高エネルギー荷電粒子のサイクロトロン運動
OKWaveの質問に関連して,ちょっと勉強させてもらった。サイクロトロン運動の相対論的な扱いについて。

質量m,電荷qの粒子が磁場\boldsymbol{B}中を運動する場合,運動方程式は,

\frac{d}{dt}\frac{m\boldsymbol{v}}{\sqrt{1-\beta^2}} = q\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B} \quad , \quad \beta = \frac{v}{c}

ローレンツ力は速度に対して常に垂直で仕事をしないから,粒子のエネルギー
E = \frac{mc^2}{\sqrt{1-\beta^2}}
は保存される。いいかえれば,v=const.である。これを考慮して,サイクロトロン運動の角速度\boldsymbol{\omega}_cを用いて運動方程式を整理すると,

\frac{d\boldsymbol{v}}{dt} = \boldsymbol{\omega}_c\times\boldsymbol{v} \quad , \quad \boldsymbol{\omega}_c = -\frac{q\sqrt{1-\beta^2}}{m}\boldsymbol{B} = -\frac{qc^2}{E}\boldsymbol{B}

すなわち,非相対論的なものと比較して,質量をm/\sqrt{1-\beta^2}に,サイクロトロン振動数|q|B/m|q|Bc^2/Eに置き換えればよい。サイクロトロン運動の半径と粒子の運動量は,
a_c = \frac{v}{\omega_c} = \frac{\beta E}{c|q|B} \quad , \quad p = \frac{Ev}{c^2} = |q|Ba_c
となる。

【参考】「電磁気学II」太田浩一,丸善物理学基礎コース

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最終更新:2009年08月18日 11:06