「平沢家と里帰り」




ゴトゴト ゴトゴト

梓「……」

唯「どーお?自然いっぱいでしょ!」

梓「そうですね……昨日まで、いえ今朝まで想像してたところとはまるで正反対です」

唯「なんか、帰ってきたぞー!って感じしない?」

梓「いや、するわけないじゃないですか」

唯「そう?心のふるさとっぽいんだけどなぁ……?」

憂「でもお姉ちゃん、梓ちゃんが来てくれるなんて嬉しいねー!」

唯「ねー♪」

brooooooooooooooo...




梓「……」

梓(車に乗って、どこともつかない山奥へ運ばれている私)

梓(そして、何も知らないまま、知らない顔だらけの集まりに出なければならない)

梓(なんでこんなことになったんだろう……)


回想。


梓「それじゃ、行ってきまーす」

梓母「行ってらっしゃい。私たちも今日は遅くなるから、御飯は適当に済ませてね」

梓「わかってるー!」タッ

――――

梓(……さて。唯先輩、今日はどこに行こうとしてるんだろう)

梓(こんな朝の時間を指定するわけだから、遠くなんだろうけど)

梓(持ってくるのは水着とタオル、それと下着ぐらいでよかったかな?)

梓「どこに行くか言わないなんて、唯先輩そういうところがあるからなぁ…ま、いいんだけど」






憂「~~♪」

梓「あっ、憂だ。おーい、憂ー!」

憂「梓ちゃん。おはよー」

梓「車出してるけど、今から出かけるの?(あれ?私、日にち間違えた…?)」

憂「ううん、もうちょっと後。梓ちゃん荷物少ないね、着替え足りる?」

梓「え?私?…………着替え?」

憂「うーん……でも二日間だし大丈夫かな……」

梓「ちょっと、うい」

唯「あーずにゃんっ!!おっはよー♪」ガバー

梓「うぐっ。……おはようございます。いきなりですけど、私が今日向かう場所を教えてもらえますかね」

唯「え?おばあちゃんの家だよー」

梓「……私、帰っていいですか」


回想終わり。




梓「まったく、唯先輩は。大事なことは前もってっていつも言ってるじゃないですか!」

唯「えへへ。ごめんなさ~い」

梓「まあ……家の鍵忘れたからやむを得ずここにいますけど」

唯「先輩に感謝してもいいんだよー?」

梓「元はといえば唯先輩が誘ったからなんですけどね」

平沢父「ごめんね、梓ちゃん。唯が無理言ったみたいで」

梓「あ、いえ!……でも、ご迷惑じゃないですか?私みたいな部外者」

平沢母「気にしないで。今までも和ちゃんを何度か誘ってるし。あ、和ちゃんは唯の幼馴染で――」

唯「お母さん、あずにゃんは和ちゃんのこと知ってるよ、一緒にお茶する友達だもんね?」

梓「ええ、まあ、友達…とはちょっと違うような気がしますけど」

平沢母「今年は和ちゃん来られなくて残念ね」

唯「うん。それに今年は澪ちゃんにりっちゃんにムギちゃんも誘ったのにな~」

平沢父「う~ん、そんなには車に乗せられないなー」

唯「え~?そうかな~」




梓(唯先輩、私だけを誘ったわけじゃなかったんだ……)

