小球と木片の無限回衝突
質量
の小球が高さ
から斜面をすべりおりて,なめらかに接続する水平面に静止した質量
の木片に完全弾性衝突する。小球と斜面および水平面との間の摩擦は無視でき,木片と水平面との間の動摩擦係数は
,また静止摩擦は無視できる(静止摩擦係数が動摩擦係数に等しい)ものとする。この場合,小球と木片が静止するまでの両者の無限回衝突について考察する。
衝突前の小球の速さを
とすると,エネルギー保存により
衝突後の小球および木片の速さを
とする。
完全弾性衝突であればはねかえり定数が1だから,
運動量保存により
両式から
を得る。
さて,
の初速で動き始めた木片が摩擦力によって減速し,停止するまでの時間を
とすると,
もし,木片が静止する前に小球が再度衝突するのであれば,再衝突までの時間を
とすると,
となるから,再衝突は木片の停止後に起こることになり,再衝突までの時間を
とすれば,
を得る。2回の衝突位置間の距離は,
となる。以上は,木片のエネルギー保存で
を得てから
を逆算してもよい。
以後の運動は
を
にとりかえる…
を
にとりかえる…という繰り返しによって得られる。
は
回目の衝突直後の小球の速さである。そこで,
とおけば,
であるから,
回目の衝突から
回目の衝突までの時間
と移動距離
は,それぞれの
への依存性から,
となるだろう。
すると無限回衝突による合計,すなわち最初の衝突から両者がともに静止するまでの時間
と距離
は,
となる。もちろん,最後の
の結果は,エネルギー保存
によって,ただちに得られる結果に一致する。
『Phun』によるシミュレーション
最終更新:2009年03月14日 09:29