****ファインマンのトラス問題 [[「物理のかぎしっぽ数式掲示板」>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=23280&mode2=preview_pc]]に寄せられた質問から, 「ファインマン物理学」の力学の演習にあるトラスの問題。 ---- &ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=85&file=Truss0.bmp) 図のようなトラスで、対角線の支柱はみな5の長さ、水平の支柱はみな6の長さである。 つなぎめは蝶番でみな自由に動く。トラスの重さは無視できる。 a) 図のように荷をかけたとき、支柱のどれとどれは、針金で代用できるか。 b) 支柱BD,DEの内部にはたらく力を求めよ。 ---- 本来,[[仮想仕事の原理]]の問題。しかし,a)ですべての力の正負を仮想仕事で判断するのはなかなか難しい。ファインマンダイヤグラムを発明するようなイメージの天才ならばまだしも。コツとしては,支柱の1本をばねに置き換えてEを下に引くとき,ばねが伸びるか縮むか…ということである。伸びる場合はもとの支柱内部の力は張力,縮む場合は抗力であったことになる。 いよいよとなれば,違反ではあるがつりあいから各連結が受ける力を求めるしかない。 連結点AおよびBが支柱ABから受ける張力を$$T_{AB}$$のように表せば、 たとえば連結点Aにおいて, $$\frac{3}{5}T_{AB}+T_{AC}=0$$ $$\frac{1}{3}W+\frac{4}{5}T_{AB}=0$$ といった具合に連立させて、順次求めていけば $$T_{AB}=-\frac{5}{12}W\quad,\quad T_{AC}=\frac{1}{4}W\quad,\quad T_{BC}=\frac{5}{12}W\quad,\quad T_{BD}=-\frac{1}{2}W$$ $$T_{CD}=-\frac{5}{12}W\quad,\quad T_{CE}=\frac{3}{4}W\quad,\quad T_{DE}=\frac{5}{12}W\quad,\quad T_{DF}=-W$$ $$T_{EF}=\frac{5}{6}W\quad,\quad T_{EG}=\frac{1}{2}W\quad,\quad T_{FG}=-\frac{5}{6}W$$ を得る。負になったものは抗力になるわけだ。 したがって,a)の答えは,張力が正であるAC,BC,CE,DE,EF,EGとなる。 ---- せめて,b)は仮想仕事の原理をちゃんと使おう。 &ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=85&file=Truss2.JPG) BDを縮めると,C点が下がる。 そこで,CGの水平から下がった角度を$$\it{\Delta}\theta$$とおくと,点Eの下がりは$$h=6\it{\Delta}\theta$$。 同時にDからCEにおろした垂線が$$\it{\Delta}\theta$$傾くので,これによるBDの縮みは$$4\it{\Delta}\theta$$である。 一方,ACが水平から下がる角度は$$2\it{\Delta}\theta$$となる。 同時にBからACにおろした垂線が$$2\it{\Delta}\theta$$傾くので,これによるBDの縮みは$$8\it{\Delta}\theta$$。 合計でBDは$$12\it{\Delta}\theta$$縮む。仮想仕事の原理により,求める抗力を$$F$$とすると $$F\times 12{\it\Delta}\theta = W\times 6 \it{\Delta}\theta$$ となり,$$F = W/2$$を得る。 この結果は,ファインマンのテキストの解答と異なる。テキストが間違っているらしいことは,『Phun』によるシミュレーションでも確認できる。 同様にしてDEが受ける力$$5W/12$$を得る。 ---- #Video(http://www.youtube.com/watch?v=3h_nxY8cIas) ----