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「連星系の相対運動」(2009/01/14 (水) 13:38:30) の最新版変更点
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****連星系の相対運動
そもそも相対座標と換算質量について整理しておこうと思ったきっかけになった問題です。
http://okwave.jp/qa4621254.html
万有引力を及ぼしあう2質点の運動のおおまかな解析。
----
【問題】 ※一部改題
質量$$m_1,m_2$$の2質点が,相互の万有引力だけを受けて運動する。
直交座標による初期位置は,それぞれ
$$\boldsymbol{r}_{10}=(-l,0,0)\,\,\,,\,\,\,\boldsymbol{r}_{20}=(l,0,0)$$
同様に初速度は,
$$\boldsymbol{v}_{10}=(0,2V,2v)\,\,\,,\,\,\,\boldsymbol{v}_{20}=(0,-V,v)$$
であるとする。ただし,$$l$$ は長さの定数,$$V,v$$ は速さの定数である。
(1) 重心系において2質点の運動が定常的な円運動になるための条件を求めよ。
(2) 全運動エネルギーが最大・最小となるときの2質点間の距離を求めよ。
----
(1)
重心系における $$m_1,m_2$$ の初速度は,$$M=m_1+m_2$$ として
$$\boldsymbol{u}_{10} = \boldsymbol{v}_{10}-\frac{m_1\boldsymbol{v}_{10}+m_2\boldsymbol{v}_{20}}{m_1+m_2}=\frac{m_2}{M}(\boldsymbol{v}_{10}-\boldsymbol{v}_{20})=\left(0 , \frac{3m_2V}{M} , \frac{m_2v}{M}\right)$$
$$\boldsymbol{u}_{20} = \boldsymbol{v}_{20}-\frac{m_1\boldsymbol{v}_{10}+m_2\boldsymbol{v}_{20}}{m_1+m_2}=\frac{m_1}{M}(\boldsymbol{v}_{20}-\boldsymbol{v}_{10})=\left(0, -\frac{3m_1V}{M} , -\frac{m_1v}{M}\right)$$
となる。このとき,明らかに速度は動径に垂直であるから,円運動の方程式から
$$\frac{m_1{\boldsymbol{u}_{10}}^2}{2m_2 l/M} \lesseqgtr G\frac{m_1m_2}{4 l^2}$$
$$\frac{m_2{\boldsymbol{u}_{20}}^2}{2m_1 l/M} \lesseqgtr G\frac{m_1m_2}{4 l^2}$$
両者は結局は同じ式になり,
$$\frac{\mu(9V^2+v^2)}{2l} \lesseqgtr G\frac{\mu M}{4l^2}$$
となる。ただし,$$\mu$$ は換算質量
$$\mu = \frac{m_1m_2}{M}$$
である。
実は,上記のような煩雑な計算は不要で,はじめから相対座標および相対速度と換算質量を用いて,
$$\frac{\mu(\boldsymbol{v}_{10}-\boldsymbol{v}_{20})^2}{|\boldsymbol{r}_{10}-\boldsymbol{r}_{20}|} \lesseqgtr G\frac{\mu M}{4l^2}$$
としてよかったのであった。
① 不等号 < のとき,軌道は楕円で初期位置は最遠点
② 等号 = のとき,軌道は円
③ 不等号 > のとき,軌道は楕円で初期位置は最近点 となる。
円軌道となる条件は,
$$9V^2+v^2=\frac{G(m_1+m_2)}{2l}$$ … 答
(2)
もうひとつの最近点(最遠点)にあるときの2質点間の距離を $$l^\prime$$ ,相対速さを $$U$$ とすると,重心系におけるエネルギー保存により,
$$\frac{1}{2}\mu(9V^2+v^2)-\frac{G\mu M}{2l} = \frac{1}{2}\mu U^2-\frac{G\mu M}{2l^\prime}$$ ---(i)
角運動量保存により,
$$2l\times \mu\sqrt{9V^2+v^2} = 2l^\prime\times \mu U$$ ---(ii)
(i)(ii)により,
$$2l^\prime = \frac{2(9V^2+v^2)l^2}{GM-(9V^2+v^2)l}$$
整理すると,
$$9V^2+v^2 \lessgtr \frac{G(m_1+m_2)}{2l}$$
不等号 < のとき,最近点距離 $$2l^\prime$$,最遠点距離 $$2l$$
不等号 > のとき,最近点距離 $$2l$$,最遠点距離 $$2l^\prime$$
系の全運動エネルギーは,最近点のとき最大,最遠点のとき最小となる。
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=36&file=rensei.JPG)
