抵抗を受けるロケットの運動方程式
速度に比例する抵抗を受けるロケットの運動を調べる。Yahoo!知恵袋より。

なかなかおもしろい試み。質問者が提起した運動方程式は,

(M_0-mt)\frac{dv}{dt} = F-\gamma v

ただし,M_0はロケットの初期質量,mは単位時間当たりの噴出質量,Fは一定の推進力,\gamma vは速さvに比例する抵抗力である。ロケットのような高速では,空気抵抗は速さの2乗(超)に比例するとされるが,まあ野暮なことはいうまい。初めこれを見たとき,質量を微分の中に入れなくていいのか? と疑問に思った。しかしよく考えてみるとこれでよい。空気抵抗がなく,ロケットに対するガス噴出速度uが一定のときは,運動量保存により,

Mv = (M+dM)(v+dv) - dM(v-u)

すなわち,

Mdv + udM = 0\qquad\therefore dv = -u\frac{dM}{M}

初期条件v(0)=0の下に積分すると,

v(t) = u \ln\frac{M_0}{M(t)}

となる(ツィオルコフスキーのロケット方程式)。このプロセスで,

M\frac{dv}{dt} = -u\frac{dM}{dt}

を得るが,右辺が噴出ガスから受ける反作用すなわち推進力なのだ。M=M_0-mtすなわちm=-dM/dtを用いれば,

F = mu

である。

さて,主題にもどって積分をしてみよう。

(M_0-mt)\frac{dv}{dt} = F-\gamma v\quad{\rm i.e.}\quad\frac{dv}{F - \gamma v} = \frac{dt}{M_0-mt}

対称的でわかりやすい(この気持ちいい対称性があったので,あえて2乗比例に持ち込まなかった)。初期条件v(0)=0として積分して,

\frac{1}{\gamma}\ln\frac{F}{F-\gamma v} = \frac{1}{m}\ln\frac{M_0}{M_0-mt}

vについて解くと,

v = \frac{F}{\gamma}\left[1 - \left(\frac{M_0 - mt}{M_0}\right)^{\gamma/m} \right]

を得る。下図は,適当な数値を入れて抵抗の有無を比較したものである。


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最終更新:2010年11月11日 16:53
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