雪の付着による飛行機の減速
Yahoo!知恵袋より。雪の付着によって減速する飛行機の運動。

【問題】

雪の中を飛行している飛行機を考える。飛行機には雪が付着し,時間とともに質量が増えていく。飛行機の初期質量M_0,初速v_0,断面積をS,雪の空間質量密度を\rhoとする。また,空気抵抗は無視でき,飛行機の推力はゼロとする。

(1) 飛行機の運動を記述する微分方程式を立式せよ。

(2) 飛行機の速さが初速の8割になるまでの時間を求めよ。

【解答】

(1)

微小時間 dt の間の運動量保存から

M v = ( M + \rho Svdt )( v + dv )

\therefore Mdv = -\rho Sv^2dt

運動方程式は次のような連立微分方程式となる。

M \frac{dv}{dt} = -\rho S v ^2

\frac{dM}{dt} = \rho Sv

第1式より

v = \frac{\dot{M}}{\rho S}

第2式に代入して,

M \ddot{M} = -{\dot{M}}^2

\frac{d\dot{M}}{dt} = -\frac{{\dot{M}}^2}{M}

\frac{d\dot{M}}{\dot{M}} = -\frac{\dot{M}dt}{M}

積分すると,

\ln\frac{\dot{M}(t)}{\dot{M}(0)} = \ln\frac{M(0)}{M(t)}

\therefore \frac{\dot{M}(t)}{\dot{M}(0)} = \frac{M(0)}{M(t)}

M dM = M(0)\dot{M}(0) dt

再度積分して,

\frac{1}{2} (M^2 - {M_0}^2) = M_0\rho S v_0 t

\therefore M(t) = \sqrt{{M_0}^2 + 2\rho SM_0v_0 t}

速さは,

v(t) = \frac{1}{\rho S}\frac{dM}{dt} = \frac{M_0v_0}{\sqrt{ {M_0}^2 + 2\rho SM_0v_0 t}}

(2)

題意より

0.8 = \frac{M_0}{ \sqrt{{M_0}^2 + 2\rho SM_0v_0 t} }

\therefore t = \frac{9M_0}{32\rho Sv_0}

連立微分方程式にもどって,POLYMATHの数値積分によってシミュレートしてみた。設定は下記のとおりである。ちなみに解析解とはぴったり一致していることが確認できた。

M_0 = 1.00\times10^4 {\rm [kg]},\quad v_0 = 200 {\rm [m/s]},\quad \rho = 0.100 {\rm [kg/m}^3{\rm ]},\quad S = 1.00 {\rm[m^2]}

t = \frac{9M_0}{32\rho Sv_0} = 141{\rm [s]

質量変化


速度変化


Algodooでシミュレートしてみた。数値計算と比べてやや減速がはやいが概ね一致している。M_0 = 1.00\times10^3 {\rm [kg]},\quad v_0 = 2.00 {\rm [m/s]},\quad \rho = 0.100 {\rm [kg/m}^3{\rm ]},\quad S = 23.00 {\rm[m^2]}



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年01月27日 21:02