イオン化エネルギーと原子の大きさ
イオン化エネルギーは,電気力による位置エネルギーの絶対値に他ならないから,古典的対応で原子の大きさを見積もる情報となる。Yahoo!知恵袋より。

イオン化電圧またはイオン化エネルギーは,電子を束縛状態から遠くに引き離すのに必要なエネルギーだから,原子核(+残留電子)の電気力による当該電子の位置エネルギー(<0)の絶対値に等しいと考えることができる。したがって,たとえば第1イオン化エネルギーE{\rm [J/mol]},アボガドロ数 N,クーロン定数k,電気素量eとして,

\frac{ke^2}{r} = \frac{E}{N}

\therefore r = \frac{ke^2N}{E}

を計算すると,原子半径のオーダーが導出される。なお,イオン化電圧Vによれば,

\frac{ke}{r} = V

\threfore r = \frac{ke}{V}

となり,さらに簡単になる。

水素の第1イオン化エネルギーは,E=1312{\rm [kJ/mol]}だから,

r = \frac{9.0\times 10^9\times(1.6\times10^{-19})^2\times 6.0\times 10^{23}}{1.3\times 10^6}=1.1\times 10^{-10}{\rm [m]}

を得る。なお,よく知られているように水素原子の基底状態のエネルギー準位は,-13.6{\rm[eV]}であるから,これを用いると

r = \frac{ke}{V} = \frac{9.0\times 10^9\times1.6\times10^{-19}}{13.6}=1.1\times 10^{-10}{\rm [m]}

ちなみにボーア半径は,

r = 5.3\times10^{-11}

であり,2倍の開きがある。原子の大きさなどというものは,いってしまえば「あってない」ようなものだから,オーダーが合えば十分である。

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最終更新:2011年01月31日 10:25