ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

先輩と籠の鳥

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kawauson

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saki0204|先輩と籠の鳥

;青空がいいかなーと
@bg file="sora" time=700
@bgm file="tam-n09"
@cm
@texton
 人間は、常に時間を失いつつ生きているんじゃないかと思うことがある。[lr]
 決まった時間に起きて、決まった時間に学校に行って、決まった時間に家に帰り……そして、何をするでもなく眠る。[lr]
 そして、今日のような日曜には遊びまわったりする。それを普通の人は自由と呼ぶのかもしれない。[lr]
[nowait][r][endnowait]
 だけど、誰もが感じている。[lr]
 閉塞している日常を。[lr]
 自分は、無駄に時間を浪費しているんじゃないかって恐怖を。[lr]
[nowait][r][endnowait]
 ……だから、こうして空に思いを馳せるんだ。[lr]
 鳥になって、空を飛び回ってみたい、なんて……。[pcm]

@bg file="syoutenngai" rule="上から下へ"
「はあ~……」[lr]
 俺は繁華街をぶらぶらと歩きながら地獄の底まで落ちていきそうな深い溜息をついた。[lr]
 晴れてはいるが、当たり前だが寒い。[lr]
 本来なら家でゆっくりしているはずだったのに、何故俺がこんなところにいるのかというと――。[pcm]

@fadeoutbgm time=1000
@bg file="black" rule="モザイク" time=1000
 一時間前。[lr]
 それは、ソファでくつろぎながら漫画を読んでいる時の出来事だった。[pcm]

@bg file="ribing" rule="モザイク" time=1000
@bgm file="botu2"
@hime pos=c pose=1 wear=u f="笑顔"
「稔くん、プリンは?」[lr]
「え?」[lr]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="真顔"
「お姉ちゃんの分の、プリン」[lr]
「…………」[lr]
 記憶にない、わけではない。[lr]
 むしろ鮮明に頭の中に残っている、というか舌が覚えている。[pcm]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="不満"
「お姉ちゃんが、デパ地下で、一時間並んで、買ってきた、プリンは?」[lr]
「………………」[lr]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="怒り"
「県内で人気ナンバー1の、かめやの、人によっては県外からも買いに来るっていう、あのプリンは?」[lr]
 こ、こわひ……。[lr]
;@hime pos=c pose=1 wear=u f="怒り"
「お姉ちゃん、ちゃんと稔くんの分も買ってきてあげたよね? 冷やしておいて、あとで二人で食べようね、って……」[lr]
「……………………」[lr]
 あまりにもおいしくて二つ食べちゃった、てへ♪ なんて言えば許してもらえるだろうか、いやもらえない。(反語)[lr]
 しかし二つ食べたというのが事実な以上弁解の余地はなく……。[pcm]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="真顔"
「買ってきなさい」[lr]
「え」[lr]
「三十分以内に、買ってきなさい」[lr]
「え、でも今からいくと一時間は……」[lr]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="笑顔"
「稔くんは頑張ってくれるよね?」[lr]
「さ、サーイエッサー!! ルテナンひめ!!!」[lr]
@hime pos=c pose=1 wear=u f="真顔"
「よろしい」[pcm]

@cl pos=c
@fadeoutbgm time=1000
@bg file="black" rule="モザイク" time=1000
――というわけで。[pcm]

@bg file="syoutenngai" rule="モザイク" time=1000
@bgm file="tam-n09"

「……はぁ~」[lr]
 二度目の溜息。[lr]
 溜息をつくと幸せが逃げるという話を聞くが知ったことではない。[lr]
[nowait][r][endnowait]
「……ハァ~」[lr]
[nowait][r][endnowait]
 三度目の溜息……っておい、俺は今溜息なんてついてないぞ?[lr]
 何事だと周囲を見渡しても、溜息が聞こえそうな程に近くを歩いている人はいない。[lr]
 ……空耳、か。それとも幻聴か、まさか幽霊か。[pcm]

