IV.4元ベクトル
時空上の変位

は,そのまま時空のベクトルと考えることができ,これを4元ベクトルという。

は3次元空間のふつうのベクトルだ。
4元変位

不変量=インタバル
一般の4元ベクトル

を考えることができる。ただし,ここで

は,3次元空間のベクトル

に対応し,空間成分という。また,

はその時間成分というべきものだ(座標の番号を右肩に書くことにはある意味があるのだが,とりあえず習慣と考えて!)。
4元ベクトル

不変量=4元ベクトルの「長さ」
4元ベクトルの成分は,ローレンツ変換にしたがう。
変位

を成分とする4元変位ベクトル

があるのなら,速度

を成分とする4元ベクトルはあるだろうか?
なのだから,時間成分を
とすればよさそうだが…残念! 速度の合成を考えてもわかることだが,時空変位の成分どうしの割り算がローレンツ変換にしたがわないのは明らかだし,何より上の

は定数であり,

が不変量でないことも自明だ。
そこで

で割ってマズイのだから,それ自身が不変量である固有時間

で割ることを考える。すると4元速度ベクトルができあがる。
ここで,
を用いた。ただし,この場合の

や

,

は,ローレンツ変換の中のそれとはちがうものだから注意(練習問題5参照)。
4元速度ベクトルに静止質量

をかけたものはやはり4元ベクトルとなり,これを4元運動量という。空間成分はふつうに運動量ベクトル

になる。
4元運動量(モメナジー)

不変量=静止エネルギー
時間成分は,物体のエネルギーを

で割ったものになる。
ここにエネルギーと運動量が1つの4元ベクトルの成分として統一された。
momentum + energy

momenergy
また,不変量の式から自動的にエネルギーと運動量の関係が出てくる!
練習問題5
4元速度のローレンツ変換から速度の合成則を求めよ。
最終更新:2009年04月24日 14:52