憂「梓ちゃん、梓ちゃん」

梓「憂」

憂「今日は来てくれてありがとうね。この山道抜けたらもうすぐだよ」

梓「ねえ憂…ほんとに私が来てよかったのかなぁ?里帰りで親戚も集まるんでしょ?」

憂「大丈夫だよー。ちょっと顔見せたらあとは好きにしてて。和さんの時もそうだったし」

梓「でも」

憂「それに集まりって言っても、大人の人達が勝手にお酒飲んでおしゃべりするだけだから」

唯「言わば、アダルトなティータイムだよ!」ズイッ

梓「うわっ」

唯「私たちも大人になったらお酒でティータイムしようね!」

梓「いや、それはティータイムとは言いませんから」





唯「あ!あずにゃんあずにゃん、見て!橋の下!」

梓「はい、ちっちゃいけど綺麗な川ですね」

憂「子供が遊んでるねー」

唯「違う違う、もっと奥!牛だよ!本物だよ!」

梓「あっ、ほんとだ。牛舎以外で見る牛なんて初めてかもです……」

唯「野良牛かなぁ?」

梓「いませんよ野良なんて。どこかで飼われているのを放してるんじゃないですか?」

唯「そうなの?…そーだあずにゃん、水着ちゃんと持ってきた?」

梓「突然ですね。ちゃんと持って来ましたよ、近くにプールでもあるんですか?」

唯「ないよー」

梓「じゃあ……大きな川とか?」

憂「川はここが一番大きいかなぁ」

梓「え、それってつまり……」

唯「あとで一緒に遊ぼうね、あずにゃん♪」

broooooooooooo...






平沢父「さ、着いたよ。みんなお疲れ様」

唯「帰ってきたーっ!」

梓「わぁ……おっきい家……」

憂「この辺はみんなこれぐらいだよ。確かにうちに比べたら大きいけどね」

梓(この辺って言っても、田んぼしか見かけなかったような……)

唯「憂、早く入ろうよ!あずにゃんもっ」はしっ

梓「わっ、引っ張らないで下さい!」







唯「ただいまー!たっだいまーーっ!!」

梓「ひゃっ…先輩声大きいですって!びっくりしたじゃないですかぁ」

祖母「あらあら、元気な声は誰かしら?」

唯「おばあちゃん!」

祖母「暑い中よく来てくれたわねぇ、唯ちゃん、憂ちゃんも」

憂「ただいま、おばあちゃん!」

祖母「そちらはお友達?」

唯「あずにゃんだよ!永遠のパートナーです!」フンス

梓「変な紹介しないでください!えっと……中野梓です。軽音楽部の後輩です」

祖母「そう。うちの子のためにわざわざ来てくださってありがとう。ゆっくりしていって頂戴ね」ニコッ

梓「あ……お世話に、なります」

平沢父「ご無沙汰してます、お義母さん」

祖母「遠いところからご苦労様です。そちらはお変わりない?」

唯「あずにゃん、行こっか」

梓「あ、はい。おじゃまします…」






唯「ここが私たちが寝る部屋です!」

梓(広っ!ふすま開けて隣の和室つなげたら二十畳超えてるよ)

憂「テレビは廊下をまっすぐいって突き当たりの部屋に、トイレは階段下りてすぐにあるから」

梓「うん、覚えとく」

唯「あずにゃんあずにゃん!外行こうよ!」

梓「今からですか!?着いたばっかりなのにいいんですか…?」

唯「いいの!今日は遊びに来たんだもん、遊ばないといけないんだよ?」

梓「まあ…唯先輩がそれでいいなら構わないんですけど」

憂「お姉ちゃんも梓ちゃんも、その前に」

唯梓「前に?」

憂「お昼食べないと。ね?おばあちゃんもう用意してくれてるって」

唯「……そうだねぇ」ぐぅ~

梓「ふふっ、ですね」






――――

祖母「おそうめん、もう少しあるのだけど、おかわりはいかが?遠慮しなくてもいいのよ」

梓「あ、ありがとうございます。でももうお腹いっぱいですから」

祖母「そう。また欲しい物があったらおっしゃってね」

梓「はい。ごちそうさまでした」

唯「……ふーっ、食べたね~。お腹くるしー」

憂「お姉ちゃん、二人前も食べたもんね」クスッ

唯「空腹は最高のスパイスだ!」キリ

梓「意味わかりませんから……そういえば、親戚の方が来るって聞いてましたけど」

唯「そういえば全然来てないなぁ。なんでだろ?」

憂「昔はほら、お寺さんも呼んでたからじゃない?最近はそれをしないから……」

唯「そうだっけ?」

憂「お姉ちゃんいっつも寝てたもん。覚えてなくてもしょうがないよ」

唯「そっか、寝てたなら仕方ないね!」

梓(駄目だなあ、この人……)






