****動く斜面上の運動(2) 基本的には,「[[動く斜面上の運動]]」と同じで初期条件の異なる問題。 「[[物理のかぎしっぽ数式掲示板>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=23649&mode2=preview_pc]]」より。 ---- 滑らかな床の上に、質量$$M$$の三角台をおく。斜面と床がつくる角度の大きさをを$$\theta(0<\theta<\pi/2)$$とし、その斜面上に質量$$m$$の小物体を置いて静かに離す。このとき、小物体の鉛直方向の速度の大きさを$$u$$、水平方向の床に対する速度の大きさを$$v$$、三角台の床に対する速度の大きさを$$V$$とすると、$$u,v,V$$の間に成り立つ関係を表す式を書け。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeM.bmp) 答. $$\frac{u}{v+V}=\tan\theta$$ ---- せっかくなので,運動方程式を立てて運動を解析しよう。 床に静止した水平右向き・鉛直上向きの座標系$$(x,y)$$をとる。 この座標系での三角台の座標を$$(X(t),0)$$,小物体の座標を$$(x(t),y(t))$$とおく。また,斜面は右に下る方向とする。題意により, $$\frac{dX}{dt}=-V \quad , \quad \frac{dx}{dt}=v \quad , \quad \frac{dy}{dt}=-u$$ 三角台から見た小物体の相対速度は$$(v+V,-u)$$であり,これが斜面下向きであるから $$u=(v+V)\tan\theta$$ したがってまた, $$\dot u=(\dot v+\dot V)\tan\theta\qquad \cdots (1)$$ ただし, $$\dot u=\frac{du}{dt}$$ などは,加速度の大きさを示す。 小物体の運動方程式は,斜面から受ける抗力の大きさを$$N$$として, $$m\dot v = N\sin\theta\qquad \cdots (2)$$ $$m\dot u = mg-N\cos\theta\qquad \cdots (3)$$ また,三角台の運動方程式は, $$M\dot V = N\sin\theta\qquad \cdots (4)$$ (2)(4)より運動量保存 $$mv-MV=const.$$ を得る。 以上(1)~(4)の4式から,$$\dot v,\dot u,\dot V,N$$ を次のように得る。 $$\dot v=\frac{Mg\sin\theta\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$ $$\dot u=\frac{(M+m)g\sin^2\theta}{M+m\sin^2\theta}$$ $$\dot V=\frac{mg\sin\theta\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$ $$N = \frac{Mmg\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$ ※「かぎしっぽ」の結果から少し形を変えた。 ---- 『Phun』でシミュレートしてみた。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeMotion.bmp) $$m=0.70$$kg,$$M=1.94$$kg,$$\theta=30$$°,$$t=0.50$$sec.として, $$v=1.95$$m/s,$$u=1.53$$m/s,$$V=0.70$$m/sを得るが,シミュレーションはほぼ一致する結果を示している。 ---- 『Phun』シーンのダウンロード >http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeMotion.phz ----