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****行列の対角化(覚書) 線形代数の基礎的な事項とはいえ,学生時代に勉強しなかったために,その意義が見出せぬまま「わけわからん!」状態で現在に至っていましたが,ようやくわかってきた気がします。要するに座標の2次形式の「積の項」を座標の回転でなくすことに相当するわけですね? 運動方程式の混在した座標の分離や計量テンソルの対角化にも応用できるというわけで。 ---- [[物理のかぎしっぽ>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=22489&mode2=preview_pc]] [[Wikipedia 対角化>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E8%A7%92%E5%8C%96]] ---- $$n$$ 次正方行列 $${\sf A}$$ に対して、 $$n$$ 次対角行列 $${\sf D}$$ と正則な $$n$$ 次正方行列 $${\sf U}$$ が存在して $${\sf U}^{-1}{\sf AU} = {\sf D}$$ とできるとき、行列 $${\sf A}$$ は対角化可能であるという。 ---- 座標 $$\boldsymbol{x}$$ に対して,対称行列 $${\sf G}$$ をはさんだ2次形式 $$s^2=\boldsymbol{x}^t{\sf G}\boldsymbol{x}$$ があるとき,座標の回転 $$\boldsymbol{x}={\sf R}\boldsymbol{q}$$ を施して,対角行列 $${\sf G}_0$$ を用いて $$s^2=\boldsymbol{q}^t{\sf R}^t{\sf GR}\boldsymbol{q}=\boldsymbol{q}^t{\sf G}_0\boldsymbol{q}$$ と書き換えることができる。このとき, $${\sf R}^t{\sf GR}={\sf G}_0$$ の対角成分を $$g_i$$ と書くと, $${\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}) = {\sf det}({\sf R}^t(x{\sf I} - {\sf G}){\sf R})\\ = {\sf det}(x{\sf R}^t{\sf I R} - {\sf R}^t{\sf G R}) = {\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}_0)$$         $$= (x - g_1)(x - g_2)\cdots$$ したがって,$$g_i$$ は $$x$$ に関する方程式 $${\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}) = 0$$ の解である。 ---- 「かぎしっぽ」質問から例題を拝借。 一端を固定したばねの他端に質点1をつけ,さらにもうひとつのばねをつけてその先に質点2をつけた連成振子を考える。ばね定数はどちらも $$k$$ ,質点の質量は1,2とも $$m$$ とする。 |VVVVVVVVVV ● VVVVVVVVVV ● 2つのばねが自然長のときのつりあい位置を基準として,質点1,2の変位を $$x_1$$,$$x_2$$ とすると, 系のポテンシャルエネルギーは $$U=\frac{1}{2}k{x_1}^2+\frac{1}{2}k(x_2-x_1)^2=\frac{1}{2}(x_1\,\,\,x_2)\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}\,\,\,\,\,2k\,\,\,-k\\-k\,\,\,\,\,\,\,\,\,k\end{pmatrix}\end{matrix}\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}\end{matrix}\equiv \frac{1}{2}\boldsymbol{x}^t{\sf K}\boldsymbol{x}$$ となるが,座標 $$\boldsymbol{x}\equiv(x_1,x_2)$$ を直交座標にみたて,回転 $${\sf R}$$ によって$${\sf K}$$ の対角化をはかる。 $$U=\frac{1}{2}\boldsymbol{q}^t{\sf R}^t{\sf K R}\boldsymbol{q}=\frac{1}{2}k_1{q_1}^2+\frac{1}{2}k_2{q_2}^2=\frac{1}{2}(q_1\,\,\,q_2)\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}k_1\,\,\,0\\\,\,\,\,\,0\,\,\,k_2\end{pmatrix}\end{matrix}\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}q_1\\q_2\end{pmatrix}\end{matrix}\equiv \frac{1}{2}\boldsymbol{q}^t{\sf K}_0\boldsymbol{q}$$ すなわち, $${\sf R}^t{\sf K R}={\sf K}_0$$ となるような $${\sf R}$$ と $${\sf K}_0$$ をみつけようというわけである。 $${\sf R}=\begin{pmatrix}\,\,\,\,\,\cos\theta\,\,\,\sin\theta\\-\sin\theta\,\,\,\cos\theta\end{pmatrix}$$ とおけば,$$\theta,k_1,k_2$$ の連立方程式が得られて $${\sf R},{\sf K}_0$$ を得るわけだが,$$k_1,k_2$$ は $${\sf det}(x{\sf I}-{\sf K})=\left|\begin{matrix}x-2k\,\,\,\,\,\,\,\,k\\\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,k\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,x-k\,\,\,\,\,\,\end{matrix}\right|=0$$ の解だから,これを解いてもいいわけだ。 $$\theta=\tan^{-1}\frac{\sqrt{5}-1}{2}\,\,\, , \,\,\, k_1=\frac{3+\sqrt{5}}{2}\,\,\, , \,\,\, k_2=\frac{3-\sqrt{5}}{2}$$ となった。 ---- #comment(size=60, nsize=20, vsize=3, num=20) ----