唯「さて、あずにゃん!腹ごしらえもしたしお出かけの準備だ!!」

梓「どれだけ外いきたいんですか…ちょっと待ってください、先にお皿片付けないと」

憂「いいよ梓ちゃん、私がやるから。お客様はゆっくりしないと。ね?」

唯「そうだよあずにゃん、私たちはもてなされないといけないんだよ!」

梓「唯先輩はあんまり言える立場じゃない気がしますけど。憂は?」

憂「私はちょっと家の手伝いがあるから、梓ちゃんはお姉ちゃんと一緒にいてあげて?」

梓「うーん、わかった!唯先輩のことは私にまかせといて!」

唯「まかされた!じゃあ憂、また後でねー♪」

憂「いってらっしゃい、あんまり遠くまで行っちゃダメからね!」




ジジジジジジジジジジ

梓(あつ……)

梓「日差し強いですね……また日焼けしそう」

唯「真っ黒になったこげにゃんも可愛いから好きなだけ焼けちゃっていいんだよー」

梓「なんですかこげにゃんって。それもう私の要素全く残ってないじゃないですか」

梓「にしても、見渡す限り田んぼですね。民家が遠景にしか見えません」

唯「なんかね、この辺全部おばあちゃんの田んぼらしいよ?」

梓「えぇっ!それってすごくないですか!?(育ちのよさそうな人だとは思ってたけど……)」

唯「だねー。それより、ここって明かりもないから、夜は真っ暗になるんだよ!すごくない?」

梓「それよりって……(どうしてそんな人から先輩のような孫が……)」

唯「今夜肝試ししようか!真っ暗で怖いよ~?」

梓「嫌ですよ。絶対怖いだけで面白く無いですもん」





梓「ところで唯先輩、どこに向かってるんですか?」

唯「んー?特に向かってるところはないよー」

梓「えぇー……そんな無計画な」

唯「ちなみにあと20分ぐらいはずっと田んぼです!それから山がみえてくるけど」

梓「山には何があるんです?」

唯「山は山だよー」

梓「つまり、何もないと……」

唯「山は嫌かー。じゃあそこのため池でゲンゴロウとりでもする?」

梓「う、虫はちょっと……」

唯「じゃあザリガニ釣り!」

梓「大差なくないですかそれ」

唯「あずにゃんはワガママさんだねぇ」

梓「う……」

梓(確かに私、さっきから文句ばっかり……)







唯「ふっふっふ~ん♪ふんふ~ん♪」

梓「あの……なんか、すみません」

唯「どしたの?」

梓「いえ、せっかくいろいろ誘ってくれてるのに私、文句ばっかりで……これじゃつまんないですよね」

唯「ううん、そんなことないよー?私いますっごく楽しい!」

梓「え……?」

唯「だって、最近はずっと一人だったもん」

唯「昔はそんなことなかったんだけどね。憂も和ちゃんも、親戚の子たちもいてさ」

唯「何したか全然思い出せないんだけど、あっちこっち走り回って、お腹がすくまで遊んだなぁ」

唯「でも最近は誰も来てくれないんだよね……」

梓「……」

唯「和ちゃんも出たがらないし、憂もお手伝いで一緒に遊んでくれないし!やんなっちゃうワ!」

梓(そこは唯先輩も手伝うところじゃ……)





唯「でもね、今年はあずにゃんが来てくれた!」

唯「だから、なんかいつもより新しい気分で嬉しい!」

梓「新しい、ですか?」

唯「そしたら大好きなここがあずにゃんと一緒の思い出になって、もっと大好きになれるんだ~♪」

梓「そう、ですか……」

唯「まあ……あずにゃんとザリガニ釣りできたら、もちろんそれは嬉しいけどね」

梓「……わかりました。やりましょう!」

唯「へ?」

梓「ザリガニ釣りです!私も唯先輩と遊びたいですから!さあ、何を用意しましょうか?」

唯「……するめ?」

梓(出鼻くじかれたー!)