「オイ、コッチデスヨ」[lr]
「……?」[lr]
 背後からの声に振り向くと、そこにあるのはペットショップで、店頭には籠に入った九官鳥がいた。[lr]
 俺のイメージから来る鳥よりもどうにも肉付きが良く、身軽に空が飛べるとは思えない体型である。[lr]
 今までペットショップなんて興味もなかったから、こんな鳥がいたとは知らなかった。[pcm]
「お前か」[lr]
「ソウデス、ワタシガヘンナオジサンデス」[lr]
「こいつすげえ……!」[lr]
「オマエハショボイナ」[lr]
「…………」[lr]
 ま、まあ落ち着け藤宮稔、相手は所詮鳥類よ。[lr]
 まずは冷静に挨拶からだ。円滑なコミュニケーションはいい挨拶から始まる。[lr]
「こんにちは」[lr]
「コ、コンチニ……コンチ……コン……チ……コンチ……チンコ!!!」[lr]
「くだらねえ!!!!」[pcm]

「あら、稔くん?」[lr]
 九官鳥とくだらない問答をしていると、ふと背後からそれこそ小鳥の囀りのような可愛い声が聞こえて。[lr]
「先輩!」[lr]
 振り向くと、そこには寒さで少しだけ頬を赤くした先輩がいた。[pcm]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="微笑み" c=1
「こんな所で、偶然ね」[lr]
「あ、ああ。本当に偶然ですね」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き"
「……それ、九官鳥?」[lr]
 先輩は俺の背後の鳥かごを覗き込むようにしてそう呟いた。[lr]
「ええ、この九官鳥がまた面白くて……」[lr]
「オモシロイノハオマエノカオダヨ」[lr]
「……こいつ」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔"
「あははははは、すごーい、良く教育されてるのね」[lr]
 朗らかに笑う先輩も可愛いなあ……って、何を考えているんだ俺は。[lr]
 いや別に悪いことではないのだが何となく後ろめたい。[pcm]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="微笑み"
「こんにちは!」[lr]
 先輩が少し屈んで九官鳥と真っすぐ視線をぶつけあわせ、元気よく挨拶する。[lr]
――というか、そのネタ振りはまずい![lr]
「チンコ!!」[lr]
 こ、こいつ、やはり狙ってやがる……。[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き"
「…………」[lr]
 ほら、先輩も唖然としている。[lr]
 この人、下ネタとかにはあまり耐性なさそうだしなあ。[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔" c=1
「あ、あはは、チンコだって~」[pcm]

 う、受けていらっしゃる!?[lr]
 底知れない人だ。ただの天然なのかもしれないけれど。[lr]
「コイツノチンコハチイサイ」[lr]
「はあ!?」[lr]
 こいつ、勢い余って何をいいやがる!![lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き" c=1
「へえ、稔くん小さいの?」[lr]
「え、そ、そんなこと言えるわけないでしょう!!」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔" c=1
「お姉さん、気にしないぞ~っ」[lr]
「俺が気にします! 鳥に便乗してからかわないでください!」[lr]
 まったく、九官鳥も先輩も、悪のりが過ぎるな。[pcm]

@saki pos=c pose=1 wear=u f="微笑み"
「はあ~、笑った笑った、もう一週間分くらい笑ったよ~」[lr]
「……まあ、いいですけど。こいつはこの店の客引きなのかな」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔"
「そうみたい。何度か遠くから見てたことはあるけど、こんなにも面白い鳥だとは思わなかったな~」[lr]
 値札なんかは付いていないところを見ると、店の人が飼っているということなのだろう。[lr]
 しかし、飼い主の人間性が透けて見えるな、こう下ネタが多いと……。[lr]
「そうですね……でも……」[lr]
 俺は、この鳥と出会う前に考えていたことを思い出す。[lr]

