月の公転周期
月の公転周期を計算してみる。精度よく計算するためには,2体問題としての考察が必要である。

公転軌道は円であるものとしよう。軌道の離心率は5%程度だからよい近似といえる。地球および月の質量をM,mとし,公転の角速度を\omegaとする。また,軌道半径をrとすると,円運動の方程式は

mr\omega^2 = \frac{GMm}{r^2}

となる。ここから周期を求めると

T^\prime = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt\frac{r^3}{GM}

を得る。

M = 5.9736\times10^{24}{\rm kg},m = 7.3477\times10^22{\rm kg},r=3.844\times10^8{\rm m},G = 6.673\times10^{-11}{\rm Nm}^2/{\rm kg}^2

を用いて計算すると,

T^\prime = 27.45 {\rm day}

となった。実際の周期は27.32日であり,誤差は0.5%未満でまあよい結果といえる。しかし,実時間にして3時間ほどの誤差になる。実はこの誤差の大部分は,地球を静止しているものとした近似の副作用である。地球-月系は,質量比が約80:1であるがそれでも太陽系の他の衛星から比べると母星に対する質量比が異常に大きい衛星である。したがって,周期を精度よく求めるためには2体問題として考察しなければならない。すなわち,質量として換算質量

\mu = \left(\frac{1}{M} + \frac{1}{m}\right) = \frac{Mm}{M+m}

を用いて,相対運動の運動方程式を立てなければならない。

\mu r \omega^2 = \frac{GMm}{r^2}

結果は,

T = 2\pi\sqrt\frac{r^3}{G(M+m)}

となり,MM+mに置き換わったものになる。これで数値計算すると,

T = 27.28 {\rm day}

となり,今度は1時間ほど足りないが,誤差はかなり縮まった。

Algodooによるシミュレーション

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最終更新:2010年12月13日 15:38