唯「うーん、じゃあ別のことにしよっか?」

梓「そうですね。時間はたくさんありますし、景色でも見ながら考えましょうか」

唯「そうともっ!この雄大な自然を!田んぼを見よー!空を……あの雲綿菓子みたいだねー」

梓「また食べ物ですか。……あの、唯先輩。その隣の雲、真っ黒ですね」

唯「ほんとだー。おっ、ちょうど影になったよ!」

ポツ

梓「……唯先輩、山までは遠いですか?」

唯「まだまだ、かなぁ」

ポツ   ポツ

梓「じゃあ、一番近い建物は?」

唯「んー、うちだね!」

梓「そうですか……走りましょうか?」

唯「えーやだなぁ~……」

ポツ ポツ ポツ  バラバラバラバラ

唯梓「わあぁぁぁぁーーー!」ダッ





ザーーーーーーーーー……


唯「ひ~~、着いた~……ってあれ?」

梓「もう晴れた……」

唯「通り雨~?やっと家に着いたのに損した気分だよ~~……」

梓「しかも、雨の中走ってきたから、服も靴もドロドロですね……」

唯「あ、そこにホースあるから靴はそこで洗えるよー」

梓「服、どうしましょう。水着しか持ってきてなくて……」

唯「じゃあ私の……あ、そうだ!!ちょっと待ってて!」

梓「……?」




――――


梓「これって……」

唯「これで私たちの汗と泥を流しまっしょー!水着もバッチリ準備できてるよ!」

梓「ビニールプールじゃないですかー!嫌ですよ恥ずかしい!!」

唯「まあまあ。とりあえずせっかく水入れたんだし、着替えて入ってみようよ!」

梓「えー……」

ちゃぷん

唯「何年ぶりだろー?」

平沢母「唯、帰ってきてたの?……あら、懐かしい」

平沢父「昔は憂と一緒によく遊んでたなぁ。今はちょっと大きいか」


梓(やばい……これ……恥ずかしすぎる~~~~~!!)







梓「ゆ、唯先輩……ちょっと…これはいかがなものかと……」

唯「川のほうがよかった?」

梓(川に行くとしたら……水着で?いやいや……せめてタオルはかぶって……)


唯『タオル羽織って歩いてると、なんか小学校の夏休みのプール思い出すね!』ぺたぺた

梓『はい!キャップもあれば完璧ですね!』ぺたぺた


梓「……プールでいいです」





梓「それにしても……」

唯「……狭いね」

梓「楽しく遊べるなんて思ってなかったですけど、身動き取れないレベルですよこれ」

唯「よくこんなので遊べてたねー、昔の私たち」

梓「浅くておへそから上も暑い――」

唯「えいっ」バシャッ

梓「きゃっ!……もう!不意打ちはずるいです、よっ!」バシャッ

唯「わぷっ。やったなぁ~?うりゃーっ!」バッシャーン

梓「わわっ、暴れたら、こけっ、落ちるっ!?」バチャバチャ

バチャバチャ ジャプジャプ




シャラリーン♪

憂「……よし。いいなぁ……私も水着持ってくればよかった。……あ」

唯「あっ!おじさーーん!」

梓「えっ!?」

「おぉー唯ちゃーん!元気してたかー!!」

唯「ずっと元気元気してるよー!また後でねー!」

梓「うぅ~……」

唯「……あずにゃん、なんで私の後ろに隠れてるの?」

梓「知りません!もう遊びはおしまいですっ!早くシャワー浴びて着替えますよ!」

梓(いい年して何はしゃいでるの私ーーっ!)

唯「えーっ、私もっと遊びたいよぉ」

梓「お風呂場でいくらでも遊んでいいですから!お願いですから早く片付けましょう!」

唯「え!?あずにゃんと一緒に入っていいの!!」

梓「なんでもいいですからー!」




ガラララ

唯「は~、シャワー気持ちよかったねー」

梓「そうですね……(疲れた……)」

唯「そういえばあずにゃん、着替えはどうするの?」

梓「あー……どうしましょう」

唯「私の服着る?」

梓「えっ……じゃあ唯先輩の着る服なくなりませんか。別に構いませんけど」

唯「えっ?あ、そっか。う~~ん……じゃあ――」



唯「家にあった昔の服を着てもらいました!!」

憂「良かったね、梓ちゃん♪お姉ちゃんのお下がりだよ!」

梓(うそっ、ぴったり……!?)ちょーん

唯「……くうぅ~~!すっっっごく似合ってる!!あずにゃん可愛い~~♪」ギュー

梓「子供服でそんなこと言われてもうれしくないです……」

唯「あずにゃんもまだまだ子供服が似合うお年ごろなんだねぇ」

梓「先輩と一つしか違いませんっ!」


――――







平沢母「みんなー、ご飯だから下りてきなさーい」

唯「あ、はーい」

トントントントン……

唯「おおっ!お寿司だー!スシー、テンプーラー♪」

梓(ずっと部屋で唯先輩や憂と一緒にいたから気づかなかったけれど)

