「水を噴いて走る水槽」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
水を噴いて走る水槽 - (2012/01/05 (木) 12:08:25) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
****水を噴いて走る水槽
[[OKWave>http://okwave.jp/qa/q7225398.html]]より。水槽に車輪が付いていて,排出口から水を噴いて走る問題。
----
【問題】
1.0m×1.0m×1.0mの車輪付き箱に水深0.80mまで水が入れてある。
底から10cm上のところに直径2.0cmの穴をあけた。
(1) 停止時にこの水槽に働く力はいくらか。
(2) 水面の高さが変化しないとして速度が0.50m/secの時に作用する力はいくらになるか。
(3) 走り出して30秒経ったときの速さを求めよ。ただし水面位置は変わらないとする。
水の密度は1000 kg/m$$^3$$,水のない箱だけの重量は50kgfとする。
#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=533&file=%E6%B0%B4%E3%82%92%E5%99%B4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%B5%B0%E3%82%8B%E6%B0%B4%E6%A7%BD%EF%BC%90.bmp)
----
【解答】
以下水の密度 $$\rho=1.0\times10^3{\rm kg/m}^3$$,排水口の半径 $$r=1.0\times10^{-2}{\rm m}$$,深さ $$h=0.70{\rm m}$$,
重力加速度の大きさ$$g=9.8{\rm m/s}^2$$とする。
(1)
排水の速さは,
$$u = \sqrt{2gh}$$
である。作用反作用の法則により,力は単位時間に水が得る運動量に等しいから
$$F_0 = \rho\pi r^2 u^2 = \rho\pi r^2\cdot2gh = 4.3{\rm [N]}$$
となる。
(2)
$$u$$は水槽に対する相対速さになるから,箱が速さ$$v$$で走行中に水が得る速さは$$u - v$$である。したがって求める力は,
$$F = \rho\pi r^2 u ( u - v ) = 3.7{\rm [N]}$$
となる。
(3)
水量800kgに対して,単位時間当たり排水量は1kg/sec程度であるから,水を含む箱の質量$$M=850$$kgの変化は無視する。運動方程式は,
$$M \frac{dv}{dt} = \rho\pi r^2 u ( u - v )$$
積分すると
$$v = u \left\{ 1 - \exp\left( -\frac{\rho\pi r^2u}{M}\cdot t \right) \right\} = 0.15{\rm [m/s]$$
となる。
----
水位の変化は無視したまま,質量変化を考慮するとどうなるだろうか?
運動方程式は,
$$\frac{d}{dt}\Big\{(M-\rho\pi r^2ut)v\Big\} = \rho\pi r^2u(u-v)$$
整理すると,
$$(M-\rho\pi r^2ut)\frac{dv}{dt} = \rho\pi r^2 u^2$$
これは[[ツィオルコフスキーのロケット方程式]]に他ならない。積分すると,
$$v = u\ln\frac{M}{M-\rho\pi r^2ut} = 0.16{\rm [m/s]}$$
となった。
----
さらに加えて,水位の変化を考慮してみよう。
今度は排出速さ$$u$$自体が変化し,
$$u(t) = u_0 - \frac{g\pi r^2}{S}\cdot t$$
となる。これを上の運動方程式
$$\frac{d}{dt}\large\{(M-\rho\pi r^2ut)v\large\} = \rho\pi r^2u(u-v)$$
に代入すればよいが,これは解析的には積分できそうにない。そこで数値積分ツールPOLYMATHを使って積分してみたのが下のグラフである。$$V_1$$が水位変化も質量変化も無視した場合。$$V_2$$が質量変化のみ考慮した場合。$$v$$は両方考慮した最終結果である。水の粘性や摩擦を無視できるとしても,実際にはさらに慣性力による影響があるだろう。幸いこれも初めのうちは加速度が小さく影響が少ない。
#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=533&file=%E6%B0%B4%E3%82%92%E5%99%B4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%B5%B0%E3%82%8B%E6%B0%B4%E6%A7%BD%EF%BC%91.bmp)
