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動く斜面上の運動(2) - (2009/05/17 (日) 18:46:40) のソース

****動く斜面上の運動(2)
基本的には,「[[動く斜面上の運動]]」と同じで初期条件の異なる問題。
「[[物理のかぎしっぽ数式掲示板>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=23649&mode2=preview_pc]]」より。
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滑らかな床の上に、質量$$M$$の三角台をおく。斜面と床がつくる角度の大きさをを$$\theta(0<\theta<\pi/2)$$とし、その斜面上に質量$$m$$の小物体を置いて静かに離す。このとき、小物体の鉛直方向の速度の大きさを$$u$$、水平方向の床に対する速度の大きさを$$v$$、三角台の床に対する速度の大きさを$$V$$とすると、$$u,v,V$$の間に成り立つ関係を表す式を書け。

#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeM.bmp)


答.   $$\frac{u}{v+V}=\tan\theta$$
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せっかくなので,運動方程式を立てて運動を解析しよう。

床に静止した水平右向き・鉛直上向きの座標系$$(x,y)$$をとる。
この座標系での三角台の座標を$$(X(t),0)$$,小物体の座標を$$(x(t),y(t))$$とおく。また,斜面は右に下る方向とする。題意により,
$$\frac{dX}{dt}=-V \quad , \quad \frac{dx}{dt}=v \quad , \quad \frac{dy}{dt}=-u$$
三角台から見た小物体の相対速度は$$(v+V,-u)$$であり,これが斜面下向きであるから
$$u=(v+V)\tan\theta$$
したがってまた,
$$\dot u=(\dot v+\dot V)\tan\theta\qquad \cdots (1)$$
ただし,
$$\dot u=\frac{du}{dt}$$
などは,加速度の大きさを示す。

小物体の運動方程式は,斜面から受ける抗力の大きさを$$N$$として,
$$m\dot v = N\sin\theta\qquad \cdots (2)$$
$$m\dot u = mg-N\cos\theta\qquad \cdots (3)$$
また,三角台の運動方程式は,
$$M\dot V = N\sin\theta\qquad \cdots (4)$$
(2)(4)より運動量保存
$$mv-MV=const.$$
を得る。

以上(1)~(4)の4式から,$$\dot v,\dot u,\dot V,N$$ を次のように得る。
$$\dot v=\frac{Mg\sin\theta\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$
$$\dot u=\frac{(M+m)g\sin^2\theta}{M+m\sin^2\theta}$$
$$\dot V=\frac{mg\sin\theta\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$
$$N = \frac{Mmg\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}$$

※「かぎしっぽ」の結果から少し形を変えた。
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『Phun』でシミュレートしてみた。

#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeMotion.bmp)
$$m=0.70$$kg,$$M=1.94$$kg,$$\theta=30$$°,$$t=0.50$$sec.として,
$$v=1.95$$m/s,$$u=1.53$$m/s,$$V=0.70$$m/sを得るが,シミュレーションはほぼ一致する結果を示している。
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『Phun』シーンのダウンロード
>http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=139&file=RelativeMotion.phz
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