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#comment(size=40, nsize=20, vsize=3, num=20)
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****連星系の相対運動
そもそも相対座標と換算質量について整理しておこうと思ったきっかけになった問題です。
http://okwave.jp/qa4621254.html
万有引力を及ぼしあう2質点の運動のおおまかな解析。
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【問題】 ※一部改題
質量$$m_1,m_2$$の2質点が,相互の万有引力だけを受けて運動する。
直交座標による初期位置は,それぞれ
$$\boldsymbol{r}_{10}=(-l,0,0)\,\,\,,\,\,\,\boldsymbol{r}_{20}=(l,0,0)$$
同様に初速度は,
$$\boldsymbol{v}_{10}=(0,2V,2v)\,\,\,,\,\,\,\boldsymbol{v}_{20}=(0,-V,v)$$
であるとする。ただし,$$l$$ は長さの定数,$$V,v$$ は速さの定数である。
(1) 重心系において2質点の運動が定常的な円運動になるための条件を求めよ。
(2) 全運動エネルギーが最大・最小となるときの2質点間の距離を求めよ。
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(1)
重心系における $$m_1,m_2$$ の初速度は,$$M=m_1+m_2$$ として
$$\boldsymbol{u}_{10} = \boldsymbol{v}_{10}-\frac{m_1\boldsymbol{v}_{10}+m_2\boldsymbol{v}_{20}}{m_1+m_2}=\frac{m_2}{M}(\boldsymbol{v}_{10}-\boldsymbol{v}_{20})=\left(0 , \frac{3m_2V}{M} , \frac{m_2v}{M}\right)$$
$$\boldsymbol{u}_{20} = \boldsymbol{v}_{20}-\frac{m_1\boldsymbol{v}_{10}+m_2\boldsymbol{v}_{20}}{m_1+m_2}=\frac{m_1}{M}(\boldsymbol{v}_{20}-\boldsymbol{v}_{10})=\left(0, -\frac{3m_1V}{M} , -\frac{m_1v}{M}\right)$$
となる。このとき,明らかに速度は動径に垂直であるから,円運動の方程式から
$$\frac{m_1{\boldsymbol{u}_{10}}^2}{2m_2 l/M} \lesseqgtr G\frac{m_1m_2}{4 l^2}$$
$$\frac{m_2{\boldsymbol{u}_{20}}^2}{2m_1 l/M} \lesseqgtr G\frac{m_1m_2}{4 l^2}$$
両者は結局は同じ式になり,
$$\frac{\mu(9V^2+v^2)}{2l} \lesseqgtr G\frac{\mu M}{4l^2}$$
となる。ただし,$$\mu$$ は換算質量
$$\mu = \frac{m_1m_2}{M}$$
である。
実は,上記のような煩雑な計算は不要で,はじめから相対座標および相対速度と換算質量を用いて,
$$\frac{\mu(\boldsymbol{v}_{10}-\boldsymbol{v}_{20})^2}{|\boldsymbol{r}_{10}-\boldsymbol{r}_{20}|} \lesseqgtr G\frac{\mu M}{4l^2}$$
としてよかったのであった。
① 不等号 < のとき,軌道は楕円で初期位置は最遠点
② 等号 = のとき,軌道は円
③ 不等号 > のとき,軌道は楕円で初期位置は最近点 となる。
円軌道となる条件は,
$$9V^2+v^2=\frac{G(m_1+m_2)}{2l}$$ … 答
(2)
もうひとつの最近点(最遠点)にあるときの2質点間の距離を $$2l^\prime$$ ,相対速さを $$U$$ とすると,重心系におけるエネルギー保存により,
$$\frac{1}{2}\mu(9V^2+v^2)-\frac{G\mu M}{2l} = \frac{1}{2}\mu U^2-\frac{G\mu M}{2l^\prime}$$ ---(i)
角運動量保存により,
$$2l\times \mu\sqrt{9V^2+v^2} = 2l^\prime\times \mu U$$ ---(ii)
(i)(ii)により,
$$2l^\prime = \frac{2(9V^2+v^2)l^2}{GM-(9V^2+v^2)l}$$
整理すると,
$$9V^2+v^2 \lessgtr \frac{G(m_1+m_2)}{2l}$$
不等号 < のとき,最近点距離 $$2l^\prime$$,最遠点距離 $$2l$$
不等号 > のとき,最近点距離 $$2l$$,最遠点距離 $$2l^\prime$$
系の全運動エネルギーは,最近点のとき最大,最遠点のとき最小となる。
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