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闘争の開幕  ◆a2zhksM50w




はあ……はあ……。
どれ位、俺は走ったのだろう?
もうここまで走れば十分だろうか?
流石にもう限界だ。
走る為にもっとも重労働をさせているだろう足から始まり、思い切り振りまくった腕に、酸素の交換を行った肺。
ともかく体中から悲鳴が上がる。俺はもう休むぞ
あの侍風の外人と出会って逃げてから――……いや立ち去ったというべきか――から約数分。
俺の逃げた方向へと来るはずは無いし休んでも罰は当たらんだろう。

「何てこった。SOS団のメンバーを探すどころかこれじゃ先が思いやられるぞ」

近くの建物に背を預け息を吐く。
体の疲労具合から、暫く動けそうに無い。
となれば、休憩がてら事態の考察をするべきかも知れない。
意外と冷静な自分に驚きつつも、俺は何とか考えを巡らせてみた。

まずこの殺し合いは、やはりハルヒが関係あるのか?
答えはノーな気がする。
非常識なあいつだが、殺し合いを望むとは考えられない。
そうなると出てくるのは古泉や長門、朝比奈さんの関係者……無いと思いたいところだが。
やはり情報が足りないのか、ごく普通の高校生である俺ことキョンには何も分からないという事だけが分かった。

「それにしても何だ? さっきまで疲れてた足がまるで無かったみたいに軽く……」

あれ? 足? 俺の足、こんなに赤かったけ?
何だこれ? 何でこんなに赤いんだ?

ていうか、俺なんで地面に顔着けて……。



――――


「早速、人死にの場面に出くわしてしまったのだわ」

名探偵くんくんの助手、真紅の眼前に広がっていた光景は人であった物が飛び散り、道路を血に染めていた悪趣味なもの。
足は両足とも切断され、首も首輪を避け器用に刎ねられ地面に転がっている。
共通するのは、どれも鋭利な刃物で全て切り裂かれているということ。

「さて、貴方達は私達が来る前からここに居たようだけど……」

真紅よりも早くこの場に二人の男女がいた。
グラハム・エーカーとやらない子の二人だ。

「ま、待ってよ……。わ、私たちじゃない……」

真紅の視線を受け、やらない子は顔を引きつらせながら震えだし自らの潔白を証明しようとする。
しかし、焦りながらのそれは上手く言葉には出来ず、結果的に自分がやっていないとしか言う事が出来なかった。

「そうね。完全に信用できるとは言えないけど、貴女達の仕業であるとは考えづらいわ」
「ほう、お嬢さん。出来ればその根拠を聞かせて頂きたい」

グラハムが真紅へ再度問う。

「簡単な事よ。現場はまるでペンキをぶちまけたかのように血で染まっている。
 これ程の血を浴びずに犯行を行うなど不可能。その点、貴方達は血飛沫一つ無いもの。
 これが、その根拠よ」
「なるほど」

感心したグラハムが賞賛の言葉を送る。
これを合図に互いが互いの警戒を解いたと見たのか、二人の間を流れていた険悪な空気が変わった。

「彼……名は分からないが、少しばかりの面識があった。
 もっとも、あまり良い出会い方ではなかった為に、私は彼は信用することが出来ずに彼をその場から追い払ってしまった。
 そして数分後。これがその結果だよ」

まるで自らを責めるように自嘲気味にグラハムは呟いた。
真紅は「そう」とだけ答え更に現場の検証を行う。

「……私も色々と聞きたい事があるし、貴方もそうだと思うけど。――先ずはこの場から離れた方が良いわね」
「どういう意味だ?」

刹那。
真紅が宙を舞い。グラハムがやらない子の頭を無理やり押さえ付け身を屈める。
やらない子の頭上。その癖のある長髪が数本切断され、やらない子の前に落ちた。

「ひ、いや……」

体中を流れる悪寒。
今までに感じたことの無い殺気。
全身の全ての器官が逃げろと大音量で警告を促す。

「いやああああああああああああああああ!!!!!」

グラハムを突き飛ばしやらない子は全速力で駆け出す。
本来ならば、良くても成人女性程度の力しか出せないやらない子がグラハムを突き飛ばすなど不可能。
しかし、タイミングが悪かった。グラハムは今体勢を崩している。
そこへ不意を付かれる形で突き飛ばされれば、いくら鍛えた軍人といっても受身こそ取れはすれ踏ん張りが効かない。

「待て! やらない子!!!!」

ザシュッ
炭酸ジュースの蓋を開けた時のような詰まったものが飛び出すような音。
ただ違うのは、今飛び出したのはやらない子の鮮血であり、開いた蓋は彼女の生首だったということ。
やらない子を死なせた自負の念から唇を噛み。
だが、その闘志を損なう事はせず刀を構えグラハムは敵を見据える。

