あずにゃんスイッチ



紬「唯ちゃん、今から時間ある?」

唯「ん? 大丈夫だけど」

紬「実はね、唯ちゃんに誕生日プレゼントがあるの」

唯「えっ、ムギちゃんからは貰ったけど……」

紬「これはみんなに秘密で渡したかったから。はい、どうぞ」

唯「この小さい機械は何?」

紬「それはね、梓ちゃんを操れるスイッチよ」

唯「あずにゃんを操れるスイッチ!?」

紬「それを押すと、梓ちゃんは唯ちゃんの何でも言うことを聞いてくれるわ」

唯「ほ、本当に何でも言うことを聞いてくれるの?」

紬「えぇ。一種の催眠効果があって相手の言うことを聞いてしまうの」

唯「へぇ~」

紬「唯ちゃんなら喜ぶと思って」

唯「何だかおもしろそう! ありがとう、ムギちゃん!」

紬「いいえ」




唯「あずにゃんを操れるスイッチか……」

唯「でも、何でも言うこと聞いてくれるのかな」

唯「明日、試してみようっと」


次の日


唯「部室に来てみたけど、みんな遅いなぁ」

梓「あ、唯先輩」

唯「あずにゃん!」

唯(来たっ! よし、スイッチを……)

梓「みなさんまだですかね……」


梓「何ですか?」

唯「肩を揉んでくれないかなぁ」ポチ

梓「……わかりました」

唯「えっ、うそ……」

梓「ここでいいですか?」モミモミ

唯「う、うん。気持ちいいよ……」

唯(あずにゃんのちっちゃな手が私のこと揉んでくれている……!)

唯(いつもだったらこんなこと絶対してくれないのに……)

梓「……はっ! 私、何で……」

唯「あずにゃん、ありがとう。気持ちよかったよ」

梓「そ、そうですか」

唯(どうやら嘘じゃないみたいだけど……)

唯(それじゃあ、こんなお願いはどうだ!)

唯「あずにゃん」

梓「何ですか?」

唯「ご奉仕するにゃん! って言って!」ポチ

梓「……仕方ないですね」

梓「ご奉仕するにゃん!」

唯「か、かわいいよおおぉ!」

梓「って、私ったら何を……!」

唯「今のすっごくかわいかったよ!」

梓「も、もう! 変なこと言わないで下さいよ!」

唯(このスイッチ、本当にあずにゃんを操れるんだ……!)

唯(なら……、あんなお願いやこんなお願いを聞いてくれたり……!)

唯(なにをお願いしちゃおうかなぁ……。うふふ……)

紬「あ、唯ちゃんと梓ちゃん」

律「おーっす」

澪「遅くなった」

梓「それじゃあ早速……」

律「ティータイムだ!」

梓「何でですか!」

唯「えぇ~? お茶したいよぉ」

梓「もう、そう言っていつも練習しないんですから……」

唯(そうだ。このスイッチで……)

唯「私はお茶がしたいなぁ」ポチ

梓「……仕方ないですね」

唯「やったあぁ!」

紬「じゃあ、お茶淹れるわね」

唯(すごい! すごいよこのスイッチ!)




唯(ふう、練習中もあずにゃんに何をお願いするかで頭がいっぱいだったよ)

唯(さて、早速……)


梓「何ですか?」

唯「今から家に来ない?」ポチ

梓「……いいですよ」

唯(本当に何でも言うことを聞いてくれるんだ……)

梓「どうしたんですか? 唯先輩」

唯「えっ? な、何でもないよ。さぁ、行こう」

唯(さて、自分の部屋まで来たけど……)

梓「何しましょうか?」

唯「ふぇっ? あ、あぁ……。そうだね……」

唯(何をお願いしようかなぁ……)

唯(あ、ネコ耳とか付けてほしいなぁ……。でも、今持っていないし……)

唯(普段頼んでも断られる事とかじゃないともったいないよね……)

梓「唯先輩?」

唯「……あずにゃん」

梓「はい」

唯「えっとね……、あのね……」

梓「?」

唯(何でも言うことを聞いてくれる……。何でも……)

唯(……)

唯「キス……、しよう?」

梓「……うぇっ!?」

唯「……」

梓「え、えっと……、ですね……」

唯「……あずにゃんが嫌なら、やめる」

梓「……」

梓「んっ……」

唯「いいの?」

梓「……」

唯「……その先まで、しちゃうよ?」

梓「っ……」

唯(あずにゃん、震えている……)

梓「い、いです……、よ」

唯「……あずにゃん」

梓「んっ……、ちゅ……」

唯「れろ……、はむっ……」

梓「ゆい、せんぱい……」

唯「っはぁ……。大丈夫だよ、あずにゃん」

梓「えっ……?」

唯「無理しなくていいよ」

唯「受け入れてくれて、ありがとう。今はキスだけで満足だよ」

梓「……ごめんなさい」

唯「いいよ。だから、覚悟ができたらあずにゃんを全部ちょうだい?」

梓「はい……」


次の日

紬「唯ちゃん、話って何?」

唯「ムギちゃん、悪いんだけど……。はい」

紬「梓ちゃんを操れるスイッチじゃない。どうしたの?」

唯「私には、いらないや」

唯「やっぱりあずにゃんのこと大切にしたいから……。こんなことだめだってわかったから……」

紬「……そう。じゃあ、これは処分しておくわね」

唯「うん。お願い」




紬「さて、梓ちゃん。結果的にこうなっちゃったけど、よかったの?」

梓「いいんです。唯先輩はあの時スイッチを使わないでくれました」

梓「唯先輩に求められたら、全部あげる覚悟でした。でも、やっぱりどこか怖くて……」

梓「スイッチで操られているふりをしていれば、素直になれると思って……」

梓「でも、それは間違っていました」

梓「唯先輩は私のことをちゃんと考えてくれて、待つ方を選んでくれました」

梓「だから、今度はちゃんと向き合って答えを出したいと思います」

紬「そうね、ふたりで答えを見つけたほうがいいわ」

梓「ムギ先輩、付き合ってくれてありがとうございました」

紬「いえいえ。ふたりで頑張ってね!」

梓「はい!」



END


  • 唯ちゃん優しいなあ…
 -- (畠沢進也)  &size(80%){2012-09-16 00:45:46} 
  • あれ?スイッチはどっち派なんだ? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-08 00:52:45
  • 時にドラえもん……いやムギえもんの道具は要らないこともあるよね(^^) -- (名無し) 2013-05-13 10:10:35
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最終更新:2011年12月03日 22:41