****自然長でばねから離れる物体 鉛直ばねについたトレーに載せた物体は,必ずばねの自然長位置でトレーを離れる。 ---- 下端が床に固定され,上端に質量$$M$$の板がつけられたばねが鉛直に立っている。板の上に質量$$m$$の物体を載せた状態でばねを押し縮めて放したとき,物体は必ずばねの自然長位置で板を離れることになる。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=506&file=%E9%89%9B%E7%9B%B4%E6%8A%BC%E3%81%97%E3%81%B0%E3%81%AD.bmp) 自然長位置を原点に上向きに$$x$$軸をとる。物体および板が離れていないときの加速度を$$a$$,物体と板が押し合う抗力を$$N$$,ばね定数を$$k$$とおくと,物体と板の運動方程式は, $$ma = N - mg$$ $$Ma = -kx - N - Mg$$ 2式より, $$N = -\frac{mk}{M+m}x$$ したがって,自然長位置$$x=0$$において抗力はゼロとなり,物体は板から離れることになる。 この事実を偶然だと思ってはいけない。鉛直ばねによって振動する物体の加速度は,自然長位置において$$-g$$となる。自然長位置では弾性力がゼロとなるから,物体(+板)が受ける力は重力のみになるからである。その後物体は,重力のみによって加速度$$-g$$の鉛直投げ上げ運動に移り,板は下向きに重力に加えて復元力を受けるようになるから,下向き加速度の絶対値は,$$g$$より大きくなるので,物体と板は離れる方向に相対加速度を持つようになる。 以上のような事情から,運動方程式を立てるまでもなく,物体は必ず自然長位置で板から離れるのである。もちろん,自然長位置まで上がらないような小さな振幅での振動では,物体は板から離れることなく,一体となって振動を続けることになるのはいうまでもない。 天井からつりさげられた鉛直ばねにつけられたトレーに物体が載せられている場合も,全く同じである([[ばねにつりさげられた板上の物体]])。 ---- [[Algodooシーンのダウンロード>http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=506&file=Enchoku-Bane-Hassha.phz]] ----