Secondary Present --澪side--
すーはー、すーはー。唯の部屋の前で深呼吸する。
現在午後11時。もう寝ているかもしれない。
そう思ってたけれど、ドアの隙間から光が零れていた。
どうやら起きているらしい…良かったのか悪かったのか…。
息を呑んでノックする。
「唯入っていいか?」
返事はすぐ返って来た。
「いいよ~」
「…おじゃまします」
満面の笑顔で迎え入れてくれた。
こんなにいい顔されると…逃げられないじゃないか。
唯は昼間貰ったプレゼントを広げていた。私があげたフォットフレームが正面にある。
もしかして…もうアレ見られたのかな?
「澪ちゃん?」
唯が少し不審げに見ている。
「いや…何でもない!」
慌てて座った。……気付いてないよな…?これなら…。
さて…本題はここからだけど…来てはみたけど…。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
半ば混乱しているところに、隣から覗く唯の顔が見える。
……言うしかない。
「寂しいんじゃないかと思ったんだ!」
現在午後11時。もう寝ているかもしれない。
そう思ってたけれど、ドアの隙間から光が零れていた。
どうやら起きているらしい…良かったのか悪かったのか…。
息を呑んでノックする。
「唯入っていいか?」
返事はすぐ返って来た。
「いいよ~」
「…おじゃまします」
満面の笑顔で迎え入れてくれた。
こんなにいい顔されると…逃げられないじゃないか。
唯は昼間貰ったプレゼントを広げていた。私があげたフォットフレームが正面にある。
もしかして…もうアレ見られたのかな?
「澪ちゃん?」
唯が少し不審げに見ている。
「いや…何でもない!」
慌てて座った。……気付いてないよな…?これなら…。
さて…本題はここからだけど…来てはみたけど…。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
半ば混乱しているところに、隣から覗く唯の顔が見える。
……言うしかない。
「寂しいんじゃないかと思ったんだ!」
口にしたときは顔から沸騰するんじゃないかと思った。
ああ~…やっぱり変に思ってるじゃないか…この顔は。
「去年までは憂ちゃんが居て、
ときどき一緒に寝てたって聞いたから…」
だけど今年憂ちゃんは傍にいない。だって寮だから。
誕生日は皆が祝ってくれる分、その日が終わるときは少し寂しい。
少なくとも私はそうだった。
「それに…以前言っていただろう?
…過ごす時間が少しなって、少し寂しいって…。
だから…今夜は唯が良かったら寝るまで居ようかな…って」
皆で騒いだ後、唯は少し寂しげだったから…唯の気が紛れれば良いと思った。
「澪ちゃん!」
「うわぁ!?」
急に抱きつかれて倒れそうになる。でも唯の顔見ていたら優しい気持ちになれた。
「どうせだから一緒に寝ちゃおうか」
「な…!どうしてそうなるんだ!?」
「寝るまで傍にいてくれるんだよね?
だったら一緒に寝ようって♪」
ハードル高すぎる!それに私寝相良くないぞ!?
でも唯は離すものか、と言わんばかりに抱き付く力を強くする。
う~ん。……でも今日は唯の誕生日だしなぁ。
憂ちゃんが居ない分、誰かに居てほしいのかもしれない。
「……分かった。準備してくるから少し待って」
結局、私は唯の部屋で眠ることになった。
ああ~…やっぱり変に思ってるじゃないか…この顔は。
「去年までは憂ちゃんが居て、
ときどき一緒に寝てたって聞いたから…」
だけど今年憂ちゃんは傍にいない。だって寮だから。
誕生日は皆が祝ってくれる分、その日が終わるときは少し寂しい。
少なくとも私はそうだった。
「それに…以前言っていただろう?
…過ごす時間が少しなって、少し寂しいって…。
だから…今夜は唯が良かったら寝るまで居ようかな…って」
皆で騒いだ後、唯は少し寂しげだったから…唯の気が紛れれば良いと思った。
「澪ちゃん!」
「うわぁ!?」
急に抱きつかれて倒れそうになる。でも唯の顔見ていたら優しい気持ちになれた。
「どうせだから一緒に寝ちゃおうか」
「な…!どうしてそうなるんだ!?」
「寝るまで傍にいてくれるんだよね?
だったら一緒に寝ようって♪」
ハードル高すぎる!それに私寝相良くないぞ!?