「久しぶりねー、唯ちゃん」

「和ちゃんは来てないの?へー残念」

梓(けっこう人数来てるなぁ……)

梓(……それと、わかってたことだけど)

「憂ちゃん美人になったねぇ。お母さんそっくり」

憂「そんな……えっと、ありがとうございます」

唯「それでね、その時のあずにゃんがまた、可愛くて!」

祖母「まあ!そんなことがあったの。大変ねぇ」

ガヤガヤ

梓(居づらいよ~……)








唯「ご飯は終わったのに、みんなお酒飲んでるねー」

祖母「あとはおじさんおばさんのお喋りだから、唯ちゃんたちはとお友達といていいのよ?」

唯「はーい」

祖母「そうだ。若い子が来たらって思って買っておいたんだけど、どうかしら?」

唯「わぁ、花火だ!ありがとうおばあちゃん!早速遊んでくる!」

平沢父「ごめんね梓ちゃん、あの人酔ったらすぐ絡むから」

梓「はうぅ……いえ……」

唯「あずにゃーん!花火もらったから一緒にやろー!」


憂「お母さん、食器洗うの手伝うよ」

平沢母「ありがとう。でもほら、唯が来てるから行ってあげて」

唯「ういーー!!花火しよー!」

梓「……ぐす」

憂「うん!今行くー!(梓ちゃん、涙目…?)」





憂「花火、きれい……」パチパチバチバチ

梓「だねー……」パチパチバチバチ

唯「あずにゃんあずにゃん、見て!二刀流!!しゃきーん!」ジュワー

梓「そうですか。ねえ憂、次はこれやろうよ!」

憂「そ、そうだね……」

唯「あずにゃん、一緒にロケット花火飛ばそう!」

梓「一人でどうぞ」

唯「あずにゃ~ん……。あーん憂ー、あずにゃんが怒ってるよぅ~」ヨヨヨ

梓「怒ってないです」

唯「うーそーだぁーー」





憂「梓ちゃん、どうしたの?」

梓「別に…何もないよ」

唯「あーずーにゃ~ん……」

梓「……おばあさんにずっと話してるぐらい私が可愛いなら、もっと私のこと気にしてくださいよ」ぼそ

唯憂「えっ?」

梓「……はっ!今のなし、無しだから!」

憂「梓ちゃん、かまって欲しかったんだ?」

唯「あずにゃん……!私と離れて心細かったんだね……!!」

梓「だから無しですってばー!」

唯「もう絶対はなさないからね~!」





ザバァー ガラララ

梓「ふぅ……今日は疲れたなぁ。早く寝よ」

梓(結局パジャマも借りちゃった)ゴソゴソ

梓「……」

梓「…………」

梓「………………えっ?」





梓「憂ーっ!!」ドタドタ

憂「ごめんね梓ちゃん、それしかなくって」ニコニコ

梓「嘘でしょ。それぜったいぜったいぜっっったい嘘でしょ!」モォー

憂「牛パジャマ、すっごく似合ってると思う!」

梓(これ絶対唯先輩にまた何かされる……)ちら

唯「あ…あ……」

梓「え」

唯「あず牛だーーっ!可愛い可愛いかーわーいーいー!!」ガバッ

梓「んにぁーー!」

唯「憂、私この子飼うよ!うちの子にするー!!」すりすりすりすり

梓「ちょっ、やめっダメですダメですっ!」

唯「よいでわないかよいでわないかー♪」

梓「きゃーーーっ!!」

ぱしんっ

憂「ああっ、お姉ちゃーん!」





梓「はぁ、はぁ。早速汗をかかせないでください……」

唯「ふっ、あずにゃんの可愛さが罪なのだよ」

梓「はいはい。……あれ?着信来てる……あーっ!!」

唯「どしたの?」

pi pi pi prrr...

