唯×紬 @ ウィキ

愛して愛されて3

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yuimugi

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だれでも歓迎! 編集
憂ちゃんが怖い顔で私たちを注意しに来ると、私と唯ちゃんは必死になって謝った。
そうすると、憂ちゃんは私たちの頭を撫でて「しょうがないなあ」と笑って許してくれた。

憂ちゃんが部屋を出て行くと、私たちは「そろそろ寝ようか」という話になり、
唯ちゃんは押入れから布団を出そうと立ち上がった。

「あ、私も手伝うね!」
「うん、ありがとー」

一緒に重い布団を唯ちゃんのベッドの傍に置くと、唯ちゃんは「疲れたー」と
布団をちゃんと敷くまえに寝転んでしまった。
私もその横に寝転んでみる。部屋の電気がチカチカと少し眩しかった。

「あーなんかもうこのまま寝ちゃってもいいやー」
「だめだよ唯ちゃん。風邪引いちゃう!それに唯ちゃんはベッドで……」
「ムギちゃんが私のベッド使っていいよー」

唯ちゃんが腑抜けた声で、そう言った。

「でも今寝ちゃったらお風呂入れないよ?布団敷いてからお風呂入るんだったよね?」
「……、そうだった」

私の言葉に、唯ちゃんはしばらく沈黙すると、のっそり起き上がった。
ちょうど、憂ちゃんが「お風呂沸いたよー」と下から叫んだ。

「唯ちゃん、お風呂どっちが先に……」
「ムギちゃん、一緒に入ろうよ」

唯ちゃんは、さっきまでとはうってかわって元気な声になると、私をそう誘った。

……えっと、一緒に?

「ででで、でも唯ちゃん……!」
「だいじょーぶだよムギちゃーん、合宿だって一緒に入ってたもん」

私の反応が楽しかったのか、唯ちゃんは凄く楽しそうに笑いながら言って、
「行こう」と私の手を引っ張り浴室まで連れて行った。

「けどいざ二人っきりでこうしてると、なんか妙に恥ずかしいね」
「えぇ……」

私たちはお互い、相手を見ないようにしながら背中合わせで服を脱いだ。
唯ちゃんが「それじゃあ先に入ってるね」と浴室のドアを開けて中に入った。
私もその後すぐに、唯ちゃんの後に続いた。

「わあ、唯ちゃんのお家のお風呂って広いのね!」

「えー、そんなことないよー?ムギちゃんの家のほうがきっともっと……」

唯ちゃんはそこまで言って黙り込むと、突然「ごめん」と謝ってきた。
私はその理由がわからなくて、どうしたの?と訊ねた。

「えっと、ムギちゃんが家にいる間は出来るだけ、ムギちゃんも私たちの家族の
一員みたいに過ごしてもらおうってて……。ムギちゃん家の話のこととか
もで切る限りしないでおこうって思ってて……」

唯ちゃんはそう言って申し訳なさそうに私を見た。
その表情がさっきお皿を洗わせてもらったときの憂ちゃんの顔とそっくりで、
思わず笑ってしまった。

「そんなこといいよ、唯ちゃん。気にしないで」
「そ、そう……?あ、ムギちゃん、早く入って入って!寒いでしょ!」

唯ちゃんは浴槽から手を出して私を招いた。
浴槽に身を浸すと、温かいお湯が私の全身を温めてくれた。

「あー、気持ちいいねえ、ムギちゃん……」
「うん……」

二人でしばらく温かい時間を満喫する。
けど、さすがに10分もしたらのぼせてきてしまった。

「唯ちゃん、私そろそろのぼせてきちゃった……」
「え!それじゃあ頭洗おっかー。ムギちゃん、私が洗ったげる!」
「ほんとー?じゃあお願いしちゃう」

唯ちゃんは「任せて!」と胸を叩くと、私をシャワーの前に座らせた。

唯ちゃんの手が、私の髪を梳いて行く。
頭をマッサージするように手を動かしていくので、うっかり眠りそうになってしまう。

「唯ちゃん、洗うの上手いねえ、美容院で働いたって大丈夫なんじゃない?」
「えへへ、そうかなあ?」

唯ちゃんが嬉しそうに笑って「じゃあほんとになってみようかな」と言って手を
動かし続ける。
シャンプーを泡立て、髪を丁寧に洗っていく。

「ムギちゃんの髪ってすごい綺麗だよね」
「そうかな?」
「うん、すっごい!私も髪伸ばしてみたいんだけど、ちょっと無理そう。お手入れとか
も大変そうだし……」

それならいっそ、りっちゃんみたいにオデコ出しちゃったら?と言うと、唯ちゃんは
それだけはだめ!と首をぶるんぶるんと勢いよく振った。

シャワーで泡を落とすと、唯ちゃんは「よし、終わり」と言ってへなへなと
してしまった。

「ちょっと頑張りすぎちゃったよー」
「それなら今度は私が頑張る番ね!唯ちゃんの髪洗う!洗いたい!」
「えー、別にいいよー」
「遠慮しないで!」

唯ちゃんがそれなら、と言ってさっきとは逆に私が今まで座っていたシャワーの前に
座った。

唯ちゃんの髪も、少しだけ癖があったけど、綺麗な髪だった。
りっちゃんや梓ちゃんの髪みたいにさらさらでもないし、澪ちゃんみたいに艶もない
けど、私は唯ちゃんの髪にいつまでも触れていたいと思った。

「はい、終わり」
「ムギちゃんありがとー。いつもの倍きれいになった気がするよ」
「どういたしまして」

ふふふ、と笑い合う。
なんかいいな、って思った。誰かの髪を洗うのも、誰かに洗ってもらうのも。


お風呂を上ると、憂ちゃんが冷たいアイスクリームを用意してくれていた。
パジャマは唯ちゃんのものを貸してもらった。

「憂ー、太っ腹~」

唯ちゃんが嬉しそうに憂ちゃんに抱き着く。

「もう、お姉ちゃんったら。けどちょっとだけしか食べちゃだめだよ?太っちゃうよ?」
「わかってるもん」

唯ちゃんはぶーと頬を膨らませながらも早速お皿に盛られたアイスをつついている。
憂ちゃんが「紬さんも早く食べちゃってください!」と私を手招いた。

「あ、そうだういー」

アイスを三人で食べながら、唯ちゃんが突然思い出したように言った。

「なに、お姉ちゃん?」
「今はね、ムギちゃんのこと紬さんじゃなくってムギお姉ちゃんって呼んだら?」
「え!」

声を上げたのは憂ちゃんじゃなくって私だった。
私が憂ちゃんに「お姉ちゃん」って呼ばれるなんて……。

「ムギお姉ちゃん?」

憂ちゃんが首をかしげながら訊ねるようにして「お姉ちゃん」と言った。
嬉しいような、照れ臭いような、そんな気持ちで思わず「うふふ」と笑ってしまった。

「もう、ムギお姉ちゃん笑わないでよう」

憂ちゃんが頬を膨らませる。それでまた私は笑ってしまう。
いつのまにか、憂ちゃんの口調が敬語じゃなくなっていた。

「なんだかほんとの姉妹みたいだねー」

唯ちゃんがアイスを舐めながら微笑んだ。





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