8.引力
Phunは,物体間相互作用として距離に反比例する引力,および距離の2乗に反比例する引力を提供する。距離に反比例する引力は力学において直接登場する機会が少ないが,距離の2乗に反比例する引力は,クーロン力および万有引力がそれに当たり,活用できそうである。ただし,斥力はスクリプトメニューからattraction[引力係数]値を無理やり負に設定しなければならない。ここでは,距離の2乗に反比例する引力・斥力についてのみ考察してみる。
重力のないPhun空間において,2物体間に距離の2乗に反比例する引力が設定された場合,その引力の大きさをばねの伸びで測定してみた。引力は物体がもつ物性のひとつとして設定される。Material[ぶっしつ]メニューのAttraction[引力]パラメータでその強さが指定できる。また,Attraction falloff[引力のげん少] において,引力が距離に反比例するLinear[1次],距離の2乗に反比例するQuadratic[2次]が選択できる。ここでは,Quadratic[2次]のみについて述べる。
未だ推定誤差が大きく(条件によって1割程度)確実なことはいえないが,質量

の2物体のAttraction[引力]パラメータが

と設定され,重心間の距離が

であるとき,引力の大きさは
となっているように思われる。
応用例をふたつ紹介しておこう。ニュートンのプリンキピアに図版のある「水平投射体の運動」だが,これは人工衛星の「予言」とも考えられる重要なものである。また,斥力の方は
ラザフォード散乱。小球のクローンをたくさん作り,長方形に埋め込み発射する。原子核に負のattractionを設定すると,ラザフォード散乱のシミュレーションがいとも簡単にできる。
「埋め込み発射」によって投射体に大小の水平初速度を与えたときの軌跡を示している。
「第1宇宙速度」に達する投射体は人工衛星になる。
原子核に斥力を設定。
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小球のクローンをたくさん作り,長方形に埋め込む。
ラザフォード散乱のシミュレーションがいとも簡単にできた。
Phunシーンのダウンロード
ニュートンの「人工衛星」
ラザフォード散乱
最終更新:2009年09月26日 20:37