梓「あっ、お父さん!ごめんなさい!え、今?それなんだけど、実は勘違いしてて――」

憂「梓ちゃん……家に電話し忘れてたんだね」

梓「もう。唯先輩のせいで今日はさんざんです!早く寝ましょうよ」

唯「あっ、今あず牛が鳴いた!も~って!」

梓「もー!そういう意味で言ったんじゃありませんー!」

唯「あは、また言った~♪」

梓「違いますー!」





憂「もうお布団敷いてくれてるって」スーッ

唯「どれどれ……おおっ、川の字!」

梓「蚊帳がかかってる」

憂「ご飯の時、虫すごかったもんねー」

梓「正直、すごいありがたい……」

憂「あはは……」

唯「ねえねえ、寝る場所どうする?私あずにゃんの隣ね!」

憂「えーお姉ちゃんずるい!私も梓ちゃんの隣がいいー!」

梓「私は別にどこでも」

唯憂「じゃあ……」


唯「あずにゃーん♪」ギュッ

憂「梓ちゃーん♪」ギュッ

梓「ですよねー」





唯「さあ、眠らない夜の始まりだぜぇ?」

憂「今夜はオールナイトだよ!梓ちゃん!」

梓「お願いですから寝かせてください……」

――――

リーリーリーリー

唯「んん……うま……」ぎっちり

憂「お姉ちゃん……やらぁ……お姉ちゃぁぁん……」ヒシッ

梓「…………」

唯「んー……」くちゃくちゃ

憂「わぁ……お姉ちゃんが……いっぱぁい……」


梓「暑くて眠れない……」









それから。

次の日は何事も無く、朝ごはんを食べて、すぐに出発しました。
おばあさんに「また来てね」と言われた時、なぜか気恥ずかしかったのを覚えています。
帰りの車では昨夜眠れなかったせいもあって、ずっと寝ていました。
唯先輩が「可愛かった」なんて言ってましたが、何もなかったと信じたいです。
帰路につく前に、唯先輩と少し話をしました。

唯「ねえ、あずにゃん。昨日と今日と……楽しかった?」

梓「それは……えっと……はい。楽しかったです、とっても」

唯「そっかぁ。よかった!ふふっ」

梓「そんなに喜ぶようなことですか?」

唯「だって、大切な場所だもん」

梓「よくわかりませんけど……まあ、喜んでもらえてよかったです。それじゃあまた」

唯「うん。ばいばーい。…………あずにゃん!」

梓「はい?」

唯「また、行こうねーっ!!」

梓「……考えときますねーっ!」

本当は、ちょっとだけ、また行きたいです。





ああ、それと。

純「梓……ちょっと噂になってるんだけどさ。というか憂がみんなに言って回ってるんだけど」

純「唯先輩が親戚に梓を紹介するために一緒に実家に行ったって本当なの?」

梓「何言ってんの、確かに私は唯先輩の帰省に付き合ったけど――」

純「へー、やっぱり二人ってそういう関係なんだ、そうなんだーへー……」ニヤニヤ

梓「ちょっ、純なんか勘違いしてない!?ちょっとついていっただけで何もなかったからね!!」

純「あとこんな画像もあるんだけど」ピッ

梓「…………えっ!な、なんでプールの写真なんて持ってんの!?」

友A「ふたりとも何見てんのー?」

友B「うわー、ビニールプールで遊ぶとかイチャイチャしすぎでしょ~」

憂「あっ。可愛いでしょ~?あと梓ちゃんの可愛いパジャマ姿もあるよ♪」

純「なにそれ気になる、ちょうだーい!」

梓「み、見ないで~~~~!!」


その件で友達にしばらくからかわれることになりました。






終わり!


  • 台詞回しとかけいおんぽくてすぐ絵が浮かんできたそのままアニメ化 -- (名無しさん) 2012-09-18 16:06:39
  • ↑途中送信してしまいました -- (名無しさん) 2012-09-18 16:07:22
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最終更新:2012年09月11日 06:10