I.3次元空間と座標系の回転
われわれの空間は,3次元であるといわれる。その意味は,たとえば直交座標

の3つの値で空間内の1点を示すことができるということだ。そしてその空間の特徴として,座標の差が

である2点間の距離

が,
で表され,この形が座標系の平行移動や回転によって変わらないという点があげられる(

は

でいっこうにかまわないが,後のために

を使った)。
簡単のため

軸まわりの回転を考えよう。回転角を

とすると,点

は回転後の座標

に書きかえられる。

座標のみについて行列で書くと,
となる。
変位

について同様に,
と書け,逆の変換は
※逆行列または

を

におきかえる!
である。
新しい座標での距離

はもちろん,
となるはずだ。空間の計量は,回転に対して形を変えず,距離

の値ももちろん変わらない。

は回転という変換に対して不変量であるという。
練習問題1

を直接計算で確かめよ。
さて,変位

はそのままで3次元ベクトルだから,任意のベクトル

も回転に対して同じ書きかえを受ける。
そして,その大きさ

は
であり,もちろん不変量なのだ。一般にベクトルの内積

は不変量となる。
練習問題2
ベクトルの内積

が座標系の回転に対して不変量であることを示せ。
最終更新:2009年04月24日 14:08