****エネルギーによって軌道長半径が決まること ケプラーの第1・2法則を前提として,「力学的エネルギーによって衛星の軌道長半径が一意に定まること」の一般的証明。 ---- ほとんど同じだが,2つの方法でやってみた。 【証明1】 力学的エネルギー $$E = \frac{1}{2}mv^2 - \frac{GMm}{r}$$ $$r=a$$の円軌道の場合 $$\frac{mv^2}{a} = \frac{GMm}{a^2}$$ を用いて $$E = -\frac{GMm}{2a}$$ これに等しい力学的エネルギーをもつ軌道に対して $$\frac{1}{2}mv^2 - \frac{GMm}{r} = -\frac{GMm}{2a}$$ 第2法則から近地点・遠地点において $$rv = h = {\rm const.}$$ 以上から $$r^2 - 2ar + \frac{ah^2}{GM} = 0$$ 2つの解(近地点および遠地点距離)の和が$$2a$$であることから,長半径が$$a$$であることが示された。ぎりぎり高校物理レベルにおさまる点がいい。 【証明2】 軌道平面に極座標を適用して,エネルギー保存と角運動量保存を書くと, $$\frac{1}{2}m(\dot{r}^2+r^2\dot{\phi}^2) - \frac{GMm}{r} = E$$ $$r^2\dot{\phi} = h$$ 両式より$$\dot{\phi}$$を消去して, $$\frac{1}{2}m\dot{r}^2 + \frac{mh^2}{2r^2} - \frac{GMm}{r} = E$$ 運動が許される範囲は, $$\frac{1}{2}m\dot{r}^2 = E - \frac{mh^2}{2r^2} + \frac{GMm}{r} \ge 0$$ すなわち, $$r^2 + \frac{GMm}{E}r - \frac{mh^2}{2E} \ge 0$$ したがって, $$r_{\rm min.} + r_{\rm max.} = -\frac{GMm}{E} = 2a$$ を得る。やはりこれが一番エレガントだろうか。 ----