小球群による圧力とその解放
OKWaveのQ&Aより。分子運動論的な問題。

【問題】
質量 M のピストンがついた,鉛直に立てたシリンダー内で,質量 mn 個(n \gg 1)の球が,ピストンとシリンダーの底の間で,弾性的に衝突し,とび跳ねる。系は釣り合いの状態にあり,底からのピストンの高さは h に保たれている。ピストンを勢いよく抜き取ると,球はどれだけの高さまで飛び上がるか。ただし,重力加速度の大きさを gとし, シリンダーの壁とピストン間の摩擦,内外の気圧差は無視できるものとする。また,小球どうしの衝突は考えなくてよい。

【解答】
小球のピストン位置における速度の鉛直成分の大きさを v とする。弾性衝突であるからつりあいの状態において v は保存される(摩擦なし,はねかえり係数1)。

球がピストンに衝突すると,2mv の力積を及ぼす。ピストンが受ける球1個当たりの平均の力を f,時間を t として ft = 2mv。この球が次の衝突までに h を往復するから,

h = v\cdot\frac{t}{2} + \frac{1}{2}g\left(\frac{t}{2}\right)^2

これを t について解いて

t = \frac{2v}{g}\left(-1+\sqrt{1+2gh/v^2}\right)

\therefore f = \frac{2mv}{t} = \frac{mg}{-1+\sqrt{1+2gh/v^2}}

となる。シリンダ内の球 n 個が衝突によってピストンに及ぼす力が,重力とつりあっているから,

nf = Mg \qquad \therefore \frac{nmg}{-1+\sqrt{1+2gh/v^2}} = Mg

これを v^2 について解くと

v^2 = \frac{2M^2gh}{nm(2M+nm)}

ピストンを抜いたとき,v を初速度の鉛直成分として上方投げ上げとなるから,最高点のピストン位置からの高さは,

H = \frac{v^2}{2g} = \frac{M^2h}{nm(2M+nm)}

となる。底面からの高さは h+H である。

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最終更新:2010年01月23日 22:41