国名:ディヴィーカ
首都:ファイニア
通貨:ディヴィーカ・ルピー
青き森の国。タヴェリア大陸に属し、人口と歴史、国土面積については大国の貫禄を持つ。
人類種のほか、多種多様な亜人種が居住し、公認され議会に議席を持つ種族だけでも22種存在する。
言語も公認されているものだけでも13種存在し、国家の統合の足かせとなっている。
労働力人口の3分の2が農業など一次産業に従事する。識字率は34%である。
ディヴィーカは現地語で「既知世界」という意味。
統一国家としての成立は1800年頃。タヴェリアに進出するヤード帝国に対抗するために各氏族の有力者が合同し統一政府を樹立した。
気候は多様性に富み、その景色も冠雪した山岳地帯・砂漠・平野・雨林・丘陵・高原とさまざまである。
米、小麦、砂糖、魚介、野菜、食肉、果実、綿花、茶、コーヒー、阿片、胡椒、ナッツ、ジュート、落花生など、多種多様・数え切れないほどの物産を持つ。
「ディヴィーカに来るために世界の民が道を作り船を作った」と自称している。
| S20 | ティメーリヤル | 綿花、穀物 | |
| S27 | ファイニア | 茶、コーヒー | 首都 |
| S28 | メサパスラ | 熱帯木材、阿片 | |
| S29 | ジェナーテラ | 木、ゴム |
政治形態としては中央議会と政府による共和制。しかし「共和国」と名乗ることはなく、封建制の名残が根強く残る。
地縁や種族縁から構成される多数の「氏族」が地方自治に大きく関与している。
王を名乗る有力者が五人もいるほどである。
中央政府は対外外交と氏族の利害調整の場という認識が強く、その権威は低い。
国家元首。大統領。人類種。野心家。策略に長けているが、己の実力を過大評価して失敗することもある。自他の失敗に耐えられず、他罰的な傾向にある。非常に激しい気性を持つが、状況によっては忍耐強い面も見せる。
内務大臣。虎人族だが痩身で背は高く、眼鏡をかけている。危機管理の専門家であり、組織の欠点、弱点を見抜く才覚に長けている。それを活かして政敵を退け、政府を守ってきた。
黒兎族の族長の地位にある少女。ラーヒズヤの愛人。
国内外の要人のスキャンダル(汚職、スパイ、セックス)の情報を一手に握っており、ラーヒズヤとは利用し利用される関係にある。
フォンタニエ辺境伯ミシェルとは文通をしている。姉妹と呼び合う関係だが、実際に対面したことはない。
鼠人、牛人、虎人、兎人、龍人、蛇人、馬人、羊人、猿人、鶏人、犬人、豚人の十二の亜人種に人類種を加えた十三種族が主要種族と目されている。
公式的なものではないが、種族や血統、職業、出身地からなる複雑な身分制度が存在する。法的根拠はなく、身分を常に示す必要もないが、就職や結婚の際に大きく関わってくる。また猫人は被差別種族と目されている。
ディヴィーカの亜人種は自らを人類種の亜種であるとは見なしていない。そのため、亜人種ではなく「幻想種」と自称している。
版図を持たない亜人種氏族。その名の通り兎を連想させる耳を持つ。ルーツは氏族離散時に奴隷とされた月兎族と言われる。
女性しか存在せず、人類種や亜人種の男性と交配する。子供は全員女子であり黒兎族となる。娘は髪や瞳、肌の色などについて、父親の特徴を多分に受け継ぐ。
平均寿命は五十歳だが老化速度は極端に遅く、人類種でいう十代後半の外見のまま寿命で死ぬ。
身体的能力は外見相応のものしか持たず、知的能力も人類種を越えることはないが、強力な肉体再生能力を有し、虐待や暴力、事故を受けても生きてさえいれば数日で元の姿に復旧する。
黒兎族は人類及び多くの亜人種の外見規準に照らして美しく、行為時には強い快楽をもたらす。背徳の黒兎とも呼ばれ、浮気、不倫、寝取り、密通といったインモラルな誘惑行為に異常に興奮する狂った淫乱娘達である。
その性質から時の権力者・有力者たちのトロフィーとして扱われてきたが、近年の黒兎族は魔性を増しており、分泌するフェロモンは犠牲者の心の認識を歪め、保護欲や独占欲を喚起し、強精や回春までもたらすようになった。そして各氏族の多数の有力者の籠絡を達成し、国家統一を加速させた。今やディヴィーカを閨から支配するとも言われている。
ディヴィーカの有力幻想種氏族の一つ。男女とも虎面の人間といった外見であり、身体能力としては人類種に対し瞬発力に優れるが耐久力に劣る(この傾向は多くの幻想種に当てはまる)。メサパスラ(S28)では虎王を頂点として多くの幻想種を統治する王国を形成している。
高い知性と頑強な身体を併せ持つ種族。長い鼻と2本の曲がった牙を持ち、直立二足歩行する象である。