;【選択肢】
;1 籠の中って、窮屈そうですよね
;2 動かなくても良さそうで、羨ましいですよね 好感度+1

[nowait]
[r]
[link target="*mainasu"]1.籠の中って、窮屈そうですよね[endlink][r]
[link target="*purasu"]2.動かなくても良さそうで、羨ましいですよね[endlink]
[endnowait]
[s]


mainasu|

[cm]
;1 籠の中って~~

「さっき考えてたんですけど……」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き"
「ん?」[lr]
「この鳥は、この籠の中で窮屈に暮らして、嫌にならないんですかね?」[lr]
@saki pos=c wear=u pose=1 b=2 e=6 y=a m=4
@saki pos=c pose=1 wear=u f="真顔"
 その質問をした瞬間、先輩の顔から少し笑顔が消えた気がした。[lr]
 ……いや、それは見間違いかと思う程に一瞬のことで、俺はそこについて言及することはできない。[lr]
@saki pos=c wear=u pose=1 b=4 e=8 y=a m=2
「あたしは、籠の中の方がいいと思うけどな」[lr]
「え……?」[lr]
 どこか寂しげに、先輩は言う。[pcm]
@saki pos=c wear=u pose=1 b=2 e=1 y=a m=2
「飼い主に、そこにいろって言われたから、この鳥はここにいる。……それでいいのよ、多分」[lr]
「そんなもんですかね」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="真顔" e=8
「そんなものよ。……さて! あたし、もう行くね? 買い物の途中だったからさ」[lr]
 ばいばい、先輩はそうやって軽く手を振り、さわやかな風のようにその場を去っていく。[lr]
@cl
 俺は、素早い先輩の動きにろくに別れの言葉もかけられず、その背中を見送るしかなかった。[pcm]

「……って、プリン買いに行かなきゃまずいじゃねーか!」[lr]
 既に一時間以上経っている、姉さんはご立腹に違いない。[lr]
 俺はダッシュでかめやに向かうことにした。[pcm]



@fadeoutbgm time=1000
@cl
@bg file="black.jpg" time=1000

[jump storage="main.ks" target="*night" cond="sf.releaseMode==1"]

[jump storage="scenemenu.ks"]

[s]



purasu|

[cm]
;2 動かなくても~~

「こいつはこんなぶくぶく肥えて籠の中でぐーたらと……ある意味幸せそうですよね」[lr]
 鳥はやはり、空に翼をはためかせるものだと思うんだけどな。[lr]
@saki pos=c wear=u pose=1 b=2 e=2 y=a m=2
「……うん、幸せだよ。本当に」[lr]
 先輩は、どこかしみじみとした様子で呟く。[lr]
@saki pos=c wear=u pose=1 b=4 e=1 y=a m=2
「できるなら、あたしも……」[lr]
「先輩……?」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き"
 元気のない先輩を心配するように声をかけると、はっと弾かれたように先輩は顔を上げる。[pcm]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔" b=4
「ご、ごめんね! なんでもないの!」[lr]
「なんでもないって……いえ、特になにかを言うつもりはないんですけど」[lr]
 ちょっと変かなと思っただけで。[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="驚き" b=4
「そ、そう? ごめんね、変なこと言って」[lr]
「いえ、別にそんなことは」[lr]
 先輩はばつが悪そうに前髪をいじりながら。[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="笑顔" b=4
「あ、あたし、もう行くね? 買い物の途中だったから!」[lr]
「はい、また明日学校で会いましょう」[lr]
@saki pos=c pose=1 wear=u f="微笑み"
「うん、また明日ね!」[pcm]

@cl
 先輩が足早に去っていく。[lr]
 俺はその背中を見ながら少しだけ考えていた。[lr]
[nowait][r][endnowait]
 ……籠の中の、幸せ。[lr]
 できるなら、あたしも……。[lr]
[nowait][r][endnowait]
「……駄目だ」[lr]
 考えるにしても、方程式に当て嵌める材料が少なすぎる。[lr]
 証拠不十分だ。[lr]
 それに、俺には何かやるべきことがあったはず……って、アッー!![pcm]

「プリン、買わないとまずいじゃねーか!」[lr]
 既に一時間以上経過している。[lr]
 今から買って帰っても姉さんからは大目玉だろう。[lr]
 だが行くしかないと、俺は駆け足でかめやに向かった。[pcm]



@fadeoutbgm time=1000
@cl
@bg file="black.jpg" time=1000

[jump storage="main.ks" target="*night" cond="sf.releaseMode==1"]

[jump storage="scenemenu.ks"]

[s]
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