****半球転がり振子 [[半円筒の転がり振子>http://www14.atwiki.jp/yokkun/pages/54.html]]は,実は初めは半球の振動を解析してみようと思った際,準備運動として始めたつもりだった。そこで,本題の半球の転がり振動の解析。 ---- 半円筒の解析の際,思わぬところでつまづいたが,結果的によい準備運動となった。 半球も半円筒とほとんど同じ考え方でよい。重心の球中心からの距離は,$$3/8\cdot R$$であり,したがって重心まわりの慣性モーメントも $$I_G=\left(\frac{2}{5}-\frac{3}{8}\right)mR^2$$ と置き換えるだけである。 半球の転がり振子ですべりのない場合は,瞬間の回転軸は常に接地点であるから, [[瞬間の回転軸まわりの慣性モーメント>http://www14.atwiki.jp/yokkun/pages/55.html]]は, $$I_i=I_G+\left\{\left(1-\frac{3}{8}\cos\theta\right)^2+\left(\frac{3}{8}\sin\theta\right)^2\right\}mR^2$$ $$=\left(\frac{2}{5}-\frac{3}{8}\right)mR^2+\left(1+\frac{3}{8}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)mR^2$$ $$=\left(\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)mR^2$$ となる。したがってエネルギー保存は, $$\frac{1}{2}mR^2\dot{\theta}^2\left(\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)=\frac{3}{8}mgR(\cos\theta-\cos\theta_0)$$ 周期を求めると, $$T=8\sqrt{\frac{R}{3g}}\int_0^{\theta_0}\sqrt{\frac{\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta}{\cos\theta-\cos\theta_0}}d\theta$$ となる。 実験用に作った半球の値$$R=0.033$$mを用いて数値積分すると,$$\theta_0\rightarrow 0$$の極限で,$$T=0.48$$sec.を得た。実験は,ひとまず薄手のプラスチックのボール(おもちゃ)を切ったものに水を入れて凍らせたという,ややおそまつなものでやってみたが,測定周期は$$0.49$$sec.であった。材料のいい加減さ(何より真球でない)からすると,まずまずの結果だろう。 ---- #comment(size=60, nsize=20, vsize=3, num=20) ----