成人男性の多くは体重100kgを越える。非常に理知的かつ文明的、そして頑固な種族である。
メサパスラ(S28)に象王ダリターラを頂点した象王国を形成しており、虎王国とはなにかと張り合う関係にある。
牛、羊、鶏などの家畜は存在し食肉として供されているが、対応する亜人種(牛人、羊人、鶏人等)がその肉を食することは宗教的戒律に触れる。ただし豚人は豚肉を食べても良いらしい。
そのため、レストラン等のメニューには使用肉の明記が義務付けられている。複数種族での会食では豚肉料理が重宝される。
薄焼きパン。ディヴィーカの食卓では主食の地位にある。
香辛料を使った煮込み料理。ナンや米に付けて食する。
ディヴィーカの機械装置、金属細工は機能性のみならず美しさも重視して作られており、フィリグリー(線条細工)の曲線を多用した特徴的な外観を有している。
曲線は美しく聖なるものとされており、直線は必要とされなければ使用されない。
甘く煮出したミルクティー。都市から田舎の農村まで広く普及しており、農作業での糖分と水分補給のために愛飲される。
地域によってはコーヒーの方が好まれる。
ディヴィーカは世界有数の喫茶店王国である。種族・氏族によって好みが細分化されており、しかもうるさいため、ファイニアには「視界内に必ず喫茶店がある」とも言われる。多くの喫茶店では朝に飲み物を注文するとトーストやゆで卵が無料で付いてくる。
ディヴィーカ人にとって茶やコーヒーに関する知識は教養として必須である。上級階級では出された茶やコーヒーの銘柄がわからないと恥をかく。
近代以降に普及した興奮剤及び増感剤。フォンタニエで生育するコハクノキの葉から精製され、静脈注射で使用する。
ハクインは黒兎族に大きな効能を示した。通常は一時間程度で効力を減ずるこの麻薬は黒兎族に対して数倍の効果時間をもたらし、たちまち依存を形成した。また麻薬は長く体内に残留し、身体の組成を変容させ黒兎族を淫妖淫靡な魔性に変貌させた。
ボードゲームの一種。盤上に配置された双方15個の駒をどちらが先に全てゴールさせることができるかを競う。サイコロを使うが、運よりも数学的素養が必要とされる。十三種族広く一般に普及しており、茶文化と同様に教養の一部である。
首都。歴史上いくつもの勢力が奪取を繰り返した中原の要。
多数の人口を擁し混沌としている。貧富の差が激しく、優美と贅を凝らした中央市街と広大な貧民街を併せ持つ。
中央駅から出るとそこには多数のストリートチルドレンが乞食をし、観光客にまとわりついて金銭をせびったりスリを行おうとする。小銭の入った袋を投げつけ、小銭を道にぶちまけてその隙にタクシーに乗るといった光景が見られる。(そんなことをしているのでますます乞食が集まってくる)
タヴェリア縦断鉄道の始点であり終点でもある。
博物館として一部開放されている元王宮の一角。巧妙な配置により隠されており、地図や図面、記録にも存在しない。上流貴族の数々の陰謀に使用されていた。
水道。古代より伝わる内陸国家の給水システム。石とレンガを用いて建設された古代遺跡の一端であり、都市や工場地に水を供給するために現在でもメンテナンスされ実用に供されている。
黒兎族の宗教的聖域。首都近郊のラルスレイトの森の深部にある。
名前の通り美しい湿地帯であるが、そこかしこに底無し沼が存在する危険な場所である。
人喰いワニも数多く生息しているが、黒兎族を喰うことは無いらしい。
都市高台に造られた空中庭園。
高層ビル群。条例によりすべての高層ビルは屋上が解放されており、都市全域を眺望することができる。
「機械仕掛けのトリウマ」といったイメージの兵器。戦車を補完する機動兵器だが、運用としては大型武装オートバイに近い。偵察の他、モンスター掃討や警察用途にも使用されている。
合同立憲王政アトリオン建造の空中戦艦。ヤーディシア大戦時の政治的取引により譲渡された。
ディヴィーカ建造の戦艦。シャンバリン島紛争ではタヴェリア共同軍海軍部の旗艦として活動。
ディヴィーカ独自の多神教の世界であり、円十字教、メトラ教どちらも主流ではない。
危険な野生動物。ファイニア周辺の65,000匹を含め、数十万のモンスターが徘徊している。そしてモンスター駆除は政治化の利益にならないため、先延ばしになり何も解決せず悪化している。
また、知的種族であっても政治的、歴史的経緯からモンスター扱いされるものもおり、人権問題の火種を抱えている。