----
****水を噴いて走る水槽
[[OKWave>http://okwave.jp/qa/q7225398.html]]より。水槽に車輪が付いていて,排出口から水を噴いて走る問題。
----
【問題】
1.0m×1.0m×1.0mの車輪付き箱に水深0.80mまで水が入れてある。
底から10cm上のところに直径2.0cmの穴をあけた。
(1) 停止時にこの水槽に働く力はいくらか。
(2) 水面の高さが変化しないとして速度が0.50m/secの時に作用する力はいくらになるか。
(3) 走り出して30秒経ったときの速さを求めよ。ただし水面位置は変わらないとする。
水の密度は1000 kg/m$$^3$$,水のない箱だけの重量は50kgfとする。
#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=533&file=%E6%B0%B4%E3%82%92%E5%99%B4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%B5%B0%E3%82%8B%E6%B0%B4%E6%A7%BD%EF%BC%90.bmp)
----
【解答】
以下水の密度 $$\rho=1.0\times10^3{\rm kg/m}^3$$,排水口の半径 $$r=1.0\times10^{-2}{\rm m}$$,深さ $$h=0.70{\rm m}$$,
重力加速度の大きさ$$g=9.8{\rm m/s}^2$$とする。
(1)
排水の速さは,
$$u = \sqrt{2gh}$$
である。作用反作用の法則により,力は単位時間に水が得る運動量に等しいから
$$F_0 = \rho\pi r^2 u^2 = \rho\pi r^2\cdot2gh = 4.3{\rm [N]}$$
となる。
(2)
$$u$$は水槽に対する相対速さになるから,箱が速さ$$v$$で走行中に水が得る速さは$$u - v$$である。したがって求める力は,
$$F = \rho\pi r^2 u ( u - v ) = 3.7{\rm [N]}$$
となる。
(3)
水量800kgに対して,単位時間当たり排水量は1kg/sec程度であるから,水を含む箱の質量$$M=850$$kgの変化は無視する。運動方程式は,
$$M \frac{dv}{dt} = \rho\pi r^2 u ( u - v )$$
積分すると
$$v = u \left\{ 1 - \exp\left( -\frac{\rho\pi r^2u}{M}\cdot t \right) \right\} = 0.15{\rm [m/s]$$
となる。
----
水位の変化は無視したまま,質量変化を考慮するとどうなるだろうか?
運動方程式は,
$$\frac{d}{dt}\Big\{(M-\rho\pi r^2ut)v\Big\} = \rho\pi r^2u(u-v)$$
整理すると,
$$(M-\rho\pi r^2ut)\frac{dv}{dt} = \rho\pi r^2 u^2$$
これは[[ツィオルコフスキーのロケット方程式]]に他ならない。積分すると,
$$v = u\ln\frac{M}{M-\rho\pi r^2ut} = 0.16{\rm [m/s]}$$
となった。
----
さらに加えて,水位の変化を考慮してみよう。
今度は排出速さ$$u$$自体が変化し,
$$u(t) = u_0 - \frac{g\pi r^2}{S}\cdot t$$
となる。これを上の運動方程式
$$\frac{d}{dt}\Big\{(M-\rho\pi r^2ut)v\Big\} = \rho\pi r^2u(u-v)$$
に代入すればよいが,これは解析的には積分できそうにない。そこで数値積分ツールPOLYMATHを使って積分してみたのが下のグラフである。$$V_1$$が水位変化も質量変化も無視した場合。$$V_2$$が質量変化のみ考慮した場合。$$v$$は両方考慮した最終結果である。水の粘性や摩擦を無視できるとしても,実際にはさらに慣性力による影響があるだろう。幸いこれも初めのうちは加速度が小さく影響が少ない。
#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=533&file=%E6%B0%B4%E3%82%92%E5%99%B4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%B5%B0%E3%82%8B%E6%B0%B4%E6%A7%BD%EF%BC%91.bmp)
----