3力のつりあい実験器
「3力のつりあい実験器」が,「3力のつりあい」を確かめるものになっていることの証明。

H氏が製作・改良した「3力のつりあい実験器」。アクリルの支柱の上にCDを固定し,中心から3方向に引いた糸におもりをぶらさげて,バランスをとる。



先日の研究会で報告を聞いたとき,隣にいたY氏が
「これは,直接には力のつりあいの確認ではなく,力のモーメントのつりあいの確認になっている…と誰かがいっていた」
という「つぶやき」をもらしていた。彼は,私がそういったと記憶しているらしかったが,どうも覚えがない。しかし,この指摘はなるほどと思ったので,この実験器における力のモーメントのつりあいが,力のつりあいと等価であることを確認してみた。


x軸およびy軸まわりの力のモーメントがつりあっていることは,ベクトルの性質から明らかである。3つのベクトルのx成分の和およびy成分の和がゼロであるというつり合い条件が,そのままy軸およびx軸まわりの力のモーメントのつりあい条件となる。2軸まわりのモーメントがつりあっていれば,その交点である原点まわりの力のモーメントがつりあっていることになるだろう。

※円板の半径をrとすると,y軸およびx軸まわりの力のモーメントは,

rF_1 - r\cos\beta F_2 - r\cos\alpha F_3 = - rF_{1x} - rF_{2x} - rF_{3x} = 0

- r\sin\beta F_2 + r\sin\alpha F_3 = rF_{1y} + rF_{2y} + rF_{3y} = 0

また,力F_1,F_2,F_3の中心まわりのトルク(力のモーメント)ベクトルを\tau_1,\tau_2,\tau_3とすれば,うでの長さが同じだからトルクの大きさは力に比例し,トルクベクトルは本来のつりあいを構成する力ベクトルをそれぞれ90°回転させたものになる。トルクベクトルの和がゼロならば,力ベクトルの和もゼロになることが明らかである。

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最終更新:2010年10月06日 11:22
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