半球転がり振子
半円筒の転がり振子は,実は初めは半球の振動を解析してみようと思った際,準備運動として始めたつもりだった。そこで,本題の半球の転がり振動の解析。

半円筒の解析の際,思わぬところでつまづいたが,結果的によい準備運動となった。
半球も半円筒とほとんど同じ考え方でよい。重心の球中心からの距離は,3/8\cdot Rであり,したがって重心まわりの慣性モーメントも

I_G=\left(\frac{2}{5}-\frac{3}{8}\right)mR^2

と置き換えるだけである。

半球の転がり振子ですべりのない場合は,瞬間の回転軸は常に接地点であるから,
瞬間の回転軸まわりの慣性モーメントは,

I_i=I_G+\left\{\left(1-\frac{3}{8}\cos\theta\right)^2+\left(\frac{3}{8}\sin\theta\right)^2\right\}mR^2
  =\left(\frac{2}{5}-\frac{3}{8}\right)mR^2+\left(1+\frac{3}{8}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)mR^2
  =\left(\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)mR^2

となる。したがってエネルギー保存は,

\frac{1}{2}mR^2\dot{\theta}^2\left(\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta\right)=\frac{3}{8}mgR(\cos\theta-\cos\theta_0)

周期を求めると,

T=8\sqrt{\frac{R}{3g}}\int_0^{\theta_0}\sqrt{\frac{\frac{7}{5}-\frac{3}{4}\cos\theta}{\cos\theta-\cos\theta_0}}d\theta

となる。

実験用に作った半球の値R=0.033mを用いて数値積分すると,\theta_0\rightarrow 0の極限で,T=0.48sec.を得た。実験は,ひとまず薄手のプラスチックのボール(おもちゃ)を切ったものに水を入れて凍らせたという,ややおそまつなものでやってみたが,測定周期は0.49sec.であった。材料のいい加減さ(何より真球でない)からすると,まずまずの結果だろう。

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最終更新:2009年02月19日 17:51