干渉条件と反射則の矛盾
OKWaveのQ&Aより。私もかつて持ったことのある疑問である。なぜ干渉条件は反射の法則を逸脱するかというもの。

Q&Aをそのまま転載させていただく。

【質問】ニュートンリング

ニュートンリングの原理の説明において、凸レンズの下面での光の反射が斜め方向ではなく垂直に反射するという説明をよく見受けますが、真上から入射した光が、なぜ斜め方向に反射しないのでしょうか。下の平面ガラスでの反射が垂直に反射するのは理解できますが、凸レンズの下面は入射光に対して垂直ではなく傾いているので、真上から入射した光は真上に反射するのではなく斜め方向に反射するように思われます。これは、ニュートンリングに限らずくさび形空気層における光の干渉においても同様ですが、なんとも納得できません。どなたか教えていただけませんでしょうか。

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図は下記のページのものである。


【回答】

なかなかするどい質問ですね。よいところに疑問をもたれたと思います。

同じ種類の疑問が、回折格子(特に反射型)の干渉においても出てくると思います。回折格子(またはダブルスリット)の場合、光が狭いところを通り抜けるので回折によって広がると解釈され、必ずしも反射の法則や屈折の法則にのっとった方向に限定されないというのはわかりますね?

CDによる光の干渉(反射型回折格子)

実は、ニュートンリングやくさび形空気層の干渉の場合も同じなのです。まず、無条件に反射の法則または屈折の法則を受け入れてしまうと、奇妙なことになります。そうでなくて、反射の法則や屈折の法則自体がホイヘンスの原理で説明されるように、並行する光線の波面がそろって強め合う方向を導いた結果なのです。

光の干渉において、いったん反射の法則や屈折の法則はご破算にすべきなのです。つまり、光は可能なあらゆる方向を「試行」して、結果的にともにする隣人(別経路を通ってすぐとなりを進むことになった光線)と強め合う方向を選択しているということです。反射の法則が成り立つのは入射角と異なる反射角の方向への光は互いに弱め合って打ち消し合うためと考えるべきなのです。ニュートンリングやくさび形空気層の干渉においても、反射の法則に拘束されることなく光はすべての方向を「試行」して、結果的に強め合う方向を選択しているわけです。

たとえばヤングの干渉実験で、弱め合う点には現実に光がこないのに、きたものと仮定して弱め合いを判定しますよね? これもつきつめて考えるとおかしなことです。現実には光はその弱め合う経路を選ばなかったわけですから。

光は可能なすべての経路を「試行」して、結果的に隣人と強め合う方向を選択する。これだけで、屈折・反射・回折・干渉といった光の波動性に関わるすべての現象が説明がつくのです。屈折の法則や反射の法則は、ニュートンリングやくさび形空気層の場合のように、あらたな隣人が参入するという条件にないときに成り立つ二次的な法則であることを理解しましょう。

なお,回答NO.2として,上記を認めつつも平凸レンズの底面(空気層の上面)がもつ傾きはほんのわずかで,近似的に問題なしとする内容のものが寄せられている。私もかつてはそういう理解であった。もちろん,この傾きが通常誇張して描いてある図のように急なものであれば,観測にかかるような有限幅の干渉縞は得られない。しかし,これは本質的でないように思われる。本来,反射の法則や屈折の法則は,近傍を並行する光線が強めあう結果としての二次的な法則であり,無条件で承認するべきものでないというのが私の現在の認識であるが,皆さんはどうお考えだろうか?

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最終更新:2010年01月19日 17:43
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