雄しかいない広義の幻想種。知能を有し、独自の言語を有するが、文字は持たない。頭部の角、大柄な身体、貪欲さと残忍性、鼻が曲がるような体臭を持ち、後述の忌むべき性質から主要種族からモンスターと見なされている。スッパダカ王朝との抗争に敗れてディヴィーカに至る。恐怖の対象であり地方軍は見つけ次第射殺するよう命令されているが、兵士でさえ一対一で遭遇した場合は逃走を推奨されている。
鬼人は人類種や幻想種の女性の腹を借りて生殖する。その手段はもっぱら誘拐と強姦である。犠牲者は鬼人の性的奴隷、鬼人専用穴、公衆便器、苗代、孕み袋などの屈辱的な取り扱いがなされ、ペインティングがなされ、肉体も言葉通りに変容する。変容した肉体と精神は仮に救出しても元に戻すことができず、家族を捨てて自発的に鬼人の元に戻ってしまう。一説には一人の女性が数十人の鬼人を産まされるとも考えられている。
スライムのような不定形モンスター。
バスケットボール大の飛び跳ねて移動するタマネギ。
飛び跳ねたり転がって移動するキャベツやレタス。
顔を持ち根を動かして移動する切り株。
雌しかいない広義の幻想種。知能を有し、独自の言語を有するが、文字は持たない。白百合を擬人化したような外見であり、植物の性質を強く持つ。主にシテカとの国境近くの山岳地帯に生息する。鬼人と同様にディヴィーカ主要種族からはモンスターと見なされている。普段は光合成しているが、男性を見つけると拉致し、玩具として弄びのちに根を張り、養分として吸い殺す。
世界は混沌から生まれた。
混沌は巨大な渦であり、人格は無い。理由も無い。原因も無い。意味も無い。創造者であり、可能性そのものである。一匹の蟻にも、一本の樹にも、混沌のかけらである無限の可能性が含まれている。
混沌は絶えず何かを生み出し続けるが、神蜘蛛がいなければ創造物のすべてをすぐさま失ってしまう。何かが生まれても、間髪を置かずに元の混沌の渦の中へ溶け込んでしまうのである。
制限のない可能性という混沌の力は最強であり、様々な魔法や奇跡を体現する。しかし物質世界では、神蜘蛛と人間の拠って立つ「理論」や「理性」のために、混沌の力は非常に限られた弱いものになってしまう。理論の働く世界では魔法の生き残る余地はないのである。
無限の時間を費やし、無作為の創造と瞬時の消滅を繰り返した混沌は、あるとき神蜘蛛を産みだした。
神蜘蛛は混沌の創造物が生まれ落ちたところを拾い上げ、自らの網に絡め取り、瞬時に混沌の渦へと還るのを食い止める力を持っていた。
これはすべてを変えた。形が生まれ、成長と発展が起こった。意味が生まれ、無限の混沌は、形ある永遠となった。
神蜘蛛の網は幾重にも重ねられ、広がり、厚くなった。こうして混沌の上に神蜘蛛の網が完成し、網の上には物質世界が形作られた。
やがて混沌から魔龍が生まれ、神蜘蛛の網を刈り込み始めた。網からこぼれ落ちた不要なもの。矛盾したものは混沌に還ることになった。魔龍により網はもはや完全ではなくなったが、バランスは取れた。こうして、混沌、創造、破壊の宇宙のサイクルが完成した。
魔龍は破壊すべきものとそうでないものを判別するため、知性を、次いで意識を持ち始めた。
魔龍は世界のすべてを支配下に置くことを望んだが、混沌には知性はなく、意識もなく、生命ですらないために支配下に置くことはできない。
神蜘蛛には知性はあるが意識はなく、創造時に決定された目的と行動を繰り返すだけの存在だった。
そこで魔龍は意図的に神蜘蛛の網を刈り込み、しかし網からは落ちないように調節した。
そこにいたものは神蜘蛛の網に保護されながら、魔龍の影響を受け変容していった。これが幻想種の起源である。
数限りない幻想種が生まれた。魔龍は自らを王であり神であり主であると名乗り、自らのもとに召集した。
猫王は魔龍の招集日を忘れたために、鼠王に聞いた。鼠王はわざと一日遅れの日を教えた。
牛王は夜のうちから支度をし、まだ暗いのに出発した。これを見ていた鼠王は、牛王の背中に飛び乗り同行した。
魔龍の御殿に辿り着き門が開くと、とたんに牛王の背中から鼠王が飛び降り一番乗りを果たした。
牛王は二番、それから虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順で着いた。
かくして、幻想種の王たちは魔龍に版図を授かり、それぞれを治めることになった。
これが古代ディヴィーカ十二諸国の起源に関する神話である。
古代ディヴィーカ十二諸国は鬼人(ラクシャーサ)、百合人(スノーリリィ)といった敵対的な幻想種との抗争により五カ国にまで打ち減らされた。
この二種族は中世期まで有力種族として広範な版図を保持していた。現在でもモンスター扱いされ、人権すら認められていない。