でも唯は離すものか、と言わんばかりに抱き付く力を強くする。
う~ん。……でも今日は唯の誕生日だしなぁ。
憂ちゃんが居ない分、誰かに居てほしいのかもしれない。
「……分かった。準備してくるから少し待って」
結局、私は唯の部屋で眠ることになった。
大学入学後、3人でムギに誕生日プレゼントを贈ろうという話が出た。
準備期間で2人っきりになる機会があったのをいいことに、訊こうと思った。
『唯は欲しいものってあるか?』
『……ん~、憂の料理?寮の食事も美味しいけど…
やっぱり憂の作ったものの方が好きかな…』
食事中に訊いたのが悪かったのか…。まあ憂ちゃんの料理は美味しいけど。
『…別の物で』
プレゼントの参考にしたかったんだけどな…私には無理だ。
『じゃあ澪ちゃんが欲しい』
………。一瞬何を言われたのか分からなかった。
『はあ!?』
私!?え?どういうこと?どういう意味?
『冗談だよ。』
『あ…冗談…そうだよな…』
『うん。
高1のときはもっと澪ちゃんと過ごしてたような気がして
…何だか少し寂しかったんだよね…』
そう言った唯の笑顔はとても儚いものだった。
…本当は嬉しかったんだ。唯がどんどん好きになっていたから。
でも私たちは同性で…伝えていいのか分からなかった。
唯はそんな私の戸惑いに気付いたんだろう。
だから『冗談だ』、なんて言ったんだと思う。
「そこまでさせたんだ…私も動かないと…な」
唯に送ったフォットフレーム。
あの写真の後ろには私の本心をしたためた手紙が入っている。
隠し渡した、私から唯へのラブレター。それが今の精一杯。
準備期間で2人っきりになる機会があったのをいいことに、訊こうと思った。
『唯は欲しいものってあるか?』
『……ん~、憂の料理?寮の食事も美味しいけど…
やっぱり憂の作ったものの方が好きかな…』
食事中に訊いたのが悪かったのか…。まあ憂ちゃんの料理は美味しいけど。
『…別の物で』
プレゼントの参考にしたかったんだけどな…私には無理だ。
『じゃあ澪ちゃんが欲しい』
………。一瞬何を言われたのか分からなかった。
『はあ!?』
私!?え?どういうこと?どういう意味?
『冗談だよ。』
『あ…冗談…そうだよな…』
『うん。
高1のときはもっと澪ちゃんと過ごしてたような気がして
…何だか少し寂しかったんだよね…』
そう言った唯の笑顔はとても儚いものだった。
…本当は嬉しかったんだ。唯がどんどん好きになっていたから。
でも私たちは同性で…伝えていいのか分からなかった。
唯はそんな私の戸惑いに気付いたんだろう。
だから『冗談だ』、なんて言ったんだと思う。
「そこまでさせたんだ…私も動かないと…な」
唯に送ったフォットフレーム。
あの写真の後ろには私の本心をしたためた手紙が入っている。
隠し渡した、私から唯へのラブレター。それが今の精一杯。
パジャマに着替えて唯の部屋に戻ると、唯はベッドの脇で待っていた。
「…消すぞ」
入り口にある電気を消して、唯の隣に入る。
唯の顔が、香りが、私をドキドキさせる。
こんなに近くに唯がいるのは滅多にないし、あったとしても慣れることはないだろう。
「………」
ダメだ眠れそうにない。唯に背を向けようとしたけど、許してもらえなかった。
「ゆ…ゆい…?」
思わず名前を呼ぶけど反応しない。でもその身体は震えていた。
そんな唯を私はそっと抱き締める。すぐに唯の身体から力が抜けた。
「……おやすみ、唯」
安心せるように私は唯の耳元で囁いた。
「…………おやす…み」
挨拶を合図に、唯は寝息を立てはじめた。
唯、誕生日おめでとう。
今はこんな風にしか伝えられないけど。
いつか、きちんと言葉にするから。
唯…愛している――。
「…消すぞ」
入り口にある電気を消して、唯の隣に入る。
唯の顔が、香りが、私をドキドキさせる。
こんなに近くに唯がいるのは滅多にないし、あったとしても慣れることはないだろう。
「………」
ダメだ眠れそうにない。唯に背を向けようとしたけど、許してもらえなかった。
「ゆ…ゆい…?」
思わず名前を呼ぶけど反応しない。でもその身体は震えていた。
そんな唯を私はそっと抱き締める。すぐに唯の身体から力が抜けた。
「……おやすみ、唯」
安心せるように私は唯の耳元で囁いた。
「…………おやす…み」
挨拶を合図に、唯は寝息を立てはじめた。
唯、誕生日おめでとう。
今はこんな風にしか伝えられないけど。
いつか、きちんと言葉にするから。
唯…愛している――。