「ふむ、やはり扱い慣れんな。
 ウォルターのように操るにはまだ練習が必要か」

闇の中より月光を背に現われたのは真紅のコートを羽織った大柄の男。
一目見ただけで、これは人間ではなく別のナニかだとグラハムは悟る。

「ワイヤー、ね」

宙を舞い地に足を着けた真紅はやらない子の血に濡れたワイヤーを見逃さない。
暗闇へと溶け込んでいたそれは、月光に照らされた鮮血が無ければ分からなかった。
なるほど。これなら大抵の者は訳も分からず体を切断され、たちまちただの肉片へと変わるだろう。

「あの少年を殺したのも貴方かしら?」
「だとしたら?」

真紅の問いに男は笑う。
グラハムは鞘から刀を抜き、その切っ先を斬るべき敵へと向け。

「斬るまでだ」

それは宣戦布告。
男、吸血鬼アーカードへの徹底抗戦の意。

「やはり素敵だ。人間は素晴らしい」

送るのは賞賛。
この化け物を討ち取らんとする勇者達への鎮魂歌。
旋律を奏でるように動かされた五本の指。
繰り出される破壊の音響(メロディ)。地を割き風を切り数本の刃が襲い来る。
舞うは赤い薔薇。真紅により生み出された花弁が、刃と交差し無残にも斬り裂かれ、だが残った僅かな花弁が紅き剣となりてアーカードを滅ぼさんと迫る。
化け物は笑い腕を引きワイヤーを編み上げ、自らの前に四角の盾を作り出す。
死神ウォルターの生み出す物に比べればチャチな盾だが、薔薇を防ぐ位ならば十分すぎる強度。
盾に花弁が触れ割かれ無残にも散って行く。

「――貰った」

光る剣閃。
斬り舞うアーカードの腕。
崩れるワイヤーの盾
アーカードを貫く薔薇の雨。

刀に着いた血を払い、敵の最後を見届けんとする侍。
血に染まり、月光を背に倒れた吸血鬼。
薔薇を舞わせ、決着を確信した誇り高き乙女。

「見事な居合いだ。騎士、いや侍という奴かな?」

「!?」

まだ、まだだ。これで終わるはずが無い。
不死身の化け物の物語は、こんな所で終焉を迎えるにはまだ早すぎる。
立ち上がる。壊れた玩具のように、狂った機械のように。
化け物は闘争の笑みを浮かべ、月光を背に夜の支配者は物語を紡ぐ。

「見ィつけたア!!!!!」

舞い上がる土煙。轟く風音。
何よりも速く、何事もスピーディーに、新たなる来訪者ストレイト・クーガーは現われた。
足に纏っているアルター、ラディカル・グッドスピードの調子を確認するかのように爪先を地に数度叩き、事態の確認を行う。
二つの遺体に対峙する男と侍、そして真紅。

「あー申し遅れました。俺の名はストレイト・クーガー。
 貴女の親愛なるくんくんの親戚です。
 ここに来たのは、他でもありません。くんくんに貴女の事を頼まれたのです」

取り合えず適当なでっち上げでくんくんの事は誤魔化す。
少し怪訝そうな顔をした真紅だが、特に深い追求はしなかった。
いや、眼前の化け物相手に余裕が無く。出来なかったというのが、正確かもしれなかったが。

「ふっ面白い夜だ。人形に侍、次は何だ?
 愚行に踊る道化か? 狂気に染まった狂人か? さあお前はなんだ?」

「気をつけなさい。
 貴方が何者かは分からないけれど、あいつは化け物よ」

次なる来訪者へ掛けられた挑発と警告。
それを受け尚、クーガーは笑みを崩さずこう返した。

「問題ありませんよ。――俺の方がずっと速い」

アーカードが反応したのは叩きのめされ地へと再び倒れた時だ。
吸血鬼すら捉える事が困難なスピードでクーガーはアーカードへと蹴りを数発入れ、元の位置へ戻っていた。
その証拠に足元には、あまりの摩擦に焦げた道路が煙を上げている。

「何と言う速さだ。まったく捉え切れん」

人の身でありながらも、これ程の速さを練り上げるとは。
――グラハムは自らの修行不足を痛感すると同時にまだまだ自分には到達し得ない、新たな境地が存在する事に喜びを抱いてもいた。

「フハハハ……まったくもって素晴らしい。
 これだから人間は――私も敬意を払い向かい撃つとしよう」

それはアーカードも同じ。込み上げるは感激と感動。
ならば自らも敬意を示すべきだ。
素晴らしいものを見せてくれた礼として自身の力を解放する。

「拘束制御術式『クロムウェル』――第3号第2号第1号、開放」

人の形が崩れ、無数の不確定な何らかの集合体となり、それは形を様々な物へと変わる。
ある部分は蝙蝠に、ある部分はムカデに、ある部分は巨大な狗へ、ある部分は多数の眼へ。
その中心に再び人の形を構成しアーカードは佇む。