****行列の対角化(覚書) 線形代数の基礎的な事項とはいえ,学生時代に勉強しなかったために,その意義が見出せぬまま「わけわからん!」状態で現在に至っていましたが,ようやくわかってきた気がします。要するに座標の2次形式の「積の項」を座標の回転でなくすことに相当するわけですね? 運動方程式の混在した座標の分離や計量テンソルの対角化にも応用できるというわけで。 ---- [[物理のかぎしっぽ>http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=22489&mode2=preview_pc]] [[Wikipedia 対角化>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E8%A7%92%E5%8C%96]] ---- $$n$$ 次正方行列 $${\sf A}$$ に対して、 $$n$$ 次対角行列 $${\sf D}$$ と正則な $$n$$ 次正方行列 $${\sf U}$$ が存在して $${\sf U}^{-1}{\sf AU} = {\sf D}$$ とできるとき、行列 $${\sf A}$$ は対角化可能であるという。 ---- 座標 $$\boldsymbol{x}$$ に対して,対称行列 $${\sf G}$$ をはさんだ2次形式 $$s^2=\boldsymbol{x}^t{\sf G}\boldsymbol{x}$$ があるとき,座標の回転 $$\boldsymbol{x}={\sf R}\boldsymbol{q}$$ を施して,対角行列 $${\sf G}_0$$ を用いて $$s^2=\boldsymbol{q}^t{\sf R}^t{\sf GR}\boldsymbol{q}=\boldsymbol{q}^t{\sf G}_0\boldsymbol{q}$$ と書き換えることができる。このとき, $${\sf R}^t{\sf GR}={\sf G}_0$$ の対角成分を $$g_i$$ と書くと, $${\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}) = {\sf det}({\sf R}^t(x{\sf I} - {\sf G}){\sf R})\\ = {\sf det}(x{\sf R}^t{\sf I R} - {\sf R}^t{\sf G R}) = {\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}_0)$$         $$= (x - g_1)(x - g_2)\cdots$$ したがって,$$g_i$$ は $$x$$ に関する方程式 $${\sf det}(x{\sf I} - {\sf G}) = 0$$ の解である。 ---- 「かぎしっぽ」質問から例題を拝借。 一端を固定したばねの他端に質点1をつけ,さらにもうひとつのばねをつけてその先に質点2をつけた連成振子を考える。ばね定数はどちらも $$k$$ ,質点の質量は1,2とも $$m$$ とする。 |VVVVVVVVVV ● VVVVVVVVVV ● 2つのばねが自然長のときのつりあい位置を基準として,質点1,2の変位を $$x_1$$,$$x_2$$ とすると, 系のポテンシャルエネルギーは $$U=\frac{1}{2}k{x_1}^2+\frac{1}{2}k(x_2-x_1)^2=\frac{1}{2}(x_1\,\,\,x_2)\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}\,\,\,\,\,2k\,\,\,-k\\-k\,\,\,\,\,\,\,\,\,k\end{pmatrix}\end{matrix}\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}\end{matrix}\equiv \frac{1}{2}\boldsymbol{x}^t{\sf K}\boldsymbol{x}$$ となるが,座標 $$\boldsymbol{x}\equiv(x_1,x_2)$$ を直交座標にみたて,回転 $${\sf R}$$ によって$${\sf K}$$ の対角化をはかる。 $$U=\frac{1}{2}\boldsymbol{q}^t{\sf R}^t{\sf K R}\boldsymbol{q}=\frac{1}{2}k_1{q_1}^2+\frac{1}{2}k_2{q_2}^2=\frac{1}{2}(q_1\,\,\,q_2)\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}k_1\,\,\,0\\\,\,\,\,\,0\,\,\,k_2\end{pmatrix}\end{matrix}\begin{matrix}\\ \begin{pmatrix}q_1\\q_2\end{pmatrix}\end{matrix}\equiv \frac{1}{2}\boldsymbol{q}^t{\sf K}_0\boldsymbol{q}$$ すなわち, $${\sf R}^t{\sf K R}={\sf K}_0$$ となるような $${\sf R}$$ と $${\sf K}_0$$ をみつけようというわけである。 $${\sf R}=\begin{pmatrix}\,\,\,\,\,\cos\theta\,\,\,\sin\theta\\-\sin\theta\,\,\,\cos\theta\end{pmatrix}$$ とおけば,$$\theta,k_1,k_2$$ の連立方程式が得られて $${\sf R},{\sf K}_0$$ を得るわけだが,$$k_1,k_2$$ は $${\sf det}(x{\sf I}-{\sf K})=\left|\begin{matrix}x-2k\,\,\,\,\,\,\,\,k\\\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,k\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,x-k\,\,\,\,\,\,\end{matrix}\right|=0$$ の解だから,これを解いてもいいわけだ。 $$\theta=\tan^{-1}\frac{\sqrt{5}-1}{2}\,\,\, , \,\,\, k_1=\frac{3+\sqrt{5}}{2}\,\,\, , \,\,\, k_2=\frac{3-\sqrt{5}}{2}$$ となった。 ---- #comment(size=60, nsize=20, vsize=3, num=20) ----

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