今回のメンバー。
「でもすごいね、京ちゃん。うちのお父さん黙らせるなんて」
「そう?なんか無理やりだったけどね」
詩織のお父さんは松岡との交際に反対らしく、「今回の温泉の件も松岡と二人で行くのを偽装してるんじゃないか」って言われて、危なくいけなくなるとこだったわけ。
まー松岡も行くのは事実だけど…とりあえず、あたしが詩織の家に行って「女子だけの集まりです!」って断言した。
「バレたら、きっと詩織外出禁止だねー」
「え~。本当にそうなったらどうしよ」
そんなことを言ってる間に、前を歩く武志が「見えた!」といったのが聞こえた。
あたしたちは前を見た。
*あたしのガンダムウォー
~激闘!?温泉ブードラ篇~
「じゃ、17:30に飯でその後にブードラ、それまでは各自自由でいいかな?」
チェックインしてあたしと詩織、煉さんがいる女子部屋に信ちゃんが顔を出す。
あたしは荷物を置きながら「大丈夫です」と言った。信ちゃんはそれを聞いて顔を引っ込める。
「煉さんは、前にここに来たことあるんですか?」
あたしは浴衣に袖を通しながら、何気ない質問を口に出す。
どのくらい前からこの企画があるかわからないから、もしかしたら煉さんも来たことあるかもしれないしね。
「いや、初めてだ。小娘たちは?」
「あたしたちも初めてです。てか、小娘ってやめてくださいよ。あたしにはちゃんと本田京子って名前が」
「あら失礼。信一郎たちが”お嬢さん”って言うもんだから名前知らなかったわ」
煉さんはそう言うと、部屋の襖を開けて出て行った。
外にタバコでも吸いに行くのかな?
「さ、あたしたちも行くよ?」
「え?」
あたしは気を取り直し、帯を締めている詩織に言った。
何処に行くの?と言う詩織の表情。決まってるでしょ?
「温泉!」
×××
あたしは湯船の縁に寄りかかる。
そういや、こういう温泉に来るのなんて何年ぶりかしらね。
「そういえば”ブースタードラフト”って何?」
隣に座った詩織が、思い出したように言った。
そういえば急に誘ったから、ブードラの説明なんてしてなかったっけ…。
「あー。後で説明するね。ちょっとしたコツがあってね」
「うん」
あたしは詩織の横顔を見ながら続けた。
女のあたしがいうのもおかしな話だけど、詩織は美人さんだ。松岡なんかにはもったいないよホント。
あーだめだ。こんなことばっかり考えると自己嫌悪はいるから止め。
「露天風呂いかない?」
「いいよ~」
あたしは頭を振りながら、立ち上がって言った。
時間が時間だからか、温泉の中には数えるくらいしかお客さんはいなかった。露天風呂はどうだろ?
あたしは扉を開け、秋の少し寒い空気を肌に感じながら、タオルを投げ捨てて風呂に足から入る。
「京ちゃん…」
「どうしたん?」
あたしはズカズカと風呂に入る。
「ずいぶん開放的だね」
「そう?人いないから大丈夫しょ?」
あたしは、露天風呂を見渡しながらそう言って固まった。
「まあ正論ではあるな、本田」
誰もいないと思った露天風呂の端に、見たことある怖い顔の人。
煉さんだ。
「あ」
「なんだ?私が温泉を楽しむのは想定外か?」
煉さんは、おかしそうにあたしを指差した。右腕で。
前は驚いてあんまり直視できなかった火傷が、そこにあった。詩織もそれに気付いたのか、黙る。
二人を別れさせた”それ”は自分の傷のように痛々しく、でもどこか悲しい。
あたしがああなったら…もしああなっても、武志はあたしのことを好きでいてくれるかな…。
「ん?いつまでそうしてる気だ?私はお前の裸になんぞ興味ないぞ?」
冗談めいた口調で言った煉さんの台詞で、我に帰る。
あたしなんで武志のこととか考えてるわけ?バッカみたい!
「そですよねーあはは」
あたしは肩までお湯につかる。
少し長めに外の空気に当たったせいか、お湯が暑感じる。
「ほらー詩織もタオルなんて巻いてないで、自慢の胸見せなさよー」
あたしは照れ隠しで詩織が巻いてるタオルを引っ張る。
「えー京ちゃん。自慢なんかじゃないってばー」
抵抗する詩織にあたしは立ち上がり、引っ張ろうとしたときに、足が滑った。
あたしはお湯しぶきを挙げて盛大にこけた。
「付き合ってられん…私は先に上がるぞ」
そう言って腰をさすりながら起き上がったあたしに、煉さんはそう言って露天風呂を出た。
つづく
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