あまり面識の無い三人だが、それでもたった一つ共通している部分がある。
眼前にある存在は敵だという事が。

「衝撃のファーストブリットォォォ!!!!」
「ローズティル!!」

ラディカル・グッドスピードから射出された虹色の粒子がクーガーを加速させ、弾丸のようにアーカードへと突っ込む。
クーガーを喰らわんと迫る、狗をムカデを蝙蝠を無数の亡者の手を、全て薙ぎ払い突き進む。
遅すぎる。こんなものではクーガーは捉えきれない。
ファーストブリットがこじ開けた突破口。しかし、薙ぎ払った異形は再度蘇生を始め、形を形成し始めようとうねりをあげる。
そこへ真紅の薔薇が舞う。アーカードのそれとは対称的な美しさを放つ花弁達は、まるで悪魔を清めんとするかの如く。
再形成する異形を尚、消し飛ばしていく。

「足りないな。そんなものではまだ足りない」

指を動かしワイヤーがなびき斬撃となる。
触れれば、たちまちただの肉塊となる絶対切断の死線。
刀でワイヤーを受け流しつつグラハムは思考する。
クーガーと真紅により突破口は出来た。このままワイヤーを払いつつ進めば、アーカードへと肉薄し斬り捨てられる。
だが奴は、不死身だ。少なくとも異常な再生力を持っている。

(正攻法で奴を倒せるのか?)

さきの居合いに真紅の薔薇の刃、クーガーの人の域を出た神速の蹴り。
どれも生き物を殺すには十分過ぎる攻撃。
だが、奴は這い上がる。何食わぬ顔で、その笑みを絶やす事無く。

「キリが無いのだわ!」

次々と沸いて来る異形。
滅ぼしても滅ぼしても奴らは形を変え立ち上がり進んでくる。
まさに死霊の兵団。地獄の底から沸いて来た亡者と言ってもいい。

「しょうがない。
 ちんくさん、侍っぽい外人の方。ここは俺が相手をします」
「何?」

それは無謀とも取れる。だが誰かが助かるには現実的な案。

「待って。貴方とは大した面識も無いけれど、こんなところに置いていく訳には……」
「安心して下さい。俺には奥の手がありますから」
「しかしだな……」

要は足止め。
クーガーは自らが、この場に残り真紅達が逃げる時間を稼ぐつもりだ。
だが良いのか。そんな事をさせればクーガーは死ぬかもしれない。
無論、グラハムが残ったところで何が変わる訳でも無いのかもしれないが。

『誰か……誰か助けて!!!!!!』

グラハムの葛藤を切り裂きかの如く轟く少女の叫び声。
方向はビルの方か。

「ほう、この場で大声を張り上げてまで助けを請うとは。
 余程、切羽詰まってると見える」

面白い。
あの様子ならば参加者も数多く集まるだろう。
そこへ闘争を求め赴くのも良い。

「真紅さん、侍の人。ここは俺に任せて、貴方方はあちらのほうをお願いできますか?」
「……グラハムだ、私の名はグラハム・エーカー。すまない、ここは……君に任せる」
「分かったのだわ。私達はあちらの方へ行くわ。
 ……それと私の名は真k「合ってるでしょう?」……まったく、最初から覚えてるのならそうしなさい」

どうやらあちらの話は纏まったようだ。
さて一人が残り二人があちらに向かうと見えるが。

「まあいい。今はお前との闘争を楽しむとしよう。
 さあ見せてみろ、奥の手とやらを。あちらの戦場は後から向かってでも遅くは無いだろう」
「行かせねえよ。
 アンタは俺がここで倒す。最速でな!!」

一人の武士と一人の乙女はまだ見ぬ戦地へと掛け行く。
一人の化け物と一人の漢はまだ闘争を繰り広げる。

戦、戦、戦。
戦いの物語はまだ始まったばかりだ。




【H-5 初日 深夜】

【真紅@Rozen Maiden】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、携帯電話@現実、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本:くんくんと共に最速で殺し合いを打破し狸を倒す。
1:アーカードはクーガーに任せ。声のするビルの方へ向かう。
2:くんくん///

【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダム00】
[状態]:健康
[装備]:ノブナガの刀@HUNTER×HUNTER、千鳥@こち亀
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
 1:脱出のための仲間を集める
 2:アーカードはクーガーに任せ。声のするビルの方へ向かう。
 3:少年、やらない子……。
 ※参戦時期は少なくともブシドーとして行動していた時以外のようです 

【ストレイト・クーガー@スクライド】
[状態]:健康
[装備]:ラディカル・グッドスピード脚部限定
[道具]:支給品一式、釣竿&くんくん人形@Rozen Maiden、携帯電話@現実、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本:世界を縮める。
1:アーカードを倒す! 最速で!

【アーカード@HELLSING】
[状態]健康
[装備]ウォルターのワイヤー@HELLSING
[道具]支給品一式、不明支給品(0~2)
[思考]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:クーガーと戦う。


【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】死亡
【やらない子@やる夫派生】死亡


40:サムライハート 時系列順に読む 36:できない子は結構腹黒なようです
40:サムライハート 投下順に読む 42:検事と妖怪とセーラー服と二丁拳銃と時々騎士王

40:サムライハート キョン 死亡
やらない子 死亡
グラハム・エーカー [[]]
03:最速探偵くんくん兄貴! 真紅
ストレイト・クーガー [[]]
16:○○先生、戦争がやりたいです…… アーカード


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最終更新:2013年07月27日 18:30