****直線2連振子のエネルギー(2) [[直線2連振子のエネルギー]]の定量的考察を試みた。 ---- #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=588&file=2-ren3.bmp) まず,初歩的な計算で最下点までのエネルギー移動を考察しよう。 本来の題意である最下点での速さ$$v_1,v_2$$を求める。 力学的エネルギー保存により $$\frac{1}{2}m_1{v_1}^2 + \frac{1}{2}m_2{v_2}^2 = m_1gh_1 + m_2gh_2$$ ここで, $$v_2 = \frac{h_2}{h_1} v_1$$ を考慮して解けば, $$v_1 = h_1 \sqrt{\frac{2g(m_1h_1 + m_2h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2}}$$ $$v_2 = h_2 \sqrt{\frac{2g(m_1h_1 + m_2h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2}}$$ を得る。したがって,おもり1のエネルギー変化は $${\it \Delta}E_1 = \frac{1}{2}m_1{v_1}^2 - m_1gh_1$$ $$= \frac{m_1m_2gh_1h_2(h_1 - h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2} > 0$$ 同様に $${\it \Delta}E_2 = -{\it \Delta}E_1 < 0$$ を得る。 「個別の力学的エネルギー保存が成立するのではないか」 という勘違いとともに多く見られる勘違いは, 「重心の力学的エネルギーは保存するだろう」 というものである。もちろん重心まわりの回転のエネルギーを忘れてはいけない。 重心の軸からの距離および最下点での速さ $$h_G = \frac{m_1h_1 + m_2h_2}{m_1 + m_2}$$ $$V = \frac{h_G}{h_1}v_1$$ を考慮すると $$\frac{1}{2}MV^2 = \frac{g(m_1h_1 + m_2h_2)^3}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}$$ 失われた重力による位置エネルギーとの差をとれば $$g(m_1h_1 + m_2h_2) - \frac{1}{2}MV^2 = \frac{m_1m_2g(m_1h_1 + m_2h_2)(h_1 - h_2)^2}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}$$ この差は重心まわりの回転のエネルギーまたは,相対運動のエネルギーということになる。 $$\frac{1}{2}I\omega^2 = \frac{1}{2}\mu {v_r}^2 = \frac{m_1m_2g(m_1h_1 + m_2h_2)(h_1 - h_2)^2}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}$$ は容易に確認できるだろう。ただし, $$M = m_1 + m_2$$ $$\mu = \frac{m_1m_2}{M}$$ $$\omega = \frac{v_1}{h_1} = \frac{v_2}{h_2} = \frac{V}{h_G} = \frac{v_r}{h_1 - h_2}$$ $$I$$は重心まわりの慣性モーメントである。 ----